ECパッケージ・クラウドって?メリットとデメリット、選定の仕方まで徹底解説
みなさん、こんにちは。EC/D2Cコンサルティングを提供する株式会社いつも.のコンサルタントです。
EC事業を成功させるためには、様々な要素が必要です。
上の図はEC事業を成功させるために重要な要素や業界のサービスをまとめたマップです。これらのなかには、主に以下の要素があります。
- (マップ左端)販売チャネル…どの場所で売るか
- (マップA)サイト構築…どんなサイトを構築するか
- (マップB)集客…どんな方法でお客さんを集めるか
- (マップC)転換率向上…集めた見込み客を購入に転換する
- (マップD)リピート…一度購入してくれたお客さんに長くファンになってもらう
各要素には複数の種類があり、そのうちのどれを選ぶかも重要です。今回はマップAの「サイト構築」から、「パッケージ」と「クラウド」について説明していきます。
1.自由なカスタマイズが可能!ECパッケージ・クラウド(システム)のメリットとデメリット
EC事業に参入して成功するために、「販売チャネル」と並んで、まず最初にするべきことが「サイト構築」です。サイト構築をするうえでは、インターネットを通じて商品を販売するためのシステムである「ショッピングカート」が必要です。
このショッピングカートには、大きく分けて以下5種類のタイプがあります。
- スクラッチ
- パッケージ・クラウド
- ASP
- オープンソース
- 無料
パッケージ・クラウドは一つの言葉ではなく、「ECパッケージシステム」の「パッケージ版」と「クラウド版」を指します。ここでは、このECパッケージシステムについて、詳しく説明していきます。
1-1.ECパッケージシステムとは?
ECパッケージシステムは、ECサイトを構築するために使われるソフトウェアをパッケージ化したものです。ECパッケージシステムには、ECに必要なシステム基盤が備わっており、それをベースにEC事業者ごとに機能開発を行います。
ECパッケージシステムはカスタマイズの自由度が高く、独自のサービスや売り方をECサイトで実現できます。自社の基幹システムとの連携や、実店舗との在庫連携など、大規模なシステム開発を行うEC事業者も少なくありません。
ただしECパッケージシステムを導入するための初期投資やランニングコストは、ECのプラットフォームをネット上でレンタルする方式の「ASP」と比べて非常に高くなります。ECパッケージシステムの初期費用は、数百万〜数千万円かかるのが一般的です。
そのためECパッケージシステムは、年商50〜100億円以上を狙うような大規模EC事業者が導入するケースが多くなっています。またEC参入当初にASPのショッピングカートを利用していたEC事業者が、売り上げの拡大に伴い、ECパッケージシステムに乗り換えるケースも目立ちます。
ECパッケージシステムは外部ツールとの連携を比較的柔軟に行えることから、以下のツールと連携させて利用するEC事業者もいます。
- CRMツール…顧客関係管理を支援するツール
- 集客ツール…お客さんを集めるためのツール
- マーケティングオートメーションツール…見込み客の獲得から営業マンによる商談までのマーケティング業務を、自動化・最適化するツール
また、ここ2〜3年のトレンドとして、ECパッケージシステムを活用して「オムニチャネル」に取り組む小売企業も増えてきました。オムニチャネルとは、実店舗やウェブショップなど複数の販売チャネルを連携させ、顧客にとって最適な購買方法を提供する販売形態です。
実店舗とECサイトの顧客IDの統合、さらには在庫連携などにECパッケージシステムが活用されています。
1-2.クラウド型も続々登場
近年は、クラウド型で提供されるECパッケージシステムも増えています。カスタマイズの自由度が高いECパッケージシステムの長所を残しつつ、基本機能をクラウド型で提供しているのが特徴です。
クラウド型では、システム提供会社がECパッケージシステムの機能の追加やアップデートを随時実施するため、EC事業者はECサイトを立ち上げた後も常に最新の機能を利用できます。クラウド型のECパッケージシステムを導入するのは、年商規模が数億〜50億円のEC事業者が中心です。
カスタマイズの自由度の高さはそのままに、最新の機能も利用できる利便性の高さなどから、クラウド型を選ぶ企業は今後も増えていくことが予想されます。
1-3.クラウド型のECパッケージシステムのメリット
ここまで説明してきたように、ECパッケージシステムを導入するのなら、クラウド型のほうがおすすめです。クラウド型には、以下のメリットがあります。
- 最新のシステムを使える
- カスタマイズやシステム連携が自在
- サーバーダウンを防げる
先ほども説明したとおり、クラウド型のECパッケージシステムでは追加機能のリリースやアップデートを随時実施しているため、EC事業者は常に最新のシステムを利用できます。
もちろんパッケージ型同様、カスタマイズやシステム連携も自在です。
またクラウド型のECパッケージシステムでは、サーバーの増減も設定できます。ウェブサイトは訪問者数が一時的に急増すると、サーバーがダウンし、アクセスができなくなります。ECサイトの場合、サーバーダウンは大きな機会損失です。
その点サーバー数を増やせるクラウド型のECパッケージシステムなら、このような機会損失を防げます。
1-4.クラウド型のECパッケージシステムのデメリット
クラウド型のECパッケージシステムには、以下のデメリットもあります。
- コストが高い
- ECサイトの保守管理ができない
クラウド型のECパッケージシステムは、使用するための月額料金が数十万円します。そのため中~大規模のEC事業者でなければ、導入は難しいと言えるでしょう。
また多くのクラウド型のECパッケージシステムではソースコードを開示していないため、EC事業者が自社で保守管理をすることはできません。
2.今注目のECパッケージ・クラウドを紹介
ECパッケージシステムには、様々なサービスがあります。ここでは、今注目のECパッケージシステムを紹介していきます。
2-1.ecbeing
「ecbeing(イーシービーイング)」は、「株式会社ecbeing」が提供するECパッケージシステムです。ecbeingは中堅・大手向けのパッケージECシステムでシェアが大きく、実績も豊富です。
ecbeingは、標準機能とオプションが幅広くなっています。カスタマイズによる外部サービス連携も可能ですが、標準機能とオプションだけでも充分なほど、総合的なEC運用機能が備わっています。
2-2.W2 Commerce V5
「W2 Commerce V5(ダブルツーコマース)」は、「w2ソリューション株式会社」が提供するECパッケージシステムです。W2 Commerce V5はプログラムを共用しないASPサービスで、イメージのままに機能を組み立てたり、カスタマイズしたりできます。
またプログラムやサーバーなどのインフラ構築に強いのも、W2 Commerce V5の特徴です。
売上に連動したサーバー回線領域が提供されるので、イベント時の短期間アクセス増加にも対応可能です。
2-3.ebisumart
「ebisumart(エビスマート)」は、「株式会社インターファクトリー」が提供するクラウド型のECパッケージシステムです。
クラウド環境で常にシステムが自動でアップデートされるので、最新機能や最適なインフラが利用できます。もちろん外部システムとの連携や機能カスタマイズにより、事業の成長に合わせたサービス拡張も可能です。
2-4.EC Orange
「EC Orange(イーシーオレンジ)」は、「株式会社エスキュービズム」が提供するECパッケージシステムです。
EC Orangeは、オープンソースで自社開発や外部開発など、EC事業者側の対応で自由にカスタマイズできる拡張性が特徴です。インフラや運用、保守は、他社と連携したサポートが提供されます。
3.ECパッケージサービスの選定ポイント!
ここまで注目のECパッケージシステムについて紹介してきましたが、どのようにサービスを選べばいいのか分からないという方もいるでしょう。そこでここでは、ECパッケージシステムのサービスを選ぶうえでのポイントについて説明していきます。
3-1.業者との商談には事業計画を持参
一口にECサイトと言っても、各プロジェクトの内容によって、最適なサイト構築の方法は異なります。ECパッケージサービスの導入について業者と話し合う際には、プロジェクトの企画や目的を正しく伝えるため、「RFP(提案依頼書)」をもとに協議を進めましょう。
3-2.相見積もりを取り、提案内容を比較
ECパッケージシステムを導入する際には、複数の業者から相見積もりをとりましょう。相見積もりをとれば、自社に最適なシステムの構築ができるサービスがどれなのか検討できます。
相見積もりの際は、業者からの様々な提案に対し、投資価値があるか、不要な機能はないか、時間をかけて確認するようにしましょう。
3-3.成長ステージに合わせて構築する
自社にとってベストなEC機能は、時期や顧客属性により変化します。そのため最初からサイト構築を完成させてしまうと、後で調整の必要がでてきます。初期構築は、必要最低限で行うようにしましょう。
4.まとめ
ECパッケージシステムは、ECサイトを構築するために使われるソフトウェアをパッケージ化したものです。ECパッケージシステムはカスタマイズが自在で、自社独自のサービスや売り方を実現できます。
ECパッケージシステムには、パッケージ型とクラウド型の2種類があります。このうちクラウド型は随時アップデートが実施されるため、常に最新の機能を利用可能です。
初期費用や月額料金が高額な点がデメリットですが、費用が負担にならないのなら、ぜひECパッケージシステムの導入も検討してみてはどうでしょうか。
※本記事に掲載されている、事例の内容、売上に関する情報、サービスの価格・機能・仕様などの情報は、変更・更新になっている場合がございます。