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グローバルビジネスの基礎知識⑩~地域統合

グローバルビジネスの基礎知識⑩~地域統合

海外渡航が困難な状況が長期化する一方で、貿易取引については依然として活発に行われています。
国内でのEC事業から、新たに海外進出を計画されている方も多いのではないでしょうか?
グローバルビジネスの基礎知識をお伝えしている本連載の第十回は、FTA(自由貿易協定)/EPA(経済連携協定)を中心とした地域統合についてご説明をします。
※WTO協定と地域統合の関連性については以下の記事をあわせてご覧ください。

グローバルビジネスの基礎知識⑦~世界貿易機関(WTO)

日本のEPA

日本のEPAの現状(2021年2月現在)としては以下が発効済・署名済(21協定)となっています。

シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴル、TPP12(署名済)、TPP11、EU、米国、英国、RCEP

日本の貿易総額に占めるEPA発効済国との貿易割合であるEPAカバー率は、既に8割を超えています

このため、貿易を含む国際取引においてEPAの実務的な知識はグローバルビジネスにおいて必須となっています。

各国の最新動向を把握した上で、EPA戦略を立てましょう。

以下では大規模な経済圏として北米とヨーロッパの動きを俯瞰します。

北米の動向

北米では1994年に、米国、カナダ、メキシコによるNAFTA(北米自由貿易協定)が発効しました。これにより、北米圏の貿易や投資が大きく活発化しました。

しかし、見直しを主張した米国のトランプ前政権が、カナダとメキシコとの間でNAFTAの再交渉を実施、2020年7月に米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が発効しました。

これにより、特に自動車分野はトランプ前政権がメキシコの対米輸出を減らす狙いから、完成車メーカーの原産地規則を厳格化するなど、北米進出日系企業の調達・生産・販売体制に大きな影響を与えるものとなっています。

EUの動向

地域統合の中でも最も高度な統合を実現しているのはEUです。その政策はEU域内にとどまらず世界的な影響力があります。

特にECをめぐっては、「ECが国境を越えて拡大する中で、現状で欠けている同分野でのWTOの多国間ルールの策定は、先進国と開発途上国におけるECの機会拡大と課題への対処につながる」という主張でWTOを舞台に国際ルール作りの交渉を展開しています。

また、EUにおける個人情報に関する一般データ保護規則(GDPR)は、いわゆるGAFAMを中心とした世界的なIC企業の展開も左右するほどの影響力を有しています。

他の規格としては、EU域内で製品を流通させるためにはCEマークの添付が義務づけられていることは基本としておさえておきましょう。これは、製品をEU加盟国へ輸出する際に、安全基準条件を満たすことを証明するマークです。CEマークを貼付するためには、認証権限の与えられた公認機関(ノーティファイドボディ)に指令の要求事項に適合しているかの判定を依頼するのが有効です。

一口に、地域統合と言ってもFTAを核としつつ、各地域や協定によってその統合の深度や自由化・ルールの内容については差異が見られます。最新の動向を補足しつつ、ビジネスチャンスを獲得していきましょう。

 

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