2020年09月07日

【D2C×ライブコマース】それぞれの可能性と今後の展望について

日本ではまだ大きな話題性を集めていないライブコマース事業。

しかしながら、中国ではライブコマースの売上が急速に高まっていることはすでにご存じの方が多いと思います。インフルエンサーを起用することで、2時間で3億円を売り上げた事例もあるなど、急速な広がりを見せています。

はたして今後日本においてライブコマース市場はどのような広がりをしていくのかをD2C市場の動向と併せて解説してまいります。

 

目次

D2Cブランドとライブコマースの相性について

まずはD2Cやライブコマースについて簡単にご説明いたします。

この部分をすでに知っている方は次の章まで飛ばして頂いて結構です。

 

D2Cとは

D2C(DtoC/Direct To Consumer)は、商品の企画〜製造〜販売までを自社で行う仕組みです。

従来は「製造は別の会社に任せる」「PRは代理店に依頼」など、一部を他社に外注する形が一般的でしたが、ワンストップで自社で扱うことがD2Cの形です。

主にアパレルや化粧品、食品ジャンルで大きな成果を上げています。

大きな特徴としては、SNSを上手く活用したPR活動がポイントになること、ファン作りが大切なこと、ミレニアル世代に人気なことなどが挙げられます。

 

ライブコマースとは

ライブコマースは、ライブ動画を配信しながら販促をする仕組みです。「テレビショッピングとSNSを掛け合わせたもの」「視聴者とコミュニケーションを取りながら進めるテレビショッピング」と説明するとイメージしやすいでしょうか。

日本ではまだメジャーな販促方法ではありませんが、中国では数時間で億単位が動くほどの爆発的な売上を叩き出すこともあります。

売れているジャンルは、アパレルや化粧品、家電など「試してみないと安心して購入できないもの」が多いです。

大きな特徴は、視聴者とコミュニケーションが取れること、配信者や配信企業のファンに直接届けられること、商品のリアルな質感や使用感を伝えやすいことが挙げられます。

画像引用元: TechNode(動点科技)

 

D2Cとライブコマースの相性は良い!その5つの理由

結論、D2Cとライブコマースの相性は大変良いです。

両手法を上手に組み合わせることで大きな相乗効果が期待できますが、その理由を以下にまとめました。

  • 視聴者と相互にコミュニケーションを取りやすく、疑問を解消できるため
  • すでに商品に興味のある人が視聴者になることで、顕在層中心に訴求できるため
  • アパレルや化粧品は動画との相性が良いため
  • ターゲット層が若年層〜ミレニアル世代と重複しているため
  • SNSとの相性が良いため

1つずつご説明いたします。

 

<視聴者とコミュニケーションを取りやすく、疑問を解消できるため>

D2Cブランドにとって、視聴者と相互にコミュニケーションを取れることは大きなメリットです。

元々「D2CはSNSとの相性が良い」「SNSは欠かせない」と言われてきました。

その理由の一つに、フォロワーと直接コミュニケーションを取れることがあります。

ライブコマースは、配信者に対して視聴者がコメントを送ることができます。例えば洋服の素材の質感が気になる時には、「素材はどれくらい厚いですか?固めですか?」などと質問できるのです。

画像引用元:mercari-channel

質問を見た配信者は、動画+口頭にてその場で説明することができます。通販でありながら、その場で疑問が解決できてしまうのです。

 

<すでに商品に興味のある人が視聴者になり、顕在層中心に訴求できるため>

ライブコマースは、通りすがりの人は視聴しません。すでにブランドまたは配信者のSNSをフォローしている人が視聴します。

「●月●日の●時から配信しますので、観に来てくださいね」というメッセージを受け取り、「観よう」と思った人が視聴者となるのです。

そのため、ライブ配信を視聴している人は、すでにある程度の購買意欲があると言えます。

購買意欲の高い顕在層に訴求できるため、自然と購買率は高まります。

 

<アパレル・化粧品は動画との相性が良いこと>

D2Cは、アパレルや化粧品関連のブランドが強いです。海外のライブコマース事情を見ても、やはりアパレルや化粧品関連のブランドが強いです。また、テレビショッピングでも人気の家電も、ライブコマースとの相性が良いと言われています。

理由は、アパレルや化粧品、家電は「使ってみないと分からないことが多い」ため。洋服は着てみないとイメージが湧きませんし、化粧品も使ってみないと発色が分かりません。家電も使ってみないと音や使い勝手が分かりませんよね。

使ってみないとイメージが湧かないものは、静止画やテキストでは情報を届けにくい。一方、動画だと多くの情報を届けることができます。

動画との相性の良いアパレルや化粧品、家電ジャンルは、ライブコマースとの相性も良いです。

 

<D2Cもライブコマースもターゲット層が若年層〜ミレニアル世代>

D2Cは、主にミレニアル世代からの注目を集めています。

ライブコマースは10代〜20代からの認知度は約4割と高い一方、40代の認知度は半分の2割程度。若い世代から注目されています。

D2Cを利用する世代とライブコマースを認知している世代は重なっているので、導線をしっかり作れば、上手く機能します。

 

<SNSとの相性が良いこと>

ライブコマースは、専用プラットフォームもありますし、もともとSNSに備わっている配信機能を利用することもできます。

例えばInstagramの生配信サービスを使って、アパレルブランドの新商品を紹介することができます。

運用しているSNSを利用することで、すでに商品に興味を持っているフォロワーに対してアピールできるため、SNSは上手く活用したいところです。

 

この章のまとめ

D2Cとライブコマースの相性が良い理由は、次の通りです。

  • 視聴者と相互にコミュニケーションを取りやすく、疑問を解消できるため
  • すでに商品に興味のある人が視聴者になることで、顕在層中心に訴求できるため
  • アパレルや化粧品は動画との相性が良いため
  • ターゲット層が若年層〜ミレニアル世代と重複しているため
  • SNSとの相性が良いため

 

D2Cブランドでライブコマースを上手く活用している企業例  

実際にライブコマースを上手く使っている企業をご紹介します。国内ではまだ黎明期のため、ライブコマースを上手く使っているD2Cブランドは少ないのが現状です。

一方、中国ではすでにライブコマースを利用した販売の規模が広がっています。特に化粧品ジャンルにおいては、1人のインフルエンサーが2時間で3億円を売り上げニュースにもなりました。

日本、中国のライブコマースの例をご紹介します。

 

日本

youange

引用元サイト:https://shop.youange.com/

モテクリエイターとして人気の「ゆうこす」こと菅本裕子さんがプロデュースする基礎化粧品のブランドです。

ゆうこすは2016年頃からライブ配信を上手く活用してきました。韓国でファッション・メイク用品を買い付け、それをライブ配信で紹介して、ユーザーに購入してもらう形を繰り返していました。

youangeは、開発段階の様子もInstagramに載せていています。全てをオープンにする姿勢、ファンから信頼を集めるやり方が一貫しています。

他にも東急ハンズとコラボしたライブ配信などもしており、ライブ配信をもっとも上手く活用している日本人の一人です。「ライブ配信といったらゆうこす」と言っても過言ではありません。

画像引用元:https://webtan.impress.co.jp/e/2018/11/08/30907

 

TGC ONLINE STORE

D2Cブランドではありませんが、TGC ONLINE STOREの仕組みが面白いのでご紹介します。TGC ONLINE STOREは、東京ガールズコレクションの公式アプリです。

なんと、ランウェイを歩いてるモデルが着ている服を、その場で購入できるのです。

リアルタイムで洋服を購入できるとあって、話題になりました。

 

<三越伊勢丹>

こちらもD2Cブランドではありませんが、ご紹介します。インフルエンサーを起用したライブコマースで売上UPに成功した例です。ライターとして人気のカツセマサヒコさん出演のライブ配信でした。

2019年11月、国立博物館とコラボしたギフト商品がEC史上過去最高の売上を記録しています。

引用元サイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001180.000008372.html

 

中国

蘑菇街(モグジェ)

若い女性向けのファッションブランド蘑菇街(モグジェ)は、2016年の早いうちからライブコマースを始めました。インフルエンサーを起用したこともあり、1時間のライブ配信で20万いいねを獲得するなど、注目度抜群。

 

この章のまとめ

D2Cブランドがライブコマースを活用して成功した例は、まだ多くありません。中国ではライブコマースを使ってインフルエンサーが巨額の売上を上げていますが、日本はまだまだこれからです。

 

D2C企業がライブコマース販売に取り組む際の具体的な方法と注意点

「ライブコマースを始めてみたいとは思うものの、始め方が分からない」という方は多いと思います。ライブコマースに取り組む際の具体的な方法と気をつけるポイントについてご説明します。

 

ライブコマースを始める方法

ライブコマースを始める流れは次の通りです。

  • 配信する媒体を決める(プラットフォームを利用するのか/SNSを利用するのか)
  • 配信する人を決める(インフルエンサーを起用するのか/自社スタッフが担当するのか)
  • 商品購入までの導線を作る
  • 配信の台本やメモを作成する
  • 生配信の日時をユーザーに知らせる
  • 配信開始

配信する媒体は、ライブコマース用のプラットフォームを利用してもいいですし、Instagramなどのフォロワーが多い場合はInstagramの配信機能を利用することもできます。

現在のところ、ライブコマースの配信者はインフルエンサーが目立ちますが、必ずしもインフルエンサーを起用する必要はありません。自社に興味を持っているユーザーを集められていれば、販売スタッフが生配信をしても魅力は伝えられます。

すでにInstagramなどのフォロワーが多く、ファンがいる場合は、商品の詳細を丁寧に伝えればOKです。無理にインフルエンサーを起用する必要はありません。

ファンが全くいない場合、生配信をしても見てくれる人がいないので、フォロワーの多いインフルエンサーを起用した方がスムーズかもしれません。

 

ライブコマースを始める際に気をつける4つのポイント

気をつけたい主なポイントは次の4つです。

  • 視聴してくれるファンは確保できているか
  • 視聴者とのコミュニケーションが上手な配信者を用意できるか
  • ネガティブなコメントが来た時の対処法はどうするか
  • 購入までの導線はしっかり用意できてるか
  • アーカイブを用意する

1つずつご説明いたします。

 

<視聴してくれるファンは確保できているか>

ライブ配信をした時に視聴してくれそうなファンはいるでしょうか。ブランドやブランド関係者のSNSのフォロワーが多ければ、フォロワーが生配信を視聴してくれる可能性があります。

もしSNSのフォロワーが数十人〜数百人しかいなかったり、薄いファンだったりした場合、配信しても「視聴者0人」の可能性があります。

ライブコマースで宣伝する形態は、店舗の中にいるお客さんに接客する形に似ています。そもそも店舗にお客さんが1人もいない場合、接客することはできませんよね。

いきなりライブ配信をしても、誰も視聴してくれません。まずはSNSのフォロワーを増やし、「視聴してくれる可能性のある人」を確保することが優先です。

 

<視聴者とのコミュニケーションが上手な配信者を用意できるか>

ライブコマースの一番のポイントは、視聴者とコミュニケーションを取ること。配信者には、商品を説明する力だけでなく、臨機応変なコミュニケーション能力も求められます。

また、複数人で配信すると、配信者同士の話が中心になることも。視聴者との交流が疎かになる恐れもあります。

きちんと商品を説明できて、臨機応変にコミュニケーションを取れる人を探す必要があるのです。

 

<ネガティブなコメントが来た時の対処法はどうするか>

ライブ配信は誰でも気軽にコメントができる分、クレームや嫌がらせのようなメッセージが届くこともあります。

ネガティブなコメントに対してどのように対応するのか、あらかじめ決めておきましょう。

対応を間違えると他の視聴者からの印象が悪くなったり、炎上したりする可能性もあります。

 

<購入までの導線はしっかり用意できてるか>

すぐに商品を購入できるような導線作りも大事です。ライブ配信画面から購入までの導線が複雑だと、購買意欲は落ちてしまいます。

 

<アーカイブを残せるか>

ライブコマースは生配信ならではの臨場感が売りですが、その時間に視聴できない人もいます。

可能であればアーカイブを残して、ライブ配信後からでも動画を視聴できるようにしましょう。

 

◽️この章のまとめ

ライブコマースで気をつけたい点は次の通りです。

  • 視聴してくれるファンは確保できているか
  • 視聴者とのコミュニケーションが上手な配信者を用意できるか
  • ネガティブなコメントが来た時の対処法はどうするか
  • 購入までの導線はしっかり用意できてるか
  • アーカイブを残せるか

 

ライブコマースの代表サービス8選

ライブコマースの形態は、主に2つに分けられます。1つ目はライブコマース用に作られたプラットフォーム。2つ目はSNSのライブ配信機能を使ったものです。

 

ライブコマース用のプラットフォーム

  • SHOP ROOM
  • MimiTV

それぞれご説明いたします。

 

<SHOP ROOM>

ライブ配信サービスSHOW ROOMのライブコマースです。芸能人の起用もあり、ライブコマースのプラットフォームの中では比較的メジャーです。

 

<MimiTV>

若い女性向けの化粧品が多いので、ブランドのターゲットと一致する場合は利用したいプラットフォームです。

 

SNSのライブ配信

  • Instagram
  • Twitter
  • Facebook
  • TikTok

それぞれご説明いたします。

 

<Instagram>

インスタライブという機能を使うと、生配信ができます。配信後24時間は記録が残るアーカイブ機能も。Instagramのフォロワーに通知が届くので、すでにInstagramのフォロワーが多い場合におすすめです。

 

<Twitter>

TwitCasting、通称「ツイキャス」。Twitterのタイムラインに流れる投稿で生配信ができます。Twitterのフォロワーが多い場合におすすめです。

 

<Facebook>

Facebook Liveという機能を使うと生配信できます。Facebookは実際の知り合いと繋がる場なので、不特定多数の人に商品をおすすめする場合、Facebookは不向きでしょう。

 

<TikTok>

TikTok Liveという機能があります。しかしTikTokはビジネス色が弱いこと、中国系のプラットフォームなので利用できなくなる可能性があることなどから、強くおすすめすることはできません。

 

この章のまとめ

すでにInstagramなどのフォロワーが多い場合はSNSのライブ配信機能を使うとスムーズです。SNSのライブ配信は無料で利用できますので、まずはSNSのライブ配信で感覚を掴むと良いでしょう。

 

今後の日本のライブコマース市場の展望

世界的なパンデミックにより人々の購買意識は強制的に変化しました。若い世代はネットを中心に買い物をする意識がより強くなり、また、それまで買い物のほとんどをリアル店舗で行っていた世代もネットで商品を購入するというハードルがとても低くなりました。

また今後、5Gの到来により動画の需要は更に高まり、人々もより強い刺激を求めるようになります。テキストや静止画での訴求から動画での訴求にシフトしていくのです。

さらに、ネット社会を生きる私たちはこれまで、非常に多くの企業プロモーションを目にしてきました。そのような中で私たちの目(脳)は企業側が仕掛けるプロモーションに慣れており、ちょっとしたセールステクニックでは購買意欲が刺激されなくなってきています。もはやマスに向けたマーケティング施策では誰も動かず、ターゲット一人一人に対して(個)のマーケティング施策が必要になってくるのです。

これらの現象は日本国内だけでなく、世界規模で同時におこってきます。このような流れを踏まえると、ライブコマースを使った販売は、中国にとどまらずいずれ日本でも更に浸透していくのではないでしょうか。

これから企業が更なる拡大を目指すためには、D2Cおよびライブコマースの今後の動向を注意深く見ていく必要があるでしょう。