2020年06月02日

DtoC(D2C)の最先端を知る 2020年に重要度が増す消費者ニーズの把握と最先端の成功事例

世界的にEC市場が拡大する中、D2Cというビジネスモデルが注目を集めています。すでにD2Cで成功をおさめている企業の取り組みを紹介しながら、2020年のEC市場で欠かせないD2Cについてご説明いたします。

目次

①D2Cとは

「D2Cという言葉は聞いたことがあるけど、イマイチ何のことか分からない」「BtoCとの違いが分からない」という方に向けて、D2Cについて解説します。

D2Cとは製造から販売までを一貫して自社で行うビジネスモデル

D2Cは「Direct to consumer」の略で、「仲介業者をはさまずに、製造から販売までを一貫して自社で行うビジネスモデル」のことです。D2Cのほか、D2Cと表記されることもあります。

D2Cと似た用語に「BtoC」「SPA」がありますので、こちらの意味も併せて解説します。

BtoCは「Business to Consumer」の略で、企業が一般消費者を対象に行うビジネスモデル全般を指します。D2Cと似ていますが、BtoCは大元の企業と消費者の間に仲介業者をはさむことが多いです。

SPAは「Speciality store retailer of Private label Apparel」の略で、製造から販売までを自社で行うビジネスモデルのことを指します。D2Cとの大きな違いは「実店舗を持つかどうか」。SPAは自社の店舗で販売しますが、D2Cは基本的に店舗を持たず、自社ECサイト中心に商品を販売しています。

 

D2Cの例

日本国内のD2Cの例は、再春館製薬所の「ドモホルンリンクル」、セイバンの「天使のはねランドセル」などがあります。

どちらも商品のイメージやターゲット層が想像しやすく、アフターサービスの充実している丁寧な会社というイメージがあるかと思います。

D2Cは「この会社だから」「このブランドだから」と選んでもらうビジネスモデルなので、商品や会社のイメージ、つまりブランディングが非常に大事です。

 

D2Cのメリットは?

D2Cのメリットについて2つご紹介します。

メリット1:手数料やマージンがかからない

D2Cは仲介業者をはさまないので、手数料やマージンが発生しません。Amazonや楽天市場を利用すると、月々の登録料や購入された代金の10%程度をマージンとして支払うことになります。

それぞれの手数料は次の通りです。

<Amazon出品サービスの手数料>

月額登録料 基本成約料 販売手数料
大口出品プラン 4,900円 なし 8~15%
小口出品プラン なし 商品ごとに100円 8~15%

<Amazon出品サービスの手数料>

月額出店料 システム利用料
がんばれ!プラン 19,500円 月間売上高の3.5~7.0%
スタンダードプラン 50,000円 月間売上高の2.0~4.5%
メガショッププラン 100,000円 月間売上高の2.0~4.5%

参考:https://services.amazon.co.jp/services/sell-on-amazon/fee.html

(情報取得日:2020年2月25日)

D2Cはこれらの手数料がかからないので、その分コストを抑えることができます。

手数料やマージンがかからないことは、D2Cの大きなメリットです。

メリット2:ブランディングを自由にできる

消費者への届け方やイメージの付け方など、自由にブランディングすることができます。「こういうイメージで売りたい」という方向性が決まっている場合、自社内で一からブランディングし、商品を届けることができます。

TwitterやInstagramを上手に使いながら消費者と直接コミュニケーションを取ることもできますし、インフルエンサーに商品紹介をしてもらい、ターゲットに届ける手法もトレンドになっています。

 

D2Cのメリットをまとめると、

  • 仲介業者をはさまないので手数料やマージンがかからない
  • 自由にブランディングできる 

ことが挙げられます。

 

D2Cのデメリットは?

認知されるための難易度が高いことがD2Cのデメリットです。

D2Cは商品力の向上からブランディング、集客まで全てを一から行いますので、幅広くて深いノウハウが必要です。集客を例に「認知されるための難易度が高い」点についてご説明します。

デスクを楽天市場に出品する場合、楽天市場の検索で「デスク」「机」と検索した人に見てもらえる可能性があります。集客ノウハウがなくとも、ある程度の人に認知されるのです。

しかし、楽天市場に出品せずに自社ECサイトのみで販売する場合は、Googleなどの検索エンジンで「●●(社名) デスク」と検索してもらうか、SNSの投稿や口コミを見てもらうか、広告で認知してもらうか、いずれかの方法が無いと認知してもらえません。

楽天市場に出品するよりも時間がかかりますし、広告費などを含めるとかえってお金がかかる可能性があります。

自社で一貫して行うため、専門的なノウハウが必要ですし、集客に時間がかかるのも現実です。

 

この章のまとめ

D2C(DtoC)は、「仲介業者をはさまずに、製造から販売までを一貫して自社で行うビジネスモデル」のことです。

主なメリットは、手数料やマージンがかからないこと、ブランディングを自由にできること。

主なデメリットは、難易度が高いことです。

日本ではドモホルンリンクルや天使のはねランドセルがD2Cの成功事例として認知されています。

 

②2020年最先端のD2C事情とD2Cが台頭してきた理由 

近年D2Cが台頭してきた理由を2つご説明します。

 

理由1:消費者と直接やりとりできるツールが普及したため

TwitterやInstagram、YouTubeなどが普及し、企業の担当者と消費者が直接コミュニケーションを取れるようになってきました。

・Twitterの国内利用者数(2017年10月)は4500万人(3人に1人)

参考:https://twitter.com/TwitterJP/status/923671036758958080

・Instagramの国内利用者数(2019年6月)は3300万人(4人に1人)

参考:https://about.fb.com/ja/news/2019/06/japan_maaupdate-2/

そのため、消費者に届く商品やコンセプトを打ち出せば、消費者が直接「良い」と判断して購入してくれるのです。「良い」と思われる商品やコンセプトがあれば、消費者に見つけてもらいやすい時代になってきたと言えます。

以前は大規模なモールに掲載料を支払わなければ、消費者に知ってもらう機会がありませんでした。

しかし、今は様々なSNSが普及していますので、モールを介さなくとも消費者と直接繋がることができるのです。

 

理由2:消費者との出会いのチャンスが広がった

インターネットが普及する前は、店舗以外には「企業と消費者の出会いのチャンス」がありませんでした。2000年代に入りインターネットでの買い物が一般的になると、Amazonや楽天、Yahooなどの「大型モール」での購入が増えました。

そして現在は、企業のSNSやインフルエンサーのSNSで商品を知り、メーカーの販売サイトで購入する人が増えています。以前と同じく店舗やモール型ECサイトはもちろん、SNSによって出会いのチャンスが増えました。

SNSが普及したことで、企業と消費者の接点は増え、D2Cの形が一般消費者に馴染むようになってきました。

D2Cの実店舗出店

「ネット上」で企業と消費者が直接繋がるイメージのあるD2Cですが、実は実店舗出店も増えてきました。

実店舗出店と聞くと、以前の形に戻ったような印象を持ちますが、そうではありません。D2Cの実店舗は、ネットの強みと実店舗の強みを併せ持った「新しい売り方」として注目を集めています。

例えば、メンズアパレルの「BONOBOS」は実店舗を持つD2Cの代表例です。

BONOBOSでは、ECサイトでの購入履歴などの「顧客情報」をタブレットで閲覧しながら、店舗を訪れた目の前のお客さんに丁寧な接客をしています。

通常の小売店で接客をする場合は、相手にするのは初めて出会うお客さん。詳しい顧客情報を見ながらの接客は難しいです。そのため、本人が必要ないもの、好みでないものまですすめてしまう可能性があります。

一方、ECサイトだけでは必要性や好みを「過去の情報」から自動的に予測するだけになりますので、目の前のお客さんを捉えるには不十分です。

実店舗を持つD2Cは、実店舗とECサイトの良さを組み合わせて接客できるため、よりニーズに適した売り方ができるのです。

常設店舗を持たなくとも、期間限定で店舗を出店する「ポップアップショップ」という形も増えています。インフルエンサーに商品のPRをお願いすることで、「店舗に行けば好きなインフルエンサーに会える」というイベントとしても機能します。

 

この章のまとめ

インターネット(特にSNS)の普及により、企業と消費者の接点が増えました。そのため、仲介業者を通さなくとも、自社商品を知ってもらい、購入してもらう形がメジャーになりつつあります。

「店舗だけ」「ネットだけ」ではなく、両方の良さを組み合わせた「実店舗を持つD2C」の需要が高まっています。

 

③D2Cビジネスモデルが2020年に重要度を増すワケ 

2020年のこれから、D2Cのビジネスモデルがますます重要になる理由を3つの観点からご説明します。

 

1:小売業界の縮小

小売業や卸売業の商業販売額は減少し、店舗閉鎖や業務縮小に陥っています。

今後も小売業界は縮小し、D2Cをはじめとする「新しい方法」を取り入れる企業が生き残ると考えられます。

 

2:消費者のリテラシーの向上

消費者のリテラシーは年々高くなっています。Amazonや楽天では数百、数千のレビューを読んでから商品を購入できますし、SNSでブランドのストーリーに共感して商品を購入する人もいます。

お金をかけたマス広告で宣伝されてるからと言って、消費者の購買意欲に繋がるとは限らない時代です。

今後は消費者の目はますます厳しく、商品への期待感も高くなっていくでしょう。消費者の声を直接聞き、信頼関係を築けるやり方をしなければ、業界で生き残ることは難しくなります。

D2Cがトレンドになるのは必然と言えるでしょう。

 

3:サブスクリプションやシェアリングエコノミーの台頭

メーカーから定期購入型で商品を買う流れは、すでに日本でも流行り始めています。

定期購入の「サブスクリプション」は2020年のトレンドになると予想されています。

サブスクリプションは、毎月/毎年お金を払うことで、定期的に商品が届くサービスです。

トイレットペーパーや歯磨き粉などの消耗品から、全国の高級牛肉やフランス産ワインなどの「ちょっとした贅沢品」まで、さまざまなサービスがあります。

サブスクリプションを利用する消費者は、ブランドやサービスを気に入って定期購入してくれるファンです。「ぜひ今後も購入したい」と思ってもらえるようなブランドにすることで、企業と直接繋がる固定客が獲得できます。

 

この章のまとめ

D2Cビジネスが2020年にますますトレンドになる背景には、

  • 小売業界の縮小、店舗閉鎖
  • 消費者のリテラシーの向上
  • サブスクリプションの台頭

などがあります。

時代の後押しもあり、D2Cは今後より一般に普及するでしょう。

 

④Amazon、楽天、Yahoo!ショッピング三社大手の動向 

ここまでD2C、つまり自社ECがトレンドになりつつあるとご説明してきました。しかし、圧倒的な勢力を持つAmazonや楽天を無視してECサイトを運営することはほぼ不可能です。各社の特徴を知り、自社ECと組み合わせて運営していくのが現実的です。

ECモールと言えば、Amazonと楽天、Yahoo!ショッピングなどを思い浮かべる方も多いと思います。ECの代表例として登場する企業ですが、強みはそれぞれ違います。

ECの運営に携わる方は、各社の特徴をきちんと把握して、対策を打つことが必須です。各社の違いについて、具体的にご説明します。

 

Amazon

Amazonは、配送料が実質無料になる「AmazonPrime」、日用品の定期購入サービス「Amazonパントリー」など、独自のやり方でユーザーを増やし続けています。

 

楽天

Amazonとの大きな違いは、商品単体ではなく、自身の店舗を「出店」する点です。店舗を持てるため、Amazonと比べてリピーターを作りやすくなっています。

 

Yahoo!ショッピング

Amazonや楽天に比べるとやや勢力が劣るものの、日本では根強い人気のYahoo!ショッピング。「初期費用無料」「広告枠の購入」など、2社とは異なる特徴を持っています。

 

この章のまとめ

Amazonと楽天の特徴をまとめると、次のようになります。

Amazon 楽天
価格帯 安め 安め〜高いものまで
商品数 少なめ 多め
購入目的 自分用向き ギフト向き
イメージ 自動販売機 実店舗
閲覧時間 短い 長い
性別 男性に強い 女性に強い
ファン、リピーター 作りにくい 作りやすい

商品や価格、ターゲット層から「どのECモールで出品(出店)すると売り上げが上がりそうか?」を考え、使い分けましょう。

 

 

⑤SNSの利用と販売戦略〜広告で質の悪いアクセスを集める時代が終わるとき〜

従来は、企業側の意図を盛り込んだ「広告」で販売促進をするのが一般的でした。

しかし、最近はSNSの普及に伴い「ブランドのストーリー」「リアルな口コミ」「信用のあるインフルエンサーによるPR」などが増え、消費活動が大きく変化しています。

大量の物を不特定多数に売る時代ではなく、コンセプトありきで作ったものを特定のターゲットから選んでもらう時代になりました。特定の人に刺さるブランドが人気を集めています。

企業側の「とにかく売りたい気持ち」や「安さ重視の商品」の価値は低くなり、特に10〜30代の若者は「ブランドが生まれたストーリー・背景」「経営者がどんな未来を目指して商品を作っているか」などを重要視し、自分の価値観に合ったものを購入する傾向があります。

そのため、企業側の想いをダイレクトに届けられるSNSは、現在の消費市場にマッチしているのです。

ここ数年でSNSブランディングが成功した例を3つご紹介します。

 

SNSブランディングの成功例①:コスメブランド「 Glossier(グロッシアー)」

創業者のエミリー・ワイスさんは、美容系ファッション誌に携わった経験を生かして美容系ブログを始めました。ブログを通じて読者とコミュニケーションを取るうちに、読者とともにコスメを作りたいと思い、 Glossier(グロッシアー)を立ち上げました。

 Glossier(グロッシアー)は、女性に刺さる写真をInstagramに投稿し続け、2600万人ものフォロワーを獲得しています。公式YouTubeの登録者数も約15万人と大人気です。(2020年2月現在)

Instagramのコメント機能を使ってユーザーと交流し、glossierに興味を持った女性をファン化させるのが非常に上手い企業です。

 

SNSブランディングの成功例②:動画を使った開封動画「Unboxing」

「Unboxing」は、開封動画とも呼ばれています。

  • 商品を注文する
  • 商品が家に届く
  • 箱をあけ、使用する

までの一連の流れを動画にして公開したものを指します。

特にアメリカでの人気が高く、インフルエンサーが開封動画Unboxingを公開すると、よくシェアされます。

日本でも「テレビよりもYouTubeをよく観る」と答える10〜20代が増えているため、若者に信頼されているインフルエンサーに商品紹介動画を公開してもらうことで、売り上げを伸ばせる可能性があります。

参考:https://www.excite.co.jp/news/article/Sirabee_20162043224/

 

SNSブランディングの成功例③:友人紹介キャンペーンにより1週間で10万人分のメールアドレスを集めた「HARRY’S」

メガネのD2Cで有名な「Warby Parker」のキャンペーンも、SNSを上手に使った成功例です。

友人を5人紹介するとシェーブクリーム、10人紹介するとハンドルと刃、25人紹介すると髭剃りセット…とプレゼント内容を変えることで、顧客に「たくさんの人に紹介しよう」と思わせることに成功し、わずか1週間で10万人分のEメールアドレスを集めました。

SNSは口コミや口コミの拡散に優れているため、良い商品とキャンペーンを組み合わせることで、知名度・売り上げを爆発的に上げられる可能性があります。

 

この章のまとめ

特に10〜30代の若者は「ブランドが生まれたストーリー・背景」「経営者がどんな未来を目指して商品を作っているか」などを重要視するようになってきました。

この傾向とSNSは非常に相性が良く、D2Cビジネスが普及する要因でもあります。

実際に「Glossier」などのブランドは、SNSを上手く使いながらファンを増やしています。

 

 

⑥D2Cにおける訴求ポイントの把握と消費者購買行動に繋がる心理的な動きを掴む

2020年も消費者のリテラシーはますます高まり、「納得したものを、企業から直接購入する」という流れは加速すると考えられます。

D2Cにおいて、どのようなポイントを押さえると消費者に刺さるのか?についてご紹介します。実際にD2Cで成功している企業を比較し、共通するポイントを集めました。

 

ポイント①:クオリティが高く、満足感のある体験を提供している

D2Cでもっとも大切なのは、クオリティの高い商品を提供すること。そして、一貫した「満足感」を体験してもらうことです。

サイトを閲覧して商品を購入し、自宅に届き、不備があったらアフターサービスを丁寧にしてもらう。この一連の流れ全てのクオリティを高め、消費者に満足してもらうことが大切です。

実店舗で考えると分かりやすいです。

様々な商品が雑多に並んでいる激安大型ショッピングモールは、Amazonや楽天とイメージが近いです。他社の商品と値段やビジュアルを比較し、その場で気軽に購入することが多いと思います。安い商品にアフターサービスを期待する人は少なく、どちらかと言えば「今この瞬間の欲求を満たす」イメージです。

一方、デパートにある高級ブランド店は、D2Cとイメージが近いです。他社の商品と値段やビジュアルを比較することなく、そのブランドのストーリー性や所持することの満足感を大事にして、商品を購入すると思います。

D2Cでは、最初から最後まで満足感を得られるサービスを提供することが大切です。

 

ポイント②:消費者の意見を反映させて、スピード感を持って改善している

従来の広告の場合、仲介業者が多いため、「消費者の意見がダイレクトに届きにくい」「改善点を見つけても、再度リリースするまでに時間がかかる」というマイナス面がありました。

一方、D2Cは消費者と直接繋がっているため、「消費者の意見がダイレクトに届く」「仲介業者がいないため、問題点を改善して再度リリースするのに時間がかからない」というプラス面があります。

細かい改善がしやすく、スピード感を持ってPDCAを回せるため、サービスがレベルアップしていきます。

ポイント③:商品自体のクオリティが高い

そもそも商品自体のクオリティが高くなければ、D2Cでは成功できません。クオリティの低い商品は、SNSでも拡散されませんよね。

D2Cは「消費者が納得感を持って購入する仕組み」とも言えるため、消費者に「商品の素晴らしさ」「他社との違い」「今までにない経験」を感じてもらう必要があります。

ビジネスの原点ですが、D2Cに取り組む場合は、今まで以上に商品自体のクオリティを上げ続ける必要があります。

 

ポイント④:動画やSNSを積極的に活用している

D2Cで成功している企業の多くは、動画やSNSを積極的に活用しています。

動画やSNSの魅力は、ブランドや商品をまだ知らない人とも接点を持つことができる点です。

Twitterでバズが起きると、全く興味のないツイートでもタイムラインに流れてきますよね。大きな話題になっていれば、たとえ興味がなくとも「そんな商品があるのか」「今まで知らなかったけど、この会社のコンセプトは何となく好きかも」と思ってもらえる可能性があります。

今まで届かなかった層と接点を持つことができるため、動画やSNSはD2Cとの相性が非常に良いです。

 

ポイント⑤:Amazonや楽天の動向を把握し、必要に応じて利用している

D2Cにおいて自社ECサイトを強化することは大切ですが、圧倒的な集客力を持つAmazonや楽天も必要に応じて利用しましょう。

Amazonや楽天は強力です。2016年アメリカでの調査によると、約52%の人が「ネットで何か買う時は、Amazonで検索する」と答えています。

今後もこの2社の圧倒的な地位は変わらないでしょう。自社ECを強化することは大切ですが、必要に応じてAmazonや楽天でも出品(出店)したり、差別化をはかるために2社を研究したり、動向を把握する必要があります。

 

ポイント⑥:ブランディングを確立させている

D2Cにおける「消費者」は、「ファン」と言い換えることができます。いかにファンを作るかがD2Cの成功のポイントになります。

「ファン」とは、主に商品を購入したり、SNSで拡散したりする人を指します。

ファンを作るには、まずブランドのイメージを確立する必要があります。ブランドに対してポジティブなイメージや納得感を持たない限り、ファンになってもらうのは難しいです。

ブランディングは、従来の広告や宣伝するだけのSNSでは成功しません。ブランドを心から「良い」と感じているスタッフが、想いを込めてコンテンツを作って初めてブランディングが成功し、ファンがつくようになります。

ブランディングは簡単なことではありません。Webマーケティングの知識と熱意、時代を察知する能力など総合的な力が必要です。

 

この章のまとめ

D2Cの成功のポイントは次の6つです。D2Cで成功しているブランドは、上記のポイントを押さえていることが多いです。

 

⑦グローバルな視点でのEC市場全体の動向

EC市場を世界的に見ると、急成長が見込まれています。2017年時点では約250兆円規模でしたが、今年2020年は約410兆円、2021年には約500兆円規模に推移すると予測されています。

世界のEC市場規模を見ると、1位は中国が突出しており、ついでアメリカ、大きく引き離してイギリス、日本、ドイツ、韓国と続きます。

経済産業省・平成29年電子商取引に関する市場調査より

中国は「アリババグループ」が強い勢力を持っており、国内だけでも50兆円を超える売り上げです。日本で普及し始めた「paypay」もアリババグループの電子決済の仕組みが使われていて、中国以外の国にとっても馴染みのある企業となってきました。

東南アジアのEC市場は、市場規模自体は小さいですが、伸び率は前年比50%を超える国もあります。今後ますます成長が見込まれます。

日本のEC市場に注目すると、世界第4位にはランクインしているものの、成長率で見ると勢いがあるとは言えない状態です。そのため、国内だけではなく、東南アジアをはじめとする海外に目を向けた「越境EC」が今後の鍵になってきます。

 

この章のまとめ

日本におけるEC市場の成長率は飛び抜けて高いわけではありません。しかし、EC市場自体は急成長中で、特に東南アジアの成長率は著しいため、EC市場(特にD2C)はまだまだチャンスが転がっています。

 

 

⑧D2C日本国内の成功事例 

次に日本国内での成功事例を3つご紹介します。

ここまでD2Cについてご説明して参りましたが、それでもまだイメージしづらいことかと思います。

実例を見ることでさらに理解を深めていきましょう。

 

テレビCMでおなじみのドモホルンリンクル

再春館製薬所の「ドモホルンリンクル」は国内のD2Cの代表的な事例です。テレビCMのイメージが強いですが、TwitterやFacebookの運用も盛んなことが特徴です。

商品の製造から販売まで、すべてを自社内で完結させています。特にCMではブランディングを大切にしており、誠実なイメージを感じる方も多いはずです。

公式サイトの目立つ位置に「ドモホルンリンクルの考え方」が掲載されていますし、「厳選された原料」「製薬会社がつくる基礎化粧品」「私たちにとって『お声』とは」「末長くお付き合いいただくために」などのコンテンツが充実しており、一貫して誠実な印象を与えるようにブランディングされています。

ドモホルンリンクルのターゲットは、30代以上の大人の女性です。そのため、ターゲット外の10代〜20代の女性が無料お試しセットを申し込むと、「30代以上の年齢肌にお悩みの方向けの商品なので、効き目を感じられないかもしれないですよ」といった内容のメールが届くようになっています。

大量に作った商品を不特定多数の人に売るのではなく、「丁寧に作った商品をターゲットに届ける」という姿勢が一貫しているブランドです。

公式サイト:https://www.saishunkan.co.jp/domo/

 

「天使のはねランドセル」でおなじみのセイバン「ランドセル通販」

テレビCMでも一度は耳にしたことのある「天使のはねランドセル」。製造から販売までを自社で行っており、直販オンラインストアを運営しています。

6年間の修理保証や修理期間のランドセル無料貸出サービスがついていますので、アフターサービスの安心感が特徴です。

公式サイトはカラフルで可愛らしくありながら、「選ばれる理由」「ランドセルの選び方総まとめ」「はじめてのランドセル選び」など、役に立つコンテンツが充実しています。セイバンの公式サイトだけで必要なランドセル情報が得られるように工夫されています。

ランドセルは一生に一度の大切な買い物だからこそ、信頼できる企業から買いたくなりますよね。

公式サイト:https://www.seiban.co.jp/

 

圧倒的なブランド力のある「SONY」

SONYも日本のD2Cの成功事例です。家電量販店やAmazon、楽天市場などの小売店と自社ECの両方で商品を販売しています。

SONY製品を実際に使うことのできるショールームやソニーストアも充実しているため、納得感を持って商品を買ってもらえるよう工夫されています。

Twitterのフォロワーも日本語版で約9万人、英語版で440万人と非常に多く、企業にファンがついてる代表例です。

公式サイト:https://www.sony.jp/

 

⑨D2C海外成功事例集

海外の事例もご紹介します。

 

友人紹介キャンペーンで爆発的に広まった「HARRY’S」

HARRY’Sは、男性向けのカミソリやヘアケア商品を扱うブランドです。商品のクオリティはもちろんですが、マーケティングの上手さで会員数を爆発的に伸ばしたことでも有名です。

プレオープンする際に、大規模な友人紹介キャンペーンを行いました。

紹介人数 プレゼント
5人 シェービングクリーム
10人 ハンドル、刃
25人 髭剃りセット
50人 替刃(1年分)

紹介すればするほどプレゼントのレベルが上がっていく仕組みです。このキャンペーンにより、1週間で約10万人分のEメールアドレスを手に入れました。

ユーザーの心理をとらえた独自のキャンペーンで成功した例です。

公式サイト:https://www.harrys.com/en/us

 

コスメブランド「Glossier」

ファッション雑誌に携わっていたエミリー・ワイズが立ち上げたコスメブランド「Glossier」。ファッション雑誌に携わっていた経験を生かしたブログを始め、月100万PV以上を獲得するようになります。

ブログを通して読者と交流する中で、読者の意見を反映させたコスメブランドを作りたいと思うようになったそうです。

Glossierはインスタグラムの投稿が人気で、フォロワー数も上昇中。商品に同封されたステッカーがインスタ映えすると人気で、届いたステッカーをSNSに投稿するのが若者の間で人気です。

公式サイト:https://www.glossier.com/

 

子供服の定額購入「ROCKETS OF AWESOME」

子供服を販売しているアメリカの企業です。子供服を定期購入できると話題になりました。

事前にアンケートを取り、子供のサイズ、親の好みなどを把握します。そのアンケートを元にして、年に4回子供服が届きます。届いた服が好みでなかった場合は、送料無料で返品可能。ネット販売にありがちな「着てみたら違った」というマイナス面をカバーしていることもあり、使い勝手が良いと話題になりました。

公式サイト:https://www.rocketsofawesome.com/

 

⑩まとめ

予測されている通り、D2CをはじめとするEC市場は2020年に急速に伸びることが確実です。日本国内だけでなく、急成長中の東南アジアにも目を向けることで成果を上げるチャンスが増えます。

D2Cは商品力の向上やブランディング、SNS運用など施策する範囲が非常に広いです。自社に専門家がいないことも多いと思いますので、専門家の力を借りながら、時間をかけて施策していきましょう。