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【初心者向け】Amazon Marketing Cloud (AMC) とは?基礎からわかる導入手順と使い方

【初心者向け】Amazon Marketing Cloud (AMC) とは?基礎からわかる導入手順と使い方

近年のデジタルマーケティングにおいて、膨大な顧客データの活用は必要不可欠です。しかし、個人情報保護の観点から、適切なデータ管理と活用が求められています。
現在、企業が安全にデータ分析を行い、マーケティング効果を高める手段として「データクリーンルーム」が注目されています。 データクリーンルームとは、個人情報を安全に保護しながら、企業がマーケティングデータの分析や活用を行うことができる仕組みです。

本記事で解説する「Amazon Marketing Cloud(AMC)」も、Amazonが提供するデータクリーンルームの一つです。 AMCは、Amazonの膨大な顧客データと、企業独自のデータを組み合わせることで、より精度の高いマーケティング分析を可能にします。
本記事では、AMCの概要から導入手順、活用事例まで詳しく解説していきます。

データクリーンルームとは?


データクリーンルームとは、個人情報を安全に保護しながら、企業がマーケティングやビジネス分析などに必要なデータ分析を行うことができる仕組みです。

Amazon Marketing Cloud(AMC)もこのデータクリーンルームの一種であり、Amazonの膨大な顧客データと、EC事業者が保有している顧客データを安全に統合・分析することができます。

データクリーンルームが注目される背景

近年、個人情報保護法の規制強化や、プライバシー意識の高まりといった背景から、従来のCookieに依存したマーケティング手法は困難になりつつあります。

そこで注目されているのが、データクリーンルームです。データクリーンルームは、個人情報を安全に保護しながら、企業がマーケティングやビジネス分析に活用できる技術として期待されています。

Amazon Marketing Cloud (AMC) とは?


Amazon Marketing Cloud (AMC) とは、Amazonが提供するデータクリーンルームです。
セキュリティ対策がされた安全な環境で、自社が収集したデータ(ファーストパーティーデータ)とAmazon広告データをAMC上で突合することで、オンラインデータとオフラインデータを統合しての広告検証が可能になります。
従来のツールでは困難だった、Amazon内外のユーザーの行動を分析できるため、広告効果の可視化やユーザー心理の理解に役立ちます。

AMCでできること


AMC を活用することで、下記のようなことが可能になります。

例えば、ユーザーがAmazonで特定の商品を検索した後、外部サイトで広告をクリックして購入に至った場合、AMCを使えば、その一連の流れを分析できます。
このように、AMCは従来の分析ツールでは得られなかった深いインサイトを提供することで、マーケティング戦略の最適化を支援します。

インサイトの拡大

AMCでは、これまでAmazon広告管理画面では見られなかったAmazon広告のデータと、企業側で保有する顧客データ(ファーストパーティーデータ:1st Party Data)などを突合できます。これにより、従来の分析ツールでは得られなかった、より深いユーザー心理を分析・理解することが可能です。

Amazon内外を包括したカスタマージャーニーの把握

従来のマーケティング分析では、ユーザーの購買行動の一部しか把握できないことが課題でした。
例えば、ユーザーがAmazon内の広告を見て商品に興味を持ったとしても、他のECサイトで購入した場合、Amazonのデータ上では追跡できません。
しかしAMCを活用すれば、ユーザーのオンライン行動やオフライン行動を網羅的に分析することができます。
AMCはAmazon内外の行動を統合的に分析することで、ユーザー一人ひとりのカスタマージャーニーを可視化できます。

カスタムオーディエンスの作成

AMCでは、Amazon内外の膨大なデータをもとに、独自のセグメントを作成できます。
従来の広告ターゲティングではリーチできなかった潜在顧客層へのアプローチを可能にするため、広告効果の向上が見込めます。
作成したカスタムオーディエンスに対して、パーソナライズされた広告配信を行うことで、より効率的かつ効果的なマーケティング活動を実現できます。

AMCを活用した企業の成功事例


ここからは、Amazonが公表している「AMCを活用した企業の成功事例」を紹介します。

ユニセフ

ユニセフは、190の国と地域で活動する非営利団体として、世界中の子供たちの生活を改善することを目的に活動する団体です。
彼らは主に、新規寄付者への働きかけや、既存の常連寄付者との再交流を目的として、Amazonの広告であるAmazon DSPを使用してきました。
2022年にロシアがウクライナに侵攻したことを受けて、ユニセフはウクライナで困窮している子供たちを支援するための資金を迅速に集めたいと考え、ユニセフのニーズを分析した結果、注目度の高い危機によって、定期的に慈善団体に寄付している寄付者以外の寄付者の注意を効果的に引くことができると考えました。
寄付者情報を分析してAMCにアップロードし、年齢や特定の地域など同じ属性を持つユーザーグループのライフスタイルや関心セグメント、デバイスのエンゲージメントパターン、メッセージの好みなどを把握し、キャンペーンを展開しました。
その結果、当初の募金目標を上回る寄付金を集めることができ、困窮しているウクライナの子どもたちに重要な支援を提供することができています。
以前は寄付を繰り返す可能性が低いと分類されていた寄付者からの寄付額は、高額の寄付者からの寄付額よりも平均71%高くなりました。
参考:https://advertising.amazon.com/library/case-studies/unicef/?ref_=a20m_us_p_amc_rs_lbr_cs_unicef

Poppi

米国を拠点とする飲料ブランドのPoppiは、りんご酢を配合したプレバイオティクスソーダを専門としています。
マーケティング代理店であるTinuiti社はAMCを活用して、ストリーミングTV広告、オンライン動画広告、ディスプレイ広告、スポンサープロダクト広告を組み合わせると、他のどのメディアを組み合わせるよりも、商品詳細ページの閲覧率が高くなることを見い出しました。
こうしたインサイトを参考に、Tinuiti社は、Poppiがメディアミックス戦略と予算配分を微調整するよう支援しました。
結果、6か月足らずで、ブランド新規顧客は16倍に増加し、2022年第1四半期の広告に起因する売上の34%はブランド新規顧客の購入者となっています。
参考:https://advertising.amazon.com/library/case-studies/how-tinuiti-helped-poppi-grow-orders/?ref_=a20m_us_p_amc_rs_lbr_cs_poppi

AMCの活用で期待できる成果


AMCを活用することで、主に以下の成果が期待できます。

AMCは、データに基づいた広告戦略の実行と改善を可能にし、マーケティング目標の達成に貢献します。

ROASの改善

AMCを活用することでROASの改善が期待できます。細やかで精度の高いユーザー分析に基づいた広告配信によって、より効率的にユーザーにリーチできるためです。

【AMC活用によるROAS改善の例】

  • 広告費用の削減
  • コンバージョン率の向上
  • 顧客生涯価値(LTV)の向上
  • 購入数の増加

AMCを活用すると、これまで以上に細やかで精度の高いターゲティングと、より効果的な広告配信が可能になります。
その結果として、以下のような形でユーザーの購買行動を促進し、購入数の増加を期待できます。

これらの相乗効果によって、ブランドの認知度向上、ユーザーの購買意欲の向上、そして最終的な購入数の増加へと繋がっていきます。

Amazon DSPとは?


Amazon DSPとは「Amazonが提供するDSP(Demand-Side Platform)広告」を指します。
そしてAmazon DSPはAmazon広告の一種ですが、よく知られるスポンサー広告とは大きく異なる特徴を持っています。
それが広告が「Amazon内」だけでなく「Amazon外」にも掲載されることです。
Amazon DSPを活用する広告主は、自社商品の広告がAmazonの外にも露出されることによって、Web上を回遊する様々な状況のユーザーにアプローチできるようになります。
スポンサー広告は、主にAmazon内のユーザーに広告を表示するため、購買ファネルの中でも「購買に直結する層」へとアプローチできる特徴を持っています。
一方でAmazon DSPは、Amazon外のDSP広告枠を持つWebサイト(SSP側)に広告を配信できるため、購買ファネルの中でも「興味関心・比較検討の層」へとアプローチが可能です。
つまり、広告主はAmazon DSPを利用することで「現段階では自社商品の購入には至らないものの、将来的に自社商品を購入する潜在層」に広告を表示させ、中長期的に「購買に直結する層」を増やしていけるようになります。
Amazon DSPの大きな特徴は「Amazonの外に広告を表示できること」ですが、詳しい説明は下記で行っていますのであわせてご覧ください。

関連記事:Amazon DSPの広告の特徴・仕組み~配信方法まで解説

まとめ

本記事では、Amazon Marketing Cloud(AMC)について、その概要から活用事例を解説しました。
AMCは、Amazonの膨大な顧客データにアクセスし、分析、活用できる強力なツールです。
従来の方法では得られなかった深いレベルのユーザー心理を理解し、より効果的なマーケティング施策の実施が可能となります。
AMC導入を検討されている方は、Amazon DSPとあわせて利用を検討してみてください。

Amazon専門チーム
Amazon専門チーム
  
株式会社いつもが誇るAmazon専門チームが、Amazonにおける最新の集客支援の施策や運用のポイント、広告戦略についてお送りします。

Amazon専門チームは、Amazon専門のマーケティングセンターとして、全国のAmazon運営企業から大手メーカーまで豊富な実績を有しています。Amazon社内の担当者と都度打合せを行っており、現在のAmazonの動向や今後の動きなどを把握し、「今」ではなく「その後」の動きに合わせた対策を行うことができるのが強みです。

本ブログでは、米国での最新事例から、今後日本でも起こるであろうAmazonでの対応策まで、幅広くお伝えします。

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AMCに関するよくある質問

 

データクリーンルームとは何ですか?
データクリーンルームとは、個人情報を安全に保護しながら、企業がマーケティングやビジネス分析などに必要なデータ分析を行うことができる仕組みです。
Amazon Marketing Cloud (AMC) とは何ですか?
Amazon Marketing Cloud (AMC) とは、Amazonが提供するデータクリーンルームです。セキュアな環境で、セカンドパーティーデータ(2nd Party Data)とAmazon広告データをAMC上で突合することで、オンラインデータとオフラインデータを統合しての広告事後検証が可能になります。

従来のツールでは困難だった、Amazon内外の顧客行動を分析できるため、広告効果の可視化や顧客理解の深化に役立ちます。

Amazon DSPとは何ですか?
Amazon DSPとは「Amazonが提供するDSP(Demand-Side Platform)広告」を指します。Amazon DSPを活用する広告主は、自社商品の広告が「Amazon」の外に露出されることによって、Web上を回遊する様々な状況のユーザーにアプローチできるようになります。

AmazonDSPに関する記事は、以下の記事にて詳しく解説しておりますので、合わせてご覧ください。

関連記事:https://itsumo365.co.jp/blog/post-18905/

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