【EC担当者必見】すぐに始めたい季節需要の対策方法
ECサイトを運営されているご担当者から「季節需要の対策をいつから始めればいいですか?」というご質問をよく伺います。そこで今回は、「今日から始めたい季節需要の対策方法」を紹介いたします。
ECサイトとリアル店舗における季節需要の違い
季節需要とは、文字通り「その季節に需要が増すこと」を意味しますが、ECサイトとリアル店舗では少々事情が異なります。
例えば、冬の季節需要として、「こたつ」や「羽毛布団」などをイメージしてください。
これらの商品がよく売れるのは、リアル店舗では冬シーズン直前の10月・11月です。
しかし、ECサイトでは、リアル店舗の約2ヶ月前から季節商品が売れはじめ、例えば「こたつ」はなんと8月からECサイト上で売れることが分かっています。
では「こたつ」などの冬の季節商品がなぜ8月に売れるのか?
その理由は以下の3つです。
- 地域によっては9月中旬頃からこたつを使用する
- ECサイトの商圏が日本全国
- EC市場の競争が年々激化し、囲い込み戦略を行う企業が増えてきた
1つずつ説明していきます。
北海道や東北、甲信越地方などは早くて9月中旬頃からこたつを使う
日本の国土はよく「長い弓なりの形」といわれ、南北に約3,000kmの幅があります。
そのためユーザーが住んでいる地域によって同じ季節でも気候が異なり、たとえ同じ8月から9月でも残暑を感じる地域もあれば、涼しくなり始め秋を感じる地域も出てきます。
そこに付随して必要とされる家具も変化し、比較的気温が下がりやすい北海道や東北地方、甲信越地方などは、早ければ9月中旬頃からこたつを使い始めることが多いです。
9月中旬頃からこたつを使い始めるということは、少なくとも1ヶ月前には購入を検討するため、実際にこたつが売れ始めるのが8月上旬頃~ということになります。
しかし、「8月に全国で大量のこたつが店頭に並び、実際に触って比較検討できる」といった状態には至りません。そうした「リアル店舗とのずれ」を、ECサイト上で補う意識が大切なのです。
ECサイト上では実際に触れて確かめることはできませんが、様々な角度から商品を撮影した画像や動画、過去に商品を購入したユーザーのレビューが多く掲載されており、購入前にしっかりと吟味できます。
ECサイトの商圏が日本全国
2つ目の理由は、「ECサイトの商圏が日本全国」であることが関係しています。
Amazonや楽天市場、自社ECなどはインターネットに接続できる環境さえあれば誰でもアクセスできます。
そのため、人里離れた山に住んでいるユーザーであっても、ECプラットフォーム上で手軽にこたつを購入できるのです。
ECプラットフォーム上でのこたつ購入は、リアル店舗に足を運ぶ必要がありません。
また、販売員のセールスや営業時間の影響を受けずに、自分のペースで商品の比較検討ができます。むしろ比較検討にかける時間が増えたことにより、ユーザーは「リアル店舗で十分な比較検討ができないまま商品を購入してしまうリスク」を冒さずにこたつを購入できるかもしれません。
そして十分に比較検討した結果、「北海道に住むユーザーが、鹿児島県の家具メーカーからこたつを購入する」といった事態も起こり得ます。
鹿児島県に製造拠点を構える家具メーカーにとっては、顧客がリアル店舗では到底考えられない北海道にも存在することになり、ビジネスの幅が大きく広がるきっかけとなるでしょう。
EC市場の競争が年々激化し、囲い込み戦略を行う企業が増えてきた
そして3つめの理由が、EC市場の競争激化です。
スマートフォンの普及にともない、ここ数年でEC市場を新たなビジネスの場として想定・進出する企業が増えています。
また、昨今の「巣ごもり需要」によって、居住環境の改善に投資するユーザーが急増し、EC市場はさらに多くの新規参入企業が乱立し競争は激しさを増しています。
ECプラットフォームを利用するユーザーが増えたのは良いことですが、同時に競合他社も増えてしまった為、顧客獲得にかかるコストが年々上昇している現状があります。
そこでEC市場では、よりコストをかけずに顧客を獲得する方法として、「囲い込み戦略」が注目され始めています。
簡潔に説明すると、「お試し利用やトライアル期間、特別割引などを設けて、一時的にサービスを体験してもらう戦略」を各企業が始めています。
囲い込み戦略では、「いかに競合他社よりも先に見込み客へアプローチするか」という観点が顧客獲得の鍵となります。
「競合他社が9月上旬からこたつを売り始めるのなら、自社は8月上旬から施策を用いて販売する」といった戦略を立てると良いでしょう。
季節需要をおさえるために必要な3つの対策ポイント
続いて、季節需要をおさえるために必要な3つの対策ポイントを確認しましょう。
- 年間カレンダーを準備する
- 「お試し」による囲い込み戦略を実施する
- 検索キーワード対策を行う
いずれの対策ポイントも、しっかりと準備期間を設けることが重要です。
季節需要の直前に対策を行っても効果は出にくいため、3ヶ月~半年前には着手しておきましょう。
年間カレンダーを準備する
まずは「ECサイト用の年間カレンダー」を準備しましょう。
作成の目安は「リアル店舗で販売する2ヶ月前」です。
例えばリアル店舗で販売している以下の商品は、ECサイトでは以下の通り販売します。
- こたつ・・・10月→8月
- レインウェア・撥水ジャンパー・・・6月→4月
- 水着・・・7月→5月
リアル店舗では実需の1ヶ月前~1.5ヶ月前に商品を陳列し、季節需要に備えていきますが、ECサイトでは実需の約3ヶ月前から対策していく必要があります。
また、ECサイトの年間カレンダーを作成する際は、季節ごとのイベントも早見表のような形で可視化しておくことが重要です。
「なぜこのタイミングで売り始めるのか」「何月から対策を始める必要があるのか」といった情報を1つのカレンダーにまとめておくと、従業員間の共有もしやすくなります。
そのほか「失敗しない年間カレンダーの作り方・参考情報」はレポートに詳しく記載していますので、さらに踏み込んだ内容を知りたい方はぜひ資料をご請求ください。
「お試し」による囲い込み戦略を実施する
前述した通り競合他社との競争に勝つためには、潜在顧客や見込み客へ競合よりも早くアプローチすることが重要です。
先ほどのこたつで説明すると、こたつは大型の家具に当たるため、消費者に試してもらうのは難しいでしょう。
そこで「早割」などを実施し、「こたつを8月中に購入したユーザーに限り、商品代金から15%OFF」といった施策を展開します。
他にも、近年ネット購入が増加している「おせち」。こたつ同様8月から販売が始まりますが、主要なメニューがギュっと詰まったコンパクトなおせちのミニセットを、1000円から2000円程度で販売する「お試しおせち」を販売するサイトも増えています。
「お試し利用」が実施しやすい商品として「食品」や「美容品」がありますが、「無料」または「通常価格の半額以下」といった価格設定で商品を提供することで、ユーザーは満足できるかどうか、手軽に確かめることが可能です。
一方サービスの提供側は、顧客情報の取得や、早期購入の機会を作ることができます。
また、自社商品に1度触れてもらえば、ユーザーの購買意欲を刺激できる可能性が高まるため、そのまま本購入へと繋がるケースもあります。
検索キーワード対策を行う
季節需要をおさえるためにもう1つ忘れてはいけないのが、「検索キーワード対策」です。
検索キーワード対策は、自社ECサイトの集客・販促に欠かせない施策の1つで、他の施策よりも力を入れて対策する必要があります。
例えば楽天市場で「こたつ」と検索すると、「こたつ テーブル」「こたつ 布団」「こたつ ハイタイプ」といった複合キーワードが表示されます。
これはサジェストキーワードというもので、検索ユーザーが入力した単語に連動して、楽天市場側が「関心のありそうなキーワード」を提案しているものです。
このサジェストキーワードは他プラットフォームや検索エンジンでも確認ができます。Amazonでは「こたつ 長方形」「こたつ 正方形」「こたつテーブル 長方形 120」など、Googleでは「こたつ おしゃれ」「こたつ 1人暮らし」などのサジェストキーワードが並んでいました。
これらのサジェストキーワードを参考に、店舗側はCV(売上)に繋がりやすいキーワードを探していきます。
楽天市場であれば「楽天RMS」、Amazonであれば「Amazonセラーセントラル」で流入キーワードの分析を行いましょう。
そして流入・CVを狙うキーワードのうち、対策すべきかどうか判断する方法として、「ロングテールキーワード」があります。
ロングテールキーワードとは、一般的に3語以上のキーワードを指し、先ほどの「こたつ」でいえば「こたつ テーブル 円形」などが該当します。
「こたつ テーブル」の時と比べて、「こたつ テーブル 円形」の方が、商品(ニーズ)が明確になるので、より購買意欲が高まったユーザーと接触できると想定できます。
またサジェストキーワードの中で自社商品に合うキーワードがあれば、広告を用いて、検索広告枠を確保する施策が展開できます。
季節イベント時の機会損失を防ぐポイント
では実際に季節イベントの際はどういった対策をしていけば良いのでしょうか。
「季節イベント時の機会損失を防ぐポイント」という切り口で考えると、以下のような対策が挙げられます。
- 直前受付はできているか
- ギフト対応はできているか
- セール対策はできているか
直前受付はできているか
季節イベントに合わせて早い段階から予約受付が始まりますが、どんな季節イベントでも必ず「駆け込み需要」が存在します。
駆け込み需要には、「どうにかして間に合わせたい」というニーズがあります。
そこで店舗側の対策として、「〇〇の直前でも大丈夫!」「午前11時迄のお申し込みで即日お届け」といった文言とともに、駆け込み需要にスムーズに対応するマニュアル作成、リソース確保を行っておくことが大切です。
また、駆け込み需要ではとにかく急いでいることが想定されるため、「電話対応」などの工夫もユーザーには喜ばれるでしょう。
急な需要にスムーズかつ丁寧な接客を心掛けることで、ユーザー満足度が上昇し、リピート購入による売上への好影響も期待できます。
ギフト対応はできているか
季節イベントによっては、「丁寧に包装・装飾された状態で商品が届くこと」が求められる場合があります。
例えば「クリスマスのプレゼント」を楽天市場で購入したいと考えるユーザーを想定した場合、購入時に先回りして「ギフト対応承っております」「ラッピング無料対応」といった文言があるだけで、ユーザーは安心するかもしれません。
また、「全ての商品にラッピング対応」という体制にしておけば、ユーザーが「うっかりギフト対応・ラッピング対応をし忘れてしまった」といった事態を避けることが可能です。
こうした細かな気遣いはユーザーが良質なレビューを投稿してくれるきっかけとなり、次に購入を検討するユーザーの背中を押してくれることでしょう。
セール対策はできているか
過去の冬の期間を考えてみると、楽天であれば「楽天スーパーSALE」や「楽天スーパーDEAL」、Amazonであれば「Amazonブラックフライデー」や「Amazonサイバーマンデー」などの大型セールが開催されていました。(※セール名称や内容は変わる可能性があります)
季節イベントの対策と同時に、各ECプラットフォームが開催するセールイベントに対して準備を進めていくことも重要です。
例えば、セールイベントの期間中だけ開催する「自店セール」を特設ページで案内するなど、2~3ヶ月かけて準備すべき対策もあります。
まとめ
ECサイトでは、リアル店舗に比べて2ヶ月早く季節商品を販売する必要があります。
リアル店舗と同じ年間カレンダーで販売計画を作成していては、競合他社の囲い込み戦略によって市場の見込み客の母数が少なくなる恐れがあります。
今日からできる季節需要対策は、まず「ECサイト用の年間カレンダーを作成すること」です。続いて、各施策に対しては本記事を読み返していただければ幸いです。
何事も計画無くして成果に繋がることはありませんので、少しずつ対策していきましょう。
季節需要に関するよくある質問
- 冬と夏で季節需要を対策するタイミングは変わる?
- 基本的には変わりません。「ユーザーが商品(製品)を使用する2か月前」に自社ECサイトで出品できるよう逆算して準備を進めましょう。
- 季節イベントとセールの関係性は?
- 楽天市場、Amazonではそれぞれ年間を通してセールが開催されます。季節イベントと重なる時のセール対策で相乗効果を目指しましょう。詳細は下記のブログをご覧ください。
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