2020年07月29日

中国最大のセールイベントW11と並ぶ大型販促セール『618』最新レポート

中国EC大手であるJD.com(京東)の創立記念日である6月18日に、中国で最も大規模なセールイベントW11と並ぶ大型販促セール『618』が今年も開催されました。

中国の各ECモールからコロナの影響も心配されていましたが、最終的にはJD.com(京東)もTmall(天猫)も昨年を大きく上回る数字を出しています。

618のモール別、流通総額を見てみると、Tmall(天猫)は約11兆円(6982億元)と昨年の4兆円をはるかに上回る数字となっており、

JD.com(京東)は約4.2兆円(2692億元)と、EC最大手の2社だけで15兆円を超える流通総額となっています。

(京東のWeiboアカウントより)

毎年記録を塗り替えてきた中国ECのセールイベントですが、今年はコロナの影響で中国も都市封鎖から回復しつつある時期ということもあり、

失業率も高く消費意欲があまり上がらないのではないかと懸念されていました。

しかし、JD.com(京東)・Tmall(天猫)・Pinduoduo・蘇寧といった大手ECプラットフォームがテレビ局と手を組み、

大型の豪華番組を展開するなど各社の宣伝の勢いもあり、数多くの芸能人や政府機関、企業CEOなどがライブコマースへ参加するなど、

今年もより一層注目度が高まる結果となりました。

芸能人や有名KOLのライブコマースへの参加

特に1番目立っていたのがライブコマースで、全体の売上に対して重要な役割を果たしており、売上貢献度も高まっています。

アリババグループ傘下の淘宝(タオバオ)ライブでは、618初日の単日のみで、ライブコマースでの取引額が51億元(日本円で760億円)を突破。

618期間中にライブを実施した店舗は前年比160%増。ライブ回数も去年より123%増と成長を続けています。

さらに、約300名の芸能人と600名以上の企業CEOが参加してライブコマースを盛り上げました。

また、中国では従来の広告の掛け方に革新的な変化を起こそうとしています。

ブランド側にとって芸能人を広告に起用するには、相当なコストが掛かるため、負担できない企業が多くいらっしゃいます。

ただ今は、芸能人主催のライブコマースに参加すると、自社の商品が紹介される時間は5分しかなくても、そこで撮影した映像や画像を活用できるため、

低コストでファンにリーチしてブランド効果も期待できるようになります。

(タオバオライブアカウントより)

トータルで考えればライブコマース以外の売上もつくため、ブランド側にとってはライブでの利益とは切り離して、良い宣伝になるのは間違いないことから、

芸能人や有名KOLのライブコマースへの参加意欲が今までにないくらい高まる結果となっています。

JD.com(京東)は淘宝(タオバオ)と比べるとライブの後進者ですが、618期間中に31ブランドのライブ売上がそれぞれ16億円を超えており、

さらに167ブランドのライブ売上が1.6億円を突破しました。

また、618期間中にJDは、中国の(TikTokのような)短い動画大手である「快手」との連携を発表しました。

(京東のWeiboアカウントより)

JDは月間DAUが3億人以上もある快手から膨大なトラフィックを得て、快手は自社アプリ内のEC構築をJDに依頼するなど、

それぞれ自社の弱みを補い合う形で結果を出しています。

快手のオフィシャルデータによると618当日で、快手での流通金額は14.2億元(約210億円)となっています。

快手のライバルであるTikTokも618イベント期間中に同じくライブコマースに力を入れています。

中国のライブコマースで有名な企業創立者「羅永浩」氏がTikTokの常連ライバーとなっており、618当日に6時間以上のライブを行い、視聴者数は447万人を突破。

ライブでの売上は2400万元(約3.6億円)に達しています。「羅永浩」氏以外にも芸能人の「張庭」氏は、1度のライブで2.3億元(約34億円)の売上に達しています。

618のモール別数字を確認

今回、各モールは詳しい数字を公式に発表していませんが、前年比の成長数字のみ公表していますのでご紹介しておきましょう。

■Tmall(天猫)

618当日、開始1時間以内の取引額が昨対100%増。

3万店舗が前年より売上が倍増しており、1万店舗のブランドが売上10倍以上になりました。

■JD.com(京東)

618当日、開始10分間の取引額が昨対500%増。特にスマホ・キッチン用品・日用品などのカテゴリーで急速に売上が伸びる結果となりました。

また、C2M・パソコンカテゴリの成長率は380%・運動系アウトドア商品が130%超の成長率となっています。

他にもコロナの影響を受けて、ネット診療の成長率が404%となりました。

国際的に有名なブランドである、PradaやMiumiuは10倍以上の成長となり、日本メーカーの人気化粧品ブランドSK-IIは2.6倍の成長となっています。

利用状況を見ると、地方都市での売上が前年の5.3倍、1.2万店に及ぶオフライン店舗(JDに加盟している実店舗)の売上も240%となっています。

また、これだけの大規模なイベントでありながら、JD物流は当日着と翌日着が全体の91%を占めるなど、物流面でも圧倒的な強さを示しました。

■Pinduoduo

取引額は公開していませんが、今回の618では各店舗の値引き分をモールが補填する施策『百億手当政策』を行いました。

例えば元々10万円のiPhoneを店舗が8万円で販売している場合、モールが1万円をさらに補填することで、ユーザーが7万円で購入できるというキャンペーンです。

このキャンペーンで注文量は昨対119%増となり、農作物のグループ買い注文量は3.8億件を超えました。

結果、累計1.3億件の商品がモールからの補填を受け、金額にして総額30億元(約450億円)規模となっています。

■蘇寧

オフィシャルデータによると618当日の取引額は129%増となっています。

まとめ

今年の618イベントは、ライブコマースが消費をけん引する形で、コロナ禍にありながら各ECモールの流通額は再度飛躍する結果となりました。

一方で店舗側からは、「割引額が大きすぎる」「出荷量が増えたが利益が減った」「アクセスが減った」などの声も上がっていますが、

その背景にはコロナの影響で大幅値引きセールを実施して在庫をはけていたり、

ライブコマースでもクリアランスセールとして格安販売したりする店舗が例年より増えていることが原因として挙げられています。

618の数字自体は良かったものの、アフターコロナでどう景気を取り戻していくかは引き続き課題となるでしょう。

(一部データはEburn.com参照)