カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは?増やすメリットと見つけ方を解説

カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは?増やすメリットと見つけ方を解説

カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは、マーケティング戦略において重要な概念です。

顧客が特定の商品カテゴリーを思い浮かべるきっかけとなる「状況」や「目的」を指します。

たとえば、炭酸飲料であれば、以下のようなCEPが考えられます。

このように、CEPを理解し、自社ブランドと結びつけることで、顧客の購買意欲を高め、市場での競争優位性を確立できます。

この記事では、カテゴリーエントリーポイント(CEP)の基本的な概念から、増やすメリット、具体的な見つけ方、設定時の注意点までを分かりやすく解説します。
貴社のブランド戦略にCEPを取り入れ、更なる成長を目指しましょう。

カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは?


カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは、消費者が特定のカテゴリーを思い出すきっかけとなる「状況」や「目的」を指します。英語表記は「Category Entry Point」で、略してCEPとも呼ばれます。

従来のブランド想起調査では、「〇〇(カテゴリー名)といえばどのブランドを思い浮かべますか?」といった質問が一般的でした。しかし、この方法では、消費者がどのような状況でそのカテゴリーを思い出すのかまでは把握できません。

CEPの考え方を取り入れることで、消費者がどのような時にそのカテゴリーを必要とし、そしてどのブランドを思い浮かべるのかを、より具体的に理解できるようになります。

CEPを増やすメリット


企業がCEPを増やすことで得られるメリットは多岐にわたります。CEPを増やすことは、顧客との接点を増やし、ビジネスの成長を加速させるための重要な戦略です。具体的には、以下のようなメリットが挙げられます。

幅広い顧客層へリーチできる

カテゴリーエントリーポイント(CEP)を増やすことで、より多くの顧客に自社の商品やサービスを想起してもらえる可能性が高まります。

例えば、「手帳」というカテゴリーで考えてみましょう。

このように、CEPが「スケジュール管理」だけの場合、ターゲットは限定的になります。しかし、サイズ、デザイン、フォーマットといったCEPを増やすことで、多様なニーズを持つ顧客層にアプローチでき、結果として幅広い顧客を獲得するチャンスが広がります。

カテゴリーという大きな枠組みの中で、様々な角度からCEPを設定し、顧客との接点を増やすことが重要です。

接触頻度の増加による購買意欲の向上

カテゴリーエントリーポイント(CEP)を複数持つことは、顧客との接触機会を増やす上で非常に有効です。様々なCEPを設定することで、多様な顧客ニーズや利用シーンに対応したアプローチが可能になります。

例えば、以下のような施策が考えられます。

このように、複数のCEPを通じて顧客との接点を増やすことで、ブランドへの親近感や関心を高め、最終的な購買意欲の向上につなげることが期待できます。

競合との差別化が可能

カテゴリーエントリーポイントを増やすことは、競合他社との差別化を図り、競争優位性を確立する上で非常に有効な戦略です。

特定のカテゴリーにおいて、すでに強力なブランドが存在し、消費者の頭の中で想起されるブランド群(エボークトセット)の上位を占めている場合、正面から挑むのは困難な場合があります。

しかし、既存のカテゴリーにとらわれず、新たなカテゴリーエントリーポイントを開拓することで、競合がまだ手をつけていないニッチな市場を見つけ出すことができます。

例えば、以下のような視点で新たなCEPを検討できます。

このような分析を通じて、独自のカテゴリーエントリーポイントを見つけ出し、そこで消費者の第一想起を獲得できれば、競合との無用な価格競争を避け、自社ブランドの独自性を際立たせることが可能になります。

これは、市場における自社のポジションを強化し、持続的な成長を実現するための重要なステップと言えるでしょう。

CEPの見つけ方


カテゴリーエントリーポイント(CEP)を見つけるためには、顧客がどのような状況で自社の商品やサービスを思い浮かべるのかを深く理解する必要があります。ここでは、CEPを発見するための3つの具体的な方法を紹介します。

W’sフレームワークを用いる

カテゴリーエントリーポイント(CEP)を見つけるための有効な手法の1つに、「W’sフレームワーク」があります。これは、南オーストラリア大学のJenni Romaniuk教授が提唱したフレームワークです。

W’sフレームワークでは、消費者が商品やサービスを思い出す「きっかけ」となる状況を、以下の7つの「W」の質問を通じて多角的に分析します。

これらの質問に答えていくことで、消費者が特定のカテゴリーやブランドを想起する具体的な文脈(CEPの候補)を洗い出すことができます。

このフレームワークを活用することで、企業は自社ブランドと消費者の行動を結びつけるための具体的なCEPを発見し、マーケティング戦略に活かすことが可能になります。

検索キーワードを分析する

顧客がどのようなキーワードで情報を検索しているかを分析することも、カテゴリーエントリーポイント(CEP)を見つける上で有効な手段です。検索キーワードは、顧客のニーズや興味関心を直接的に反映しているため、新たなCEPのヒントが隠されている可能性があります。

具体的には、以下のようなツールや手法を用いて分析を進めます。

・検索ボリューム分析ツール:Googleキーワードプランナーなどのツールを活用し、自社の商品やサービスに関連するキーワードの検索ボリュームや関連キーワードを調査します。検索ボリュームが多いキーワードは、多くの顧客が関心を持っている可能性が高いCEPと言えます。
・サジェストキーワード分析:Googleなどの検索エンジンでキーワードを入力した際に表示されるサジェストキーワード(検索候補)を分析します。サジェストキーワードには、顧客が実際に検索している具体的なニーズや疑問点が反映されていることが多く、新たなCEPの発見につながります。
・Q&Aサイトの分析:Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイトで、自社の商品やサービスに関連する質問や悩みを調査します。顧客がどのような状況で、どのような課題を感じているのかを把握することで、潜在的なCEPを見つけ出すことができます。

これらの分析を通じて、顧客がどのような状況や目的で情報を求めているのかを理解し、新たなCEPの可能性を探ることが重要です。

顧客ヒアリングを行う

顧客ヒアリングは、カテゴリーエントリーポイント(CEP)を見つける上で非常に有効な手段です。顧客がどのような状況で自社の商品やサービスを想起し、購入に至るのかを直接聞くことで、思いがけないCEPを発見できる可能性があります。

ヒアリングを行う際は、以下のような質問を投げかけてみましょう。

どのような時に、この商品(サービス)が必要だと感じますか?
この商品(サービス)を利用する前は、どのようなことで悩んでいましたか?
この商品(サービス)を利用した後、どのような変化がありましたか?
この商品(サービス)を誰におすすめしたいですか?
この商品(サービス)をどのような場面で利用したいですか?

これらの質問を通して、顧客が抱える具体的な悩みや欲求、利用シーンなどを深掘りしていきます。例えば、「どのような時に必要だと感じますか?」という質問に対して、「仕事で疲れて帰ってきた日の夜に、自分へのご褒美として」といった回答が得られれば、「自分へのご褒美」がCEPの候補となります。

また、ヒアリング対象者は、既存顧客だけでなく、見込み顧客や、過去に利用していたが現在は利用していない顧客など、様々な層から意見を聞くことが重要です。それぞれの立場からの意見を収集することで、より多角的にCEPを捉えることができます。

顧客ヒアリングで得られた情報は、定量的なデータだけでは見えてこない、顧客の生の声です。これらの情報を丁寧に分析し、CEPの発見・設定に役立てましょう。

CEP設定時の注意点


カテゴリーエントリーポイント(CEP)を設定する際には、注意すべき点があります。やみくもにCEPを増やすと、ブランドイメージの希薄化や、かえって成果が出にくくなる可能性があるためです。ここでは、CEPを設定する上での注意点を2つ解説します。

専門性を維持する

カテゴリーエントリーポイント(CEP)を増やすことは、顧客との接点を増やし、ブランド想起の機会を広げる上で有効な戦略です。しかし、闇雲にCEPを増やそうとすると、ブランドの核となる専門性が希薄化してしまうリスクがあります。

例えば、「高機能なビジネスバッグ」を主力商品としているブランドが、「旅行用バッグ」や「カジュアルなトートバッグ」など、関連性の低いCEPを次々と設定してしまうと、以下のような問題が生じる可能性があります。

・ブランドイメージのぼやけ:本来の強みであった「ビジネスシーンでの信頼性」や「機能性の高さ」といったイメージが薄れ、「何でも屋」のような印象を与えてしまう。
・ターゲット層の混乱:どのようなニーズを持つ顧客に向けたブランドなのかが不明確になり、本来ターゲットとすべき顧客層からの支持を失う可能性がある。
・リソースの分散:多様なCEPに対応しようとすることで、開発、マーケティング、販売などのリソースが分散し、本来注力すべき分野での競争力が低下する。

CEPを増やす際には、自社のブランドが持つ独自の強みや提供価値、つまり「専門性」を常に意識することが重要です。

専門性を維持するためのポイント

専門性を維持しながらCEPを戦略的に増やすことで、ブランドの価値を高め、持続的な成長につなげることができます。

一貫性のあるブランドイメージを保つ

カテゴリーエントリーポイント(CEP)を複数設定する場合、それぞれのCEPが一貫したブランドイメージを伝えるように注意が必要です。

例えば、あるブランドが「高品質」というイメージを築いてきたとします。

このように、異なるCEPを設定しても、それぞれの訴求内容が「高品質」というブランドイメージから逸脱しないように設計することが重要です。

もし、CEPごとに全く異なるイメージを打ち出してしまうと、消費者はブランドに対して混乱し、信頼を失う可能性があります。

CEPを増やす際には、ブランドの核となる価値やイメージを明確にし、それに基づいた一貫性のあるコミュニケーションを心がけましょう。

まとめ

カテゴリーエントリーポイント(CEP)は、消費者が特定の商品・サービスカテゴリに関心を持ち、購入を検討する際に最初に思い浮かべるきっかけとなるポイントです。

マーケティング戦略においてCEPを理解し、効果的に設定・活用することは、ブランド認知度の向上や競合との差別化、ひいては売上増加に繋がる重要な要素となります。

CEPを戦略的に活用し、顧客とのエンゲージメントを高めることで、ブランドの成長を加速させましょう。

いつも. マーケティングチーム
いつも. マーケティングチーム
いつも.のマーケティングチームです。
ECが大好きなメンバーが集まっています。国内からグローバル、自社からAmazon&楽天市場まで、ECにまつわるあらゆることを発信していきます!

カテゴリーエントリーポイントに関する質問

 

カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは、簡単に言うと何ですか?
カテゴリーエントリーポイント(CEP)とは、消費者が特定の商品やサービスカテゴリーを思い出す「きっかけ」となる状況や目的のことです。例えば、「のどが渇いた時」に「飲料」を思い出す、といった具体的なシーンがCEPにあたります。企業はCEPを理解し、自社ブランドと結びつけることで、顧客の購買意欲を高めることができます。
カテゴリーエントリーポイント(CEP)を増やすメリットは何ですか?
CEPを増やすことで、主に3つのメリットがあります。

幅広い顧客層へのリーチ:様々な状況や目的でブランドを想起してもらえるため、より多くの顧客にアプローチできます。
接触頻度の増加による購買意欲の向上:顧客との接点が増え、ブランドへの親近感や関心が高まり、購買につながりやすくなります。
競合との差別化:独自のCEPを開拓することで、競合が少ない市場で優位性を築き、価格競争を避けられます。