公開日:2016年3月10日

EC業界で競合に勝つための新たな指標 知っておきたい2つの率

みなさまこんにちは。株式会社いつも.で主に物流の観点から中規模~大規模のクライアント様にコンサルティング活動を行っている本多と申します。
今回は、本ブログを通じて数々のコンサルティング経験から得たEC業界におけるロジスティクスの基本的な考え方、そしてこの成長と競争の激しい業界で勝ち残るために、まず何を考えるべきなのかをご紹介しようと思います。
多くの企業・組織で「物流」というテーマでご相談を頂くと、第一のキーワードとしてコストダウンがあがってきます。次にスピードやサービスなどが上がってくるのですが、特にEC業界においてはただコストダウンをしたい、スピードアップしたいというのであれば、大手物流会社さんなどに相談すればいくつものソリューションを提案してもらえるでしょう。しかし、我々はそのような部分的な問題の解決を行うよりも、業務横断的に様々な視点から問題解決や業務最適を行うことのメリットの大きさを、どこよりも理解していると自負しています。そのため、より視野を広げたご提案を行うことを心掛けています。

ECの重要なオペレーションを大きく分けて考えると、
①マーケティング・サイト運営
→プロモーション、コンバージョン、リピーター化
②商品開発
③ロジスティクス(物流)
④管理業務(バックヤード業務)
の4つの分類に大きく分かれます。私の方からは③のロジスティクスと④の管理業務部分についてお話させて頂きます。

EC業界における物流スピードはサービスレベルに直結する

例えばAmazonを例に考えてみましょう。Amazonでは即日配達や新しいサービスである即時配達を武器に物流のレベルから見ても顧客に高いサービスレベルを提供しています。しかしそれを実現するために24時間物流センターをフル稼働させるなど、他社には容易に真似のできない体制を維持し続けています。
24時間センターを稼働させるには当然それなりの人件費や維持費が必要となります。Amazonのように規模の大きさが無ければこの人件費や維持費をまかなうのは容易なことではないでしょう。しかし実際には普段表に出てこないバックヤードの業務を極限まで効率化したり、顧客対応の点で先進的な戦略を行うなどAmazonほど大規模ではなくても取り入れることのできる様々なアイディアと技術があります。
そんなAmazonの中で高いレベルを感じさせるポイントが一つ目の“率”、「受注スルー率」です。
受注スルーとは、商品の発注が入ってから出荷指示を出すまでの受注処理を、人を介さずオートメーションで行う事を指します。Amazonでは受注処理をほぼ100%オートメーションで行っているため、受注スルー率もほぼ100%を誇ります。多くの一般的なEC事業者の場合、例えば深夜に発注が入っていても翌日に受注処理担当者が出社するまで業務が一旦ストップします。その後、一つ一つ受注処理を行う形で対応するため、対応スピードがどうしても落ちてしまいます。また、受注件数が増えれば増えるほどその日に処理しなければならない案件は増え、残業を行って対応することになり、受注処理にかかる人件費も膨らみます。
Amazonではこの受注処理にかかる人件費を限りなく0に近い状態にして、スピードというサービスも高い水準で維持している訳です。

しかし、冒頭でも触れた通り全ての事業者が24時間対応を真似することは難しく、サービスは突き詰めれば突き詰めるほどできる事は多様に広がりを持ちます。またそれを行ったから売上が上がるというものでもありません。要は自社が何を行うのかの指標を持つことが重要です。

同業者のベンチマークを行い、自社がまず何をすべきかを知る

物流やサービスの向上をどの程度行うべきなのか、それを決めるためにはまず同業者のベンチマークを行い、競合に勝つために何を行うべきかをしっかりと把握することから始まります。その上で大切な指標となるのが2つ目の“率”「フルフィルメント比率」です。

オートメーション化によって全体のフルフィルメント比率を下げることができる
オートメーション化によって全体のフルフィルメント比率を下げることができる

フルフィルメントとは、受注から物流管理・顧客管理など決済に至るまでの業務全般を指します。物流だけにフォーカスすると、他のバックヤード業務を圧迫して余計に人件費が増えたり、サービスレベルが低下してしまうなどの歪みが生じてしまいがちです。(多くの場合、オートメーション化できる部分にコストを割くことで人件費を圧縮し、全体のフルフィルメント比率を下げることができます。)ただ、先に述べた受注スルー率をどこまで上げるかも、競合の状況を知った上で自社がどこまで行うのかを正確に把握し、フルフィルメント全体で考えることが重要なのです。

Amazonの場合は規模が大きいため、受注スルー率を100%にしても全体のフルフィルメント比率が下がりサービスレベルが向上した訳ですが、自社で展開する場合にはそのバランスを競合の状況も含めて見ていくことが重要になるのです。
今回は、業務改善や売上アップのために重要となる2つの率、受注スルー率とフルフィルメント比率についてご紹介しました。利益を伸ばしたいと考えても、実際に何を行うべきなのか。次の一手を打つために必要な考え方を理解することが大切です。

 

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