中小EC事業者が大手と戦わず勝ち逃げるための品揃え戦略とは
中小EC事業者が大手と戦わず勝ち逃げるための品揃え戦略とは
「松竹梅の法則」を使ってプレミアムゾーンで勝ち逃げる
圧倒的な強さを誇る大手ECへの対抗策のひとつとしては、「高単価・高品質」の商品をそろえ、着実に利益を増やしていくことです。
売りたい高単価品を「竹」、超高価品を「松」、売れ筋価格品を「梅」とする「松竹梅の法則」が効果的です。
中小は大手の戦略を追従せず、増益ゾーンに注力
大手ECは、大量の商品を仕入れ、より安く、より早く届けることに力を注いでいます。
これは資本力があってこそ成せる技で、中小ECサイトは同じ戦略で対抗できません。
また、安くて高品質な独自ブランド(PB) 商品の市場も大手が占拠しているので、中小ECが入り込むのは大変です。
そんな中小のECが利益を残しつつ事業を拡大するには、「高単価・高品質」を売りにした、「プレミアムゾーン商品」の販売量を増やすという方法があります。
超高級と売れ筋の間に高単価品を
「プレミアムゾーン」とは、確実に利益を増やせるゾーンのことで、意図的にラインナップすることで「売れる商品」へと変えられます。
例えばアパレルで、売れ筋の「4,800円のカッターシャツ」よりも、「9,800円のカッターシャツ」の販売量を拡大し、利益を増やしたいとします。
もし「4,800円」と「9,800円」の2商品しかなければ、「4,800円」の方が売れる率は高くなります。
そこで新たに「2万9,800円のカッターシャツ」を加えてみます。すると、途端に「9,800円」が売れ出します。
異なる価格帯の商品を3つ並べて、サイト内に比較軸を作り、真ん中を買ってもらう。
これが、「松竹梅の法則」です。
「松竹梅の法則」は、本当に売りたい価格帯の高級品(竹)を真ん中に置き、
超高級品(松)と売れ筋価格品(梅)で挟むことで、お客さまの関心を自然と、真ん中の「竹」に持っていくことができます。
価格の「幅」を広げることは、自社サイト内での比較を促すことにもなり、結果として、競合店に行かせない効果もあります。
商品ラインナップが少ないと「もうちょっと他も見てみたい」という欲求を生み、他店へ送客してしまう恐れがあります。
自社サイト内で上から下までそろっていると、サイトの中で比較検討がしやすいので、ほかものぞいてみようという気持ちを抑えられるのです。
それでも、大手はさらに多くの価格帯を揃えていると真正面から戦っても価値が見込めないことがあります。
そういった場合に中小サイトが取るべき戦略は、中小サイトならではのニッチ商材でターゲットを絞り込むという方法です。
中小サイトに向くニッチ商材用途・地区・年齢でニーズを深掘り
中小のECサイトが、品ぞろえ豊富な大手ECと真正面から戦っても勝ちが見込めないのであれば、次にターゲットを絞り込んで挑んでみましょう。
ニッチな商材でも、狙ったターゲットに刺されば、売上は伸ばせます。
100人中1人買えばOK
品ぞろえ豊富な大手とどう戦っていくか、どう差別化を図っていくかを常に念頭に入れておく必要があります。
他社とは一線を画したユニークな品ぞろえで勝負したいと、完全オリジナル商品に目を向けても、
大ヒットを飛ばせる画期的な商品は、そうそう生まれるものではありません。
そこで実践してほしいのが、ターゲットを絞り、差別化を図る「絞り込み戦略」です。
ECサイトの平均的な購入率は1〜3%ですので、サイトを訪れた100人中、1〜3人程度しか購入されません。
それならば、初めから1人に買ってもらえれば合格! と割り切り、ターゲットを限定した商品を打ち出してみましょう。
100人中1人でも、その人の印象に残る商品を提供し、狙ったターゲットにさされば、十分強みを発揮できます。
用途やシーンを限定して訴求する
ターゲットの絞り方はいろいろありますが、用途やシーンを限定した「◯◯専用」という訴求方法を紹介します。
缶コーヒーブランドの『ワンダ』が「朝専用コーヒー」と打ち出した『ワンダモーニングショット』という商品があります。
「朝専用」と付けたことで、新しい市場を生み出した成功例です。
同じような考え方で、「腰がつらい方専用の◯◯」「美容師が愛用している◯◯」など、
従来販売していた商品でも、より用途やシーンを限定すれば、その商品を必要としている見込み客を洗い出せます。
「地区限定」という方法もあります。「関西限定で◯◯」「丸の内OLが◯◯」など、地区の名前を付けることで、プレミアム感を出します。
「十勝の農家が◯◯」「四万十の◯◯」など、エリア自体が浸透していたり、ブランド化していたりする場合、エリア名を組み込む方法も効果的でしょう。
「ピンポイントで年齢を入れる」という方法も効果的です。
「20代」「30代」と幅広いターゲットを設定するのではなく、「49歳のサラリーマン専用」「38歳の女性」「60歳を越えたら」と、より対象を明確化することがポイントです。
「何でこの年齢なんだろう?」という興味を引き出したり、自身の年齢に近い場合は、自分のことのように感じたりする顧客が増え、より購入率を上げられます。
ちなみに、「38歳向けの化粧水」で売り出したところ、実際には40歳以上の女性購入客が増えたという事例もあります。
実年齢より下に見られたい、という女性心理が働いてのことではないかと推測されます。
ライバルに負けない店を作るための「品ぞろえ」の鉄則
中小ECサイトが大手と品揃え・価格で勝負すると、どうしても苦戦を強いられます。
真っ向から戦う道を避けるには、ターゲットを絞り、よりニッチな領域で利益を確保することが鉄則!