【2024年06月版】業界トレンドトピックス
2024年06月のEC業界のトレンドトピックスを抜粋して考察とともにご紹介します。
国内ニュース
LINEギフト、父の日当日の流通額が前年比168%を記録
LINEヤフー株式会社が、父の日当日において同社が展開する「LINEギフト」での流通総額が前年比168%(68%の増加)に達したと発表しました。尚、具体的な金額規模は発表されていませんが、相当な額と推測されます。同社の発表によれば、贈られた商品の第1位と第2位はビールのセットだそうです。これはLINEヤフーからの発表ですが、おそらくAmazonや楽天でも同様の傾向と推察されます。
あまり注目されていないかもしれませんが、ECを通じたギフトニーズは年々上昇していると考えられています。ギフトを贈るシーンは父の日、母の日、誕生日、敬老の日、結婚祝い、就職祝い、入学祝い、引っ越し祝いなど様々です。ECを利用すれば気軽にギフトを贈ることができます。ギフトに適した商品ラインナップの拡充や少し工夫したラッピングサービスなど、嗜好を凝らしてギフトニーズを取り込んでみてもよいのではないでしょうか。
参考:https://www.lycorp.co.jp/ja/news/release/008680/
航空会社がECモール事業を積極化
ANAグループのプラットフォーム事業を担う「ANA X株式会社」が中長期戦略で自社のECモール「ANA Mall」を拡大すると日本ネット経済新聞が報じています。また同紙は、「JAL Mall」を展開する日本航空系列の「株式会社JALUX」が、2024年5月にモール開始1周年を迎えるにあたり店舗数が大きく増えたとも報じています。
消費者にとってECモールの数が増えることは選択肢の増加になりますので歓迎したいところでしょう。この両社はそれぞれマイレージ会員をグループで保有しています。企業側の目線では、それらの会員情報をもとに独自の経済圏を構築したい意図があるものと思われます。今後の動向に着目したいと思います。
参考:【ANA Xに関する日本ネット経済新聞記事】https://netkeizai.com/articles/detail/11823
【JALUXに関する日本ネット経済新聞の記事】https://netkeizai.com/articles/detail/11760
2024年4月の宅配便の再配達率は4%_国土交通省が発表
国土交通省は、毎年4月と10月の年2回、定点観測的に宅配便の再配達率のサンプリング調査を行っています。直近の調査結果として、同省は2024年4月の再配達率が全体で10.4%であったと発表しました。内訳は「都市部」11.4%、「都市近郊部」10.0%、「地方」8.4%となっています。都市部>都市近郊部>地方の順で数値が大きい傾向に変化はありません。
なお全体の10.4%という数値について、半年前の2023年10月比で0.7%減少、1年前の2023年4月比では1.0%の減少です。わずかに状況は改善されてはいますが、依然として10%台をキープしており、再配達率が課題であることには変わりありません。ちなみに神奈川県トラック協会が今年4月に実施したアンケートによれば、20代の5割が2024年問題を知らないという結果が出たそうです。このことからも、再配達率の改善の道のりはまだ長いように思われます。
出典:国土交通省ウェブサイト https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000791.html
【神奈川県トラック協会発表】 https://www.kta.or.jp/pub/upload/2024press.pdf
Z世代
Z世代を対象としたシンクタンク「Z世代総合研究所」が行った調査によれば、TikTokショートドラマをきっかけに商品・ブランドを認知したことがあると回答したZ世代の回答率が7%とのことです。またZ世代の43.9%が、TikTokショートドラマ広告がきっかけで、商品の購入やサービスの利用経験があるとも回答しています。
ほとんどの場合、広告は消費者に対しダイレクトにアピールするスタイルです。しかしながら、ショートドラマの中にさりげなく商品を登場させるという間接的なアピール方法が、Z世代の消費マインドを捉えているということを、Z世代総研研究所の調査が示しています。ネット広告による販売効果で伸び悩んでいる事業者は多いと思います。そのような状況を打破する妙手として、今回の調査結果は参考になるかもしれません。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000094.000020799.html (発表元はZ世代総合研究所に参画する株式会社N.D.Promotion)
海外ニュース
中国の「618商戦」流通総額が昨年比で7%減少
京東(com)の設立日に当たる6月18日を記念日として2010年から始まった「618商戦」ですが、2024年は昨年比で流通総額が7%減少したと報じられています。ただし、減少したとはいえ流通額は日本円で約15兆円と巨大です。この金額規模は日本の1年間の物販系BtoC-EC市場規模に匹敵する規模です。
618商戦が前年割れした理由として、景気減速による消費者の購買柄欲の低下が指摘されています。中国は世界最大のEC大国ですので、自ずとその影響がEC市場にも表れたと見ることができるでしょう。11月11日には恒例の「独身の日」がありますので、こちらの商戦が前年比でどのように変化するのか注目しておきたいところです。
参考:https://www.cnbc.com/2024/06/20/chinas-618-e-commerce-festival-sees-a-decline-in-sales-for-the-first-time-in-8-years.html
TikTokとSHEINが韓国でのEC拡大を目指す
SHEINやTikTokといった中国の新たなECプレーヤーが韓国のEC市場にも参入しつつあるようです。これによって韓国のCoupang(クーパン)などのEC事業者が大きな打撃を受けるかもしれないと報じられています。韓国は日本よりも中国本土に地理的に近いため、中国側としてはより攻めやすい環境にあるかもしれません。
中国国内は景気減速による消費低迷でEC市場にも影響が及ぶことが想定されます。中国のEC事業者は積極的に海外戦略を推し進めようとしている様子がうかがえますが、背景にはそのような国内事業が関係しているのかもしれません。日本国内にもSHEINやTemuといった事業者が進出していますので、これからさらにその勢いが拡大することも想定されます。
参考:https://koreajoongangdaily.joins.com/news/2024-06-25/business/industry/TikTok-Shein-chase-ecommerce-expansion-in-Korea/2074953
今後も毎月、EC業界のニュースをピックアップしてご紹介いたします。