公開日:2020年1月27日

ネット店舗の改善は「数」より「率」ECサイトの購入率の改善ポイント

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ECサイト運営の現場では、リアル店舗を運営していたときには、耳にしなかった用語が多く飛び交っています。その代表格が「率」です。

購入率、離脱率、転換率、直帰率、入会率など、さまざまな率があり、そのうえ「1.08%」といった具合に、実に細かな数値であることに、業界に入ったばかりのEC担当者は戸惑いを覚えることも多いことでしょう。

そこで今回はECサイトの改善で重要とされる「率」の話、とりわけ「購入率」の改善方法について解説していきます。購入率の改善がECサイトにとっていかに重要か、考える機会になれば幸いです。

売上に大きな影響を及ぼす購入率の考え方とは

ECサイトにおける「購入率」とは、ECサイトに訪れたユーザーのうち、商品を購入したユーザーを割り出した値です。ECサイトに訪れたユーザーとは、リアル店舗でいう「入店者数」を意味しており、「ECサイトに入店したお客さんのうち、何名が購入に至ったのか」を表す指標となります。

リアル店舗の小売店では、入店者数を正確に数えるのは難しいでしょう。大まかに「1日300人くらい入店して30人買っているから、購入率は10%くらい」といった程度の捉え方で、「率」を気にしながら運営することは、大企業を除くとあまりありません。

一方、ECサイトでは、ショッピングモールが提供するアクセスデータや、「Googleアナリティクス」などのアクセス解析ツールで得られる分析データで、お客さまの動きを細かい「率」で掴むことができます。

分母(リアル店舗の入店数、ECサイトの訪問数など)が、1日10,000人など、同程度の売上を持つリアル店舗より多いため、「1.5%」と「1.8%」では大きな違いがあるのです。

例えば、訪問数が月10万人のECサイトで、平均単価が4,000円、購入率が1.5%の場合、購入者数は1,500人、売上は600万円となります。購入率が1.8%になると、購入者数は1,800人、売上は720万円と大きく違ってきます。


ECサイトでよく使われる4つの率

ちなみにECサイトの訪問者数から購入率を割り出す計算式は以下のようになります。

購入率=購入数÷ECサイトの訪問者数×100

例えば6月1日~6月30日までの1ヶ月の間に、ECサイトで200件の購入があり、ECサイトに訪れたユーザーの数が8,000人だった場合は以下のような計算式になります。

購入率=200÷8,000×100

200÷8,000は「0.025」となりますので、そこに100を掛けて、購入率は「2.5%」と割り出されます。仮に平均商品単価が5,000円だった場合、200件の購入を基に計算すると、
5,000×200で売上は1,000,000円です。

そのような状況から購入率が0.5%上昇した場合、購入率は3.0%、売上は1,200,000円となります。つまり0.5%の購入率の改善で、月20万円売上がアップするのです。

「率」の改善を図ることが重要

先述した購入率は一見すると差が少なそうでも、たった0.数%の違いで、数十~数百万円もの売上の差が生じます。それだけに、実際のECサイトの現場では「率」の改善が重要ポイントとなるのです。

「率」を改善する方法は、多種多様です。例えば直帰率(ユーザーが訪れた最初のページから、他のページに遷移することなくページを離脱する割合)を下げたいのであれば、リスティング広告とLP(ランディングページ)の一致度を高めるといった方法があります。

ECサイトの「直帰率が高い」ということは、ECサイトの当該ページに入ってくる前の段階(例えばリスティング広告)のイメージと、LPなどのイメージがユーザーの中で異なっている可能性があります。つまりユーザーが求めるイメージとの不一致により、各ページの直帰率は上がってしまうのです。

基本的に直帰率は下げることでECサイトに良い成果をもたらします。なぜなら「ユーザーが直帰しない場合」というのは、ユーザーが「AというLPで購入に至ったか」、あるいは「Bという商品ページに遷移したか」ということを意味しているからです。

つまり前者の場合は「購入数」に直結し、後者の場合は他の商品の購入をアシストする「回遊率」としてカウントされます。直帰率ひとつを改善の指標としても、色々な施策が思い浮かぶのではないでしょうか。

一方、購入率を上げるには、ターゲット層を絞り込みながらページの内容を改善する方法があります。

それぞれの「率」を改善する方法を実践していくことで、「率」は「1.5%」が「1.6%」といった具合に改善され、それらが複合的に絡み合い、積み重なって、ECサイトは成長するのです。

EC業界では、リアル店舗運営や普段の生活では馴染みのない「率」を理解して、数字を改善していく方法を増やすことが重要です。

では、実際どのようにして『率』を改善していけば良いのでしょうか。今回は売り上げを伸ばすために重要な購入率で確認してみましょう。

無難は閉店への第一歩/100人のうち1人に好かれる店作り

売上を伸ばすには、商品ページに訪れた人の購入率を増やすことが大切です。すべての人に購入してもらう商品ページを目指すより、最初は100人中1人の購入率(1%)を目指しましょう。

ここで重要なのは、ECサイト全体というよりも、商品ページ単体で改善を図っていくことがポイントということです。もちろんECサイトにもよりますが、商品ページやLPにそのままアクセスするユーザーも多く、商品ページの内容を確認した後、ECサイトのトップページなどには寄らずに購入へと進むケースも少なくありません。

つまり「商品ページへのアクセス」「商品ページの確認」「商品をカートに入れる」「購入フォームにて手続き」「購入完了」という一連のフローを改善することが重要なのです。余裕があればECサイト全体の改善を図っても良いのですが、作業工数と施策のインパクトを考慮するならば、商品ページの改善に努めるのが最初の取り組みとしては良いでしょう。

購入率は超繁盛店でも10%

ECサイトで売上を伸ばすには、

の3つの方法があります。

このうち、勘違いをしてしまいがちなのが「購入率」です。あなたは100人の訪問者のうち、何人に買ってもらいたいでしょうか。「100人」と考える人も多いでしょう。

しかし、万人に受けるサイトを作っても、1人ひとり全ての訪問者の心に響かせることは難しく、どっちつかずのサイトになってしまうと、100人のうち誰にも売れないという事態もあり得ます。

実は購入率は、超繁盛店でもせいぜい10%程度です。

最初から100%を目指すなんて、不可能なのです。これからECサイトを始めるのであれば、まずは100人の訪問者のうち、1人が購入してくれるお店を目指してください。

ただし、100人の訪問者は、あなたのお店に興味を持っている状態です。ある程度絞り込みがされている状況なのですから、ゼロの状態よりは、購入確率は高いといえます。

購入者や利用方法から絞り込む

100人のうち1人に買ってもらうために、商品ごとにターゲットを絞り込む必要があります。絞り込みの方法は主に以下の3つです。

商品の購入率改善のために、まず取りかかるべきなのが「ターゲットの絞り込み」です。例えばコロナ禍において「マスク」を購入したいユーザーは大勢いることでしょう。しかし街中のドラッグストアやショッピングモールなどでも購入できるマスクを、ECサイトで購入してもらうにはどうすれば良いでしょうか。

そこでヒントとなるのが上に挙げた3つの絞り込みです。一言でマスクとはいっても、大きさや形状、性能に差があります。そして用途や利用シーンによってもマスクは使い分けが可能です。そうした前提に立ってみると、あるマスクは購入者を限定して販売したり、利用方法を提案して販売したりすることができます。

またドラッグストアやショッピングモールなどの店頭で購入する場合との差を考えてみるのも良いかもしれません。店頭でマスクを購入する場合、利用者の口コミは把握できないですし、「店舗に到着してみて在庫がなかった」なんてことも想定されます。

そうした実店舗のデメリットを考えると、ECサイトでマスク購入を検討するユーザーの中には、「一度実店舗でマスクを購入しようとしたが、何らかの理由で購入できなかった/しなかった」というユーザーが潜んでいる可能性があります。もしそのユーザーが100人中1人でもいれば、ECサイトでのマスク販売は成功する可能性があるのです。

この場合の商品ページの改善は、マスクの機能・スペックを掲載するのはもちろんのこと、「実際に使用した感想」といった口コミ、具体的な利用シーンの提案や、「どんな状態の人におすすめのマスクなのか」などの訴求が必要となるでしょう。

また、ECサイトでの購入は商品到着までのタイムラグがありますので、「すぐにマスクを必要としない人」「今すぐに必要ではないが、オシャレのために必要と考えている人」など、よりターゲットを絞り込む必要があります。

様々な角度から絞り込みを行うと、必ずターゲットから漏れる人が発生します。もちろんお店としてはたくさんの人に購入してもらいたいですが、「どんな状況の人にも当てはまる商品は、逆に誰にも購入されない」といった事態を招きやすいので、マスクなどの商品を例にして販売イメージを膨らませると良いでしょう。

「購入者」を限定する方法

改めて絞り込みの方法を確認していきましょう。1つめは「購入者」を限定する方法です。あるハーブティ専門店では、母乳に悩む訪問者にターゲットを絞ったところ、売上を急速に伸ばしました。購入者の絞り込みでは「30代~40代女性」などと広くしがちですが、100人に1人でいいので、徹底的に絞り込むことが重要です。

購入者を絞り込む際は、「商品の効能や性能が解決するユーザーの悩み」をイメージすると良いでしょう。

いきなり購入者を絞り込むと、的が外れる可能性があるため口コミサイトの情報を参考にしたり、研究機関が報告する調査レポートなどでユーザーの利用調査を調べたりするところから始めます。調査を通じて、「母乳に悩むユーザーはハーブティを習慣的に飲むことによって悩みが解決されるかもしれない」といった仮説を導き出すことが大切です。

「利用方法」で絞り込む方法

2つめは「利用方法」で絞り込む方法です。ある醤油を販売する店舗では、扱っている醤油を、料理での使い方で4つの利用方法に分類しました。「料理の隠し味に」と、利用方法を限定した醤油は、同店の人気商品になっています。

「利用時期」で絞る方法

3つめは「利用時期」です。バレンタインデーや母の日など、利用する時期を絞ります。

絞り込んだらその理由を書き、納得させることが重要です。フランスのミネラルウォーター「コントレックス」は訪問者を「ダイエット中の人」と絞り込み、爆発的なヒットを記録しました。

秀逸なのは絞り込みの理由でした。「ダイエットに不足しがちなミネラルを補える」としたのです。訪問者は「ダイエットにいい水」と認識し、ヒットを呼んだのです。

また、いくらターゲットを絞り込んでも、その理由を商品紹介文などに書かなければ、決して売れません。お客さまへのアピールを忘れないようにしましょう。

その他に意識すべき購入率改善のポイント

購入率の改善に必要な対応は「商品ページの改善」だけではありません。先述したように、ユーザーの購入までのフローは「①商品ページへの訪問」「②商品ページの閲覧」「③商品カートへの追加」「④購入フォームでの手続き」「⑤購入確定」などが想定されます。

これらはユーザーが購入に至るまでに通過するタッチポイントとして認識すべきですので、それぞれの工程で改善を図る必要があります。

例えば秀逸な商品ページがあり、100人のうち10人がカートに商品を通過したとします。しかしそこから実際に購入に至ったのは1人しかいない、といった状況があった場合はどうでしょうか。

②と③の対応は完璧でも、④と⑤に何らかの問題が発生していると考えられます。これではせっかく秀逸な商品ページがあったとしても、購入率は1%となってしまいます。

仮にこうした事態に陥っている場合は、「購入フォームの改善」を行うことが重要です。ユーザーの状態や商品の性質にも左右されますが、基本的にユーザーは欲しい商品をカートに入れた後そのまま購入手続きへと流れます。

その際「使いづらい購入フォーム」や、「購入とは関係の無い情報を長々と入力しなければならない購入フォーム」が表示されている場合、ユーザーはなかなか商品の購入に至ることができません。これではせっかくカートに入れた商品も購入されることなく、「カゴ落ち」に繋がってしまうのです。

商品がカゴ落ちになってしまうのを防ぐためにも、購入フォームの入力工数は最小限に留め、スムーズに購入へと至れるようフォーム設計を見直す必要があるでしょう。

また同時に、カゴ落ちを防ぐために商品をカートに追加したのち、購入していないユーザーに対して送る「カゴ落ちメール」も実施すると、購入率の改善が期待できます。

購入率アップにはKPIの設計も重要

上述したように、購入率には商品ページだけでなく、ユーザーが購入に至るまでの工程の全てが影響します。例えばGoogleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを活用すると、ECサイト全体に訪れているユーザーの総数が確認できます。

そこから各商品ページに遷移した数や、商品をカートに追加した数、決済ページに進んだ数、実際に商品を購入した数、などが具体的な数値として可視化できるようになっています。

こうした各工程の数をKPIとして設定し、それぞれの値を増やすための施策を展開しましょう。購入率の改善施策の成果を確認するため、施策の実施前はGoogleアナリティクスなどを使って現状を可視化することがポイントです。

データを継続的に記録することで、現状では理解できない値も、将来のある時点で重要な改善指標として機能する場合がありますので、実際の数値をベースにしたKPIの設定を習慣付けましょう。

購入率が低いというときに考えられる原因も理解しておこう

「購入率の低さ」には様々な原因が考えられます。商品ページの改善を行ったり、購入フォームの改善を図ったりすることで成果が見られる場合もありますが、それでも購入率が低い状態が続くこともあるかもしれません。仮にそのような状態に陥った場合は、ECサイト全体の使いやすさなどに目を向けてみましょう。

昨今はどのようなWebサイトも、ユーザーにとって使いやすいUIであることが必須条件となっています。ユーザーが自社ECで買い物を楽しむ間、不自由に感じてしまうシーンはないか、あるいはページから感じる印象と商品の間にギャップはないか、といったチェックも必要です。実店舗をお持ちの事業者様には、お店の空間作りなどと重なる部分があるかもしれませんね。

売上アップに取り組むための「戦略・計画」の鉄則

購入率を改善するだけでも売り上げを伸ばすことには繋がりますが、ほかにも離脱率、転換率、直帰率、入会率などさまざまな『率』があり、これらが掛け算となってECの売上は成り立っています。

この『率』が0.1%でも変動すると大きく売上金額が変動するため、どんな施策がどのように数字に影響を与えているかしっかり確認しておくことが鉄則です!

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