ウォルマート、小売事業者向け配送サービス「Walmart GoLocal」開始
米ウォルマートは、顧客への商品配送に関するサービスをあらゆる規模の企業に提供する新事業「Walmart GoLocal」(ウォルマート・ゴーローカル)の開始を2021年8月24日に発表しました。Walmart GoLocalは、特に小売事業者向けにウォルマートが持つ配送サービスを提供することで、小売事業者に実店舗以外の代替的な収入源と利益を確保する機会をもたらすことが期待されます。ウォルマートの同事業の狙いと併せてお伝えします。
ウォルマートの配送機能を他の小売業者に提供
Walmart GoLocalは、配送機能の大規模かつ効率化を望む小売業者に向けて、米ウォルマートが自社で実証済みの配送能力に基づいて提供が開始されます。
米ウォルマートは、わずか3年間で、3,000以上の店舗から160,000以上の商品を対象とした顧客向けの配送およびエクスプレス配送を立ち上げ、さらに規模を拡大し、ドローン、自律走行車、市場のフルフィルメントセンターなどの既存の配送ネットワークを活用して、米国の人口の約70%にリーチし、成長を続けている状況にあるとのことです。
今回のホワイトラベル(提携先のブランドを借りてモノを販売すること)のサービスは、米ウォルマートの配送能力と全米をカバーするサービスを競争力のある低価格で小売事業者に提供するものです。この配送サービスには大小のサイズや複雑な要件を含むさまざまな品揃えの配送や、さまざまな時間設定に柔軟に対応することができるということです。
小売りのニーズに応えるラストワンマイル配送
米ウォルマートの社長兼CEOのジョン・ファーナー氏は次のように述べています。
「お客様がスピードと信頼性を求めるようになった今、小売りのニーズを理解しているサービス・プロバイダーと協力することがこれまで以上に重要になっています。当社は、4,700以上の店舗ネットワークを支える商業機能の構築と拡張に何年も費やしてきました。他の小売事業者が同じ信頼性、品質、低コストのサービスを利用できるようになることを楽しみにしています」
また、米ウォルマートのラストマイル担当上級副社長のトム・ウォード氏は次のようにコメントしました。
「私たちはお客様のために信頼できるラストマイル配送プログラムを開発するために努力してきました。地元のパン屋さんの商品から全米規模の小売店の自動車用品まで、Walmart GoLocalはあらゆる規模やカテゴリーの加盟店がカスタマイズできるように設計されているので、加盟店は配送のスピードと効率を当社に任せて、自分たちが最も得意とすることに集中することができます」。(以上、デジタルシェルフ総研の抄訳)
収益源の多様化とAmazonへの対抗の意図も
具体的な数は明らかにされていませんが、米ウォルマートによると、Walmart GoLocalはすでに全国規模の小売業者や専門業者との数多くの契約を得ているということです。Walmart GoLocalは、Walmart Connect(デジタル広告部門)やWalmart Fulfillment Services(フルフィルメント)などの取り組みにより、収益や利益源の多様化を図る米ウォルマートの全体的な戦略の重要な一部となることが期待されています。
拡大するオンライン市場の覇者である米Amazonとの激しい競争の中で、実店舗の王者の米ウォルマートが今回の配送サービスを通じてこれに対抗していく意図があると言えるでしょう。
以上、デジタルシェルフ総研が米国におけるウォルマートの新たな配送サービスの試みについてお伝えしました。今後とも米国市場での小売事業の最新の展開や米ウォルマートの動向について注目してお伝えしていきます。