公開日:2022年8月26日

【最新版】Googleの新広告「P-MAX」の理解と検証結果

【最新版】Googleの新広告「P-MAX」の理解と検証結果

皆さま、こんにちは。D2C・ECマーケティング支援を手がける「株式会社いつも」で執行役員を務めております高木修です。今回は、昨年11月にリリースされたグーグルの広告サービスである「P-MAX(ピーマックス)キャンペーン」についてのお話となります。新しい広告でしたので、当社もクライアントである通販企業などと一緒に今年から色々とテストを行ってきましたが、非常に高い効果が認められました。6月1日にグーグルより発表された今後の改善内容と共に、その機能やメリットなどについて紹介していきたいと思います。

AIがグーグル内の広告へ横断的に自動出稿


まず、「P-MAX」についてですが、これは「パフォーマンス・マックス」という意味を持ちます。文字通り、成果の最大化を目指しているものですが、もう一つは「自動化」という特徴も持っています。つまりは広告効果の最大化に向けて、グーグルが提供する「ユーチューブ」、「ディスプレイ」、「検索」、「Discover」、「Gmail」、「Maps」といった全ての広告媒体に対して、横断的に自動で出稿ができるようになるというものです。


グーグルでのP-MAXの出稿先イメージ
引用元:https://blog.google/products/ads-commerce/performance-max/

これまで、広告主である企業は、グーグルに出稿する際に、代理店などと相談しながら自分たちでどの媒体に出すべきかを判断して決めていたかと思います。当然、最初はどの媒体で成果が出るかがわかりませんので、まずは広告予算の中で、ディスプレイを多めに出して、状況を見ながらユーチューブに切り替えていくなど、色々と試しながら調整をしていく形でした。媒体ごとに予算を考えて行っていたため、そこまで横断的に出稿することはできなかったと思います。
ところが、このP-MAX(ピーマックス)では、グーグルのすべての広告媒体の中から、広告主にとって最適な出稿先をAIが判断して自動で出稿してくれるのです。ここではグーグルアナリティクスのデータも使えますので、自分たちの顧客層に近い人達も自動でセグメントしてくれて、そこに対して広告を出すこともできます。グーグルでは以前より、同じくAIによる機械学習から自動で広告を最適化する「スマートショッピングキャンペーン」がありましたが、P-MAX(ピーマックス)はこれよりも出稿先の媒体の範囲が広くなるイメージです。
出稿に当たっては、グーグルの管理画面上にあるメニューを通じて行うことができます。最初に設定するのは広告で目指すゴールです。販売促進や見込み客の獲得、来店数の獲得、コンバージョンの向上などを設定することで、そのゴールを目指してAIが動いてくれます。
 広告主としては、広告の素材となるテキストや画像、また、ユーチューブも使うのであれば動画素材も準備する必要があります。もちろん、動画を使わない場合であれば用意しなくても構いませんし、動画以外の媒体の中だけでも最適な出稿先を判断してくれます。

テストでは広告効果が大幅に改善される事例も


今年に入ってから、当社のクライアントでテスト運用してみたところ、かなりの成果があらわれました。一例として、ROAS(広告の費用対効果)が900%だった案件で、運用後には3000%になったというケースもありました。

以前、グーグルではスマートショッピングキャンペーンと比較して、P-MAX(ピーマックス)は平均12%ほど広告効果が向上されると発表していましたが、当社のクライアントの中では2倍、3倍になるという案件がほかにもいくつか出ています。まだ、新しい広告なので、始めている企業数が限られており、競合が少なかったことで今のところはクリック単価も安かったということはありましたが、それでも驚きの効果が出たと考えています。やはり、広告予算が限られていると、「ディスプレイの次は、ユーチューブやGmailでもやりたい」という形で他のチャネルを次々と試すことは中々できません。そうすると、広告主にとって、本来最適であるはずの出稿先の媒体が抜け落ちてしまうという問題も出ていたのかと思います。
一方で、現状で考えられるデメリットとしては、分析が弱いというところです。今はどこに広告を表示したかという内容ぐらいしか分からないのですが、これに関しては、5月24日に行われたイベントの中で、今年中に新しい分析画面に変わることが発表されています。検索やコンバージョンの推移なども分かるようです。そのほかにも、P-MAX(ピーマックス)内でABテストができるようになったり、アプリでのキャンペーン管理、また、広告の最適化に向けて改善すべきポイントなども提示されるようになるとういうことが分かっています。

企業の広告運用負担を軽減


今回、グーグルが新しい広告を始めた背景について、大きくは2つの理由があるかと思います。1つはユーザーのプライバシーを守るためです。より自動化の作業を多くすることによって、人の手が個人情報にあまり触れずに広告運用をできるようになるということです。
 2つ目が、グーグルの中で広告の種類が多くなり過ぎたために、最適な運用方法を見つけることが難しくなっていたという問題があります。どの媒体に出稿すれば良いのか、キーワード選定はどうすべきかなど、極端に言えばプロでないと対応できないような領域になっていたのかもしれません。そうした中で、AIにすべてを任せられるようになれば誰でも手軽に運用できるようになりますので、企業の手間を大きく軽減することができるでしょう。
関連して、先日、利用者向けに案内されたのですが、既存のスマートショッピングキャンペーンについては、7月からすべてP-MAX(ピーマックス)に切り替わることが発表されました。こうした点からもいかにグーグルがP-MAX(ピーマックス)を強く押し出しているかが伺えます。
 感覚的な話になってしまいますが、P-MAX(ピーマックス)は「グーグルショッピング広告」が広がり始めていった時と近いイメージを感じています。かつて、グーグルショッピング広告が出始めたころ、世界的に見ても日本は利用率が非常に低い傾向にありました。それが、この3年くらい前から、急に成果を上げる企業があらわれて、急激に広まっていった印象があります。先日もあるクライアント企業と、最近の傾向として、キーワード広告への競合企業の出稿が減っていっている反面、グーグルショッピング広告への出稿は増えていっているという話をしたばかりです。それだけ、グーグルショッピング広告に顧客が流れて行っているということなのでしょう。
 いずれにしましても、今後はこのピーマックスが広告の主流になっていく可能性が非常に高いと思います。当然、早期に開始することが重要ですし、AIに運用を任せられる分、企業としては商品力を上げたり、明確なターゲットをつくるなど本来の業務に集中できるようになるのではないでしょうか。

※この記事は宏文出版株式会社の月刊ネット販売2022年7月号掲載の記事を基に再構成したものです。

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高木修
高木修
株式会社いつも 上席コンサルタント
EC戦略立案、海外ECリサーチ、「鉄則コンサルティング」プログラム開発責任者。いつも.式EC成長プログラムを多数開発。
アメリカ在住経験もあり、海外ECモデルにも精通。毎年アメリカ視察を行い、小売およびECの最新動向も収集し、日本での活用を提案している。

P-MAXに関するよくある質問

 

「P-MAX」は何の略?
「パフォーマンス・マックス」という意味を持ちます。文字通り、成果の最大化を目指しているものですが、もう一つは「自動化」という特徴も持っています。
P-MAXキャンペーンとは?
広告効果の最大化に向けて、グーグルが提供する「ユーチューブ」、「ディスプレイ」、「検索」、「Discover」、「Gmail」、「Maps」といった全ての広告媒体に対して、横断的に自動で出稿ができるようになるというものです。
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