海外動向

米アマゾン、出品者が顧客に直接メールで情報提供できる新ツールの試験運用

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「デジタルシェルフ総研」が米国におけるAmazonの最新動向についてお送りします。

米Amazonは出品者が新製品やセール情報を顧客に直接メールで送信できるようにする試験運用を開始しました。

ブランド・メーカーが初めてAmazonの顧客に直接メールを送り関係を築けるようになる新たな取り組みとなります。

厳しい顧客情報の管理体制から一転、出品者が顧客と交流が可能に!?

米Amazonは、出品者が新製品の発表やセールなどの情報をEメールで顧客に直接連絡できるようにする新機能のテストを2021年4月中旬より開始しました。

これは、返品や注文の問題などを解決する以外の目的での、顧客とAmazonで販売する企業との間の直接のやりとりを制限するという、Amazonのこれまでの方針からの大きな転換と言えそうです。

ただし、今回試行されている「Manage Your Customer Engagement(あなたの顧客関係を管理する(デジタルシェルフ総研翻訳)))」と名付けられた新たなツールでは、出品者が過去の顧客にプロモーションメールを送ることができるわけではありません。

また、販売する企業は、特定の企業をフォローすることを自ら選択したAmazonユーザーにのみ連絡することができ、実際にメールを送信するのは出品者ではなく、あくまで、米Amazonです。

つまり、ポイントは、米Amazonが販売者に顧客の個人的な連絡先情報へのアクセスを白紙委任しているわけではないということです。顧客の連絡先は、引き続き出品者に対して非公開となっています。

米Amazonは出品者に対し、何人の顧客がメールの受信を選択したかなどキャンペーンのマーケティングのパフォーマンス指標を伝えます。

この新しいメールキャンペーンは、出品者にとっては無料のサービスとなり、2015年から開始された米Amazonのブランド登録プログラムで登録されたブランドにのみ提供されるということです。

フォローワーの獲得がカギに、北米市場でのブランド確立を促進

この新ツールは、新製品やお買い得品の最も熱心な顧客との関係づくりにおいて新しい方法を提示することで、米Amazon顧客へのアプローチ方法をブランド・メーカーに付与する有益なものになることが期待されます。

ブランド・メーカーにとって、プロモーションや新製品の情報をEメールで顧客に送信できる機能には大きな価値があり、米Amazonで顧客にリーチする手段を新たに獲得することになります。

他方で、日々多数送られてくるメール情報に振り回されることに警戒感を持っている顧客にとっては、どの企業を米Amazonでフォローするのかを選択することにはなり、フォロワーの獲得が新ツールの活用においてカギとなりそうです。

こうした米Amazonの方針転換は、米Amazonが北米市場においてShopifyなどの競合に対してより優位に立ち、出品者の米Amazonにおけるサービス提供とブランドの確立を促進させる効果があるものと考えられます。

新ツールについては、米CNBCなど複数の米国メディアが報じています。

今回の取り組みが日本国内においても今後適用されるかどうかは定かではありません。
しかし、米Amazonのサービス展開が先行して進められ、やがて日本においても遅れて到来するということが一つのパターンとなっており、今後の国内におけるAmazonサービスを予測する上で有益な情報と言えるでしょう。

デジタルシェルフ総研は今後も米国におけるAmazonの最新動向と日本における展開について注目して分析しお送りしていきます。

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