【最新版】越境ECの始め方とは?メリットやデメリットと注意点も徹底解説!
自社ECサイトを運営しており、海外展開を考えた際に「越境EC」という言葉を耳にしたものの、始め方がわからず悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、越境ECのメリットやデメリット、始め方など基本的な情報について解説します。新規顧客の獲得や、ビジネスの販路拡大を狙っている企業経営者の方やECサイト運営担当者の方はぜひ参考にしてください。
越境ECとは
越境ECとは、インターネット上で国境をこえて商品を販売するサービス(電子商取引)を指します。
経済産業省によると、国内のBtoC-EC市場規模(物販系分野)は、2021年の13兆2,865億円に比べ、2022年は7,132億円増加した13兆9,997億円になるなど、年々市場規模が大きくなっているそうです。
対して、日本・米国・中国と3カ国間の越境BtoC-ECにおける日本の総市場規模は3,954億円です。しかし、日本経由の市場規模は米国で1兆3,056億円、中国で2兆2,569億円となっています。
つまり、日本人が米国や中国から商品を購入する金額は低いものの、日本の商品は米国と中国から非常に多く購入されているのです。
特に中国からの売上は2兆円と、日本に比べると越境ECの市場規模が大きい傾向にあることがわかります。
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参考資料:経済産業省 「令和4年度 電子商取引に関する市場調査」
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越境ECのメリット
世界的に見ても市場規模が大きい傾向にある越境ECですが、実際に参入した場合はどのようなメリットがあるのでしょうか。
越境ECに参入した際のメリットには、以下の項目があげられます。
- 海外顧客を獲得することができる
- 国内以上に実店舗の出店や店舗運営にかかるコストを削減できる
- ビジネスを拡大させる可能性が高まる
ここからは、それぞれのメリットについて紹介します。
海外顧客を獲得することができる
国内でEC事業を行っており、海外進出を視野に入れている日本の大手ブランドメーカーだとしても、海外進出に踏み切ることはなかなか難しいことだと思います。
しかし、出店者目線で考えると、日本の人口減少が問題視されている昨今、越境ECでの販路拡大ができれば消費者の分母を増やすことにもつながります。
特に、一時期話題となった中国人によるドラックストアでの爆買い行為のように、日本製品に価値を見いだしている海外ユーザーもいます。例えば、東南アジアなどでは日本製の食品関連や美容グッズなどが人気です。
最近は新型コロナウイルスによる自粛が解除された影響によって、インバウンド需要が復調してきました。海外からの観光客が増えているため、日本製の良い商品を知ってもらい、帰国後に越境ECサイトなどでリピート購入をしてもらえる可能性も考えられます。
国内以上に実店舗の出店や店舗運営にかかるコストを削減できる
新型コロナウイルスによる自粛の影響などもあり、最近ではリアル店舗を持つよりもオンラインでのビジネスを強化することが世の中のトレンドになってきています。
越境ECにかかるコストとしては、ECプラットフォームによる手数料や為替などの関係で、国によって変動します。そのため、国内のECプラットフォームに出店するよりも、コストが高くなるケースもあります。
しかし、一般的にはECサイトを運営する毎月のコストと比較すると、リアル店舗を運営するコストの方が高くなります。
また、取り扱う商材や出店先の国によって明暗が分かれます。いきなり習慣が異なる海外にリアル店舗を出店するのではなく、越境ECから出店して市場調査を行う方法がおすすめです。
ビジネスを拡大させる可能性が高まる
越境ECに参入することで、ビジネスを拡大させる可能性が高まります。なぜなら、海外に進出することで販路拡大や、新たな市場開拓ができる可能性があるからです。
日本をベースに販路を考えた場合、売上規模は市場によっておおよそ決まってきてしまいます。しかし、これから成長する可能性がある東南アジアなど、新たな市場を開拓することで販路が拡大する可能性があります。
また、あくまで可能性の話ですが、国内で埋もれてしまっている中小企業の場合でも、海外に舵を切ったことでシェアが取れるケースも期待できます。
海外の商習慣に精通したパートナーと組んでビジネスを行うことで、海外での商品やサービスの提供における認知度の向上、トレンドの把握が可能です。
越境ECのデメリット
越境ECのデメリットとしては、以下の項目があげられます。
- 輸送コストが高くなる
- 展開する国や地域に対応しなければならない
- 現地のトレンドがつかみにくい
ここからは、それぞれの項目について説明します。
輸送コストが高くなる
越境ECは、どうしても輸送コストが高くなってしまいます。例えば、売価が1,000円程度の商品を購入したいと考えたユーザーがいた場合、サイズによっては商品価格以上の輸送量がかかることが判明し、購入を断念されてしまう可能性があるということです。
また、外貨決済は為替変動リスクがあります。手数料がかかる場合もありますので、取引を行う際は注意が必要です。
展開する国や地域に対応しなければならない
出店先の国の法律に従って対応しなければいけません。そのため、取り扱う商材が規制に抵触しないかなどの確認が必要です。
国によって、売買が禁止されている商品も存在します。例えば、化粧品や食品関係などは、国ごとに規制があり、それぞれに許認可を得る必要があります。
越境ECに参入する際は、取り扱う商品カテゴリーに問題がないかなど、プラットフォームに準じた規制を確認してください。
また、返品や問い合わせなどが発生した場合、現地の言語を理解できなければ対応が難しくなるケースもあります。国や地域に合わせた対応に注意しましょう。
現地のトレンドがつかみにくい
現地のトレンドを把握しにくいことということも挙げられます。
取り扱う商材にもよりますが、日本のECプラットフォームと同様に人気のトレンドを即時にキャッチし、早急に商品ページを更新することが求められます。
越境ECの場合、日本にいてどれだけ継続して現地のニーズをキャッチし続けられるかが重要になってくるでしょう。
越境ECを始めるための準備を解説
メリットやデメリットを理解したところで、実際に越境ECを始めたい場合に必要な準備について解説します。
基本的に、越境ECを始めるためには、以下の手順で準備するようにしましょう。
1.商品を準備する
2.ターゲットを明確にする
3.出店方法を選択する
それぞれの手順について、詳しく解説します。
商品を用意する
越境ECを始める場合も、まずは商品を用意することから始めなければいけません。国内ECプラットフォームへの出店と同様に、十分な在庫を確保することが求められます。
また、前述した法律や規制についても下調べを行い、商品の出店に際して問題がないかを確認する必要があります。
ターゲットを明確にする
越境ECではビジネスを行う国の国民性や文化などが消費行動に現れる場合があります。消費者となる海外ユーザーの特徴や嗜好(しこう)などを把握するようにしましょう。
また、出店先となる国や地域の市場調査も欠かせません。現地の情報を収集し、マーケティング戦略を立案することが大切です。
出店方法を選択する
越境ECプラットフォームに出店する方法には、複数のパターンがあります。
- 自社でBtoC向けの越境ECサイトを構築する
- 国内にある海外向けの越境ECプラットフォームに出店する
- 海外の越境ECプラットフォームに出店する
- 中国向けの保税区活用型で出店する
出店方法によって、サポートなどの支援体制が整っている場合があります。簡単に出店できる方法もあれば、反対にスキルや知見が必要で手間がかかるパターンもあります。
まずは、自社で運営できる知見があるのか、資金力的に集客まで行えるのか、決済方法などはどうするのかなど細かな部分まで検討を行いましょう。出店方法を選択する際は、自社の目的に合った方法を選択するのがおすすめです。
また、国内や海外の越境プラットフォームやモールを利用して出店する場合は、特徴をおさえておくことも必要です。
例えば、中国で有名なプラットフォームにアリババがあります。アリババは、中国内で一番のシェアを誇っていますが、京东(ジンドン)が運営しているJD.comの方が家電に強い傾向にあります。
日本でも、ガジェット系を買うなら楽天市場よりもAmazonの方が買いやすい印象があると思います。
海外でも、ECプラットフォームごとに男女比率や年代比率が異なるため、取り扱う商材やターゲットとなるユーザーに合わせて、適切なECプラットフォームを選択するようにしましょう。
越境ECの注意点
越境ECを始める際に、注意したいポイントは以下の通りです。
- 配送や為替で変動するコストを考慮しておく
- 販売先の国の法律を調べておく
越境ECを始める前に、必ず確認をするようにしましょう。
配送や為替で変動するコストを考慮しておく
海外へ配送する場合、関税などのルールも把握することが必要です。関税は国や商材によって変動します。場合によっては高額な関税がかかってしまい、想定よりも大幅に高くなるケースもあります。
また、外貨決済はタイミングなどによって為替変動リスクがあるため注意が必要です。越境ECを始める際は、必ず配送や為替で変動するコストも考慮するようにしましょう。
販売先の国の法律を調べておく
越境ECに出店する前に、必ず販売先の国の法律を調べておくようにしてください。国によっては輸出できない商品があります。
輸出できない商品の場合、越境ECで販売を行うことはできません。また、商品を販売するために許認可を取る必要があるケースもあります。規制や法律が頻繁に変わる国もあるため、最新の情報を得ることを心がけましょう。
まとめ
本記事では、越境ECのメリットやデメリット、始め方など基本的な情報について解説してきました。
国内での販売に比べて輸送コストが高くなったり、販売先の国の法律を把握して対応を行う必要があるため、越境ECへの出店に対してハードルが高いように感じられたかもしれません。
しかし、これらのハードルを乗り越えることができれば、国内にいながら手軽に海外市場に進出を果たし、新たな顧客の獲得や販路を拡大することが可能になります。
海外で何が売れるかわからないと困っている場合は、自社商品へのアクセス数からニーズを分析することから始めてもいいかもしれません。テストマーケティングや準備をしっかりと行い、出店を目指してみてはいかがでしょうか。
越境ECへの参入を考えている企業のご担当者さまは、ぜひ参考にしてください。
越境ECに関するよくある質問
- 越境ECのメリットは何ですか?
- 越境ECのメリットには、以下の項目が挙げられます。
・海外顧客を獲得することができる
・国内以上に実店舗の出店や店舗運営にかかるコストを削減できる
・ビジネスを拡大させる可能性が高まる
- 越境ECのデメリットは何ですか?
- 越境ECのデメリットには、以下の項目が挙げられます。
・輸送コストが高くなる
・展開する国や地域に対応しなければならない
・現地のトレンドがつかみにくい
- 越境ECを始める際の注意点は何ですか?
- 注意点としては、以下のポイントがあります。
・規制や国際間で輸送できない商品を調査しておく
・配送や為替で変動するコストを考慮しておく
・販売先の国の法律を調べておく