グローバルビジネスの基礎知識②~協会貨物約款(ICC)とは
海外渡航が困難な状況が長期化する一方で、貿易取引については依然として活発に行われています。
国内でのEC事業から、新たに海外進出を計画されている方も多いのではないでしょうか?
グローバルビジネスの基礎知識の連載としてお送りしている本企画の第二弾は、協会貨物約款(ICC)についてご説明をします。
協会貨物約款(ICC)とは
貨物海上保険とは、貿易取引に係る貨物が船舶、航空機等で輸送されている間に発生した不測の事故によって被った損害をカバーする保険です。
貨物海上保険証券は、200年以上前に作られたイギリスのロイズ保険証券をもとにロンドン保険業者協会が制定した約款にもとづく保険証券が、世界の多くの国々で使用されています。
貨物海上保険については保険契約を結んだ地の法令に従う「契約締結地準拠主義」となっています。
しかし、事故が起こった場合に保険金請求は契約地と異なる外国輸入地において行われるため、その外国でも通用する契約内容が必要です。
そこで、日本を含む多くの国が法律、慣習が確定しているイギリスの海上保険法及び判例に準拠しています。
結果、イギリスのロイズ保険証券に準拠しつつ、この本文規定に加えて、これに各種の特別約款が定められており、そのなかでも最も基本的、典型的なものが、「協会貨物約款(Institute Cargo Clauses=ICC)」です。
なお、ロンドン保険業者協会は従来の保険証券とICCを抜本的に改定した新保険証券と新ICCを制定しましたが、旧約款と新約款の双方が現在も利用されています。
基本的な条件
旧約款と新約款、いずれも以下3種類の保険条件が設定されています。
(1) ICC(A)条件
最も担保範囲が広く、海上危険だけでなく、荷役中の事故など輸送中の危険すべてを担保する条件です。
旧約款のAll Risks(A/R)条件(全危険担保)に概ね相当します。
(2) ICC(B)条件
海水、湖水、河川の浸水による水濡れ損害、火災、爆発、座礁、衝突などの危険をカバーする条件です。
旧約款のWith Average(WA)条件(分損担保)に概ね相当します。
(3) ICC(C)条件
最も担保範囲の狭い条件で、沈没、座礁、大火災、衝突など航海を続けることが危うくなる危険のみカバーしている条件です。
旧約款のFree from Particular Average(FPA)条件(分損不担保)に概ね相当します。
以上にご紹介した協会貨物約款(ICC)以外にも、基本条件には以下のようなものがあります。
・協会航空貨物約款(全危険担保)(Institute Air Cargo Clauses(All Risks))
・協会戦争危険担保約款(Institute War Clauses(Cargo))
・協会ストライキ・暴動・騒乱担保約款(SRCC Clauses=Institute Strikes Riots and Civil Commotions Clauses)
さらに、人為的な危険や特殊な危険については、基本条件に追加して保険条件を設定する場合もあります。
以上、貨物海上保険の基本条件についてご紹介しました。それぞれの貨物の特性に応じて最適な条件設定を行うようにしましょう。
弊社では世界29か国・地域で約2000社のバイヤーとオンラインでマッチングできるB2Bプラットフォーム「シェイカム」を提供しています。当社のパートナー企業である、29の国と地域2,000社の海外主要小売店のバイヤーとマッチング可能で、海外企業との商談経験が豊富な当社のコンサルタントと一緒に営業商談を行えます。
よろしければぜひご相談ください。