意外と知られていないECサイトにおけるインスタグラム活用のポイントとは
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Instagramのショッピング機能について、「何となくは知っているが活用できていない」というEC事業者もいることでしょう。
Instagramのショッピング機能は、Instagramユーザーへの自社ブランドの認知拡大において欠かせないマストツールであるため、未だ対策ができていないEC事業者は早急に準備を進めることをおすすめします。
今回はInstagram運用を行うEC事業者に向けて、ショッピング機能を活用するメリットとその導入方法について解説していきます。
Instagramショッピング機能とは何か?
Instagramショッピング機能とは、Instagramのコンテンツからユーザーが買い物できるよう設定する機能の総称を指しています。
そもそもInstagramでは、自社ブランドの商品を販売したい事業者に向けて「ショップ機能」を設けており、ユーザーは各ブランドのInstagramコンテンツから、Instagram独自のショップページへと遷移できるようになっています。
Instagramのショップページは、自社ブランドの商品画像がカードタイプで並ぶ仕様になっており、ユーザーはそれぞれの商品を選択することで、「商品のカラーバリエーション」「商品説明」「関連アイテム」などを閲覧できるようになります。
ユーザーは、Instagramの画像上に表示される「ウェブサイトで見る」というタブを選択することで、ECサイトへ遷移でき、そのまま商品を購入することが可能です。
EC事業者は、この「Instagramのコンテンツ閲覧」→「気になる商品のページへと遷移」→「自社ECでの決済」という流れを作るために、Instagramのショッピング機能を活用します。
Instagramでユーザーが自社商品と接触するタッチポイントは、主に「商品タグ」となります。
商品タグは、Facebookカタログに登録している商品情報が、Instagramのショップページに同期されることで利用を開始でき、通常のInstagramの投稿コンテンツに付与する形で設定が可能です。
例えば、自社ブランドのレディース用サンダルをタグ付けしたい場合は、該当するレディース用サンダルが映っている画像をコンテンツとして投稿し、その画像内に商品タグとしてInstagramショップページ内の同一商品を設定します。
この設定によって、ユーザーはレディース用サンダルの投稿コンテンツを閲覧した後、画像内にポップアップ表示される商品タグから、Instagramショップページへと遷移することができるようになります。
また、Instagramのショッピング機能を利用して自社商品の販売を行った場合、売上に対して販売手数料が適用されます。
手数料は「販売額の5%」、もしくは「8$以下の商品の場合は定額0.40$」です。
詳しくはMetaビジネスヘルプセンターをご確認ください。
Instagramショッピングの機能一覧
Instagramショッピングの機能には以下のようなものがあります。
ショップ:カスタマイズ可能なストアフロントです。ビジネスのプロフィール上で直接、商品を販売できます。
ショッピングタグ:タグを使用してカタログ内の商品を目立たせ、顧客が商品をビジネスのウェブサイトやアプリ内から購入できるようにします。
発見タブからのショッピング:利用者は発見タブ内のタブを使用して、ブランドやクリエイターが提供するタグ付きショッパブルコンテンツを閲覧できます。
コレクション:ショップで顧客にお気に入りの商品を見つけてもらえるよう、商品をまとめることができます。
商品詳細ページ:価格や商品説明など、商品に関する情報が詳しく表示されるページです。商品の詳細情報は、商品カタログから取得されます。
商品タグ付き広告:広告マネージャとInstagramで商品タグ付き広告を作成したり、既存のショッピング投稿を宣伝したりして、商品コンテンツのリーチを拡大することができます。こうした広告を使って、コンバージョン、リンククリック、投稿のエンゲージメントを大幅に促進できます。
引用元:Metaビジネスヘルプセンター|Instagramショッピングについて
Instagramのショッピング機能を活用したユーザーへのアプローチは、通常の投稿コンテンツやコレクション、発見タブからのショッピングといった「プル型のアプローチ方法」と、商品タグ付き広告などの「プッシュ型のアプローチ方法」に分類でき、適宜使い分けることがポイントとなります。
アプリ内決済機能「チェックアウト」が浸透しない理由
Instagramは、Instagramのショップ内でユーザーの購買体験が完結する機能「チェックアウト機能」を追加リリースしていますが、日本ではあまり浸透していない状況があります。
理由としては、ユーザーがInstagram内で商品決済を行うことで、ブランド側はユーザーの購買データをCRM等で管理できなくなる恐れがあるためです。
昨今、競争が激化するEC業界では、「広告入札単価の上昇」や「顧客獲得単価(CAC)の上昇」などの理由から、新規顧客獲得にかけるリソースを徐々に「リピート客獲得」へと移行させている現状があります。
1度自社商品を購入したユーザーに対し、継続的にアプローチを続け、リピート購入を促す戦略(CRM戦略)が主流となってきているのです。
こうした事情を踏まえると、Instagramのチェックアウト機能を利用してユーザーの利便性を図るよりは、少ない数でもしっかりと自社ECにユーザーを遷移させて、ユーザー行動や購買データを自社CRMに蓄積する方が優先度が高くなります。
自社ECであれば、ユーザーは使い慣れたECサイトで「マイページ」を活用できるほか、クーポン利用などもECサイト上で済ませることができます。
このInstagramのチェックアウト機能の事例からいえることは、多くのEC事業者は「販売数」よりも「中長期的な売上(LTV)」を重要視している、ということです。
これからInstagramのショッピング機能の利用を検討している方は、この機会にチェックアウト機能が浸透していない現状を知り、Instagramのショッピング機能を効果的に活用する方法を考えていく必要があります。
Instagramショッピング機能が利用できるパートナーについて
Instagramのショッピング機能は、全てのECプラットフォームと連携できるのではなく、限られたパートナープラットフォームとの連携が許可されています。
連携できるECプラットフォームは限られているため、自社ECを既に保有しているEC事業者は連携を進めていきましょう。
仮に自社ECを保有していないEC事業者は、以下で紹介するECプラットフォームの利用を検討してみてください。
Instagramショッピング機能を利用できるカート
Metaビジネスヘルプセンターによると、Facebookと連携可能なパートナープラットフォームには以下が含まれます。
これらのプラットフォームと連携することで、各プラットフォームに登録している商品情報をFacebookカタログへとインポートすることが可能です。言い換えると、楽天市場やAmazonへの連携は対象外となっているので注意してください。
Facebookカタログは、Instagramショッピングと同期して商品を表示する機能を持つため、例えばShopifyに登録している自社商品の情報を、Facebookカタログを通じてInstagramのショップコレクションに表示させることができます。
1度Facebookカタログへとインポートした商品は、各パートナープラットフォームで管理を続けることが可能で、変更内容は定期的にFacebookカタログへと同期されます。
Facebookカタログに登録された商品は、商品タグとして投稿コンテンツに付与できるほか、商品タグ付き広告など、Instagramの各ショッピング機能で活用できるようになります。
また、Metaビジネスヘルプセンターには記載がありませんが、個人でも簡単にネットショップを作成できる「BASE」とも連携が可能です。
Instagramと各パートナープラットフォームの連携は、パートナープラットフォーム側の指示にしたがって連携することになっているため、Shopifyで自社ECを構えているEC事業者はShopifyの公式ページなどで連携方法を確認しましょう。
Instagramショッピング機能を利用するメリット
Instagramのショッピング機能を利用するメリットは、主に3つあります。
最も大きなメリットといえるのが、「Instagramユーザーに対して自社ブランドの認知拡大が見込めること」です。
そもそも自社ブランドがターゲットとしているユーザーに対して、「どれだけアプローチできているのか」は重要な課題であり、その母数を増やせば増やすほど、自社ブランドを購入してくれる顧客数も増えていきます。
Instagramは「画像・動画」と「テキスト」がセットになってユーザーに届くSNSです。
自社ブランドがフォローされている場合は、ユーザーの投稿フィードやストーリーズにコンテンツが表示されるほか、「発見タブ」や「リール」、「ショップタブ」など、ユーザー画面から新規で自社ブランドを発見してくれる可能性も期待できます。
この特性を活かし、Instagramで自社ブランドのアカウントを構え、特定の層に向けて継続的なコンテンツ発信を行っていけば、徐々に自社ブランドの認知を高めることができるでしょう。
また、継続的な発信を続けることで徐々にフォロワーが増え、Instagram上で自社ブランドと接触する回数が増えるユーザーが出てきます。
こうしたユーザーの中には、自社ブランドに興味を持ち、購買意欲が高まっているユーザーが潜んでいる可能性があるため、商品タグやコレクションなどを充実させ、欲しい商品を最短ルートで購入できるよう導線を設計しておくことが重要です。
Instagramショッピング機能を導入する手順について
Instagramのショッピング機能は、コマースマネージャーを使って導入できます。
大まかな導入手順は以下のようになっています。
参考:business.instagram|Instagramショッピング
これらの手順を1つずつ覚える必要はなく、上記リンクからコマースマネージャーの指示にしたがって手続きを進めることができるため、Instagram初心者の方でもInstagramショッピングを始められます。
Instagramショッピングの利用を検討されている方は、この機会に試していただければと思います。
ショッピング機能を実施するうえで意識する点
ショッピング機能を活用したアカウント運用において、いくつか注意すべき点があるため、以下の見出しで解説していきます。
URL遷移先の明記
いくつかある有効利用のポイントですが、何よりもまず最初に押さえておきたいのが、「店舗へ誘導するURL」についてです。
プロフィール欄に1つだけ設置できる外部URLですが、多くの事業者様が見落としているポイントがあります。
それは、URLを記載する際に「お買い物はコチラ」等といった「そのURLがどこに遷移するのか」を明記できているか、ということです。
とても地味な部分にはなりますが、インスタ上でどんなに良いクリエイティブを行っても、誘導すべき場所にしっかりと誘導できないようでは、ECサイトにおけるInstagram活用は最初の一歩を踏み出すことができません。
ユーザーとしては、URLだけの記載ではどこに遷移するか分からないため、心理的に押しづらくなってしまいます。
外部リンクを設定する際は、必ずリンク先がどんな場所であるかを明記するようにしましょう。
また、EC事業者様の中には、「リンクの文字列から、「これは自社ECである」とユーザーが判断してくれる」と考えている方がいるかもしれません。
しかしここにも注意点があり、スマートフォンでアカウントの外部リンクを確認した際、文字列が長過ぎて、URLの後半部分が「…」で省略されているパターンがあります。
ECサイトのトップページなどであれば、「自社ブランドの英字」+「co.jp」などの文字列で収まるため、URLの後半部分が省略されることはありませんが、何らかのケースでURLが省略されてしまっている場合、ユーザーはURLの遷移先に不信感を抱き、アクセスしない恐れがあるため注意が必要です。
設定するURLが長くなる場合は、特に「遷移先がどこになるのか」という情報をアカウント説明文に盛り込むようにしましょう。
商品説明欄に導線を示す1文を添える
投稿写真に商品の写真を使っている場合、「こちらの商品はプロフ欄のURLからご確認いただけます」という一文を添えると、投稿記事からECサイトまでの導線が非常に分かりやすくなります。
更にURLでリンクを貼るリンク先にも外せないポイントがあります。多くの事業者でECサイトのトップページにリンクを飛ばしてしまっているのですが、せっかく興味のある商品があっても、トップページからその商品まですぐにたどり着く事ができず、せっかくECサイトに引き込んでもすぐに離脱を招いてしまいます。
それを防ぐために「インスタ掲載商品」というカテゴリを作り、そのページのURLをインスタのプロフィール欄に設定することで、投稿記事の商品に興味を持ってもらってから商品購入までの導線をしっかりと確保することが可能となります。
ユーザー投稿コンテンツ(UGC)のリポスト
導線を整えるのと同様に重要なのが「更新頻度」です。
ブランディングを高めるためにクオリティの高い写真をアップしようと力を入れると、どうしても毎日の更新ができなくなってしまいます。
「コンテンツのクオリティは保ちたい、でも更新頻度は上げていきたい」
そういった場合に便利なのが「リポスト」です。
自社ブランド商品を利用してくれているユーザーの記事等を、事前に許諾をとってリポストを行うだけでも更新頻度が保たれる上に、そのユーザーとコミュニケーションを取ることで更なるファン化を狙うこともできます。
リポストに特化したアプリも数多く揃っているため、比較的簡単に更新を行うことが可能です。
適切なハッシュタグを10個目安に設定する
そして、リポストも含めた投稿の際に重要なのが「ハッシュタグの設定」です。
適正なハッシュタグを入れることでインスタ上の検索流入導線を増やすことが可能になるため、最低10個ぐらいを目安に入れておきたいところです。
毎回の投稿でハッシュタグを考えるのも大変という場合もあると思いますが、こちらも1つのハッシュタグを付ければ自動でいくつかのハッシュタグをレコメンドしてくれる無料ツールがあるため、積極的に利用していきましょう。
まとめ
Instagramのショッピング機能の活用は、自社ブランドの認知拡大が見込めるだけでなく、購買意欲が高まった見込み客に対するスムーズな導線として期待できます。
自社ECや、Shopify・BASEなどのECプラットフォームを利用しているEC事業者の方は、この機会にInstagramのショッピング機能を用いた運用を検討してみてください。