意外と難しいECのセット販売。実現コストとニーズを考えて判断することが必要
今回は、ECにおいて販売を行う際に特に注意が必要なセット販売について、物流の側面から考えていきましょう。
セット販売と言えば、スーパーなどでおなじみの「よりどり2パック」でお得な商品や、同じものをまとめ買いするとお得、といった具合に消費者にとっても嬉しく、販売商品が低単価である事業者様でも客単価を上げることができる販売方法なのですが、バックヤード視点でみると在庫管理・出荷作業上、気をつけなければいけない点がいくつかあります。
まず問題となるのが出荷作業です。
例として、商品AとBがそれぞれ単品で販売されているとします。かつ、AとBのお得な2本セットをCという名前で販売しているとします。カート上でCの注文を受けた場合、納品書・出荷指示書にはCと記載されていますが、実際にはAとBを1本ずつ出荷する事になります。
このようにセット商品の出荷では注文時の情報と出荷する情報に相違が出てきてしまいます。商品と業務の理解度の高いスタッフでなければ対応する事が出来ず、注文が増加して複数のスタッフで対応するようになった場合には店舗のサービスレベルを一定に保つことが難しくなってしまい、出荷遅延やミスの原因にもなってしまいます。
倉庫作業を外部に委託している場合はより危険です。EC物流倉庫では、商品コード・JANコードを基に商品管理を行うことを前提としているため、上記の例で仮にCという商品コードのまま出荷指示を出してしまうと、欠品扱いとなり出荷が出来ない、間違った商品を発送するミスが起きるなど重大な事故になりかねません。
また、在庫管理も複雑化していきます。通常、商品マスタを設定する際は、商品一つについて商品コードが一つです。A商品とB商品にそれぞれマスタが設定されているため、セット商品とした場合に「注文時の商品コード=出荷時の商品コード」というECのバックヤードの基本の業務フローから外れてしまうことになります。
それでもセット販売へのニーズが高い場合には、多少コストをかけて受注管理システムか、倉庫管理システムをカスタマイズすれば、セット注文が入った際にA商品とB商品といったセット内容に自動で明細をバラして、通常の単品販売と同じように在庫を引き当てて制御を行うことは可能になります。
システム制御での解決策として、セット商品マスタ登録というものがあります。これはCで注文が入った場合、自動的にAとBを割り当てて在庫更新をして、出荷指示を行う事が出来るというものです。これを利用する事によりエンドユーザー様にはお買い得なセット販売を提供できるうえで、どの担当者でも、委託先の倉庫でも正確に素早く出荷が行えます。
最も対応が難しいのが「福袋」のようなランダムで商品を入れる場合や、お客様が複数のアイテムを選択できる販売方法です。
これらはパターンが多すぎてシステムでも制御することが難しくなってしまう上に、バックヤードでは手作業で明細金額の修正を行う必要性が発生するなど非常に工数がかかってしまいます。
お正月時期やセール時期など期間限定であれば何とか対応も可能な場合もありますが、通年でこのようなセット販売を行いたい場合は、EC物流のプロに相談して倉庫が混乱しないようにシステムと業務フローを構築する必要があるでしょう。
セット販売は売り方に幅が出る分、柔軟に対応するためにはバックヤードコストが掛かってきてしまいます。戦略段階から安易に実行に移すのではなく、実現コストとニーズのバランスを見て判断することが重要です。
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