バックヤード業務の改善はAmazonに学べ
フルフィルメント比率を徹底的に下げるアマゾン
今回は、前回お話した「EC運営において重要な2つのキーワード」のバックヤード業務ついて、前回よりも掘り下げてお伝えさせていただきます。
さて、バックヤード業務を改善する際には、何を目標に行えばいいのでしょうか?
現在、EC物流の最先端を走っているAmazonを例に探ってみます。
多くのEC事業者は人力で出荷作業を行うため、人件費が発生します。
しかしAmazonは、注文の処理が自動化されており、注文が入ると自動で出荷指示がされ、出荷業務を経て配送業者に引き渡される、という極力人を介さないようにしています。
購入ボタンをクリックしてから荷物が届くまでのコストのことを「フルフィルメント比率」といいますが、Amazonはこのフルフィルメント比率を徹底的に下げています。
「フルフィルメント比率」と「受注スルー率(自動化率)」に目を向ける
従来のEC事業におけるバックヤード業務の改善は、売上に対する物流費の比率「売上高物流コスト比率」に目が向けられていました。
しかし、業界内外を見てみると、物流費を圧縮する時代ではなくなりつつあるのです。
一般的な物流費の内訳は運賃60%、地代(保管費)が15%、倉庫作業人件費は25%ほど。
運賃、地代、人件費は今後そう簡単には下がらないと言われているため、売上高における物流コストの比率を下げる、という考え方は現在では難しいのです。
こうした状況を踏まえると、これからは「フルフィルメント比率」と「受注スルー率(自動化率)」に目を向けることが大切になってきます。
「どの程度まで人が介在せずに出荷まで至るか」がポイント
Amazonは、この「受注スルー率(自動化率)」でも群を抜いています。
1日に100件の注文が入った場合、Amazonでは95件以上出荷までに人が介在していないといわれています。
一方、ほかのEC事業者では、半分は自動的に処理しているという会社もあれば、大半は人手で処理している会社もあるなど、さまざまです。
このような注文に対してどの程度まで人が介在せずに出荷まで至るか、を数値化したのが「受注スルー率」です。今後は「受注スルー率」の改善が必須となるでしょう。
受注スルー率の改善には、「商品マスター」の統合・整備が必要となります。
商品マスターとは、商品ごとに売上や在庫状況などを確認するために管理用につけたシステム上の番号のことです。
この表記が統一されていないことが原因でバックヤードを自動化できないことが多いので、気をつけてください。
今後予測される人件費高騰や宅配業者の値上げの措置に備え、バックヤード業務を改善していきましょう。