公開日:2019年2月8日

ECサイトや楽天市場におけるスマホ対応の必要性と施策について

スマホでは楽天市場の商品が探しづらい?

従来の楽天市場のスマホ版ページは、金額や類似商品が並んでいるカテゴリの場合、1つひとつの並び替えができないため、スクロールして確認する手間が発生しており、ユーザビリティの低下を招いていました。

しかし最新のアップデートによって、売り切れ商品の表示/非表示のタブや、絞り込み機能がデフォルト設置され、ユーザビリティの向上が図られています。
今回は楽天市場のアップデートを含め、EC事業者が実施したい楽天市場でのスマートフォンユーザー向けの対策を紹介していきます。

また、スマートフォンユーザー向けのECサイト作りは、楽天市場に限らず自社のECサイトにも共通する部分がありますので、初めに「ECサイト全般のスマートフォン対策が必要な理由」も解説します。

ECサイトのスマートフォン対策が必要な理由を解説

ECサイトのスマートフォン対策が必要な理由は、主に下記の3つが関係しています。

かつて自社のECサイトやECプラットフォームは、ほとんどがPCユーザーのアクセスで占められており、ECサイト運営側もPC画面で「サイトの見え方」や「お客様が商品を購入するまでの導線」を設計すれば良い状況でした。
しかし近年は、スマートフォンの普及により、現在ではスマートフォンユーザーのアクセスがPCユーザーのアクセスを上回る状況のため、スマホ版対応は避けられなくなってきています。

EC市場におけるスマートフォンの利用率が増加している

経済産業省「令和3年度 電子商取引実態調査」によると、EC市場におけるスマートフォン利用率は年々増加しています。スマートフォンの利用率を表す「スマホ比率」は、2015年時点では27.4%でしたが、2021年には52.2%まで上昇しています。
更に、2016年を境にスマートフォン保有率がPC・固定電話の比率を上回っています。従来はPC版をメインとしてECサイト作りを行っていた方も、今後はスマートフォンユーザーを想定したものに切り替えていく必要があると言えるでしょう。

ただし、スマートフォンユーザー向けだけを意識したECサイト設計を行ってしまうと、PCユーザーにとって使いにくいボタン配置・レイアウトになってしまう恐れもあります。
スマートフォンとPCユーザー、両者が利用しやすいECサイト作りを目指していきましょう。
後述するように、「レスポンシブデザイン」によって、画面幅をユーザーが使用するデジタルデバイスに合わせて最適化されるデザイン手法を採用するのも良いでしょう。

デザインが崩れてしまう恐れがある

ECサイトをスマートフォンユーザー向けに作成しない場合(PC版デザインのみの場合)、画面幅のズレなどが影響してデザインが崩れてしまう恐れがあります。
現在稼働しているECサイトの中には、元々PC版サイトとして作成されたものも多いため、ECサイトを作成するシステムやCMSツールによって、スマートフォンユーザー向けの表示に対応していないケースも存在します。
まずは自身で管理しているECサイトの表示がスマートフォンでも正しく表示されるかどうか確認し、画面幅のズレやデザイン崩れが起こっている際は、既存のECサイトをレスポンシブデザインの実装ができるか検討しましょう。

レスポンシブデザインとは、スマートフォンやタブレットなどデバイスごとの画面幅に最適化されるデザインを指します。
スマートフォンユーザー向けのページを作成する際に、スマホ版の別ページを作成するのではなく、レスポンシブデザインを実装するメリットは、管理・更新コストを大幅に削減できることです。
仮にECサイトをPC版ページとスマホ版ページに分けて作成した場合、それぞれのユーザーに画面幅・CV導線を特化したサイトが作成できますが、一方で情報更新を2つのサイトで並行する必要があり、管理コストも2倍になってしまいます。

検索順位が低下する可能性もある

ECサイトがスマートフォンユーザー向けのページを作成しない最大のデメリットが、「検索エンジンでの検索順位が下落する可能性があること」です。
日本最大手の検索エンジンといえばGoogleですが、そのGoogleがMFI(モバイルファーストインデックス)を発表して、検索エンジンの改良を進めてきました。
MFIとは「(Googleのクローラーが)モバイル版ページを優先して登録する」という意味です。
つまり、MFIのアップデートにより、GoogleはPC版ページよりもスマホ版ページの登録を優先するようになったのです。
もし同じECサイトでPC版ページとスマホ版ページの両方が存在した場合、スマホ版ページが優先してインデックス登録され、検索順位に反映される可能性が高くなります。

したがって、ECサイトを運営するEC事業者は、集客チャネルの主となる検索流入を維持するためにも、MFIを意識したスマホ版ページの作成が重要なのです。
ちなみに、自社のECサイトで作成しているスマホ版ページが「スマートフォンユーザーにとって親切な設計になっているかどうかを簡単に調べる方法があります。
Googleが無料で提供するサイト分析ツール「Google Search Console」の「モバイルフレンドリーテスト」という物です。
モバイルフレンドリーテストは検索窓に調査対象のページURLを入力するだけで、スマホ版ページとして適切な設計になっているか調べてくれます。他にも、「PageSpeed Insights」では、サイトの速度も数値として可視化できます。
自社ECサイトがスマートフォンで利用した時の表示速度や改善箇所を教えてくれるので、併せて活用してみてください。

楽天市場におけるスマートフォン対策

さて、EC市場全体におけるスマートフォンユーザーのアクセス数の増加と、それに伴ったスマホ向けECサイトの重要性をお伝えしてきましたが、「楽天市場」でもスマートフォンユーザーの流入が増えております。
弊社のお客様から伺っていると、「スマホからの流入や購入比率が全体の7~8割を超えている」という事業者様も多くなってきている印象です。
このようにユーザー比率が変わる中、楽天市場も最新アップデートでスマートフォンユーザー向けの対策をいくつか発表しています(※)。

アップデート以前は、楽天市場のPC版ページとスマホ版ページで検索時の絞り込み機能が異なり、ユーザビリティに大きく影響していましたが、この度のアップデートで、スマホ版ページでも簡単に絞り込みができるようになりました。
楽天市場も日々スマートフォンユーザーが使いやすいECプラットフォームになるよう改良が加えられています。
ここからは楽天市場におけるスマートフォン対策の具体例について、1つずつ解説していきます。自店舗のスマホ版対策の参考になれば幸いです。

(※)「楽天市場の最新アップデート情報」については、下記記事で詳しく解説しておりますので、合わせてご確認いただけますと幸いです。
関連:【2022年最新】楽天市場の最新動向と対策ポイントを抑えて売上の壁を超える方法

バナー画像を最適化する

楽天市場のスマートフォンユーザー向け対策として、まず取り組みたいのが「バナー画像の最適化」です。
楽天市場の各店舗のバナー画像は、楽天RMSで設定すると、PC版ページだけに表示され、スマホ版ページでは表示されないケースがあります。
よく「自店舗のページをPC版ページでしか閲覧・確認していない」というEC事業者様に多く見られますので、この機会にPC版ページとスマホ版ページを見比べて、正しくデザインが表示されているかどうか確認しましょう。
楽天RMSの「デザイン設定」から「スマートフォン用共通バナー」を設定すると、PC版ページのようにバナー画像を表示できますので、未対策の方は確認をおすすめします。

スマートフォンでの探し方に合わせて売り切れ状況を反映する

スマホ版ページでは、店舗のカテゴリページから商品を閲覧すると、売り切れ商品に対して「売り切れ」のラベルが貼られます。
一見するとユーザーに親切な設定に感じますが、売り切れ商品の数が多いカテゴリページの場合、ユーザーには「売り切れの商品が多いのか」と飽きられてしまい、離脱を招く可能性があります。

以前はスマホ版ページで売り切れ商品が表示されたり、並び替えが出来ない仕様だったため、ユーザビリティの低下が懸念されていました。しかし最新のアップデートにより、「売り切れ商品を除いた商品の表示」「デフォルト搭載された並び替え機能を使った絞り込み」が行えるようになっています。
店舗側はこうしたアップデートの度に、自店舗の見え方をスマホ版ページで確認することが重要です。
「売り切れを含む」にチェックが入っている場合とそうでない場合、その他並び替えを行った際の商品の見え方を定期的にチェックし、「売り切れのラベルが貼られるとユーザーの離脱を招きかねない商品リスト」を作るなど、対策を講じる必要があります。
関連:【必見!】成長企業の楽天ページ制作の5つのポイント

楽天市場の検索対策(SEO)を行う

楽天市場では全取引のうち、約8割が検索流入によるものです。そのため、スマートフォンユーザー向けの検索対策(SEO)もしっかりと行っていきましょう。
スマートフォンユーザー向けの検索対策では、まず楽天RMSで、自店舗の商品が「どんなキーワードで何位にランクインしているのか」を調べます。
自店舗の商品とキーワード別の順位を把握した後は、実際にスマートフォンで検索キーワードを打ち込み、他店舗の競合商品との差分を見ていきます。

他店舗競合商品との差分を見る際に、まず確認すべき箇所は以下の3点です。

この3点で検索上位の競合商品に負けている場合は、ユーザーに視認されても購入されにくいため、なかなか検索上位にあがっていきません。
そのため、楽天RPP広告などを活用して、特定キーワードで検索上位に表示されるよう工夫していくことが重要です。

弊社では、楽天RPP広告などで検索上位を維持して販売実績を作り、後にRPP広告などを出稿しなくても特定キーワードで上位を獲得・売上に繋げるモデルを「自走モデル」と呼んでいます。
PC版ページで検索して自社商品が上位に出てくるキーワードでも、スマホ版ページでは順位が下落しているケースもあるため、RPP広告を活用して販売実績を増やすなどの対策が必要になってきます。
その他、楽天市場における検索対策については下記ページで詳しく解説しています。こちらの記事も併せて、ご参考にしてください。
関連:【2022年度最新版】正しい楽天検索最適化!初心者でもわかる対策10のポイント

まとめ

スマートフォン利用者の増加によるスマホ版ECサイトの必要性から、楽天市場での具体的な施策を紹介してきました。
以前の楽天市場のスマホ版ページでは、「売り切れのラベリング」や「並び替えができない」といった問題がありましたが、最新の楽天市場アップデートで改良されています。
今後もより一層スマートフォンユーザーによるECサイトの利用は高まることが予測されています。
アップデートの対応は一過性の物ではなく、スマホ版ページの確認・改善を怠ると、「いつの間にかユーザーからのアクセスが減っていた」といった事態に陥りかねません。
楽天市場のアップデートは自店舗の新しい施策のきっかけになることもありますので、アップデート動向は随時チェックし、今後はスマートフォンユーザーに焦点を当てた施策を中心に実施できるよう対策を講じていきましょう。

 
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