売上に大きな影響を及ぼす購入率の考え方とは

ECサイト運営の現場では、リアル店舗を運営していたときには、耳にしなかった用語が多く飛び交っています。その代表格が「率」です。

購入率、離脱率、転換率、直帰率、入会率など、さまざまな率があり、そのうえ「1.08%」といった具合に、実に細かな数値であることに、業界に入ったばかりのEC担当者は戸惑いを覚えることも多いはずです。

リアルの小売店では、入店者数を正確に数えるのは難しいでしょう。大まかに「1日300人くらい入店して30人買っているから、購入率は10%くらい」といった程度の捉え方で、「率」を気にしながら運営することは、大企業を除くとあまりありません。

一方、ECサイトでは、ショッピングモールが提供するアクセスデータや、「Googleアナリティクス」などのアクセス解析ツールで得られる分析データで、お客さまの動きを細かい「率」で掴むことができます。

分母(リアル店舗の入店数、ECサイトの訪問数など)が、1日1万人など、同程度の売上を持つリアル店舗より多いため、「1.5%」と「1.8%」では大きな違いがあるのです。

例えば、訪問数が月10万人のECサイトで、平均単価が4,000円、購入率が1.5%の場合、購入者数は1,500人、売上は600万円となります。購入率が1.8%になると、購入者数は1,800人、売上は720万円と大きく違ってきます。

「率」の改善を図ることが重要

一見すると差が少なそうでも、たった0.3%の違いで120万円もの売上の差が生じるのです。それだけに、実際のECサイトの現場では「率」の改善が重要ポイントです。

「率」を改善する方法は、多種多様です。直帰率を下げたいのであれば、リスティング広告とLP(ランディングページ)の一致度を高めるといった方法があります。

一方、購入率を上げるには、ターゲット層を絞り込みながらページの内容を改善する方法があります。

それぞれの「率」を改善する方法を実践していくことで、「率」は「1.5%」が「1.6%」といった具合に改善され、それらが複合的に絡み合い、積み重なって、ECサイトは成長するのです。

EC業界では、リアル店舗運営や普段の生活ではなじみのない「率」を理解して、数字を改善していく方法を増やすことが重要です。

では、実際にどのように『率』を改善していけば良いのでしょうか。今回は売り上げを伸ばすために重要な購入率で確認してみましょう。

無難は閉店への第一歩/100人のうち1人に好かれる店作り

売上を伸ばすには、商品ページに訪れた人の購入率を増やすことが大切です。

すべての人に購入してもらうことを目指すより、最初は100人中1人の購入率を目指しましょう。

購入率は超繁盛店でも10%

ECサイトで売上を伸ばすには、

1.アクセス数=サイトへの訪問者を増やす

2.購入率=訪問した人の購入する割合を増やす

3.客単価=1人あたりの購入金額を増やす

の3つの方法があります。

このうち、勘違いをしてしまいがちなのが「購入率」です。あなたは100人の訪問者のうち、何人に買ってもらいたいでしょうか。「100人」と考える人も多いでしょう。

しかし、万人に受けるサイトを作っても、1人1人全ての訪問者の心に響かせることは難しく、どっちつかずのサイトになってしまうと、100人中の誰にも売れないという事態もあり得ます。

実は、訪問者対購入者数の購入率は、超繁盛店でもせいぜい10%程度です。

最初から100%を目指すなんて、不可能なのです。これからECサイトを始めるのであれば、まずは100人の訪問者のうち、1人が購入してくれる店を目指してください。

ただし、100人の訪問者は、あなたのお店に興味を持っている状態です。ある程度絞り込みがされている状況なのですから、ゼロの状態よりは、購入確率は高いといえます。

購入者や利用方法から絞り込む

100人のうち1人に買ってもらうために、商品ごとに絞り込みます。絞り込みの方法は、3つあります。

1つめは「購入者」を限定する方法です。あるハーブティ専門店では、母乳に悩む訪問者にターゲットを絞ったところ、売上を急速に伸ばしました。購入者の絞り込みでは「30代~40代女性」などと広くしがちですが、100人に1人でいいので、徹底的に絞り込みます。

2つめは「利用方法」で絞り込む方法です。ある醤油を販売する店舗では、扱っている醤油を、料理での使い方で4つの利用方法に分類しました。「料理の隠し味に」と、利用法を限定した醤油は、同店の人気商品になっています。

3つめは「利用時期」です。バレンタインデーや母の日など、利用する時期を絞るのです。

絞り込んだらその理由を書き、納得させることが重要です。フランスのミネラルウォーター「コントレックス」は訪問者を「ダイエット中の人」と絞り込み、爆発的なヒットを記録しました。

秀逸なのは絞り込みの理由でした。「ダイエットに不足しがちなミネラルを補える」としたのです。訪問者は「ダイエットにいい水」と認識し、ヒットを呼んだのです。

また、いくらターゲットを絞り込んでも、その理由を商品紹介文などに書かなければ、決して売れません。お客さまへのアピールを忘れないようにしましょう。

売上アップに取り組むための「戦略・計画」の鉄則

購入率を改善するだけでも売り上げを伸ばすことには繋がりますが、ほかにも離脱率、転換率、直帰率、入会率などさまざまな『率』があり、これらが掛け算となってECの売上は成り立っています。

この『率』が0.1%でも変動すると大きく売上金額が変動するため、どんな施策がどのように数字に影響を与えているかしっかり確認しておくことが鉄則です!

この記事を書いた人

立川 哲夫
立川 哲夫
株式会社いつも. 上席コンサルタント
DtoCモデル構築支援、中国・台湾・ASEAN・アメリカ等グローバル進出支援
大手メーカー・老舗企業のECスタートアップ、DtoCモデル構築、海外展開支援を行っている。企業向けEC研修・セミナーの講師・EC業界専門紙・メディアへの寄稿も多数行う。