グローバルビジネスの基礎知識⑮~原産地規則
海外渡航が困難な状況が長期化する一方で、貿易取引については依然として活発に行われています。
国内でのEC事業から、新たに海外進出を計画されている方も多いのではないでしょうか?
グローバルビジネスの基礎知識をお伝えしている本連載の第十五回は、原産地規則についてお送りします。
原産地証明書
輸入品についての税率適用の際、WTO協定を適用する場合、特恵関税を提供する場合、EPA協定を適用する場合の三つの場合には原産地証明書が必要となります。
各場合を順にご紹介します。
WTO原産地証明書
輸入する貨物について、WTO協定に規定する便益である協定税率の適用を受けるためには、協定税率の適用のための原産地証明書を提出しなければなりません。
輸入貨物の原産地が記載され、かつ、当該貨物の原産地、仕入地、仕出地もしくは積出地にある本邦の領事館もしくはこれに準ずる在外公館またはこれら地の税関その他の官公署もしくは商工会議所が発行したものが求められます。
特恵原産地証明書
特恵関税(開発途上国の経済発展を援助するために、途上国等からの輸入品について、一般の関税率よりも低く設定する制度)を適用する場合、特恵受益国または特別特恵受益国の原産品であることを証明する必要があります。
特恵関税の原産地証明書は、輸入物品が特恵受益国原産品であることを証明する書類であって、その証明に係る物品の輸出の際に、原産地の税関や官公署もしくは商工会議所が発行したものが求められます。
EPA締約国原産地証明書
EPA締約国から輸入する貨物について、EPA協定に規定する関税等の便益の適用を受けるためには、その輸入申告に際して、税関長に対して締約国原産品であることを証する書類として締約国原産地証明書または締約国原産品申告書を提出しなければなりません。
なお、上記のいずれの場合でも課税価格の総額が20万円以下のものや貨物の種類、商標または仕入書等(または形状)によりその原産地が明らかなもの、特例申告貨物については原則提出が不要です。
以下、課題と対策についてもお伝えします。
スパゲティボウル現象
FTA/EPA協定が世界的に増加する中で、各協定で異なる措置が規定されることによって通関手続きが複雑化し、ボウルの中のスパゲティのように各協定が交錯し煩雑化してしまう「スパゲティボウル現象」が指摘されてきました。
原産地規則はその代表例としてしばしば取り上げられます。
スパゲティボウル現象は、WTOにおける新たなラウンドが妥結しない状況下においても、RCEPやTPPなどのメガリージョンでの協定が推進され、域内での統一ルール化を目指す動きの要因の一つとなっています。
以上、グローバルビジネスの基礎知識として原産地規則をお伝えしました。
弊社では世界29か国・地域で約2000社のバイヤーとオンラインでマッチングできるB2Bプラットフォーム「シェイカム」を提供しています。当社のパートナー企業である、29の国と地域2,000社の海外主要小売店のバイヤーとマッチング可能で、海外企業との商談経験が豊富な当社のコンサルタントと一緒に営業商談を行えます。
よろしければぜひご相談ください。