おさえておきたいAmazonセールの種類とタイムセールの対策方法
Amazonタイムセールには、ほぼ毎日開催される「特選タイムセール」と「数量限定タイムセール」、毎月1回のペースで開催される63時間限定の「タイムセール祭り」があります。
EC事業者はこれらのタイムセールをうまく活用することで、短期間で多くの商品を販売できるほか、タイムセール後も自然検索でのランキングで上位表示されやすくなるため、注力の度合いによって中長期的な売上アップへと繋がっていきます。
今回は、Amazonのセールの種類からタイムセールの活用方法までを説明していきます。
後述していますが、タイムセールを年間セールイベントとの連続性のうちに位置づけることで更なる売上アップが期待できますので、タイムセール後もしっかりと対策していきましょう。
Amazonセールの種類と特徴
まずはAmazonで行われるセールの種類と、各セールの特徴をおさえておきましょう。
「初売りセール」や「新生活セール」など、文字から連想できるセールイベントもありますが、「プライムデー」や「Amazonブラックフライデー」、「Amazonサイバーマンデー」(ブラックフライデーウィーク)などはそれぞれ特徴があるため、自店舗の商品やセール企画もイベントに合わせて実施するのが望ましいでしょう。
初売りセール(1月)
「初売りセール」は、1月2日、もしくは1月3日~1月6日程にかけて行われるAmazon最初のセールイベントです。
Amazonが大々的に実施するセールイベントということもあり、Amazon製品はもちろん、普段は手の届きにくい生活家電などが手頃な値段で販売されます。
特に初売りセールでは「Amazon福袋」が用意されており、普段のお買い物なら福袋の金額以上になる商品も、まとめてお得に手に入れることができます。
11月・12月・1月は大型セールイベントが続き、非常に忙しい日々が続くことになりますが、1年の中でも特に売上が伸びる時期になりますので、この時期に合わせて自店舗のリソース確保、出荷作業の効率化を検討していくことが重要です。
新生活セール(3月)
新生活セールは、4月の新生活が始まる直前の「3月下旬頃」に開催される約4日間のセールイベントです。
初売りセールに引き続き、Amazon製品、新生活に必要な商品(日用品、PC関連デバイス、生活家電、衣類、シューズなど)がセール対象商品となります。
Amazonプライムデー(7月)
Amazonプライムデーは、Amazonが企画する年間セールイベントの中でも特に大きいセールイベントで、文字通り「Amazonプライム会員」を対象としたセールイベントです。
例えば、ロングセラーの高評価なAmazon製品や、星評価4~5の人気商品などが他のセールイベントよりも値下げ幅が大きい状態で出品されます。
セール対象商品は他セールイベントと同じく、日用品や生活家電、PC関連機器、ファッション関連など、あらゆるものが対象となります。
Amazonブラックフライデーウィーク(11月・12月)
Amazonブラックフライデーウィークは、11月の第4金曜日から12月初旬にかけて行われるセールイベントです。
年末年始に向けて需要が増す商品がセール対象となるほか、名称通り、黒色/ブラックカラーの商品が値下げ対象になることもあります。
そもそもブラックフライデーは、アメリカでサンクスギビング:感謝祭の翌日(金曜日)から百貨店などの小売店で軒並み黒字になることから命名された言葉です。
2019年に日本のAmazonでも同セールが開催され、Amazonの年間セールイベントとして数えられるようになりました。
Amazonサイバーマンデー
Amazonサイバーマンデーは、Amazonブラックフライデーの翌週から開催されるセールイベントです。
Amazonサイバーマンデーは文字通り、Amazon製品やPC関連デバイス、家電製品などが安売りされるセールイベントとなります。
Amazonに出店するEC事業者は、Amazonサイバーマンデーに合わせてPC関連デバイス、家電製品などの商品ページを充実させることが重要です。
通常、大型セールイベントでは「特選タイムセール」と「数量限定タイムセール」の2つが開催されますが、Amazonサイバーマンデーでは「サプライズセール」が開催されたこともあり、サプライズ要素の大きいセールイベントともいえます。
年末セール(12月)
Amazonでは「年末の贈り物セール」と題して年末セールが開催されます。
2020年はセールイベントとして開催されましたが、2021年には「ホリデーセール」とまとめられたこともあり、2022年も同様にホリデーセールとして開催される可能性があります。
普段のセール対象商品に加え、年末セールでは普段購入しないような高額商品もセール対象となるため、1年の締めくくりに大きな買い物をしたいAmazonユーザーに注目されるセールイベントです。
Amazonタイムセールの種類と特徴
Amazonにはセールイベントとは別に、基本的に毎日開催されている「特選タイムセール」と「数量限定タイムセール」があります。
また、先述したAmazonの大型セールイベントとは別に「タイムセール祭り」が開催されており、大型セールイベントがない月に開催されることが多くなっています。
それぞれのセールの特徴について詳しく説明していきます。
特選タイムセール
「特選タイムセール」は、1日に最大5つの商品がセール対象となるイベントで、24時間限定で開催されます。
「特選」と記載があるだけに商品の割引率も高く、「最大46%OFF」などの大幅値下げの商品が出品されていることもあります。
ほとんどの商品が15~20%の割引価格で提供されているため、普段から購入したい商品が特選タイムセールに選定されている場合は、Amazonユーザーからの高い購入率が見込まれます。
Amazonを普段使いするユーザーからは毎日チェックされているセール会場になりますので、特選タイムセールへの出品相談がAmazon側から来た際は是非挑戦したいセールといえます。
※特選タイムセールは「申請型」ではなく「招待型」であるため、後述する数量限定タイムセールの申請資格を満たした上で出品が可能になるセールと捉えておきましょう。
数量限定タイムセール
「数量限定タイムセール」は、Amazonでほぼ毎日開催される提供数が決まっているセールです。
セールイベント画面で残りの販売数が確認できるような仕様になっており、「85%カートに追加済み」といった文言が表示されます。
Amazonユーザーは各商品の有効期限内に商品を購入するか、あるいはカート追加率が100%に達する前に商品を購入するか、のいずれかの方法でセール価格での購入を行います。
数量限定タイムセールへの出品方法・申請資格
Amazonに出店しているEC事業者は、数量限定タイムセールへの出品を申請することができます。
数量限定タイムセールへの出品資格は以下のようになっています。
参考:amazon seller central「タイムセールの概要と申請資格」
Amazonで本腰を入れて運用しているEC事業者であれば、出品者資格はクリアしているかと存じますので、チェックポイントとして「Amazonでの販売履歴があり、星レビュー3.0以上を獲得している」と「すべての地域でAmazonプライムの対象」の2つが挙げられます。
そもそも出品予定の商品が普段から高評価を受けていなければ、数量限定タイムセールの対象商品としては相応しくないと判断されますので、星レビュー評価3.0はクリアしていると同時に、店舗全体での星レビュー評価も4.0以上であるか、チェックしておきましょう。
また、すべての地域でAmazonプライムの対象であるためには、出荷方法を「FBA(フルフィルメント by Amazon)」または「マケプレプライム」にする必要があります。
タイムセール祭り
「Amazonタイムセール祭り」は、先述した2つのセール(特選タイムセール、数量限定タイムセール)がやや拡大され、年間セールイベントのように出品数が増えるのが特徴です。
普段の特選タイムセールや数量限定タイムセールに比べて対象商品が増えるため、Amazonユーザーが多く利用するセールイベントとなっています。
また、タイムセール祭りでは「10,000円以上購入すると最大7.5%ポイントアップ」といったポイントアップキャンペーンが開催されるため、この機会にまとめて買い物を行うAmazonユーザーもいます。
Amazonは商品単位で出品するECプラットフォームであるため、楽天市場のようにショップ単位でセールイベントを開催したり、クーポンを配布したり、といった戦略を組むことが難しいというデメリットを持っています。
しかし、タイムセール祭りのように、購入商品の額に応じてAmazonユーザーにポイント還元を行う企画もあるため、楽天市場のような「商品の買い回り」も実際の購入シーンでは起こっていると想定できます。
Amazonユーザーは商品単位で品定めを行っているため、楽天市場のようなショップ戦略は計画できないものの、商品の買い回りを想定して対策に注力すれば、出品商品の売上アップも期待できるでしょう。
この後紹介するAmazonタイムセールの対策方法を参考に、タイムセール祭りでの販売数増加、売上アップを狙ってみても良いかもしれません。
Amazonタイムセールの対策方法
今回の記事ではAmazonタイムセールの対策方法として、以下の4つを紹介します。
広告で露出を強化
タイムセールなどの単発で行うイベントには、即効性のある広告を使うことが有効です。
数週間前から広告で露出を強化しておくことで購入数にも繋がり、ランキングや検索順位もアップします。
それにより、タイムセール当日に商品が上位に表示されやすくなり、アクセス数・売上アップが期待できます。
実際に広告で露出を強化する際は、広告出稿のハードルが低い「Amazonスポンサープロダクト広告」を活用することをおすすめします。
なぜなら、Amazonスポンサープロダクト広告は、広告出稿のハードルが低いだけでなく、「購買意欲の高いユーザーに商品を露出できる」メリットがあるからです。
Amazonスポンサープロダクト広告は、Googleのリスティング広告のように「検索連動型広告」であり、Amazonユーザーが入力する検索キーワードに連動して広告が表示されます。
Amazonユーザーが入力した検索キーワードに連動するため、「その商品を比較検討したい」と考えているユーザーに商品を露出させやすいのが特徴です。
基本的にユーザーが商品を購入する場合、まずは「認知」することから始まります。
その後に様々な媒体(テレビ・インターネット・オフライン広告など)で該当商品を目にし、「興味・関心」が醸成されていきます。
ユーザーにとって「比較・検討」の段階は、これらのプロセスを経た後になるため、商品購入の段階により近いユーザー状態と捉えることができます。
したがって、Amazonスポンサープロダクト広告は、該当商品を「ある程度知っており」、かつ「気に入れば購入したい」と考えている商品を露出できる可能性が高いということになります。
「タイムセールまでの対策期間をどれだけ設けるか」にもよりますが、いずれにしても費用対効果が高くなりやすいスポンサープロダクト広告を利用するのがおすすめです。
商品ページを改善
次に重要なのが「商品ページ内の情報を充実させること」です。
商品についての情報が少ないと、広告などで露出を強化をしてページまでユーザーを誘導できても、離脱されてしまう可能性が高くなります。
そうした事態が続くと、無駄に広告費だけがかかり、売上が回収できないという状況に陥りかねませんので、事前に商品情報を充実させ、魅力的なページへと作り上げることが重要です。
また、商品ページ内の情報を充実させることで、Amazonでの売上アップを図る上で重要な「転換率の改善」も狙うことができます。
転換率を上げることで、タイムセール期間中だけでなく、通常時の売上の底上げを図ることが可能です。
タイムセールや年間セールイベントに注力して売上の最大化を図ることも重要ですが、普段の売上を底上げできれば、定期開催される様々なセールイベントで何倍も売上をアップさせることに繋がります。
EC運営で重要なのは「売れる時に、もっと売る」という考え方であるため、Amazonカートボックスの獲得で底上げした売上をさらに拡大できるように、商品ページの充実はしっかりと行っていきましょう。
タイムセールと年間セールに「連続性」を持たせよう
タイムセールは年間セールとの連続性を持たせることが重要です。
商品ページを改善することは、セールの販売数・購入率の勢いを、セール終了後にも持続させることを意味しています。
つまり、セールで作った販売実績を活用し、セール終了後の自然検索ランキングへの好影響を期待することが、セール対策の一連の流れとして重要になるのです。
考え方としては、日々タイムセールでの販売数・売上を増やしつつ、年間セールの開催時期に合わせて計画を組んでいくことがポイントとなります。
配送品質を向上させる
タイムセールの対策を終えた後は、徐々に広告予算を減らしていくことになりますが、「セールの勢いはなるべく落としたくない」というのが本音ではないでしょうか。
「広告予算は縮小する、でもセールの勢いは落としたくない」と考えている方は、是非FBA(フルフィルメント by Amazon)の利用を検討してみてください。
FBAを利用するメリットは数多くあり、代表的なもので以下のようなメリットがあります。
ポイントは、セール期間中だけ注力するのではなく、「通常時にどれだけセール期間中の配送品質を維持できるか」にあります。
たとえセールイベントは終わっても、定期購入するAmazonユーザーは同じ商品ページに戻ってくる上に、Amazonカートボックスを獲得している商品が多ければ多いほど、Amazonユーザーは自店舗の商品に接触する機会が増えるでしょう。
その通常時に自店舗の配送品質が落ちてしまうのでは、Amazonユーザーの満足度を維持するのは難しくなります。
広告出稿に比べ、FBA利用による配送品質の維持・向上は売上に直結する部分ではありませんが、購入を検討しているAmazonユーザーに品質面での安心感を与え、値段以外の部分で比較する機会を提供します。
たかが配送品質と捉えず、タイムセール・通常時の配送パフォーマンスを高水準で保つための対策として捉えることが重要です。
クーポンを発行する
楽天市場のように、Amazonでもクーポンを発行することが可能です。
Amazonのクーポンは、ASINと紐付いて発行され、商品購入時にクーポンの割引が適用されます。
数量限定タイムセールに出品予定の商品があれば、通常時の購入でも利用可能なクーポンを発行しておくことをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。Amazonのセールの種類の説明から、特にタイムセールの活用方法を説明してきました。
Amazonのタイムセールはほぼ毎日開催されており、タイムセール祭りでより大きな盛り上がりを見せます。
出品にはいくつか条件がありますが、AmazonでのEC運用を長く続けているEC事業者であえれば是非対策しておきたい販促施策といえるでしょう。
また、対策する際はタイムセールだけでなく、通常時・年間セールイベントとの連続性も意識して施策することが重要です。