公開日:2021年12月14日

ECサイト担当者の業務内容と知っておきたい売上目標設定の考え方

EC担当者の役割とは?

初めてECサイト運用を任された担当者にとって、ECサイト運用で実施すべき業務や自身の役割にはどういったものがあるのか、検討がつかない方もいることでしょう。

今回はECサイト運用が「全く無い(未経験)」あるいは「ほとんど無い」といったユーザーに向けて、①ECサイト運用の業務内容、②ECサイト運用担当者の役割、③ECサイト運用時の注意点、の3つに分けて解説を加えていきます。

ECサイト運用では、商品の受注から梱包・出荷、アフターサービスといった一連の作業とは別に、ECサイト上での売上アップのための施策を計画し、実行していく必要があります。

まずはEC事業を成立させるために必要な基本的な業務を習得・効率化し、売上拡大に向けた施策を実行できるよう中期的な目標を立てていきましょう。

そもそもECサイト運用とは

まずはECサイト運用の大枠を掴むために、「ECサイト運用とは何か」ということと「担当する業務内容」について知る必要があります。

そもそもECサイト運営とは、ECサイトで継続的に売上が発生するように、お客様から見えるコンテンツの制作・整備を行ったり、スムーズな購買体験を提供するために受注からお届けまでの流れを丁寧かつスピーディーに行ったりする業務を指します。

ECサイト運用の業務内容は多岐にわたるため、1つずつの業務を分けて覚えると、それぞれの業務の関連性が見えづらくなってしまいます。

したがって、ECサイト運用担当者は、業務内容が「フロント業務」と「バックヤード業務」に分類できることから知っておくことが重要です。

どちらの業務が優先順位が高いかどうかは、担当するECサイトや適正人材の有無で変わってきますので、一概にどの業務の重要度が高いとはいえません。

しかし、いずれの業務もECサイト運用において欠かせない作業であり、どちらか一方を怠ると、ECサイト上での売上が「上がらない」または「減少してしまう」といった事態に陥ってしまいます。

また、ECサイト運用は通常複数人で実施されることが多く、フロント業務担当者とバックヤード業務担当者、そして全体の進捗や連携を管理するディレクターなどの役割が必要とされます。

とはいえ、中小企業やベンチャー企業の中には、それぞれの業務に対して適切な人材配置が実現していない場合もあり、1人のEC運用担当者が「EC運用のほぼ全ての業務を担当している」といったケースも少なくありません。

フロント業務も細分化すれば「コンテンツ制作」や「ECサイト管理」、「マーケティング・プロモーション」などの役割があります。

また、バックヤード業務では、「商品情報登録」「受注管理」「在庫管理」「出荷」「アフターサービス(カスタマーサポート)」などが挙げられ、ECサイト運用担当者のリソースでは、各業務の施策を十分に実施できないこともあるでしょう。

もし1人で自社ECの運用を任された場合は、EC事業を成立させるための最低限の作業から優先順位を考えていく必要があります。

考え方として、まずは商品の受注から出荷までのバックヤード業務を万全にして、余裕ができ次第、新たなコンテンツ制作や、マーケティング・プロモーションなどのフロント業務を実行していきます。

しかし、最低限の業務から優先順位を付けて実行しても、一人に担える役割には限界があります。

加えて昨今のEC業界は、市場拡大と顧客獲得の競争が激化しており、EC運用を人間ひとりの力で担当するのは現実的とはいえません。

社内の人材が不足しており、EC運用を1名で実行する必要がある場合は、マーケティング業務を自動化する「MAツール」や、メール配信などで顧客と良好な関係を構築する「CRMツール」の導入を検討しましょう。

ECサイト運営について説明したところで、次の章からは「フロント業務」と「バックヤード業務」について、もう少し詳しく説明します。

フロント業務について

EC運用のフロント業務担当者は、ECサイトのページ制作やサイトに掲載する写真や文章などのコンテンツ制作、売上を伸ばすためのプロモーション(広告管理、口コミ管理)などが主な役割です。

ECサイト運用におけるマーケティング業務は幅広く、Googleや各ECプラットフォームの検索エンジン対策、インターネット広告、アフィリエイトなどの業務に加え、SNSやコンテンツマーケティングなどの「集客施策」も含まれます。

また、それらのマーケティング施策に伴うサイトの導線設計やバナーの設置、訴求力のあるページに作り変える「サイト改善」もフロント業務担当者の仕事です。

これらの施策では、多様化したニーズやトレンドをしっかりと分析・把握することが不可欠であり、効率良く自社商品の見込み客へとアプローチする必要があります。

しかし、前述した通り、EC業界はトレンドの移り変わりが激しく、新しいマーケティング手法が乱立する業界であるため、社内のEC運用担当者だけで全ての業務を回すことは難しいといえるでしょう。

そこで、少ない人材リソースでEC運用を行う事業者に対して、様々なお助けツールとして
MAツールやCRMツールはもちろんのこと、ECサイト構築から商品発送までの全て工程をサポートする「ECカートシステム」が登場しています。

また、MAツールやCRMツール、ECカートシステム以外にも、ECサイトのマーケティング施策に関するサービスは様々であるため、必要に応じて外部パートナーと連携を取り、業務効率化を図ることを選択肢として考えておくと良いでしょう。

以下にEC運用のフロント業務担当者に関する内容を記載した記事を掲載しています。ご一読いただけますと幸いです。

・ECサイトの検索対策について
【初心者向け】グーグル検索エンジン最適化(SEO)事始め

・ECサイトの商品ページ対策について
商品ページ改善で売上を伸ばす6つのポイントと2つの罠

・国内のEC・DtoC市場に関する統計と分析について
データで理解!EC業界を熟知するための統計・調査データまとめ

バックヤード業務について

EC運用のバックヤード業務担当者は、ECサイトの商品管理・登録作業、在庫管理や梱包・出荷など、顧客には見えない業務を行います。

また、商品の受発注から返品、キャンセル、顧客の質問・クレーム対応などもバックヤード業務担当者の役割に含まれます。

ECサイト運用における管理業務は幅広く、商品の登録作業といっても楽天市場やAmazonなど、各ECプラットフォームごとに決められたルールに沿って登録を行う必要があるため、出品するECプラットフォーム・媒体の数が増えれば増えるほど、登録作業に時間がかかってしまいます。

さらに商品の受発注管理は在庫管理だけでなく、入庫時の検品や保管した商品を良好な状態で保存しておく必要があるため、管理工数も考慮すると、バックヤード業務担当者の作業は多岐にわたります。

また、商品のラッピング対応を受け付けていれば、倉庫内で商品をピッキングし、梱包して出荷したり、ギフトラッピングやラッピング資材の同梱を行ったりすることもあります。

このように、バックヤード業務は売上に直結しない作業が多くありますが、顧客満足度に大きく関わる業務であるため、ミスなく遂行できる体制を築く必要があるのです。

※「在庫管理」の一環で、「商品の仕入れ」と「商品撮影」を同時に行うオペレーションも存在します。この場合は、バックヤード業務担当者が業務を担当します。

一方で、EC運用担当者の人数が少なかったり、連携のスムーズさを考慮したりする場合は、「商品の仕入れ」と「商品撮影」をフロント業務担当者が担うこともあります。

本記事では便宜上、フロント業務担当者とバックヤード業務担当者が行う業務を分けて記載しておりますが、実際は「商品の仕入れ」や「商品撮影」のように、どちらの作業者が担当してもオペレーション上は問題がないような作業が存在します。

複数のEC運用担当者がいる場合は、「どのようにフロント業務とバックヤード業務を連携すればスムーズに進行できるのか」について、社内に蓄積された知見をもとに改善を検討してください。

バックヤード業務の担当者に関する内容を記載した記事をいくつかご紹介します。

・物流の最適化について
物流におけるバックヤード最適化のための3つの視点

・ECサイトの受注管理システムの役割について
【EC業務改善】受注管理システムの役割とは

・バックヤード業務全体の必要な視点について
ECで負けない体制を作る

ECサイト運用担当者の役割とは?

先述したように、ECサイト運用担当者の業務は「フロント業務」と「バックヤード業務」に役割が分かれます。まずはその2つの業務が円滑に、遅延なく遂行できるよう体制を整えることが大切です。

そして、フロント業務・バックヤード業務が問題なく進行できる体制を整えた後は、本来期待される役割である「ECサイトの現状を分析し、売上目標を立て、売上アップのための施策を実行する」に取りかかる必要があります。

全くのゼロの状態からEC運用を任されるケースは少ないため、既にECサイト(自社EC、もしくは各ECプラットフォームの自店舗)が存在し、いくらかの売上が立っている状況を想定して以下の項目を解説していきます。

売上目標を立てること

EC運用担当者は、はじめにECサイトの「日々の売上」「アクセス数」「購入率」「購入平均単価(顧客1人が購入する平均額)」を把握し、売上の目標設定を立て、目標達成に導くための道筋を計画する必要があります。

目標とする売上に対して、年間販促予算は限られているため、ECサイトのアクセス数や購入率を注意深く比較し、計画的に目標設定を行う必要があります。

この目標設定が漠然とした数値になってしまうと、目標達成に向けての筋道が見えなくなってしまうため、ECサイトの実績を前年同月比や四半期毎に比較するなど、しっかりと現状把握を行うことが重要です。

例えば各ECプラットフォームには、独自で開催されるセールイベントがあり、各ECプラットフォームで店舗を構えるEC事業者にとって、大きく売上アップが見込める期間となります。

ECサイトの前年同月比や四半期ごとの比較と合わせて、「セールイベントへの参加」といった「前年は実施していないが、今年は実施できる施策」を踏まえた売上目標を立てるのも1つの方法といえるでしょう。

売上の波を検証し、改善策を講じること

EC運用担当者は「売上が落ちてきたら販促を行う」のではなく、売上が良い時・悪い時の両方の原因を検証することが重要です。

ECサイトの売上が落ちたからといって、原因が分からないまま販促費を増やしていては、抜本的な解決には至りません。

原因を突き止めないまま販促費を増やしてしまうと、「販促費は増やしたのに、全く効果が出ない」といったことが往々にして発生します。

したがって、EC運用担当者には、売上が良い時・悪い時の原因をそれぞれ検証し、売上が良い時はその売上の維持に努め、売上が悪い時は売上の底上げ・売上アップに努める姿勢が求められます。

例えば、先ほど紹介したような各ECプラットフォームのセールイベントにもかかわらず、「自社ECの売上が通常時と変わらない」のであれば、「セールイベントの準備とフォローが足りない」と仮説を立てることが可能です。

そこから「どういったセールイベントへの準備があるのか」や「セールイベント後の対応として求められる施策はどういったものなのか」などを深掘りしていきます。

そうして仮説を掘り下げていくと、セールイベント時に大きく売上を上げている店舗には、「商品タイトルの改善」や「商品説明欄の書き替え」、「各商品ページのバナー変更」など、共通して実施している施策が見えてくることがあるのです。

はじめてEC運用担当を任された人にとって、EC運用は右も左も分からないものに映るかもしれませんが、「仮説を立てて、そこに改善を加える余地があるのか」を調べることはどの業種でも同じです。

自社ECの現状をただ受け止めるのではなく、「なぜ自社ECは現状に留まっているのか」といった疑問を持つことが重要といえるでしょう。

「アクセス数」と「購入率」を記録し、販促活動を振り返ること

EC運用担当者は、ECサイトの「アクセス数」と「購入率」をしっかりと把握しましょう。

アクセス数は「ECサイトがどのくらい見られているのか」を判断し、購入率は「ECサイトに訪れたユーザーのうち、どのくらいの確率で購入に至るのか」を判断する指標になります。

これらの数値に加えて、どのような販促活動を行ったのか、を併せて振り返ることで、何が良くて何が駄目だったのかを把握することができます。

例として「この販促は効果はあったが持続期間が短かった」や、「アクセスは増大したが、購入率は落ちてしまった」といった具合に把握することが出来るため、EC運用担当者が今後同じ販促を行う際は注意が必要だと分かります。

また、日々の集計を行う際にもポイントがあります。

例えば、月間売上を300万円と設定した場合、単純に1日の目標売上を10万円にするのはナンセンスです。

ECサイトでも、実店舗と同じように商品が売れるタイミングには波があるため、ECサイトのある商品がどの曜日に売れているのか・売れていないかをしっかりと把握し、商品の傾向を掴む必要があります。

こうした売上の波を意識せずに売上目標を追うと、未達成の日が増えてしまい、正確な検証が出来なくなってしまいます。

そのため、過去の曜日別の売上傾向から売上比率を計算に入れて、日々の目標を設定することが大切です。

ECサイトを運用するうえで注意すること

最後にECサイトを運用するうえで注意すべき点について紹介していきます。主な注意点は3つあります。

それぞれ詳しく解説していきます。

マーケティング手法を間違えないこと

多くの場合、ECサイト運用は少ない人材リソースで施策を実行していくため、実行できるマーケティング施策に限りがあります。

そのため、手っ取り早くアクセス数・売上アップを狙える「広告運用」にフォーカスすることが多いでしょう。

はじめこそアクセス数が伸び、一定の売上は確保できるものの、市場の競合の数が増えている以上、広告枠で上位表示を獲得するための入札単価は日々上昇し、いずれかける広告費と売上のバランスが悪くなってしまいます。

多くのECサイトはこうした広告の入札競争に巻き込まれてしまうため、マーケティング手法を広告運用だけに頼るのは早計といえるでしょう。

したがって、ECサイトで継続的に売上を上げていくために、自然検索枠での上位表示獲得を狙う必要があります。

自然検索枠とは、例えば「キッズ スニーカー おすすめ」などと検索した際に、広告枠(PR)の次に上位表示される商品ページのことで、各ECプラットフォームが「販売実績」や「口コミ・レビュー数」などを判断材料としてランキングを決めているものです。

つまり、はじめこそ販売実績を作るために広告出稿を活用しつつも、自然検索枠での上位表示獲得のために、施策を並行していく必要があるのです。

また、各ECプラットフォームでの自然検索枠の上位表示対策とは別に、Google検索での上位表示対策も検討する必要があります。

ユーザーの中には、Amazonや楽天市場といったECプラットフォームではなく、Google検索で「キッズ スニーカー おすすめ」などと検索するユーザーも存在します。

したがって、Google検索におけるSEO対策も徐々に取り組む必要があるのです。

在庫管理の徹底

店舗を利用するユーザーにとって、商品の在庫確認は「出来ていて当たり前」と思われている部分になるため、EC運用担当者は十分に注意すべきです。

したがって、在庫管理の際は、在庫管理の方法を「リソース」や「担当者のやる気」に依存しない方法で構築する必要があります。

EC運用を複数人で担当しているEC事業者は、EC運用担当者がたとえ1人になっても通常の業務フローが遂行できるような体制を整えることが重要でしょう。

そのためにMAツールやCRMツール、在庫管理システムなどを活用し、普段からオペレーションの最適化を図っておくことがポイントとなります。

欠勤者が出た場合や、急遽人材が退職・異動するようなことがあっても迅速に対応できるよう、リソースは常に1名程余裕をもっておくことが理想です。

出荷ミスを無くすこと

在庫管理を徹底するのと同様に、出荷ミスを無くすことも重要です。

出荷ミスも在庫管理と同じく、なるべく社内リソースや担当者の経験に頼らないオペレーションを構築しましょう。

例えば、適切な商品マスタを作成することで、出荷時のミスを無くすことにつながります。

EC事業者によって様々な商品を扱うため、一般的に商品マスタは、そのEC事業者独自の商品IDを用いて在庫管理、出荷作業を行います。

商品IDの適切な付与、管理については以下の記事で解説していますので、参考にしていただけますと幸いです。

関連:意外と重要 商品マスタ

また、Amazonで出店する場合は、バックヤード業務の効率化を図るために、FBA(フルフィルメント by Amazon)を活用すると良いでしょう。

Amazonの配送ネットワークを使うことで、商品受注から梱包・発送、返品やカスタマーサポートまでAmazonに代行してもらうことができます。

FBAの詳細についてはこちらからご確認ください。

まとめ

ここまでEC運用担当者の業務内容と役割、売上目標の設定とECサイト運用の注意点について説明しました。

本記事で述べたように、EC運用担当者の業務範囲は幅広く、様々な業務を遂行するスキルが求められます。そのため、「何から手を付ければ良いのか分からない」といったケースに陥ることも多々あるでしょう。

その場合は、次の3つを踏まえた上で、今回の記事からヒントを探してみることをおすすめします。

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