【新年度へ必見!】2021年度のEC戦略の策定に最新のECトレンドを掴む
みなさん、こんにちは。ECマーケティング支援・D2C支援を提供する株式会社いつも.のコンサルタントです。
ECが急拡大トレンドに入った激動の2020年度から2021年度を迎えます。
本記事ではEC市場がどのような展望を遂げていくのかについて、2020年度に生じたECの最新トレンドから新年度を展望いたします。
2020年のECシフトの波に乗った企業は、事前準備ができていた
メーカーがECを活用して直接販売する「D2C」も定着し、すべての企業にとってECチャネル強化がテーマになった2020年度ですが、4月~6月にかけて、誰もが予想していなかった要因もありECシフトで急激に進んだことで、数多くの新規顧客が獲得できた企業も多かったかと思います。
初めてECで注文する顧客も多く、不慣れなことから注文していない店舗に問い合わせを行ってしまったりする人が現れるなど、一部の現場では混乱が生じるほどでした。
ECが躍進するなかでECの売り上げを伸ばした店舗が多いですが、特に事前に準備ができていた店舗ほど大きく売上を伸ばすことに成功しています。
例えば、花屋であれば、Googleで検索した際に、既に「誕生日 花」などのキーワードで検索順位が上がっていれば問題ありません。しかし、力を入れてSEO(検索エンジン最適化)に取り組んでいないと、もちろんこうした順位が上がりません。そのため、このような検索対策などを事前に準備できていたところはコロナ禍でもしっかり売れ、そうでないところはそれなりの結果となりました。
さらに、実店舗も合わせて持っている会社の中には、EC売上が大きく跳ね上がるようになると、上層部から「ECの方が実店舗より売れる、ECをより強化しよう」との号令が出され、現場が急いでEC事業の拡大の準備をするというケースも成長企業の特徴です。
どこからでも接点を持つ顧客の動きが加速
このようなトレンドの中、顧客の心理も変わりつつあります。
顧客は「どこで買っているかという」感覚が薄れています。好きなものを買ったのがネットであれ、実店舗であれ、アプリであれ、深く意識して購入チャネルを選んでいるわけではありません。
これは、あらゆるメディア・売り場で顧客との接点を作り、購入の経路を意識させない販売戦略を提供する「オムニチャネル化」の結果でもありますが、この顧客心理の変化を押さえていることが重要で、顧客満足度に対応するポイントになります。
特にわかりやすいのは「返品対応」です。顧客からすれば、ネットで買ったものを実店舗でも返品できない事態に遭遇すると不満足を引き起こすということになります。
例えば、顧客によってはダンボールに詰めるのが面倒なので実店舗に返品したいと考える人も多く存在します。ダンボールで返品する場合、梱包の方法が合っているかわからないし、面倒だから同じ店舗であるなら実店舗に持ち込んでしまいたいのです。ブランドへの満足度向上に繋がるだけでなく、持ち込みであれば来店ついでに他の商品を買うということも期待できます。
しかし、これが店舗の都合で返品対応できないとなると、買ったものがなぜ返品できないのかと不満を覚えることになりかねません。これまでは、顧客がネットと実店舗を分けて考えていたためこうした問題はあまり浮上しませんでした。垣根がなくなった今だからこそ問題になっています。顧客にとっては違いがよく分からない以上、店舗側は顧客心理の変化に対応せざるを得ないと言えるでしょう。
「新規参入企業VS先行企業」~広告合戦で価格が高騰も
こうした状況下で新規参入が増えると、元々ECに力を入れていた先行企業と新規企業の競争の構図が生まれます。
新規参入企業は当初、売上目標を大きく掲げるため、その分大きな広告予算をつけるようになります。新規参入が増えている今、様々な企業が色々な広告を入れることになりますが、ECの広告はほとんどが入札型のため、一時的に広告費が高騰することになっています。
新規参入企業は新規顧客をいかに獲得するか、先行企業は費用対効果をいかに上げることができるかがテーマになっています。
EC先行企業は、広告投資に対して思ったような効果が得られなくなる場合も予測されるため、選択肢として当面は我慢するということも考えられます。各社がしのぎを削っているため費用対効果が上がらず、思ったより儲からず、どこかで予算調整が入り、予算が下がるタイミングが訪れるでしょう。
EC新規参入企業についても、新規獲得のために予算ありきで広告に勝負をかけるのではなく、まずはページの作り込みなど、土台を整えることが必要です。大企業のように豊富な資金力で解決するところは出できますが、中小企業は一時的な戦いには参入せず、無理して入札金額で戦わない方が良い場合もあるでしょう。
特にリスティングが高騰してきており、コストをどこにかけるのかの見極めが非常に重要なタイミングとなっています。
インスタで購入を決めてから「ググる」
また、顧客の購買行動の変化として「とりあえず、ググる」をしなくなっていることがあります。
最初にInstagramなどのSNSを活用する人が増えており、口コミの「使ってみた」の感想の方がリアルに感じられ、そこで購入を決めてからGoogleで検索する「ググる」という購買行動が強まっています。
もちろん、いきなり楽天やAmazonで商品を探す人もいますが、SNSの口コミを見てから購入する商品を決めてその上で、「ググる」人が増えていることを踏まえて、SNSもしっかり対応しておきたいところです。
購買行動の多様化、SNSの小集団をいかに狙うか
さらに、行動の「多様化」と「小集団化」も特徴です。
一昔前は比較的単純でGoogle一本で、顧客の買い物経路が見えました。
ところが今は実店舗を見てからECで比較する人もいれば、ツイッター・YouTube・TikTokなど様々なSNSで情報を収集する人もおり、実に行動が多様化しています。
フォロワーが100万人いるインフルエンサーからの紹介も破壊力がありますが、今は逆に「フォロワーが少ない人」がターゲットとしては最適になっています。どんどん少集団になり井戸端会議化している傾向にあります。近所で集まって喋っていた内容が、そのままInstagramやTwitterで展開されているため、こちらでの身近な人の間での評判の方が信用されているのです。
かなりの手間が掛かる作業ですが、こういった小集団をいかに狙うかが今後のキーワードになっていくでしょう。
インフルエンサーも、今はキャラや癖が強かったり専門性があるなど差別化できていることのほうが重要で、マスの数だけを持っているインフルエンサーよりも売れる傾向にあります。これはつまり、マスが消滅したということを示唆しています。
ご近所インフルエンサーとでも言うべき、本当の口コミにまで分解されてきているのが現状です。これは企業にとってアプローチが難しい反面、ネットでモノを買うこと自体が定着したフェーズになっていることを意味しています。
初めて知ってもらう場所、2021年は「認知広告」元年に?
顧客が新しいものにチャレンジすることに抵抗がなくなっているという傾向が見えます。
たとえ失敗してもSNSでネタになると考えると、ユーザーが新しいものに対してバズりそうなことをリスク承知であえて試すことが見受けられます。こうした人は最初に紹介した、最初に見つけた、という事実が欲しいと考えています。誰かが同じ内容を紹介した際にも、「1年前から知っていた」と言いたい、先取りしたいという願望があるためです。
今までは認知してからしばらくの間、保守的に行動しコンバージョンする人が少ない状況がありました。これは「イノベーター理論」と言って、少数のイノベーターしか買わない時期があり、次いで「アーリーアダプター」という自信がある人しか買わない時期に移ります。その後ようやく一般に広まるわけです。
それが現在では、共有したいという意識が強くなり、積極的に面白いものを探し始めるようになっています。そうなると、「ネット上で面白いものをちょっと買ってネタにしよう」ということが起こり始めます。そのため、初めて知ってもらう場所が認知広告として2021年に特に重視されるようになり、2021年が認知広告の元年になるかもしれないと考えています。
以上、激動の2020年度を最新トレンドとともに振り返りました。
2021年度はECで更なる成長を実現する企業と何らかの理由で伸び悩む企業との差が鮮明になる年になると予想しております。ECシフトの大きな波にしっかりと乗って更なる成長を目指していただければと思っています。
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