Amazonの第3四半期決算に見る同社のEC事業の状況
■悪いわけではないAmazon(アマゾン)の決算
2021年10月28日、Amazonは2021年第3四半期(7~9月)の決算発表を行いました。一部報道では、GAFAのなかでAmazonの最終利益が前年同期比で半減し、その理由として人件費の増加とECの伸びの鈍化に触れられているものが見られます。本記事では、同社の具体的な決算データをもとに、実態を把握したいと思います。
以下の図表1の通り、同社の2021年第3四半期の売上額は110,812百万USドル、前年同期比で15.3%の増加と順調に見えます。一方で費用が105,960百万USドルと17.8%の増加であり、これが大きく響いています。同社決算データによれば、2021年第3四半期の従業員数が全世界で1,468,000人とされており、前年同期比で342,700人、比率では約30%増加しています。したがってたしかに人件費の増加がコスト増の主要因ではないかと考えられます。参考までに、カテゴリー別のコスト(人件費含む)では「Fulfillment」+25.8%、「Technology and content」+31.0%、「Marketing」+47.4%とそれぞれ増加になっている点を併記しておきます。
■EC事業はどうなのか
Amazonの決算には、AWSやサブスクリプションサービスも含まれますので、純粋にEC事業の売上部分についてもう少し深堀したいと思います。同社の決算データにおけるEC事業の売上は「Online stores(自社販売分売上)」と「Third-party seller services(販売手数料売上)」で把握することができます。この2つのデータを見て実態を理解してみましょう。図表2は「Online stores」に関する2017年から2021年にかけてのQ1~Q3(計9か月間)の売上総額の経年推移です。また、図表3は「Third-party seller services」に関する同様のものです。
尚、今回は第3四半期までのデータで考察を試みましたが、第4四半期は多くの国で最も売上が増える期でもあります。同社の年度決算が発表されましたら、あらためて分析の上、記事としてお伝えしたいと思います。