家業から企業へ No.2育成の重要性
家業から企業へと進化する上で、仕入れや販促など全体の業務を俯瞰できる「番頭さん」のような人材は大変重要です。今回はそんな「番頭さん」の育成方法とEC事業の在り方について触れていきましょう。
まずは「店長」の上のステージを組織内に設ける
こうした「番頭さん」のような人材は自社で育てて社内から出てきたほうが好ましいでしょう。外部からポンと採用しても、その人が会社とフィットするかどうかは分からないためです。
そこで「番頭さん」の育て方の1つとしては、これまでショップの「店長」の中で実績を積んできている人を、一度外すという方法があります。そしてワンランク高いポジションである“番頭職”に就かせるわけです。
実績があり上昇志向がある店長を従来とおり1つのショップの店長ということを続けていると、これまでのように売り上げが倍々で伸びないため、モチベーションが下がり、結果的に離職につながるというケースも想定されますし、能力のある人は新たな可能性を求めて他社に移る可能性もあります。以上を考慮すると、離職を防ぎ会社を大きくするという2つの意味から、有能な人材を次のステージに抜擢することが企業にとって大切になってきます。
もちろん店長を外して番頭にするというのは簡単ではありませんが、社内にはこれまで叩き上げで実績を積んできたという人材も多いと思われます。そうした人を上の段階に引き上げることが求められますが、会社としても「番頭さん」のようなポジションを新たに設けるという組織のビジョンを打ち出すことが必要でしょう。そして例えば数人の候補者を選び、それぞれに実際の業務を担当させた上で適任と思われる人に、今で言う「EC事業部長」のような任務に就いてもらうというやり方も良いかもしれません。
いずれによせ、「番頭さん」であれ、「EC事業部長」であれ、「ナンバー2」であれ、呼び方は何でもいいですが、とにかくそうしたポジションや体制をまず作ってしまうことが先決だと思われます。その上で、有能な人に任せることで、そのポジションや立場そのものが、人材を育てていくということが起こるのではないでしょうか。
“家業”から“企業”への脱皮を図る
先述したように小売業などを見ていても、社長が仕入や販促などの実務から離れることで会社が伸びるというケースがよくあります。これまでとやり方や担当者が変わるため、経験の浅いバイヤーが仕入れで失敗するなど、様々なミスが発生することも想定されます。そうした部分は経験者がある程度フォローやコントロールをしながら、辛抱強く職務を移譲させていけるかがポイントになるでしょう。
これを言い換えると「個人経営」から「組織経営」にさせるということです。つまり「“家業”から“企業”へ」というわけです。会社の年商や従業員数によって、移行のタイミングなどもありますが、いずれにせよその際には「人材」と「組織」というのが重要になってきます。
こうした問題は、数年前であればほとんど考慮されませんでした。事業がぐんぐん成長しているため「人材」も「組織」も二の次という状況でした。しかし参入が増え競争環境も激しくなり、EC業界の成長が鈍化している今こそ、人材育成や組織づくりということに目を向けるタイミングかもしれません。
その意味でも事業の全体を指揮できる「番頭さん」をしっかりと育成し、一層の事業拡大につなげてもらえればと思います。
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