2019年12月19日

『海外版W11』 ブラックフライデーの中国越境ECでライブコマースが大活躍

『海外版W11』 ブラックフライデーの中国越境ECでライブコマースが大活躍

ブラックフライデーは米国発祥のセールイベントで、日本でも注目を集めるようになってきました。最近では中国でもライブコマースを活用した越境ECが活発に行われるようになったため、中国人の消費者にとっても人気のイベントとなっています。

その規模感を数字で見てみると、10,000人の海外バイヤーが参加し、15,000回のライブが行われ、70ヶ国以上をカバーする規模となっており、T-mall・KAOLA・Pinduoduoもこの一大イベントを重視しているため、今年も活発な取引が行われました。

特にライブコマースの活用が注目を集めており、米国のリアル店舗で行われているブラックフライデーセールの模様を中国人バイヤーが現地からライブで配信。中国にいながらにして米国の店舗で実施されているセール商品を購入できることから、ブラックフライデーに参加する中国人ユーザーが急増しています。このような状況を受けて、中国メディア上ではブラックフライデーを『海外版のW11』と呼んで取り上げています。
そこで今回は、中国におけるブラックフライデーの状況を理解するために、米国で活躍する2人の中国人バイヤーの事例をご紹介しましょう。

Vさんの場合

昨年のブラックフライデーでも、12時間に及ぶライブ配信を行っていたバイヤーのVさん。米国現地のアウトレットでライブをしながら買い物を行い、そのライブ中に消費者から欲しい商品への注文が入ると、その場で購入して配送します。このような仕組みで、昨年のブラックフライデーでは、1日で通常の店舗売上の5倍を売り上げたと言います。
今年は、そのライブ時間が12時間から24時間に拡大。中国と米国では時差があるのですが、24時間都合の良いタイミングで中国の消費者に米国でのブラックフライデーの様子を伝えることができるようになっています。
(画像参照元:タオバオライブ)

Jさんの場合

昨年のブラックフライデーでは1日で100万元(約1600万円)以上の取引額を達成しており、「今年の目標は昨年の2倍~3倍になるだろう」と語っています。しかも今年は、アメリカのデパート側が、中国人消費者のニーズに合わせて、事前にVIP中国人バイヤーに対して連絡を取って人気商品を選んでもらい、その商品を確保。セールのピーク時を回避し、確実に目的の商品を購入できる事前購入の仕組みも、米国店舗側の協力を得て実現させています。

中国のライブコマースに協力的になってきた米国の店舗

米国現地の消費者は、ブラックフライデーで家電や日用品などを多く購入していますが、太平洋の反対側にいる中国人消費者は化粧品やバッグなど高級ブランド品目当ての参加者が多く、特に富裕層が非常に強い購買意欲を持っているため、米国の店舗側も意識が変わってきていると言います。

バイヤーのVさんによると、最初は店舗に行ってライブを行おうとしても店員に禁止されたり、商品の購入は1人1個までと個数制限されるといったことも多かったそうですが、現在では事前に売れそうな商品の数を店舗側で確保してくれたり、店舗側からバイヤーに連絡してライブ配信を誘致するなど、積極的に参加するようになってきたと言います。中にはライブ中に店員さんがモデルとして商品紹介に参加してくれるなど、非常に協力的になってきていると言うのです。

さらにJさんは、店舗側の姿勢の変化はもちろん、現在では米国のデパート内に自分のライブブースを設けることができるようになったと言います。中国の消費者は、主に夜の時間帯に多くの人がライブを視聴します。しかし、その時間帯は時差の関係で米国では早朝となるため、デパート自体がオープンしておらず、ライブ配信できないというケースが多かったそうです。それが現在ではデパート側から協力をもらって、専門の放送ブースを設け、Jさんがいつでもライブできるように積極的に協力してくれるようになっているのです。店舗側からすれば大きく売上が上がり、デパートとしても店舗の売上が上がれば、高い賃貸料を維持することができるため、Win-Winの関係を歓迎していると言います。

このようなライブ配信への協力は海外だけではなく、中国国内の越境ECプラットフォームにも広がってきています。今では天猫国際が、米国の数カ所のデパートと連携を組んでおり、天猫からはバイヤーを送り、デパートからは正規品や人気商品を提供することで販売を促進する協力体制を構築しているのです。
(画像参照元:タオバオライブ)

参入が相次ぐ中国でのブラックフライデー

改めてブラックフライデーの売上を確認してみると、昨年の総売上は434億元。この数字だけを見ると2019年のW11の総売上の約1/5という数字ですが、税関統計の数字を見ると、2018年越境ECによる輸出入の金額は202.8億ドルに達し、前年比52.3%と大きく成長。海外の商品を買うユーザー数は1億人を超えています。
この成長率は、中国国内のECと比べても著しく高く、各モールも越境ECによる売上を確保するべく、ブラックフライデーに参入するようになっています。

今年のブラックフライデーでは、「Amazonが中国のEC業界を引っ張ることになる。」とブルームバーグが報じました。中国ではAmazonの国内サービスは撤退していますが、海外に向けたサービスは展開しており、中国ECプラットフォームのPinduoduo内にAmazon中国のコンテンツを設けて、海外の商品を展開しています。

対して、天猫国際もブラックフライデーで2つのメインとなる戦略をとっています。
1つは、先に紹介したようにバイヤーが直接セール現場をライブ配信するというコンテンツ。もう1つは海外商品の生産元を辿るというコンテンツで、例えば商品の原産地や生産会社などをライブ配信することで、信頼感のある生産元の情報を発信しています。

JD.comでは、ブラックフライデーにモール上の戦略をアップグレードさせており、今までは一般貿易で輸入された海外商品をJD.comで、越境で展開している海外商品をJD Worldwideで分けて販売していましたが、現在は海外ブランド商品を統一し、ひとつの大きな事業部として力を入れています。

他にも蘇寧国際など中国の大手ECプラットフォームが続々とブラックフライデーに参入しているため、これから中国化されたブラックフライデーはますます盛んになっていくでしょう。

まとめ

中国の消費者から見ると、ブラックフライデーとW11は日程も近いセールイベントですが、W11は商品カテゴリ数も多く、日用品を始めとして様々な商品が購入されており、5億人超えが参加する巨大なイベントとなっています。対するブラックフライデーは、主に有名海外ブランドのアパレルやコスメなどを目的に、中国沿岸部の富裕層を中心とした約1億人が参加。購入層がやや異なるイベントとして、それぞれに成長を続ける市場となっています。

海外の実店舗にいってライブ配信を行うという中国ならではのトレンドは、日本でも少しずつ行われるようになっています。このようなライブは、米国でもそうだったように、はじめは店舗側が嫌がる傾向にありますが、店舗側の理解と協力が進めば米国デパートのような大成功を収めることが可能です。この記事をきっかけに理解を深めておくことで、チャンスが到来した際に大きな販売チャネルを構築することに繋がるかもしれません。

文章内容参照元:Eburn.com