公開日:2024年10月17日

【2024年09月版】EC業界トレンドトピックス

業界トレンドトピックス

2024年09月のEC業界のトレンドトピックスを抜粋して考察とともにご紹介します。

国内ニュース

Amazonとリテールパートナーズ、福岡市とその周辺エリアで九州初の生鮮食品EC

Amazonは九州北部を中心に店舗を展開するスーパー「マルキョウ」をグループ会社に持つ株式会社リテールパートナーズと協業し、Amazon.co.jp上にマルキョウネットスーパーを9月25日にオープンしました。
Amazonが九州地方で生鮮食品のEC販売を提供するのは初めてとなります。Amazonはこれまでに「Amazonフレッシュ」(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)、「ライフ」(東京都、神奈川県、千葉県、兵庫県、京都府、大阪府)、「バロー」(愛知県)、「成城石井」(東京都、神奈川県、愛知県)、「アークス」(北海道)を展開しています。今回の提携によりさらに対象地域が拡大しました。
楽天は西友とのネットスーパー戦略の展開を図っており、Amazonはこれまで通り全国への拡大戦略を維持しています。ネットスーパーは日に日に競争が激化しています。今後の動向に注目です。

参考元:Amazonとリテールパートナーズ、福岡市とその周辺の一部エリアで九州地方初となる生鮮食品オンライン販売を本日から開始(Amazon公式ウェブサイト)

 

楽天、データに基づいた意思決定を支援する分析プラットフォーム 「Rakuten Analytics」を提供開始

楽天は、同社が保有する統計データを用いて顧客分析を可能とするツール「Rakuten Analytics」をリリースしました。
同社の発表内容によると「属性情報を実際の登録情報や購買行動などの事実に基づくものと、ユーザー行動から推計したものに分類し、その属性情報を基にした多角的なペルソナ情報の提供を可能にします。」とあります。またAI技術も活用しているとのことです。
楽天内のデータは閉じたものとなっていますが、そもそも膨大な顧客基盤であることに加え、楽天の様々なサービスの利用データが含まれていますので、より細かなペルソナ分析が可能ではないかと考えられます。世の中には様々な分析ツールがありますが、楽天から新たなツールが登場しことにより、出店店舗にとっては分析の選択肢が広がったことになります。

参考元:楽天、データに基づいた意思決定を支援する分析プラットフォーム 「Rakuten Analytics」を提供開始(楽天株式会社公式ウェブサイト)

 

ボイスコマースプラットフォーム「テレAIカート」が正式ローンチ

テレ株式会社が「テレAIカート」という新しいタイプのECカートシステムをローンチしました。
これは通常のECサイト同様に商品をタップし、カートに入れて「注文へ進む」をタップすると専用の電話番号が画面に表示され、自動音声にしたがって「氏名」「住所」などの情報を話すことで注文が完結するシステムです。同社はこれを「ボイスコマースプラットフォーム」と呼んでいます。
声で注文するスタイルはこれまでに見られませんでしたので、新しい顧客体験ということができるでしょう。特に画面入力の煩わしさを感じる消費者にとって利便性のあるECカートになるかもしれません。

参考元:ボイスコマースプラットフォーム「テレAIカート」を正式ローンチ (テレ株式会社公式ウェブサイト)

 

自動配送ロボットに宅配便ロッカー「PUDOステーション」を搭載した移動型宅配サービスの実証実験を北海道石狩市で開始

京セラコミュニケーションシステム株式会社、ヤマト運輸株式会社、そして宅配配便ロッカーのPUDOを運営するPackcity Japan株式会社は、自動配送ロボットにオープン型宅配便ロッカー「PUDOステーション」を搭載した移動型宅配サービスの実証実験を、北海道石狩市の一部エリアで2024年9月11日(水)から開始すると発表しました。
元々ラストワンマイルの配送負荷軽減を目的に、自動走行ロボットの導入が以前より検討されていました。
今回の実証実験はこれにPUDOを搭載したものになります。すなわち受け取りだけでなく発送までカバーしている点が特徴と言えるでしょう。
物流業界の人手不足は深刻化しています。このような取り組みが物流業界の課題解決につながることが期待されます。

参考元:車道を走行する無人自動配送ロボットにオープン型宅配便ロッカー「PUDOステーション」を搭載した移動型宅配サービスの実証実験を北海道石狩市で開始(京セラコミュニケーションシステム株式会社公式ウェブサイト)

 

令和5年度(2023年度)電子商取引に関する市場調査の結果について

経済産業省は2023年のEC市場に関する恒例のレポートを公開しました。2023年の物販系BtoC-EC市場規模は14兆6,760億円と前年比4.83%の増加、EC化率は9.38%と0.25%の増加という結果でした。
サービス系、デジタル系を含むBtoC-EC全体では24兆8,435億円と9.2%の大幅増加となっています。これはコロナが明けて旅行などサービス系分野の市場規模の拡大が大きく寄与したことがその理由です
またBtoB-EC市場規模は465.2兆円と前年比10.7%の増加、CtoC-ECは2 兆 4,817 億円と5.0%の増加となっています。越境ECについては、日本から中国消費者向けが2 兆 4,301 億円と7.7%増加、米国消費者向けが1 兆 4,798 億円と13.3%増加となっています。
全体的にそれぞれの市場規模は増加傾向を維持していますが、物販系BtoC-EC市場規模については伸びが鈍化してきており、市場の成熟化が少しずつ進行していると思われます。

参考元:令和5年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました(経済産業省公式ウェブサイト)

 

20代と60代のEC利用時の意識調査

EC事業関連ソフトウェア開発・販売を行う株式会社シナブルはECサイトで商品を購入したことがある20代と60代の男女を対象に「ECサイト利用時」の意識調査を行いました。
どのような時にネットショップを閲覧するかとの質問に対し「欲しい商品があるとき」が20代76.2%、60代85.8%とトップでした。また第2位は「セールをしているとき」であり、20代48.6、60代41.0%となっています。EC業界では頻繁にセールが行われており、それが消費者を引き付けていることを裏付ける結果です。
20代と60代で異なっている点をチェックしてみると、ECの頻度(20代が多い)、主に購入するもの(20代の1位は日用品・生活雑貨ですが60代は食料品)といった点が挙げられます。それ以外は概ね似通った傾向となっている点が興味深く思われます。20代も60代もECに対する基本的なスタンスに大きな違いはないということがわかります。

参考元:ネットショッピングをする際に便利に感じる機能が明らかに(株式会社シナブル プレスリリース)

 

海外ニュース

世界のEC市場規模は2029年に11.4兆USドル(約1,600兆円)に

英国のデジタル系調査会社Juniper Researchが世界のEC市場規模の拡大予測を発表しました。同社の予測では、世界のEC市場規模は2024年の7兆USドル(約1,000兆円)から2029年には63%増加の11.4兆USドル(約1,600兆円)に達するとしています。
同レポートでは、大幅な市場規模の増加は新興市場によるものが大きいとしており、新興市場ではクレジットカード以外の代替的な支払方法(APMs (Alternative Payment Methods))の影響が大きいだろうとしています。
デジタルウォレットなどクレジットカード以外の選択肢があることで、世界中のより多くの消費者がECで商品を購入することになると同レポートでは述べられています。
いずれにせよ世界のEC市場規模の拡大ペースは日本を大きく上回るため、日本企業にとっても商機と言えるでしょう。

参考元:Global eCommerce Market Poised to Reach $11.4 Trillion by 2029, Driven by Alternative Payment Methods(Juniper Research公式ウェブサイト)

Walmartのマーケットプレイスが急成長

米国の大手小売事業者「Walmart」のECについて、マーケットプレイス形式での販売が好調のようです。
元々Walmartが販売している商品以外のモノを、いわゆるマーケットプレイス方式で販売者に開放するというスタイルです。7月のセールイベント「Walmart Deals」で販売されたマーケットプレイス商品の数が、前年比12倍だったことを同社は明らかにしています。
日本でも、マーケットプレイスを導入すると発表した企業に、ニトリ、アイリスプラザなどがあります。マーケットプレイス化によって自前での商品にこだわらず、商品ラインナップを拡充することができます。マーケットプレイスと言えばAmazonが真っ先に思い浮かぶと思いますが、そうではない小売企業やメーカーもマーケットプレイス化によって商品ラインナップをア拡充できますので、今後の動向に注目です。

参考元:Walmart Marketplace Seller Summit: Here’s what you missed(Digital Commerce 360公式ウェブサイト)
 

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