EC/D2C関連法制の基礎知識①~特定商取引法
ECやD2Cに係るビジネスはB2B、B2CそしてC2Cとその形態を多様化しながらその取扱製品の種類・量ともに取引を拡大しています。またその拡大に伴い、様々な関連する法律による規制を受けるようにもなっています。
本連載では、EC/D2C関連法制の基礎知識として、EC/D2Cを展開する上で注意すべき規制についてご紹介します。
まず、第一回は特定商取引法についてご説明します。
特定商取引に関する法律
EC/D2Cは通信販売の一種として位置付けられており、特定商取引に関する法律の規制の対象となっています。
ここでは特に重要なポイントを3つご紹介します。
広告の表示
消費者にとり、広告の記載が不十分であったり、不明確だったりすると、後日トラブルを生ずることになります。そのため特定商取引法は、以下のような事項で広告に表示する際の規制を定めています。
・販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)
・代金(対価)の支払い時期、方法
・商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
・売買契約の申込みの撤回又は売買契約の解除に関する事項
・事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
・申込みの有効期限があるときには、その期限
・販売価格、送料等以外に購入者等の金銭負担があれば、その内容と金額
など。
誇大広告等の禁止
特定商取引法は、誇大広告や著しく事実と相違する内容の広告による消費者トラブルを未然に防止するため、表示事項等について、「著しく事実に相違する表示」や「実際のものより著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示」を禁止しています。
未承諾者に対する電子メール広告の提供の禁止
消費者があらかじめ承諾しない限り、事業者は電子メール広告を送信することを、原則禁止しており、これをオプトイン規制と言います。なお、広告宣伝メールを送る際に受信拒否があった場合は送信をしてはならない方式をオプトアウト規制と言いますが現行法では対策が不十分とされます。
この規制は、販売事業者のみならず、広告受託事業者も対象となります。したがって、当該電子メール広告の提供について、消費者から承諾や請求を受けた場合は、最後に電子メール広告を送信した日から3年間、その承諾や請求があった記録を保存することが原則必要です。
次に、直近の動きとして同法の改正についてお伝えします。
特定商取引法の改正予定とその内容
消費者庁が2022年2月9日、特定商取引法の改正に関して「特定商取引に関する法律等の施行について(通達)」を公表しました。
同改正では一部の規定を除き、2022年6月1日から施行され、カートシステムの「最終確認画面」での表示項目の変更を求められます。
これにより、顧客が注文確定の各契約事項を簡単に最終確認できるように表示する必要が求められます。
※消費者庁の改正に関する情報について詳細は以下をご参照ください。
EC/D2C事業に関連する重要な法律の改正となります。ぜひ事前に確認して対策をしておきましょう。
以上、EC/D2C関連法制の基礎知識として、特定商取引法をご紹介しました。