EC/D2C関連法制の基礎知識⑤~景表法・薬機法
ECやD2Cに係るビジネスはB2B、B2CそしてC2Cとその形態を多様化しながらその取扱製品の種類・量ともに取引を拡大しています。またその拡大に伴い、様々な関連する法律による規制を受けるようにもなっています。
EC/D2C関連法制の基礎知識として、EC/D2Cを展開する上で注意すべき規制についてご紹介する本連載の第五回は景品表示法・薬機法についてご説明します。
景表法
消費者にとって実際より良く見せかける表示が行われたり、過大な景品付き販売が行われると、それらにつられて消費者が実際には質の良くない商品やサービスを買ってしまい不利益を被るおそれがあります。
景表法は、こうした商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限することなどにより、消費者がより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守る法律です。
表示については、企業が、自社の供給する製品等の取引について、品質(原材料、効能等)、規格、価格等についての不当表示(消費者に誤認されることで、公正な競争を阻害する恐れがあると認められる表示)をすることは禁止されています。
この表示には、製品自体による表示だけでなく、インターネット上での表示、店頭における表示、チラシや新聞等による広告、マスメディアの広告が含まれます。
不当な広告等によって顧客を誘引したり、過大な景品等をつけて商品を販売するような行為を不当顧客誘引と言い、景表法により規制されています。
なお、景表法は2009年に公正取引委員会から消費者庁に移管されましたが、公正取引委員会は消費者庁長官から景品表示法違反事件に係る調査権限の委任を受け、地方事務所等において、消費者庁との協力の下、景表法違反事件の調査業務及び同法違反の疑いに関する情報の受付業務や相談業務等を行っています。
薬機法
薬事法が改正され、 2014年、名称変更と共に施行された法律です。医薬品・医療機器等の有効性・安全性を確保するため、製造から販売、市販後の安全対策まで一貫した規制が行われています。
2021年8月に改正薬機法が施行され、課徴金制度が導入されており、特に化粧品やサプリメントを販売する事業者を含めて、詳細な認識が不可欠な法律となっています。
貿易では医薬品、医薬部外品、化粧品等の製造や輸入をし、販売陳列等を行う場合には、原則として「製造(輸入)販売業の許可」が必要です。また表示に関しても、名称(医療用具は不要)、成分、輸入業者名等の明記が義務づけられており、容器包装等に記載されなければなりません。
両法ともに販売形態や広告表示についてはグレーゾーンも多いため、不明な場合には所管の省庁への問い合わせや判例などよく事案を確認をして事業展開を進めましょう。以上、EC/D2C関連法制の基礎知識として景表法、薬機法についてお伝えしました。