SNSをフル活用してD2Cを成功させる具体的方法まとめ

これからD2C販売に携わるご担当者様には、「D2CにおいてSNSが重要なのは知っているが、なぜ重要なのかまで理解できていない」「SNS運用が上手な日本のD2C企業を知りたい」という方は多くいらっしゃると思います。
D2Cのマーケットは近年急成長を遂げているものの、新しいマーケットが故に正確な情報を見つけることが難しい状態にあります。
そこでこの記事では、D2Cにおいて”SNSが重要な理由”に焦点を絞り、その事例をふまえて「SNSをフル活用してD2Cを成功させる具体的方法」をご紹介いたします。
頭にD2Cというワードが入っておりますが、EC販売においてSNS運用に力を入れようと考えているご担当者様は、ぜひご一読ください。
D2CマーケティングでSNSの活用が「必須」な理由
D2CマーケティングでSNSの活用が必須な理由は4つです。
- 「ユーザーのファン化」に繋がりやすいため
- ユーザーのリアルな声やデータを集めやすいため
- UGC(口コミ)を活用して多くの人にアピールするため
- D2Cを利用するミレニアル世代はSNSを日常的に使うため
1つずつご説明します。
「ユーザーのファン化」に繋がりやすいため
D2Cは、企業とユーザーがダイレクトに繋がる関係性です。ダイレクトに繋がってファンになってもらうことで、商品を買ってくれたり、リピーターになったりと売上アップに役立ちます。
SNSのアクティブなフォロワーを、見込み客として考えることもできます。
SNSは、ユーザーの日常生活に入り込みやすい媒体です。広告感を出さずにユーザーのデバイスに表示できるため、自然な形でブランドをアピールしやすい特徴があります。
SNSは雑誌やカタログのような使い方もできます。「この世界観が好きだな」と思わせることでファン化に繋がり、将来のお客様になってもらえるのです。
また、ユーザーの投稿に対して直接反応を返せることも、SNSのメリットです。好意的な投稿を見つけた時にはお礼のコメントを返せますし、クレームのような投稿を見つけた時には丁寧に謝罪することもできます。
好きなブランドのアカウントから返事をもらえると、嬉しいですよね。不満に対して丁寧に謝罪されると、「誠実な会社だな」と好印象を持ってもらえるかもしれません。
SNSはユーザーと繋がりやすく、ファン化を促せるツールです。そのため、ユーザーとの直接的なつながりが大切なD2Cの分野では、SNS運用は欠かせません。
ユーザーのリアルな声やデータを集めやすいため
SNSはユーザーのリアルな声を拾いやすい特徴があります。商品名やブランド名で検索すると、リアルな口コミがたくさん見つかるはずです。
従来、ユーザーの声を集めるには、モニターという形式で意見を募ったり、アンケートをお願いしたり、企業側から働きかける必要がありました。
しかしSNSを上手に活用すれば、企業側からアンケートをお願いしなくとも、自然な投稿の中からリアルな意見を見つけることができるのです。
もちろんアンケート機能を使って、SNS上でアンケートを取ることもできます。
製品に対するリアルな意見を集めやすいため、SNSはD2Cには欠かせません。
UGC活用で多くの人にアピールするため
UGCとは、User Generated Contentsの略です。簡単に言うと、ユーザーが投稿した口コミのような投稿のこと。企業が作成したコンテンツではなく、あくまでもユーザーが作成したコンテンツのことを指します。
例えばInstagramで「ディズニーランド」と検索すると、ディズニーランドを訪れたユーザーの投稿が大量に出てきますよね。これが「UGC」です。
ディズニーランドがオリジナルの投稿をしなくとも、ユーザーの投稿を利用すれば、十分な宣伝効果が見込まれます。
UGCを上手く利用できれば、企業がコンテンツを作成する手間が省けますし、広告感の無い投稿を前面に打ち出すこともできます。
D2Cを利用するミレニアル世代はSNSを日常的に使うため
D2Cを積極的に利用する世代に、ミレニアル世代と呼ばれる世代があります。ミレニアル世代とは1981〜1996年頃に生まれた世代を指し、学生時代からSNSに触れてきた世代と重なります。
ミレニアル世代はSNSを日常的に利用しますので、ミレニアル世代にアピールしたいサービスやブランドは、SNSとの相性が良いのです。
この章のまとめ
D2CでSNSが欠かせない理由は次の通りです。
- ユーザーのファン化に繋がりやすいため
- ユーザーのリアルな声やデータを集めやすいため
- UGC(口コミ)活用で多くの人にアピールするため
- D2Cを利用するミレニアル世代はSNSを日常的に使うため
D2C企業がこれからはじめてSNS運用する際の注意点とポイント
SNSはライトなメディアゆえに使い方を間違えてしまえばブランドイメージをマイナスにしてしまいかねない難しいメディアです。
また、SEO記事と異なり、こまめに投稿やレスポンスを行わないといけないため、人的リソースという意味でも運用には注意が必要です。
ここで、D2C企業がSNSを運用する際のポイントを以下にまとめました。
- 広告感、宣伝感の強いものはNG!ユーザーの日常に馴染むコンテンツを作成する
- ユーザーの意見を尊重しながら常に最適化する
- オンラインで完結する導線を作る
- 「モノ」だけではなく「コト」「体験」「共感」を重視する
- UGC(口コミ)を上手く活用する
- 文章だけではなく画像や動画コンテンツを整える
それぞれご説明いたします。
広告感、宣伝感の強いものはNG!ユーザーの日常に馴染むコンテンツを作成する
ユーザーにとって、SNSは日常生活の延長です。ユーザーは、何かを宣伝されるためにSNSをやっているわけではありません。「わたしに合ったもの」「わたしが好きなもの」を取り入れるために、アカウントをフォローしています。
そのため、広告感や宣伝感の強いコンテンツは敬遠されます。フォローを外されたり、SNS広告であれば「不適切」と報告されたり。
一般ユーザーの投稿から浮きすぎず、しかし埋もれないコンテンツを作成するバランス感が大切です。
ユーザーの意見を尊重しながら常に最適化する
SNSの特徴は、こまめにコミュニケーションを取れること。InstagramであればDMやコメント、TwitterであればDMやリプライなどで交流することができます。
ユーザーとコミュニケーションをとることで、問題をいち早く把握できたり、狙い通りにターゲットに響いているか確認できたりとメリットが多くなります。
オンラインで完結する導線を作る
SNSの投稿から商品の購入まで、オンラインで完結する導線を作りましょう。SNSを日常的に利用する世代は、若い頃からECに馴染みのある世代でもあります。
「買い物はほとんどオンライン」という人もいますし、何より「欲しい」と思った時に買ってもらうことで購買率が高まります。
商品を紹介したページにLPのURLを貼り付けたり、プロフィールから公式サイトに誘導したり、導線を整えましょう。
「モノ」だけではなく「コト」「体験」「共感」を重視する
D2Cで商品を購入する層は、サービスの実利価値だけに価値を感じているわけではありません。ブランドのストーリーやコンセプトをトータル的に見た上で「いいな」と判断します。また、社会的意義の大きさに魅力を感じて購入することもあります。
「モノ」の実利性だけをアピールするのではなく、それを使うことによるユーザーの満足感、精神的な充足感を想像することが大切です。
UGC(口コミ)を上手く活用する
先ほどもご説明しましたが、UGCとはUser Generated Contentsの略です。簡単に説明すると、ユーザーによる口コミのような投稿のこと。企業が作成したコンテンツではなく、ユーザーが作成したコンテンツを指します。
UGCを上手く活用することで、SNS担当者の負担を軽減させたり、広告費を抑えたり、広告感の薄い自然なコンテンツを増やしたり、プラス面が大きくなります。
文章だけでなく画像や動画コンテンツを整える
D2Cで成功している企業は、SNSの中でも特にInstagramの運用が上手です。画像や動画は、一度に入ってくる情報が多く、ユーザーを惹きつけられます。Instagramに馴染むような、ビジュアルに訴えかけるコンテンツ作成は重要です。
ただ、画像や動画の多いInstagramだからこそ、あえて文字だけを投稿することで目立つ場合もあります。王道の戦略ではありませんが、強調したい情報がある時には、文字だけの投稿を活用するのも一つの手です。
どのSNS媒体を使う場合でも、文章だけでなく画像や動画でユーザーにアピールしましょう。
文字のTIPSを充実させているアカウント
https://www.instagram.com/birchbox/
ストーリーズ投稿や商品タグなどを上手に活用しているアカウント
https://www.instagram.com/away/
この章のまとめ
- 広告感、宣伝感の強いものはNG!ユーザーの日常に馴染むコンテンツを作成する
- ユーザーの意見を尊重しながら常に最適化する
- オンラインで完結する導線を作る
- 「モノ」だけではなく「コト」「体験」「共感」を重視する
- UGC(口コミ)を上手く活用する
- 文章だけではなく画像や動画コンテンツを整える
従来のようにマス向けのやり方では通用しないのがD2C。モノそのものの価値だけでなく、コミュニケーションやブランドの背景、企業の信頼性が重要です。
国内D2CブランドではどのSNSアカウントの運用が人気なのか?
国内D2Cブランド10社を例に、SNSアカウントのフォロワー数を調べてみました。Instagramに力を入れているブランドが多いので、Instagramのフォロワー数が多い順にご紹介します。
※)2020年8月時点の数値
国内D2Cブランドにおいては、Instagramの運用が鍵を握っていると言えるでしょう。
どのアカウントでも、おしゃれで綺麗な画像を用いた投稿や、タイムラインの効果的なアーカイブ化などが見られます。
海外のD2Cブランドの人気アカウント
番外編として、アメリカのD2Cブランドもご紹介します。
アメリカのD2C市場で成功しているブランドといえば、化粧品ブランドの「Glossier」。
アメリカで話題のD2Cブランドのインスタ画面をみてみる
https://www.instagram.com/glossier/
Instagramのフォロワー数は283万人と驚異的です。
中国のD2C市場で話題のブランドには、化粧品ブランドの「Perfect Diary(完美日记)」があります。
中国で話題のD2Cブランドのインスタ画面をみてみる
https://www.instagram.com/perfectdiaryofficial/
Instagramのフォロワー数は9.1万人。(2020年8月数値)
日本やアメリカ、中国のD2C企業のSNSをチェックすると、SNSの中でも特にInstagramのフォロワー数が多いと分かります。
中でも化粧品や女性向けアパレルなど「美容関連」の分野は、フォロワーを伸ばしやすい傾向があります。Instagramはおしゃれな画像を雑誌やカタログのように並べて表示できますので、美容関連との相性が良いのです。
Instagram/Twitter別のSNS運用の例
媒体毎にターゲットの性質も使い方も異なります。そこで、各メディアで企業がどのような運用をされているのかご紹介いたします。
今回はInstagram/TwitterのSNS運用の例を詳しく見ていきます。
国内のD2CでInstagramフォロワー数が多いアカウントは、次の通りです。
・COHINA:14.5万人
・Mr. CHEESECAKE:6.7万人
・BASEFOOD:2.1万人
※)2020年8月時点
COHINAでは、コーディネートの写真をメインのコンテンツとしています。全ての写真に「149cm」「153cm」などと身長を書き入れることにより、「着た時のイメージ」が湧きやすい工夫がなされています。
また、プロフィール欄にはUGCを増やす工夫もされています。「#COHINAをつけてご投稿お願いします」「#cohina倶楽部でみなさんのコーデをご紹介」など、ハッシュタグでユーザーの投稿が集まるように呼びかけをしています。
フードを扱うMr. CHEESECAKEやBASEFOODは、商品そのものやアレンジレシピの写真がメインです。Mr. CHEESECAKEは、スプーンでチーズケーキを一口分を取った状態の「食べる直前」のような写真も多いです。
「ユーザーが着ること/食べることを想像しやすい写真」がメインコンテンツとして投稿されています。
国内のD2CでTwitterフォロワー数が多いアカウントは、次の通りです。
・BULK HOMME:3万人
・Mr. CHEESECAKE:2.6万人
・BASEFOOD:1.2万人
※)2020年8月時点
メンズのスキンケア用品として有名なBULK HOMMEは、商品を紹介するシンプルなツイートが多いにもかかわらず、フォロワー数が3万人と多いです。
その理由は、定期的に「リツイート&フォローで●●をプレゼント」というキャンペーンを出しているためだと考えられます。
実際に5月末のキャンペーンでは、約2000人がキャンペーン投稿をリツイートしています。もし全員が新たなフォロワーだった場合、1つの投稿で2000人のフォロワーを獲得した計算です。
Mr. CHEESECAKEのアカウントは、ユーザーとの交流を上手く活用しています。公式の写真を提供して自由に感想を入れてもらったり、ユーザーの投稿を積極的にリツイートしたり、チーズケーキとは関係のない人気スイーツのレシピを紹介したり。
Instagramは美味しそうなチーズケーキやレシピの写真投稿がメインでしたが、Twitterではユーザーとの交流が目立ちます。UGCの獲得もできています。
Mr. CHEESECAKEは、InstagramとTwitterの特色を生かして、SNSを上手に活用しているのです。
この章のまとめ
ジャンルやユーザーによって、成果を出しやすいSNS媒体は異なります。美容系やフード系のジャンルで、雑誌やカタログのように見せたいのであれば、Instagramが最適です。
ユーザーと交流したり、キャンペーンを企画したりする場合はTwitterが向いています。
SNS広告を起爆剤に活用して、ブランド認知を高める方法
SNS運用は大きく分けて2つの運用方法があります。1つ目は一般的なユーザーも行うような普通の投稿、2つ目はSNS広告です。ここではSNS広告についてご説明します。
この記事をご覧になっている方はご存知かと思いますが、SNSでも広告を表示させることができます。Googleのリスティング広告等と似たような仕組みで、コンテンツを作り、ターゲティング設定をし、入札し、広告を流します。
SNS広告を上手く活用することで、露出を一気に増やし、フォロワー数やエンゲージメント、購買数を上げることもできます。
SNS広告のコンテンツを作る際に重要なのは、ユーザーの投稿に馴染むコンテンツを作ること。
最初にもお伝えしましたが、SNSはユーザーの日常生活の一部です。広告感の強いコンテンツを求めてる人はおらず、あくまでも「わたしに合うもの」「わたしの好きなもの」を見たいためにSNSを利用しています。
そのため、あまりにもスタイリッシュでかっこよすぎるコンテンツや、プロっぽすぎるコンテンツ、テキストの情報の多すぎるコンテンツなどはユーザーに馴染まない可能性があります。
ユーザーに馴染まないコンテンツを作り続けると、入札額も上がり、表示されにくくなります。
ユーザーの投稿画面に馴染むような自然なコンテンツ作成を心がけましょう。
この章のまとめ
- SNSでも広告を出稿できる
- SNSは日常の延長なので、他の投稿に馴染むようなコンテンツ作りが大切
SNSを活用したソーシャルリスニングのポイント
ソーシャルリスニングとは、Twitterなどのソーシャルメディア上の声に耳を傾け、自社のブランドや製品・サービスに対する評判・改善点などを調査・分析することです。
従来のように企業側からアンケートをお願いして意見を集めるだけではなく、ユーザーが自発的に投稿したコンテンツから意見を拾うのです。
ソーシャルリスニングのポイントは、下記の3つ。
- 施策の結果をデータ化し、今後のSNS運用に活用する
- バズが起きた場合、バズの要因を特定・分析する
- 分析ツールを利用する
それぞれご説明いたします。
施策の結果をデータ化し、今後のSNS運用に活用する
普通の投稿であればエンゲージメント率、広告であればCVなど、データを確認することで今後の施策が立てられます。
なんとなくSNSを運用しても、効果は出ません。KGIやKPIを設定し、効果を分析しながら運用します。
バズが起きた場合、バズの要因を特定・分析する
急激に反応率が高まった場合、どこかでバズっていたり、インフルエンサーが紹介していたりする可能性があります。
例えば、パソコン仕事をする人に役立つガジェット情報の反応率がとても良かった場合、ブロガーとして数万人のフォロワーを抱えるインフルエンサーがリツイートしている場合があります。
バズの要因を特定することで、どの属性にどのように訴えかければ反応が集まるのか把握できますので、次回から施策を立てやすくなるでしょう。
分析ツールを利用する
分析ツールを使って、客観的に状況を把握することも大切です。無料のツールですとGoogleトレンドやYahoo!リアルタイム検索、Twitterの高度な検索などが利用できます。
有料ツールですと、TalkwalkerやSprinklrなどがあります。
この章のまとめ
ソーシャルリスニングのポイントは、下記の3つ。
- 施策の結果をデータ化し、今後のSNS運用に活用する
- バズが起きた場合、バズの要因を特定・分析する
- 分析ツールを利用する
SNS運用で成功しているD2C企業を紹介
ここまでD2C販売に置けるSNSの活用の基礎知識を学んで参りました。
この章ではよりイメージをつけて頂くため、SNS運用が上手なD2C企業を国内3社、海外2社ご紹介します。
国内でSNS運用に力を入れている企業①:Mr. CHEESECAKE
https://www.instagram.com/mr.cheesecake.tokyo/
数量限定の幻のチーズケーキを販売している「Mr. CHEESECAKE」。ケーキと配送料を合わせて約5,000円と高価ですが、販売された瞬間に売り切れるほどの人気です。
公式Instagramのフォロワー数は6.7万人、Twitterのフォロワー数は2.6万人。Mr. CHEESECAKEのシェフである田村浩二さんのInstagramフォロワー数も2万人、Twitterフォロワー数も4.3万人と大人気です。
Mr. CHEESECAKEの公式サイト自体はかなりシンプルですが、SNSの影響力が強いため、人気を維持し続けています。SNS上での人気が売り上げに直結している例です。
また、自宅でもMr. CHEESECAKEのようなチーズケーキを作れるレシピが公開されています。
国内でSNS運用に力を入れている企業②:BASE FOOD
https://www.instagram.com/basefood_tokyo/
完全食のパスタやパンで有名なBASE FOOD。Instagramのフォロワー数は2.1万人、Twitterのフォロワー数は1.2万人です。
BASE FOODはマイクロインフルエンサーやモニターを使って、SNS上に「リアルな口コミ」をたくさん作ったことで爆発的に知名度が向上しました。
国内でSNS運用に力を入れている企業③:COHINA
https://www.instagram.com/cohina.official/
155cm以下の小柄な女性向けのアパレルブランド。Instagramのフォロワー数は14.5万人とかなり多いです。創業1年半で月商5000万円として話題になりました。
ターゲット層がSNSをもっとも利用する世代なこともあり、口コミも活発です。
海外でSNS運用に力を入れている企業①:Glossier
https://www.instagram.com/glossier/
Instagramのフォロワー数が283万人と圧倒的な、NY発の化粧品ブランドGlossier。人気の美容ブログが元となってブランドが立ち上がりました。リーズナブルな価格帯のコスメが多く、10代からミレニアル世代まで幅広い女性に人気です。
海外でSNS運用に力を入れている企業②:Away
https://www.instagram.com/away/
2015年創業のスーツケースのブランドです。Instagramのフォロワー数は約50万人。なかなか買い換えないと思われるスーツケースですが、1年目から50万台を売上話題になりました。
Instagramには、商品単体の写真は多くありません。思わず旅行に行きたくなるようなおしゃれな写真や、部屋の片隅にさりげなく置いているスーツケースの写真が多いのも特徴です。
実践編)社内でSNS運用をする際のポイント
前述の通り、企業のSNS運用には難しい一面もあります。
その点は大きく分けると以下の4つです。
- サービスやブランドに適したSNS媒体を選ぶ
- 世間や社内のカレンダーを意識した投稿をする
- 社内のリソースを把握し、あらかじめ投稿頻度を決める
- 最初は企業側からユーザーにアプローチする
1つずつご説明いたします。
サービスやブランドに適したSNS媒体を選ぶ
よく使われるSNS媒体は、InstagramとTwitter。その後にFacebookやTikTokが続きます。それぞれの特徴は次の通りです。
<Instagram>
- 10代〜40代が多く、女性の方がやや多い
- おしゃれなものを視覚的にアピールすることに適している
- 雑誌やカタログのような使い方ができる
- テキストの文字数制限が2200文字なので、長い文章も投稿可能
- 1つ1つの投稿にはリンクを貼ることができない
※リンクについて補足
- プロフィール欄:URLを1つ貼り付けることが可能
- ストーリーズの「もっと見る」機能:フォロワー数が1万人を超えるアカウントのみ利用可能
- メインの投稿:リンクを貼ることは不可能
<Twitter>
- 20代が多く、やや男性が多い
- 匿名性が高く拡散力も高いため、バズを生みやすい
- 情報収集のために利用する人も多い
- フォローやリツイートによるキャンペーン企画がしやすい
- 1つ1つの投稿にリンクを貼ることができる
- 質の高いツイートをしても、数時間後には埋もれてしまう
- 炎上する可能性がある
<Facebook>
- InstagramやTwitterを利用しない50代以降の男性も多い
- 他のSNSに比べるとフォーマルな印象
- バズを生むというよりは、身近な人から情報を届けていくイメージ
- 個人情報が入力されているため、細かくターゲティングした広告を打てる
- InstagramやTwitterに比べると、時間をかけても結果が出にくい
<TikTok>
- 中高生など若年層が多い
- 学生を狙ったサービスやブランドの場合、相性が良いことも
- 音声をONにしている人が多いため、音楽やゲーム動画との相性が良い
サービスやブランドの特徴、ターゲットの特徴から、適切なSNS媒体を選びましょう。
世間や社内のカレンダーを意識した投稿をする
カレンダーを意識して、コンテンツをまとめて作成することもおすすめです。
世間のカレンダーを意識すると、次のタイミングに合わせた訴求ができます。
- お正月
- お盆
- クリスマス
- バレンタインデー
- 母の日
- 父の日
- ボーナス支給日
社内のカレンダーを意識すると、次のタイミングに合わせた訴求ができます。
- 商品の発売記念日
- セール期間
あらかじめ「この時期にはこのツイートをする」と決めて、投稿案を用意しておくことをおすすめします。
社内のリソースや投稿頻度を決める
SNS運用は業務の片手間でできるものではありません。誰がどれだけコミットできるのかを把握し、コンテンツ作成からユーザーとのコミュニケーションまで丁寧にできるよう計画を立てましょう。
投稿頻度をあらかじめ決めることで、運用にかかる時間を予測できます。定期的な更新があると、アカウントの信頼感にも繋がります。
最初は企業側からユーザーにアプローチする
コンテンツを作成しても、人の目に触れなければ、誰からの反応も得られません。当然ですよね。
企業側から顕在層/潜在層をフォローしたり、話題のハッシュタグを追ったり、リプライやコメントをしたり、広告を出したり、様々な働きかけができます。最初は特に「ユーザーとの接点」を持つ働きかけが必要です。
この章のまとめ
社内でSNSを運用するポイントは、次の通りです。
- サービスやブランドに適したSNS媒体を選ぶ
- 世間や社内のカレンダーを意識した投稿をする
- 社内のリソースを把握し、あらかじめ投稿頻度を決める
- 最初は企業側からユーザーにアプローチする
実践編)社内でSNS運用をする際の目標設計の仕方
ここまででSNS活用には多くのリソースと綿密な設計が必要だということがお分かり頂けたかと思います。これらをの問題を無事クリアし、いざ運用スタートとする前に最後に「目標設計」の仕方についても確認しておいてください。
ここでは特にKPIとKGIについて解説して参ります。
例えばKGIが「Twitterでブランドの認知度をUPさせる」の場合、KPIとして測定するのはインプレッション数などです。
インプレッション数とは、その投稿が見られた回数のこと。普通に投稿し、リツイートが0の場合、その投稿を見るのは主にフォロワーです。
一方でリツイート数が多いと、その投稿は「フォロワーのフォロワー」まで届きますので、インプレッション数は加速度的に増えていきます。
「リツイートした人に●●を無料プレゼント」などの企画をすると、リツイート数は伸びます。フォロワーのフォロワーにまで投稿が届き、結果的にインプレッションも増えます。とにかくブランドの認知度をUPさせたい場合、リツイート企画は有効な手段となります。
※リツイートキャンペーンイメージ
また、KGIが「Instagramでファンを増やす」の場合、KPIとして測定するのはエンゲージメント率などになります。エンゲージメント率を簡単に説明すると、「フォロワーの何%がいいねやコメントで反応してくれたか」。濃いファンを把握するには、エンゲージメント率が重要になります。
例えば、フォロワー数が多くてもエンゲージメント率が低い場合、「フォロワーは多いがファンは少ない」と言えます。
逆に、フォロワー数が少なくともエンゲージメント率が高い場合、「フォロワーは少ないが濃いファンが多い」と言えるでしょう。
濃いファンの獲得を目指す場合、フォロワー数だけを追うのではなく、エンゲージメント率に着目することも大切です。
最後に
D2Cにおいて、SNS運用は欠かせません。顧客にダイレクトに商品を販売するツールにおいてSNSはメイン媒体となるからです。また、D2Cを利用するユーザーの多くがSNSを利用する世代(デジタルネイティブ世代)ですから、SNSを上手く使うことでブランドやサービスを日常生活に浸透させられるのです。
そのためには、各SNSの特色を生かした運用を行い、適切なターゲットに適切なブランディングができるように計画を立てることが重要になってきます。今後ますます変化が激しくなってくると予想されるD2C業界およびSNSマーケティングにおいて、もはやどこかと兼任のチームではなく、SNS運用に特化した専門のチームを内部で創設することも今後視野にいれておくべきでしょう。