公開日:2023年2月1日

【2023年度版】拡大が期待されるライブコマースの市場規模

【2023年度版】拡大が期待されるライブコマースの市場規模

ライブコマースと言えば中国を思い出す方が多いでしょう。しかし中国の後を追うように米国でもライブコマースは盛り上がり始めています。
同様に日本でも2020年のコロナウイルス拡大による緊急事態宣言下、少しでも売上を確保すべく小売企業を中心にライブコマースの取り組みが本格化しはじめました。
そこで今回のコラムでは中国、米国、そして日本のライブコマース市場規模の現状と展望について触れたいと思います。
※閲覧時期により本記事でご紹介の情報は変更・更新されている場合がございます。

海外のライブコマース市場規模は?

中国のライブコマース市場規模

中国のライブコマース市場規模予想(単位:兆中国元)


出所:「China’s live commerce opportunity insight report 2023」(iResearch)(Statista経由で取得)を基に当社作成 2022年以降は予想値

上に示すグラフの通り、中国のライブコマースの市場規模は2018年には0.12兆中国元であったところ、2023年には4.92兆中国元にまで拡大すると予想されています。5年間で実に41倍に拡大する計算で、19円/中国元で計算すると日本円で2023年は93兆48百億円という金額規模になります。
経済産業省が発表している2021年の日本の物販系EC市場規模は13兆2865億円ですのでその7倍に相当しており、ライブコマースだけで想像の域を遥かに超えた驚異的な市場規模です。

中国のライブコマースは2015年頃に始まったと言われています。ではなぜ中国で急激にライブコマースが拡大したのでしょうか?
それは中国では急速にEC市場が拡大した結果多彩な商品があふれかえり、その中で信頼できる商品を求める消費者行動としてKOL(Key Opinion Leader)いわゆるインフルエンサーによる商品紹介が人気を獲得したことが考えられます。

もう少し具体的に説明すると、

  • 流行の商品を逃さず確実に追い求めるために、女性を中心にライブコマースを賢く活用
  • ライブコマースによってあれこれ悩むことなく、手短に商品を選択したい想い
  • 独身の日(11月11日)や「618」(6月18日)といった大型セールにおいても、ライブコマースが繰り広げられ巨大な売上を形成

といった理由が挙げられます。

また中国は元々人口が多いため一度トレンドに火が付くと加速度的に拡散しやすい特徴があり、これらがライブコマースが急速に広がった理由として考えられるでしょう。

米国のライブコマース市場規模

米国のライブコマース市場規模予想(単位:十億USドル)


出所:「Media and Technology Outlook 2023」(Active,eMarketer)(Statista経由で取得)を基に当社作成。2022年、2026年は予想値

一方もうひとつのEC大国である米国のライブコマースの市場規模はどのように予想されているでしょうか?
上のグラフは米国におけるライブコマースの市場規模予想に関するデータです。2020年の市場規模はわずか50億USドルであったのですが、2026年には550億USドルにまで拡大すると予想されています。6年間で11倍にも拡大するとの予想であり、130円/USドルで計算すれば2026年には7兆15百億円という規模になります。
中国と比較すると市場規模は大きくはありませんが、それでも巨大な市場規模であることに変わりはありません。

中国ではライブコマースは2015年頃に始まったと言われていますが、米国では2019年前後に人気に火が付き始めたようです。そして2020年に入り新型コロナウイルス感染症が拡大し人々の行動が制限されたことに伴い、米国においてライブコマースの認知度が高まりました。

中国と米国ではEC市場の構造が異なるため一概に比較することは難しいのですが、米国も中国同様に膨大な数のインフルエンサーが存在しています。よってライブコマース市場が活性化する下地は整っていると見てよいでしょう。
米国のEC事業者には、ライブコマースが新たな顧客体験を消費者に提供できる手段であるとの認識が広まっており、消費者による利用が格段に高まると考えているように見受けられます。

その他の国のライブコマースへの関心度

ライブコマースで購入した経験がある比率(調査時点2022年4月)


出所:「The Future Shopper 2022」(Wunderman Thompson)(Statista経由で取得)を基に当社作成
少なくとも月に1度以上はECで買い物する消費者31,040名を対象とした調査

その他の国のライブコマースへの関心度についても見てみましょう。次のグラフは少なくとも月に1度以上はECで買い物する消費者を対象とした、ライブコマースで購入したことのある消費者の比率に関するアンケート調査結果です。

中国が77%と1位ですが、インド75%、タイ72%、UAE70%、インドネシア69%と中国に肉薄しています。中国や米国と比較すればEC市場規模がそれほど大きくないため、ライブコマース市場規模という観点では大きく目立った存在ではないと思われますが、ライブコマースは中国だけではなく世界各国で消費者の関心を集めていると考えてよいでしょう。

日本のライブコマース市場規模は?

日本のライブコマース市場規模の状況

続いて日本のライブコマースの状況です。
インターネット上に公開されている複数の情報リソースを用いた推計では、日本の2021年のライブコマースの市場規模は286億円と推計されます。
中国での盛り上がりを横目に日本では2018年頃からライブコマースに取り組む事業者が登場し始めました。日本の事例を調べてみると、2020年の新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言等によって人々が外出を自粛したことで、2020年夏ごろからライブコマースを活用する小売企業が続出していることが分っています。
コロナ禍の当時、人々が実店舗に足を運ぶ機会が減少したため、スタッフを有効活用し売上を少しでも確保する目的でライブコマースに活路を見出したものと推測できます。

2021年の時点での日本のライブコマース市場規模は中国、米国と比較すればまだ大きいとは言えません。
しかしながら事例を見渡すと実施企業数の増加、実施頻度の増加傾向がみられます。したがって日本でもライブコマース市場規模が拡大する可能性が考えられます。
先に述べたように米国は2020年から2026年の6年間で11倍に拡大すると予想されており、仮に米国並みのペースで伸びるとの仮定を置いた場合、2027年の日本のライブコマース市場規模は3,152億円にまで膨らむ計算になります。
ライブコマースの今後を予想する上で、この数値がひとつの目安となるでしょう。
出所:複数の情報リソースを基に(株)デジタルコマース総合研究所推計

日本のライブコマース市場規模の展望

上述の3,152億円という推計値はあくまでも米国と同じ伸びであることを前提とした仮定です。一方で、ライブコマースは実店舗のスタッフ等自社の社員が登場して販売商品を説明・販売するケースが多いようです。馴染みの実店舗スタッフを目当てに視聴する視聴者も多いと聞きます。

つまりライブコマースは既存のEC利用者だけが対象と言うわけではなく、これまで実店舗中心に商品を購入してきた消費者層をも幅広くターゲットとして捉えることができると言えます。このことが真実であれば、日本のEC化率は諸外国よりも低いことから、むしろ日本の方がライブコマースの将来的な伸び代が大きいとも言えるでしょう。

米国のライブコマース市場規模予測を基にすると、米国では2024年頃にEC市場規模の約3%をライブコマースが占めると想定されます。あくまでもポジティブシナリオでの話ですが、その3年後の2027年の日本の状況が米国の2024年の状況に類似すると仮定すれば、日本では最大5,800億円程度にまで拡大するかもしれません。

調べてみると日本ではテレビ通販の市場規模が既に6,000億円程度形成されているようです(出所:「通販・eコマースビジネスの実態と今後2022」(株式会社富士経済))。テレビ通販の市場規模との対比で考えると5,800億円という数値はあながち大きな数値でもないように感じます。

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ライブコマースの市場規模に関するよくある質問

 

中国で急激にライブコマースが拡大した理由は?
いわゆるインフルエンサーによる商品紹介が人気を獲得したことが考えられます。より具体的には下記のような要因が考えられます。

  • 流行の商品を逃さず確実に追い求めるために、女性を中心にライブコマースを賢く活用
  • ライブコマースによってあれこれ悩むことなく、手短に商品を選択したい想い
  • 独身の日(11月11日)や「618」(6月18日)といった大型セールにおいてもライブコマースが繰り広げられ、巨大な売上を形成
日本のライブコマースの市場規模はどうなっていく?
2021年の時点での日本のライブコマース市場規模は中国、米国と比較すればまだ大きいとは言えません。
しかしながら事例を見渡すと実施企業数の増加、実施頻度の増加傾向がみられます。したがって日本でもライブコマース市場規模が拡大する可能性が考えられます。
詳しくは当記事内でデータと共に解説していますので、ぜひご覧ください。
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