【2024年07月版】EC業界トレンドトピックス
2024年07月のEC業界のトレンドトピックスを抜粋して考察とともにご紹介します。
国内ニュース
アマゾンジャパンが「Amazonファーマシー」の提供を開始
7月23日、アマゾンジャパンは「Amazonファーマシー」の提供を開始しました。これはオンライン服薬指導を通じて処方薬を自宅に配送してもらうことができるサービスです。国内の約2,500の薬局において服薬指導が可能とのことですが、利用には電子処方箋が必要となっています。ちなみに米国では2020年11月に開始されています。
今後の普及が期待されますが、電子処方箋の普及率について、デジタル庁発表のデータによれば、2024年6月時点での電子処方箋の導入状況は、病院7%、医科診療所3.3%、歯科診療所0.2%となっています。電子処方箋自体2023年1月から導入されていますので、普及はこれからでしょう。よって電子処方箋の導入率の上昇と共にAmazonファーマシーの利用も拡大することが予想されます。
参考元:Amazonで、薬局によるオンライン服薬指導から配達までを。「Amazonファーマシー」の提供を開始(アマゾンジャパン公式ウェブサイト)
電子処方箋の導入状況に関するダッシュボード(デジタル庁ウェブサイト)
佐川急便が宅配便の受取方法として「置き配」を指定可能に
佐川急便株式会社は、宅配便を受け取る個人が荷物の受け取り方法として「置き配」を選択できるサービスを9月2日(月)より開始すると発表しました。ヤマト運輸は同様のサービスを6月に発表したばかりですので、大手宅配便2社による取り組みとして、置き配がより利用しやすい状況となりました。
国土交通省が年に2回実施している宅配便の再配達調査では、2024年4月時点での再配達率は10.4%となっています。再配達率は少しずつ改善してはいるものの、いまだ10%を下回っていません。宅配便事業者によるこのような取り組みによって、少しでも再配達率が改善されることが期待されます。
参考元:【佐川急便】佐川急便が配達するお荷物で「置き配」の選択が可能に スマートクラブ会員やLINE公式アカウントが対象(佐川急便公式ウェブサイト)
令和6年4月の宅配便の再配達率は約10.4%(2024年6月21日発表、国土交通省ウェブサイト)
DHLジャパン、日本郵便のレターパックを活用した海外発送で荷物の取扱を開始
DHLジャパン株式会社は、日本郵便の「レターパックプラス」の海外発送を行うことを発表しました。2023年6月には既に「レターパックライト」の発送を実施しており、その結果が好調であることを受けての“取り扱い範囲の拡大”となっています。これにより、郵便局や郵便ポストへの投函、取り扱いコンビニエンスストア経由で、DHLの国際エクスプレスサービスを活用した海外への発送が可能となります。
これにより、越境ECでの海外発送の選択肢が増えることになります。訪日外国人の増加や円安によって日本製品には越境ECのチャンスが以前よりも拡大していると言われています。国際物流面でこのようなサービスが登場することは、越境EC関係者にとっては朗報ではないでしょうか。
参考元:DHLジャパン、日本郵便のレターパックを 活用した海外発送で荷物の取扱を開始(DHLジャパンウェブサイト)
アパレルの購入場所に関する調査で「実店舗とEC両方」との回答が3分の1
共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する株式会社ロイヤリティ マーケティングは「ファッションに関する調査」(実施期間:2024年6月)の結果を公表しました。この調査では、服の購入場所として「実店舗」が48.1%とトップであり、「オンラインショップ」が15.8%、「両方」が32.5%という結果が発表されています。
オンラインショップは15.8%ですが、両方との回答が32.5%ありますので、これを加味するとECでの購入は20%強と予想されます。経済産業省の電子商取引市場調査では、アパレルのEC化率は21.56%(2022年)ですので、この数値とほぼ一致しています。なお実店舗と回答した方であっても、その多くはブランドサイトやECサイトをチェックしていることでしょう。また両方、つまり実店舗とECを併用するとの回答が32.5%と全体の3分の1を占めています。したがってアパレルにおいてOMOやオムニチャネルはやはり重要な戦略と考えられます。
参考元:ファッション好きが選ぶ人気ブランドランキング(株式会社ロイヤリティ マーケティングウェブサイト)
電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました(2023年8月31日発表、経済産業省ウェブサイト)
eBay Japanが「日用品の買い替えに関する調査」の結果を発表
「Qoo10」を運営するeBay Japan合同会社は、全国の一人暮らしの女性500名を対象に「日用品の買い替えに関する調査」を実施し、その結果を発表しました。新商品の衝動買いの経験率、買い替えた日用品のカテゴリー、買い替えた理由、買い替えに関する「積極派または消極派」どちらか等など、消費者マインドについて参考になるデータが公開されています。
国内には数多くの日用品が溢れかえっています。またSNSによって情報の洪水状態が起きています。そのような状況下、各ブランドは売上獲得に工夫を凝らしていると思いますが、「どうしても既存商品からの買い替え、すなわちブランドスイッチは一定の比率で生じてしまっています。この調査結果はブランドスイッチ対策を検討する上で参考になる内容と思われます。一度内容を確認してみてもよいでしょう。
参考元:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000701.000022933.html(eBay Japan合同会社プレスリリース)
海外ニュース
Amazon Prime Dayで記録破りの売上を発表
7月にAmazon Prime Dayが開催され、Amazonは2日間の販売点数が過去最高を記録したことを発表しました。CNBCのニュースサイトによれば、昨年はインフレの影響で割引イベントを活用して食品や家庭用品が売れ筋だったようですが、今年は家電や新学期用の製品(米国は9月が新学期であるため)に人気が集まったと報じられています。売れ筋の変化もさることながら、コロナ後であっても米国では引き続きEC業界は活況を呈しているようです。
参考元:https://press.aboutamazon.com/2024/7/amazon-announces-record-breaking-sales-for-2024-prime-day-event(Amazonプレスリリース)
https://www.cnbc.com/2024/07/18/amazon-prime-day-us-online-sales-climb-to-record-14point2-billion.html(CNBCウェブサイト)