楽天RMSとは?メイン機能とシステムのメリット・デメリット最新の仕様まで徹底解説
これから楽天市場へ出店するEC事業者様の中には、「楽天RMS」というサービスをあまりイメージできない方もいらっしゃるかもしれません。
実際、楽天RMSは登録して初めて具体的に機能を使用できるため、利用を開始した店舗様から施策のご相談を受けることもあります。
そこで今回は楽天RMSの基本的な説明から、基本機能を使用した売上改善方法をご紹介していきます。
また、記事後半では、2024年最新版のRMS仕様変更を紹介していますので、RMSの最新機能を知りたい方もぜひ参考にしてください。
楽天RMSとは
楽天RMSとは「Rakuten Merchant Server」の略称で、「楽天市場における店舗運営システム」を指しています。
楽天RMSを活用することで、楽天市場に出店するEC事業者様は、ショップページの作成や決済、メルマガ配信、アクセス分析など、EC店舗運営に欠かせない作業を統合管理できます。
Amazonでは「Amazonセラーセントラル」、Yahoo!ショッピングでは「ストアクリエイター」に相当する店舗運営システムと解釈しましょう。
楽天RMSの特徴
EC事業者様は、楽天市場で自店舗を出店するにあたり、必ずと言っていいほど楽天RMSを使用します。
なぜなら、楽天RMSには、楽天市場での店舗運営に必要な機能がほぼ全て集約されており、店舗構築や受注管理、データ分析からメルマガ配信まで、1つのプラットフォームで管理できるからです。
もしマーケティング活動を自社ECで実施しようとすれば、店舗構築はWordpressといったCMS、受注管理はExcelまたは受注管理システム、データ分析は専用のアクセス解析ツール、メルマガ配信はメルマガスタンドもしくはCMSツール、といった具合で、バラバラのシステムを利用する必要があり非常に煩雑です。
このように複数のシステムを併用すると、各媒体でのマーケティングデータが上手く共有できず、施策のPDCAサイクルが遅くなってしまう恐れがあります。
また、システム毎に管理する人材も増えていきます。その結果、担当者の異動や退職をきっかけに運営ノウハウが失われやすく、マーケティング活動全体のスピードが低下するリスクもあるのです。
一方、楽天RMSを活用し1つのプラットフォームに集約することで、システム管理担当者を少数に任せることができます。機能ごとに担当者を割り当てても、運用方法や施策内容を共有しやすく、スムーズに連携を図ることが可能です。
楽天RMSのメリット
楽天RMSのメリットには以下のようなものがあります。
- 楽天市場の運営に必要な施策を1つのプラットフォームで管理できる
- 担当者間で施策の共有が容易になる
- 操作方法について年中無休のコールセンターが対応してくれる
- 画像のサイズ変更、一括登録・削除が可能
- 受発注・配送に関わるデータ抽出を円滑にできる
楽天市場の運営に必要な施策を1つのプラットフォームで管理できる
楽天RMSは、楽天市場の円滑な店舗運営やユーザーとの接点づくりに不可欠な機能を一つのプラットフォームで管理できるのが最大のメリットです。店舗構築や受注処理、メール配信、そして売上分析まで、楽天市場で必要な全ての運営業務をこのRMSで行うことができます。
例えば、商品登録では、商品名や価格、画像、詳細説明といった基本情報の入力はもちろん、キャンペーンやセール時の設定も可能です。また、受注管理では、注文一覧画面で1つずつの注文を閲覧しながら、作業別に注文の絞り込みが可能で、ステータスごとの一括処理もできます。
これらの作業を一つのプラットフォームで行えることで、店舗運営効率を大幅に向上させ、業績向上につなげることができます。
担当者間で施策の共有が容易になる
楽天RMSは、担当者間での施策共有をスムーズにする機能を有しています。楽天市場における販売戦略やプロモーション計画などの重要な情報を、チーム内のすべてのメンバーが一元的に把握しやすくなります。
例えば、売上データや顧客情報などをリアルタイムで把握できるため、そのデータをもとにした新しい販売戦略をすぐに共有することが可能です。また、新商品の登録やセールの設定など、特定の業務を担当するメンバーが行った作業内容も他のメンバーが確認しやすいメリットがあります。
結果として施策の透明性が向上し、チーム全体の生産性を向上させることが可能です。
操作方法について年中無休のコールセンターが対応してくれる
楽天RMSでは、操作方法について年中無休のコールセンターが対応してくれます。例えば、新たな機能を使用する際に使い方が分からない場合や、エラーが出てしまった場合など、困ったことがあればいつでもコールセンターに問い合わせることができます。また、専門的な知識が必要なシステム設定や運用についても、熟練したスタッフが丁寧に指導してくれます。
こうしたサポートにより、楽天RMSを利用するユーザーは、時間や場所を問わず安心して業務を進めることができます。
画像のサイズ変更、一括登録・削除が可能
楽天RMSでは、商品画像のサイズ変更が容易にできるため、画像管理がしやすいのが特徴です。
また、楽天RMSは一括登録・削除機能も備えています。商品情報の一部を更新する際や、季節商品など一時的に販売する商品の登録・削除を行う場合、一つひとつ手動で操作するのは大変な作業です。しかし、楽天RMSを使用すれば、CSVファイルを用いて一括で登録・削除が可能となるため、効率的な商品管理が実現し、作業の時間短縮に貢献します。
受発注・配送に関わるデータ抽出を円滑にできる
楽天RMSの大きなメリットの一つが、受発注データや配送関連データの抽出が容易にできる点です。この機能は、販売動向を把握しやすくするだけでなく、在庫管理や配送スケジュールの管理も円滑にする役割を担っています。
具体的には、売上情報、受注情報、配送情報などを一括でダウンロードすることが可能で、それらをExcelやCSV形式で抽出できます。また、特定の商品や期間に絞ったデータ抽出も可能で、ビジネスの状況に応じた柔軟なデータ分析も行えます。
こうした機能によって業務効率化が図れ、より適切なマーケティング戦略策定や販売施策の見直しが可能となります。楽天RMSは、楽天市場で店舗を構える事業者にとって、ビジネス運営を円滑に進めるための強力なツールといえるでしょう。
楽天RMSのデメリット
楽天RMSのデメリットには以下のようなものがあります。
- 他システム/プラットフォームとの連携・運用に手間がかかる
- 楽天RMS登録前に、楽天RMSの使い勝手を確認できない
他システム/プラットフォームとの連携・運用に手間がかかる
楽天市場に出店しているEC事業者様の中には、AmazonやYahoo!ショッピングなども出品している方がいらっしゃいますが、それぞれのプラットフォームにおける施策・売上を統合管理する際には、1度受発注データをCSVデータとしてダウンロードし、それを自社の基幹システムにアップロードする形で管理することになります。
また、受発注管理をExcelで行っているEC事業者様にとっては、楽天市場での売上・受発注状況をExcelに転記・反映する必要があり、管理工数が増えてしまうデメリットがあります。
楽天RMS登録前に、楽天RMSの使い勝手を確認できない
そして冒頭でもお伝えした通り、「登録前に、楽天RMSの使い勝手が確認できない」こともデメリットに挙げられます。
本格的に運用される前に、事前に基本機能や操作等について内容を確認されたい事業者様もいらっしゃるのではないでしょうか?
楽天RMSの4つのメイン機能
楽天RMSには4つのメイン機能があります。店舗に来たユーザーを満足させ、リピート購入してもらうために必要な機能も備わっていますので、ぜひ利用していきましょう。
- 店舗構築(R-Storefront)
- 受注管理(R-Backoffice)
- データ分析(R-Karte)
- メルマガ配信(R-Mail)
店舗構築(R-Storefront)
「店舗構築機能(R-Storefront)」では、楽天市場におけるトップページ作成や商品登録、自店舗の商品レイアウトなどを実施できます。
通常ECサイトを構築する際は、商品表示や決済機能を持つECカートシステムを導入する必要があり、システム選びから導入、テスト運用から本運用まで多くの時間を要します。
しかし、楽天RMSは楽天市場に特化した店舗構築機能であるため、商品レイアウトの不具合や、カート追加・購入に関する不具合が起こりにくくなっています。
さらに、PC版で登録した商品も自動でスマートフォン版表示に切り替わるため、年々増加しているスマートフォンユーザーからのアクセスにもスムーズに対応することが可能です。
受注管理(R-Backoffice)
「受注管理機能(R-Backoffice)」を用いて、新規注文内容や決済状況、配送状況などの確認を可能にすることで、バックオフィス業務を幅広くカバーできます。
また、自社商品を注文したユーザーに対して送付する「サンクスメール」や「発送案内メール」なども受注管理機能のタブで処理が可能です。
各商品に対して1つずつメールを送信するのではなく、複数の商品注文に対して一斉送信を行えるため、作業の効率化も期待できます。
データ分析(R-Karte)
EC事業運営では、売上目標から逆算してアクセスデータ・受注データを分析します。
例えば売上目標500万円、客単価5,000円、転換率5%の店舗の場合、この店舗に必要なアクセス数は20,000人です。
楽天RMSでは「データ分析機能(R-Karte)」を使って、「売上=アクセス人数×転換率×客単価」をトップページで確認でき、直感的に当月は売上が改善されたのか、あるいは悪化したのか、といった判断ができるようになっています。
また、分析画面では以下のようなデータを分析できます。
データ分析の切り口は、EC事業運営の売上の公式である「アクセス数」「転換率」「客単価」の3つから実施できるため、「施策の結果が売上にどう影響を与えているのか」視覚的にチェックが可能です。
メルマガ配信(R-Mail)
「メール配信機能(R-Mail)」は、商品の受注・発送以外の部分で顧客とコンタクトを取るために使用します。
例えば、自社メルマガとして隔週に1回、新着情報を伝えたり、クーポンを配布したりする際に活用できます。
また、自社メルマガ会員を様々な条件によって絞り込むことが可能で、特定の条件を満たしたユーザーに向けてメール配信を行えます。
絞り込み条件の細かさや、メール配信のタイミングを調整することで、ロイヤルカスタマーの創出を狙うことも可能です。
以下に絞り込み条件の一例を記載しますので、抽出イメージとしてご活用ください。
【ユーザーアクションによる絞り込み】
・購入期間・・・購入した日付・期間を指定
・購入回数・・・購入した回数
・利用サービス・・・資料請求・問い合わせ・定期購入などに応じて絞り込み
【ユーザー属性による絞り込み】
・会員ランク・・・非会員・レギュラー・プラチナなど
・都道府県・・・「北海道のユーザー」だけを絞り込み
・性別・・・男性・女性・不明
・年齢・・・20歳~29歳までを絞り込み
・誕生月・・・10月生まれのユーザーだけを絞り込み
これらの項目を組み合わせて抽出条件を決め、作成したメールを一斉送信できます。
楽天RMSのそのほかの便利機能
楽天RMSには4つのメイン機能に加えて、2つ便利な機能が搭載されています。
- 画像登録管理機能
- 動画登録管理機能
画像登録管理機能
画像登録管理機能では、商品ページで使用する商品画像や、「メルマガ配信(R-Mail)」で配信する画像の登録・管理が可能です。
登録する商品数が多くなれば多くなるほど、画像の管理は煩雑になってしまいますが、画像登録管理機能を活用することで、登録画像の一覧検索や用途に合わせたリサイズ、一括削除などを行えるため、効率的に管理できます。
動画登録管理機能
動画登録管理機能では、カメラや携帯などで撮影した動画をそのままアップロードすることができます。
アップロードできる動画ファイル1つあたりのサイズは「200MB」までとなっていますので、アップロード前に確認しておきましょう。
楽天RMSはさまざまなファイル形式に対応していますが、不具合が生じる場合などはカスタマーサポートに問い合わせましょう。
【2024年最新】楽天RMS仕様変更
楽天RMSにおける主な変更点は以下の2つです。
- 時間単位のデータ提供
- 新たな分析軸の追加
従来のRMSの店舗カルテ売上分析では、数値分析が可能な集計期間は「全期間」「2か月以内の任意期間」「月ごと」または「日ごと」 まででした。しかし、今回の仕様変更によって、日次カレンダーで2日以内が選択された場合、1時間単位の売上データの表示、前年同日や月商別平 均値(同サブジャンル内)などの比較も可能になっています。
そして今回の仕様変更で、「新規・リピート(1回、2回、3回、4回以上)別売上」「性別・年齢・性別×年齢別売上」「商品ジャンル別売上(TOP10)」「クーポン利用売上」「ポイントアップ適用売上」が追加され、前年同日および月商別平均値(同サブジャンル内)との比較、売上推移グラフまたは数値表での確認もできるようになりました。
また、仕様変更に伴い、なくなった機能としては、以下の2つが挙げられます。
- 検証可能な項目が「人数比率」ではなく「金額と件数のみ」になった
- 店舗カルテ内のタブの詳細がcsvで出力できなくなり、「表をコピー」というコピー機能のみとなった
とはいえ、全体を通して詳細な比較検証がやりやすいようになったため、活用できれば売上アップが期待できます。
まとめ
楽天RMSは、楽天市場で売上向上を目指す事業者にとって欠かせない店舗運営システムです。
はじめは4つのメイン機能の使い方を覚え、徐々に売上分析や集客施策の改善へと踏み切っていく流れが基本となります。
その後に余裕が出てきたら、楽天市場の最新アップデート情報を確認し、自店舗の売上改善に活用できる機能はないかチェックしましょう。
楽天RMSに関するよくある質問
- 楽天RMSとは何ですか?
- 楽天RMSとは「Rakuten Merchant Server」の略称で、「楽天市場における店舗運営システム」を指しています。楽天RMSを活用することで、楽天市場に出店するEC事業者様は、ショップページの作成や決済、メルマガ配信、アクセス分析など、EC店舗運営に欠かせない作業を統合管理できます。
- 楽天RMSのメール配信機能とは?
- 「メール配信機能(R-Mail)」は、自店舗の商品を購入したユーザーや、メルマガに登録したユーザーにメールマガジンを送信できる機能です。商品の受注・発送以外の部分で顧客とコンタクトを取るために使用します。例えば、自社メルマガとして隔週に1回、新着情報を伝えたり、クーポンを配布したりする際に活用できます。また、自社メルマガ会員を様々な条件によって絞り込むことが可能で、特定の条件を満たしたユーザーに向けてメール配信を行える特徴があります。