Amazon(アマゾン)の転売対策方法とは?放置リスクや注意点も解説!
近年、Amazonの出品者が増加する中、ネット上での転売行為が横行しています。転売とは、メーカーや販売業者から仕入れた商品を、自らの付加価値を加えずに、より高値で販売する行為を指します。本来Amazonでの出品は、メーカーや販売業者が、正規の流通経路を通じて行うことが期待されています。
しかし実際には、転売業者が大量に仕入れた商品を安価で出品したり、ブランド品を無断で出品するケースが後を絶ちません。このような転売行為は、以下のような弊害をもたらします。
このように、転売行為は様々なリスクを孕んでおり、メーカーや販売業者にとって看過できない問題となっています。本記事では、Amazonにおける転売対策の具体的な方法と、注意点について解説していきます。
Amazonで転売は違法?
Amazonで転売行為をすること自体は違法ではありません。しかし、Amazonのセラーとしての登録がない状態で転売を行うと、Amazonの販売方針に違反することになります。
具体的には、以下の2つのケースが問題となります。
このように、Amazonプラットフォームにおいてはセラー登録が前提となっているため、無断での転売行為は認められません。違反した場合、アカウントの凍結処分や商品の削除などの対象となり得ます。
転売行為と相乗り出品の違いとリスクまとめ
転売行為とは、権利者から許可を得ずに商品を販売することです。一方の相乗り出品とは、既にある商品ページに相乗りをして販売することを指します。
Amazonで相乗出品された際の対策方法については下記で詳しく解説していますので、あわせてご活用ください。
関連記事:必見!Amazonで相乗出品された際の対策方法
ブランドイメージの低下
転売品によってブランドイメージが低下するリスクがあります。転売業者は自社の利益を最大化するため、以下のような行為を行う可能性があるためです。
- 過剰な値引き販売
- 偽造品の混入
- 不適切な商品説明や画像掲載
- アフターサービスやサポートの不備
こうした転売品の流通によって、ブランド価値が損なわれ、以下のような弊害が生じる可能性があります。
このようにブランドイメージの低下は、長期的な企業価値を損なう重大な問題となります。転売対策は経営上の重要課題と言えるでしょう。
売上や販売量の低下
正規販売店やメーカーが転売されると、以下のような理由で売上や販売量が低下します。
つまり、転売は単に売上が他者に奪われるだけでなく、ブランド価値の毀損や、需給バランスの崩壊など、メーカーの経営にダメージを与えるリスクがあります。そのため、メーカーは転売対策を徹底しなければなりません。
価格戦略における弊害
転売行為には、価格戦略上の問題も潜んでいます。
転売業者は大型量販店やネット通販での購入によって販売を低価格で行うことができます。そのため、ブランド製品の価格が下落し、ブランド価値が損なわれる恐れがあります。
上記のように、正規販売店より安価で販売されると、顧客はブランド製品を割安な価格で手に入れられます。
また、低価格での販売が一般化することで、ブランドの高品質やプレミアム感が薄れ、消費者に対するブランドイメージが低下したり、低価格での販売が広がって、偽造品や劣化した商品が市場に流通しやすくなり、消費者の信頼を失うリスクも高まってしまいます。さらに、ブランド運営者は、転売業者による価格下落を防ぐため、正規販売店の販売価格を上げざるを得ない場合があります。その結果、ブランド製品が高価になり過ぎて、顧客離れにつながるリスクもあります。
転売対策のための人的コストが発生
転売対策には多大な労力とコストがかかります。まず、自社の製品が転売されているのかを常に監視する必要があります。Amazonマーケットプレイスには多数の出品者がいるため、転売品を見つけるのは簡単ではありません。
さらに、転売品を発見した場合、以下の対応が求められます。
- 権利侵害申告や報告の作業
- 転売業者への警告や訴訟の検討
- 転売品の発送元を追跡調査
こういった対策には、専任のスタッフが必要になる場合もあります。人件費に加え、訴訟費用などの法的コストもかかる可能性があります。
Amazonの3つの転売対策方法と注意点
Amazonの転売対策と注意点について、以下の3つのポイントをおさえましょう。
- Amazon Brand registry登録(Amazonブランド登録)を行い権利侵害申告をする
- Amazonのコンディションガイドライン違反として報告する
- 自社ECサイトにおけるIPアドレスを確認する
Amazon Brand registry登録(Amazonブランド登録)を行い権利侵害申告をする
Amazon Brand registryは、ブランドの権利を所有する企業や事業者が登録を行うことで、Amazonマーケットプレイスにおける自社製品の保護を強化できるプログラムです。
Brand registryに登録することで、以下のようなメリットがあります。
- 権利侵害報告の提出が可能になる
- Amazonブランド登録付与製品のコンテンツ編集権限が得られる
- IPインサイトツールを利用できるようになる
つまり、無断転売に対して権利侵害として報告を行い、Amazonに削除を求めることができるのです。
ただし、報告時には以下の証拠が必要となります。
このように、Brand registryに登録し、適切に権利侵害を報告することが、Amazonでの無断転売対策の有効な手段の一つとなります。
Amazonブランド登録に必要な商標登録のやり方と注意点については下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご活用ください。
関連記事:Amazonブランド登録に必要な商標登録のやり方と注意点を解説
Amazonのコンディションガイドライン違反として報告する
転売品の一部は、新品と偽って出品されることがあります。こうした出品は、Amazonのコンディションガイドラインに違反します。
このため、転売業者が新品と偽って中古品を出品している場合は、Amazonに報告することができます。報告の際は、次の情報が必要となります。
- 違反している出品の製品URLやASIN
- 違反の内容(例:中古品を新品と偽っている)
- 違反を立証する画像や資料
Amazonでは、ガイドライン違反の報告を真摯に受け止め、調査の上、削除などの対応を行っています。ただし、個人の申し立てでは調査が難しい場合もあるため、必要に応じてECコンサルタントなどのプロに相談しましょう。
自社ECサイトにおけるIPアドレスを確認する
自社ECサイトにアクセスするユーザーのIPアドレスを確認することで、転売業者の所在を特定することができます。自社ECサイトのアクセスログを確認し、同一IPアドレスから大量の注文履歴があれば、転売業者の可能性が高くなります。
ただし、単一のIPアドレスから大量の注文があったからといって転売と断定することはできません。例えば、次のようなケースも考えられます。
- 会社や学校などの共有IPアドレスからのアクセス
- 家族や同居人による複数の注文
- プロキシサーバーの利用によるIPアドレスの偽装
このように、IPアドレスからの判断には注意が必要です。また、プライバシーの観点から、IPアドレスの取り扱いには細心の注意を払う必要があります。
IPアドレス確認による転売業者の特定は、他の転売対策と組み合わせることで一定の効果が期待できます。ただし、単独での運用には限界があるため、総合的な対策を講じることが重要です。
まとめ
Amazonの転売対策は、自社ブランドの価値を守るためにも重要な課題です。Amazonの転売対策には3つの方法がありますが、それぞれ一長一短があります。
1つ目は、Amazon Brand registryに登録し権利侵害を申告する方法です。手続きに時間がかかる点が注意点となります。
2つ目は、Amazonのコンディションガイドライン違反として報告する方法です。しかし、審査が通るかは不透明であるため、他の対策とあわせて実施する必要があります。
そして3つ目は、自社ECサイトにてIPアドレスを確認する方法です。技術的な対策が必要な点が課題になるため、これも他の対策とあわせて検討・実施することが大切になります。
どの方法を選択するかは、自社の状況に合わせて総合的に判断する必要があるため、一つずつ試行錯誤しながら、最適な転売対策を見出していくことが肝心です。
ECサイト運営に関するよくある質問
- Amazonでの転売行為は違法ですか?
- Amazonでの転売行為自体は違法ではありません。しかし、Amazonのセラーとしての登録がない状態で転売を行うと、Amazonの販売方針に違反することになります。
具体的には、以下の2つのケースが問題となります。・相乗り出品
・商品の権利侵害
- 転売行為と相乗り出品の違いは何ですか?
- 転売行為とは、権利者から許可を得ずに商品を販売することです。一方の相乗り出品とは、権利者から正規の流通経路を経て仕入れた商品を販売することです。