Amazonがアプリストア手数料を引き下げ、アップルやグーグルを意識か
Amazonは、一部の中小開発事業者のアプリストア利用料を削減することを決めました。対象はアップルとグーグルに倣って、収益が100万ドル未満の事業者としています。
Amazonは、AndroidとFire OSのアプリストアに、開発者側の負担を少なくし、より多くの開発者を引き付けるために、新プログラム「Amazon Appstore Small Business Accelerator Program」を2021年6月15日に発表しました。同プログラムは2021年の第3四半期より施行されます。
10%のAWSクレジットを中小開発者に提供
同プログラムは開発者のレベニューシェアを引き上げ、AWS(Amazon Web Services)クレジットオプションを追加するものです。
これまでAmazonアプリストアでは、アプリ内課金を含む収益の30%が手数料として徴収されていました。
同プログラムの開始時には、対象となるすべての小規模開発者は、ストアで得た売り上げの20%をAmazonに支払い、さらに、Amazonは売上の10%に相当する額のAWSプロモーション・クレジットを開発者に提供します。
これにより、Amazonは、小規模な開発者がAWSを使い始めることをクレジットを通じて支援することで、アプリビジネスの構築と成長をより容易にしたい考えです。
Amazonによると、モバイル開発者を対象とした最近の調査では、94%以上の開発者がアプリケーション開発に何らかのクラウドサービスを利用していると回答しているということです。
AWSを利用することで、開発者は200以上のフル機能を備えたサービスにアクセスすることができ、インフラの管理に費やす時間を減らし、顧客からのフィードバックやアプリケーションビジネスの成長に注力することができます。Amazonはグローバルな開発者コミュニティに対するこれらの投資は、Amazon Appstoreにさらなるイノベーションをもたらし、顧客のアプリの選択肢を増やすとしています。
アップル、グーグルの手数料の減額への対抗の意図
ライバル関係であるアップルとグーグルは、売上高の少ない開発者を対象とする手数料の引き下げを先行して発しています。Appleは今年1月1日より、「App Store」で年間売上高が100万ドル未満の開発者から徴収する手数料を30%から15%に引き下げています。
また、グーグルも同様に今年3月、「Google Play」ストアでデジタル商品やサービスを販売する年間売上高が100万ドルに達していない開発者に課す手数料を30%から15%に引き下げることを発表しています。
Amazonの動きはこれらの動きを指揮したものと思われます。
Amazonによると、今回のプログラムは、2021年10月から適用されますが、同プログラムはAmazon全体の開発者コミュニティを成長させ、サポートするために計画されている数多くのプロジェクトの1つにすぎず、計画の詳細については、今年後半に追加発表される予定ということです。
デジタルシェルフ総研は、今後もAmazonの最新動向について注目して分析をお送りしていきます。