小売店舗のDX最前線! アマゾン・フレッシュ in カルフォルニア 現地レポート
「デジタルシェルフ総研」世界の店舗視察企画。
世界で注目を集めるような面白い店舗など、現地から最新情報をレポートします。
今回ご紹介するアマゾン・フレッシュ(Amazon Fresh)は、アマゾンが運営する生鮮食品などを販売するスーパーマーケット業態です。
最初の店舗は2020年8月末にロサンゼルス郊外のウッドランドヒルズにオープンしており、今回は、全米2店舗目となるカリフォルア州アーバイン市の店舗を11月中旬、平日の午後に視察しました。
店舗全体の印象
品揃えは一般的なスーパーとほぼ同じです。
アマゾン傘下のオーガニックスーパーであるホールフーズで取扱っている商品もいくつか置いているものの、オーガニック食材については種類がかなり少ない印象です。
他にも、パンなどのアマゾン・フレッシュのオリジナル商品も見かけられました。
お店全体の印象としては、ロサンゼルス近郊のスーパーに比べると少し手狭な印象ですがオンラインオーダーにも対応しており、その注文の品を集めている店員が店内に沢山いました。
その他にも品出しなどをしている店員や返品商品を棚に戻している店員なども多人数おり、一般的なスーパーに比べると、店内にいる店員の数がかなり多い印象です。
店内が手狭なうえに、店員が多いので、全体的に混雑してる印象でした。
アマゾン・フレッシュ実店舗の一番の目玉 ダッシュカート
スマホアプリからQRを表示させ、ダッシュカートという専用のカートについているQRコードリーダーから読み込ませると、ダッシュカートのスクリーンが連動して買い物開始の準備が整ったことがわかるように表示されます。
ダッシュカートに商品を入れると電子音が鳴り、スクリーンに商品名、画像、価格などの詳細が表示されます。
買い物途中の小計を見ることができ、スクリーン上で買い物リストの作成も可能です。
カート内側上部の白く光る部分がセンサーになっていて、そこで商品を感知しておりカート内の商品がカートから出されると、それを感知し、スクリーン上から削除されるようになっています。
カート内の商品は、バーコードなどの他、重さでも認知されているようで、カートに乗せてあった紙袋を取り除いたときに重量が実際の重さと合致しなかったため、エラーが出てしまいました。
Amazonアプリとの連動
アプリ上で事前に買い物リストを作成しておくと、カートのスクリーンに反映されるようになります。
量り売りの肉や魚、デリのサンドイッチやピザなどを、買い物前、もしくは事前にアプリから注文しておくと、買い物しながらピックアップも出来ます。
通常のカートでの会計は一般的なスーパーと同じ会計方法ですがダッシュカートでの精算は、ダッシュカート専用レーンを通るとアプリに登録しているクレジットカードにて自動で精算されます。
清算後には白く光っていたセンサーが緑に変化しますが、アルコールなど、年齢確認が必要な商品を購入するとカート上部の白く光る部分が青くなり専用レーンで待機している係員が年齢確認を行います。
アマゾン傘下のスーパーならではの特徴
店内数か所に配置されているアマゾンが開発したスマートスピーカーのAlexa(アレクサ)が商品の陳列棚の場所を教えてくれたり、どんなチーズがワインと合うかなど買い物中の疑問や質問に答えてくれます。
アマゾンでの売れ筋商品のコーナーやアマゾンのカスタマーサービスのカウンターもあり商品の受け取りや返品が可能です。
アマゾンロッカーも配置してあり、商品の受け取りが可能でロサンゼルス近郊ではかなりの数が配置されており、半径5キロ以内に10か所以上あるエリアもあります。
また、アマゾンの電子機器の展示もありました。
店内で購入できるのか未確認ですが、ここで立ち止まっている人は一人も見ませんでした。
ちょっと気になる使い勝手の悪い部分
ダッシュカート利用の場合、大きな商品をカートに入れてしまうとセンサーをブロックしてしまい、自動精算の機能が働かなくなってしまいます。
大きなものを買う場合や、買い物が沢山あるときはダッシュカートは不向きでバーコードがついていない商品も感知しないため同商品のバーコードの付いているものを選ばないといけません。
野菜などの量り売りの物は、売り場にある電子はかりに乗せてはかりのスクリーン上で自分で商品を探して選び、そこから出てくるシールを貼りカートのスキャン部分で読み込む必要があるのが少し手間です。
また、ダッシュカートは店外に持ち出せないため、重いものを買ったときは一般的なカートに乗せ換えて店外へ出なければいけなく、そこで少し時間をロスしてしまいます。(店員が店入り口付近のカートを持ってきてくれます)
店舗視察まとめ
最新の技術で、会計やお買い物リストの事前作成、商品のピックアップの多様性など様々な面で革新的なサービスがある一方で、いくつかの改善すべき点も見られる結果となりました。
ただし、ダッシュカートをうまく利用すればレジ待ちもなくあらかじめ欲しい商品を効率的にピックアップして、快適にお買い物ができる点は従来のスーパーマーケットの不満点を大きく変革してくれるようなまさに最新の買い物体験を実感することができました。
ECの利用が進み、デジタルでの買い物体験が当たり前になるとレジに並んだり、広い店内から商品を探す「買い物行動」の一部が無駄に感じられ実店舗離れを加速させてしまうことが懸念されています。
しかし、今回ご紹介したアマゾン・フレッシュのように実店舗においてもデジタルの技術を融合することで買い物体験をストレスフリーにすることができれば、実店舗でのお買い物の楽しさを残して実店舗ならではの新しい買い物体験を実現することが可能になるでしょう。
今後、さらなるサービス改善が行われれば、買い物ストレスをより軽減して、利用者もどんどん増加していくのではないでしょうか。
※店舗の写真動画は訪問時に許可を得て筆者撮影