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欧州でもEコマースが続伸、オンラインの買い物での欧州の中心国とは!?

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欧州でもEコマースが続伸、オンラインの買い物での欧州の中心国とは!?

Ecommerce EuropeEuroCommerceが2021年9月23日に共同で発表した「2021 European Ecommerce Report」によると、欧州全体での  Eコマース(B2C)の売上高は7,570億ユーロで、2019年に比べて約10%増加しました。世界的な感染拡大に見舞われるなかで、Eコマースは欧州の社会経済にとって重要な役割を果たしています。欧州各国の市場規模や最新トレンドをお送りします。

欧州のEコマースの中心はイギリス

2020年春からのロックダウンを含む強力な外出抑制は、Eコマースにおける商品販売を強力に後押ししました。他方で、観光大国の多い欧州ということもあり観光・サービス分野(イベントのチケットなど)の売上が大幅に減少したことは大きな打撃ともなり、全体としてのEコマースの成長は対前年比で約10%ポイント増と小幅な増加にとどまりました。

Eコマースの欧州国別の売上高は、

1位 英国 2,360億ユーロ
2位 フランス 1,120億ユーロ
3位 ドイツ 936億ユーロ
4位 スペイン 684億ユーロ

と、英国が2位のフランスを倍以上引き離してのトップとなりました。

同調査によれば、欧州のインターネット利用率は引き続き上昇し、2020年には89%に達しました。また、以下のグラフの通り、オンラインショップでの購入者が増加しており、2020年にはオンラインショップで一度でも買い物をした人の割合は71%と、2019年の66%から5ポイント増加しました。2021年にはさらに増加し、73%に到達することが見込まれています。

(出典:2021 European Ecommerce Report

オンラインで買い物をした人の各国での割合は、

1位 英国 92%
2位 オランダ 91%
3位 デンマーク 90%
同3位 スイス 90%
5位 ドイツ 87%
同5位 ノルウェー 87%
7位 スウェーデン 86%

となりこちらも、こちらも英国が僅差ながらトップとなりました。

2020年2月に英国は、正式にBrexit(英EU離脱)を行いましたが、欧州経済におけるEコマースは依然として、英国がその中心であるということができます。

※同調査の欧州の対象は、EU加盟国に限らない、東欧・西欧・北欧・南欧の広義の欧州37か国

成長の中心は東ヨーロッパ

一方で、Eコマースの売上高の対前年比での伸び率としては、

1位 ギリシャ 77%増
2位 モルドバ 49%増
3位 ロシア 41%増
4位 スイス 37%増
同4位 北マケドニア 37%増

となり、これまでEコマースが浸透していなかった東欧諸国を中心に急伸が見られました。

デジタル化とグリーン化がトレンドキーワード

2020年は、小売業界に大きな変革が生じましたが、2021年においても激震は続いています。

具体的には、欧州における店舗の「デジタル化」と「グリーン化」をキーワードにしたトレンドの加速です。

欧州の消費者にとっては、日本よりもはるかに厳しい感染状況と強力な制限措置によるリアル店舗閉鎖の中でも、時間を気にせず買い物を続けることができるデジタル化のEコマースが生活を支える生命線となりました。欧州が被った感染拡大に伴う経済損失をEコマースが完全に補うことはできなかったものの、経済的なショックの一部はEコマースによって吸収され、人々の生活を支えたのは事実と言えます。

また、直近でのワクチン接種の進行や感染の減少にともない、ビジネス活動が徐々に再開している欧州各国の経済復興に向けた取り組みとしてグリーン化があります。脱炭素やゼロ・エミッションの達成に向けて、D2C・EC事業者にも物流におけるグリーンロジスティクス(トラック等の自動車輸送から鉄道や船舶等へのモーダルシフトや共同輸送、物流拠点の集約化などにより、CO2排出量を削減するなど、より環境にやさしい戦略的な物流を実現すること)への対応が今後日本以上に強く求められるようになることが見込まれています。

欧州における新たな規制の動向は、EUのGDPR(一般データ保護規則)に見られるようにやがては世界のスタンダードとして適用される傾向にあるため、日本国内の事業者においても注視していく必要があると言えます。

以上、デジタルシェルフ総研が欧州市場の動向についてお伝えしました。デジタルシェルフ総研では引き続き欧州市場のトレンドに着目した分析をお伝えしてまいります。

 

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