公開日:2015年7月22日

3つの要素が強化される楽天市場、その活用方法とは

2014年4月、楽天市場は二重価格表示問題への対策として、商品登録時のJANコード設定を必須項目化し、不当な二重価格表示に対する管理体制を強化しました。
当時はマスコミでも話題になったほか、消費者庁から再発防止の要請もあり、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
今回は楽天市場の二重価格表示問題をおさらいすると同時に、楽天市場とAmazonにおけるJANコード・商品登録ルールの違い、定価販売でも楽天市場で成果を出す方法を紹介していきます。

楽天市場で「JANコード」を活用した検索表示対策

楽天市場でも2014年4月を境に、Amazonのような「商品に紐付いた管理」が推進されることとなりました。
背景には楽天市場における「二重価格表示問題」があり、不当表示が今後繰り返されないよう、消費者庁から再発防止を要請する文書が発行されています。
この改善の流れに沿う形で、楽天市場でも商品登録時にJANコード(商品識別コード)の設定が必須項目となりました(※「カタログIDなしの理由」を記載すれば設定可能)。
JANコードを商品登録時に設定することで、ユーザーはJANコードを用いて目的の商品の最安値をチェックしたり、各店舗が出品している同一商品を容易に比較検討できるようになります。
いわゆるAmazonのような商品紹介ページが出来上がりつつある楽天市場ですが、各店舗は今後どのようにして「楽天市場における検索表示対策」を推進していくべきなのでしょうか。
まずはJANコードの基本と、Amazon、楽天市場の特徴から見ていきましょう。

世界共通の商品識別番号「JANコード」とは?

JANコード(Japanese Article Number)とは、日本国内で用いられる商品識別コードで、「どの事業者の、どの商品か」を表しています。
国際標準の商品識別コードは「GTIN(Global Trade Item Number:ジーティン)」と呼ばれており、JANコードと同義です。商品識別コードは以下の画像のように、標準タイプは13桁、短縮タイプは8桁となっています。

【標準タイプ:13桁】

【短縮タイプ:8桁】

引用元:GS1 Japan「GS1事業者コード・GTIN(JANコード)とは

通常13桁の標準タイプのJANコードが事業者に発行されますが、サイズの小さい商品などの登録に8桁の短縮コードを用いています。
従来は「6桁のGS1事業者コード」+「1桁の商品アイテムコード」+「1桁のチェックデジット」で構成されていましたが、2021年8月以降は国際ルールに合わせ、1つの商品ごとにGTIN-8ワンオフキーを発行しています(GS1 Japan「GTIN-8の貸与ルール」参考)。
またJANコードは「GS1事業者コード」「商品アイテムコード」「チェックデジット」の3つに分かれており、それぞれ役割が異なります。

「事業者」を分類するための「GS1事業者コード」

GS1事業者コードは、文字通り「事業者」を分類するためのコードです。GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)に「GS1事業者コードの発行申請」を行うことで作成できます。
GS1事業者コードの登録申請料は「初期申請料」と「登録管理費」の2つで構成されており、登録申請料の支払い年数(3年または1年)に応じて登録管理費の値が変化します。詳しくはGS1Japanの「GS1事業者コードの新規登録手続き」からご確認ください。

売上管理や在庫管理に事業者が設定できる「商品アイテムコード」

商品アイテムコードはGS1事業者コードと違い、事業者が設定できる「商品分類コード」です。商品アイテムコードは、売上管理や在庫管理に用いるため徹底した管理が必要な番号であり、設定時には自社でルールを決める必要があります。
商品アイテムコードは任意で3桁の番号を設定しますが、設定の仕方、よくある失敗例が存在します。
まず設定の仕方ですが、GS1 Japanは以下に該当する場合、商品それぞれに異なるJANコードを設定するよう、GTIN設定の基本原則を定めています。
・商品名が異なる場合
・色が異なる場合
・容量が異なる場合
・素材が異なる場合
・包装サイズが異なる場合
・香りが異なる場合
・味が異なる場合
・販売単位が異なる場合等

引用元:GS1 Japan「GTIN(JANコード)の作成手順」『商品アイテムコードの設定基準』

また商品アイテムコードの3桁は任意で設定可能ですが、部門別で分類を行った場合、ある部門の商品数の増減や変更にともない、管理できなくなるケースが発生します。
こうしたケースの発生を回避すべく、GS1 Japanは「商品アイテムコードは、001 から順番に002、003…と設定する方法をお勧めします」と説明しています。

数字列の誤りを検知するための「チェックデジット」

JANコードを構成する最後の要素「チェックデジット」は、GS1事業者コードと商品アイテムコードをある計算式にしたがって算出できる値です。
チェックデジットの値は事業者自身で算出することが可能であり、GS1事業者コードの発行後、商品アイテムコードが決まり次第すぐに値を求めることができます。
チェックデジットの値を求める計算式は「GS1 Japanのサイト チェックデジットの計算方法」ページをご参考にしてみてください。

楽天市場とAmazonの「JANコード」の特徴について

※本段落以下の文章では、商品を分類するコードとして「JANコード」を便宜上用いております。Amazonや楽天市場の各商品識別コードが、「GS1 Japanが定義するJANコード(国際標準の商品識別コード)」と必ずしも一致しない点に留意して読み進めてください。(後述しているように、Amazonと楽天市場はそれぞれJANコードなどに対応する商品コードを商品に割り当てています)。
JANコードの基本情報を確認した後は、「楽天市場とAmazonのJANコードの特徴」を確認していきましょう。
まずAmazonでよく用いられるJANコードは2つ存在します。
1つが書籍を識別するコード「ISBN(International Standard Book Number)」で、もう1つがAmazonが取り扱う書籍以外の商品に振り分けられた10桁のコード「ASIN(Amazon Standard Identification Number)」です。
これらのコードはAmazonのプラットフォーム内における商品検索に役立てることができ、ISBNコードやASINコードを検索窓に打ち込むことで特定の商品を絞り込むことができます。
またAmazonにおける商品表示の特徴として、各店舗が出す商品が「商品単位」で紐付いて表示される点が挙げられます。
例えば「A」という書籍を複数の店舗が出品したい場合、商品紹介ページは1つだけ生成され、各店舗が出す商品は「中古品」「新品」「コレクター商品」などに分類されます。
Amazonでは「A」という書籍の商品紹介ページが各店舗ごとに生成されるのではなく、(予め生成されている)1つの商品紹介ページに、各店舗の商品が集約されるのです。
また同一商品の商品紹介ページが既に生成されているにも関わらず、新たにASINを発行することはユーザビリティを損なうものと判断され、出品者のASIN作成・出品権限が一時停止されたり、恒久的に取り消されたりされる可能性があるため注意が必要です(amazon seller central「商品詳細ページ(ASIN)の新規作成に関するポリシー」を参考)。
一方、楽天市場の場合は、各店舗が各商品をぶら下げているという状況でした。そのため楽天市場では、ある商品を4つの店舗が販売していれば、同じ商品が4つ並んでいました。Amazonであれば一番安い店舗の商品が1つ出るだけです。
こうした状況に対して、楽天市場は2014年4月から複数店舗から出品されている同一商品はまとめて表示するようになりました(商品検索ページにて、「最安ショップを見る」と表示されている商品が対象)*¹ 。その結果、各店舗からするとユーザーに商品の価格比較されやすくなってしまうため、Amazonだけでなく楽天市場でも1円単位の戦いを余儀なくされるという状況になりました。

*¹ 商品検索ページにおける「最安ショップを見る」の表示例と、商品の価格比較画面

楽天市場での「JANコード」に関する検索表示対策

楽天市場でもAmazonのように「商品に紐付いた商品検索」が推進されるようになりましたが、他店舗との価格競争に巻き込まれないために、店舗ができる手段にはどのようなものがあるのでしょうか。
真っ先に考えられるのが、商品登録時に「JANコードを設定しない」という選択です。
2014年4月から「二重価格表示」に対する管理体制強化が推進されている楽天市場ですが、実際はAmazonほど厳しい商品管理は実施されていません。
なぜなら楽天市場では「商品登録時のJANコード設定」が必須ではなく、「カタログIDなしの理由」を以下のプルダウンメニューから選択すれば問題ないとされているからです。

■プルダウンメニュー項目
1:セット商品
2:サービス商品
3:店舗オリジナル商品
4:項目選択肢在庫商品
5:該当製品コードなし

例えば「店舗オリジナル商品」の場合、他店舗が既に出品している可能性は低いため、JANコードは楽天市場でまだ設定されていないケースが多いでしょう。
そのような場合にJANコードを設定して商品管理の効率化を図るか、あるいはJANコード検索での価格競争を避けるかどうか、といった判断が必要になりそうです。
仮に中古商品を楽天市場で取り扱う場合は、各店舗が商品の状態、価値などを判断して出品するため、JANコードを設定し、ユーザーに積極的に比較検討させる機会を与えるのも1つの戦略となります。
自店舗が出品する商品を、ユーザーが「どのくらいほしがっているのか」、あるいは「どういった方法・手段を使って商品を探しているのか」が推測できれば、JANコードを設定すべきか否かの判断がつくことでしょう。
つまり「JANコードを必ず設定しなければならない」という訳ではないのです。
しかしながら、楽天市場などのECプラットフォームを利用するユーザーには「積極的に価格比較したい」と考えているユーザーが多いことが想定されます。
そこで商品名にカタログID(JANコード)を含めるのも1つの戦略となります。
実際、カタログID(JANコード)で検索をかけると、商品名にカタログID(JANコード)を含めているショップの商品がラインナップされているのが分かります *²。
*² 楽天市場(商品名に「eg7491」が含まれる商品がラインナップされている)

楽天市場での「二重価格表示問題」への対策と抑えておきたいポイント

楽天株式会社は2014年4月25日、楽天市場の出店店舗による「二重価格表示」に同社の従業員が関与していたとする報道に対して、調査結果及び再発防止策の報告を消費者庁に行っています。
この楽天市場の「二重価格表示問題」を受けて、消費者庁は同年4月30日に楽天株式会社に対して景品表示法違反にならないための必要な措置を講じるよう要請をしています。(情報引用元:消費者庁 2012年4月25日「楽天株式会社への要請について」)
楽天市場の「二重価格表示問題」から店舗責任者が学べることは2つあります。
1つは「二重価格表示や景品表示法などの正しい知識を身に付けること」、もう1つは「価格以外の部分で他店舗との差別化を図ること」です。
以下では楽天市場の二重価格表示問題を踏まえて、店舗が取れる対策方法を解説していきます。

二重価格表示問題とは?

まず「二重価格表示」そのものに問題はないことを抑えておきましょう。
消費者庁の二重価格表示に関するページでも以下のように記載されています。
同一の商品について「最近相当期間にわたって販売されていた価格」を比較対照価格とする場合には、不当表示に該当するおそれはありません。
引用元:消費者庁「二重価格表示

例えば「ある商品が通常1,000円で販売されている実績があり、期間限定のセール価格として600円で販売されている場合」は何の問題もないということです。
不当な二重価格表示に該当するかどうかは、「最近相当期間にわたって販売されていた価格か否か」の部分であり、仮に過去の販売実績がない商品をセール価格などと謳って販売した場合などに、不当な二重価格表示に該当する恐れがあります(「最近相当期間にわたって販売されていた価格か否か」についてはこちらのガイドラインを参照ください)。

また消費者庁は以下のような場合を「不当な二重価格表示 の具体例」として紹介しています。

【家電量販店の場合】
家電製品の店頭価格について、競合店の平均価格から値引すると表示しながら、その平均価格を実際よりも高い価格に設定し、そこから値引きを行っていた。

【メガネ店の場合】
フレーム+レンズ一式で「メーカー希望価格の半額」と表示したが、実際には、メーカー希望価格は設定されていなかった。

引用元:消費者庁「二重価格表示」『不当な二重価格表示の具体例』

このように競合他社の販売価格を比較対象にしたり、公表されていないメーカー希望小売価格を比較対象にしたりする場合には注意が必要です。
これらの内容を踏まえ、二重価格表示問題とはつまり「不当な二重価格表示」を指しており、先述した楽天市場の事例はこれに該当するものだったといえます。
商品の不当な二重価格表示と関連して、消費者庁の景品表示法も合わせて参考にしてください。

楽天市場の二重価格表示問題への対策

楽天市場は不当な二重価格表示の可能性に関する指摘を受けて、元値商品の値引き表示について、「当店通常価格」と「メーカー希望小売価格」等の表示方法をヘルプページ「値引き商品の元値表示について」に明記しています。
また楽天市場における二重価格表示について、違反する店舗が見つかった場合は「不適切な商品や価格に関するご意見フォーム」から報告できるよう改良されました。
さらに「不適切商品、不当表示排除の取り組み」と題したページも公開し、「二重価格表示などの価格表示適切化に向けた取組」といった欄を設けるなど、再発防止に努める姿勢を数多く示しています。
こうした楽天市場の取り組みは、商品の出品を行う店舗にも及んでいます。

詳しくはRMS管理画面「二重価格表示チェック結果ダウンロード」をご確認ください。

例えば商品登録時に二重価格表示設定を行う場合、事前にRMS上で申請を行う必要があります。二重価格表示のチェックを依頼した場合、チェックを依頼した商品の二重価格の表示・非表示の状態と、非表示理由などがCSVファイルとしてダウンロードできます。二重価格表示の基準は、消費者庁が示す価格表示ガイドラインに基づいており、最近相当期間の販売実績がない場合は、商品の二重価格欄が随時非表示となります。

定価販売しながらお得感を演出するポイント

クーポンとポイントを上手く利用すれば、商品を定価で販売しながらも「割安感」を出すことが可能です。
例えば、楽天市場には商品購入者にリピートを促す「サンキュークーポン」があります。
サンキュークーポンはセール時に自店舗の商品を購入したユーザーに向けて発行するものですが、獲得条件の金銭的ハードルを下げたり、メルマガでリマインドをかけたりすることによって、ユーザーの再訪率・再購入率を上げることができます。
また「楽天スーパーDEAL」も、自店舗の商品を定価販売しながらお得感を出すための施策として活用可能です。
楽天ユーザーにより多くのポイントを還元する「楽天スーパーDEAL」は、対象商品のポイント還元率を通常1%のところ10%~50%に増やすことができます。
楽天スーパーDEALでは対象商品価格の10%~50%分をそのままユーザーに還元するほか、楽天市場に手数料として商品販売価格の10%を支払う必要があります。
例えば2万円の商品を「還元率30%」で販売した場合、楽天市場に支払う手数料を合わせて「8,000円」が売上から差し引かれ、残った売上は12,000円となります。
売上だけ見ると店舗にとって利益のない施策のように思えますが、楽天スーパーDEALの高還元率を目当てにリピートするユーザーは多く、楽天市場のヘビーユーザーや優良顧客にアプローチする新規開拓施策として活用できます。
楽天スーパーDEALへの出品方法などは以下のページで解説していますので、是非参考にしてみてください。
関連:【楽天スーパーDEALの活用法】商品登録と売上アップの解説

まとめ

楽天市場はAmazonに比べて商品登録に関するハードルが高くないものの、不当な二重価格表示に対する管理体制を強化しています。
JANコードを使った商品管理もその一環と捉えることができるでしょう。
店舗の運営責任者は、自店舗の商品を嘘偽りなくユーザーに表示し、価格以外の部分で他店舗との差別化を図っていくことがポイントとなります。
例えばサンキュークーポンの発行や、楽天スーパーDEALへの出品などは並行して展開することで、更なる新規顧客獲得、リピーター獲得へと繋がっていくことでしょう。
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janコードに関するよくある質問

 

世界共通の商品識別番号「JANコード」とは?
JANコード(Japanese Article Number)とは、日本国内で用いられる商品識別コードで、「どの事業者の、どの商品か」を表しています。
「JANコード」の桁数は?
通常13桁の標準タイプのJANコードが事業者に発行されますが、サイズの小さい商品などの登録に8桁の短縮コードを用いています。