公開日:2020年8月26日

2023年注目のライブコマース×D2Cとは?始め方や注意点を解説

2023年注目のライブコマース×D2Cとは?始め方や注意点を解説

日本ではまだ大きく市場が拡大していないライブコマース事業ですが、中国ではライブコマースの売上が急速に高まっており、巨大な売上規模を誇る重要分野として認識されています。そこで今回は、これからの日本において、ライブコマース市場はどのような広がりをしていくのかをD2C・EC市場の動向と併せて解説していきます。

※閲覧時期により本記事でご紹介の情報は変更・更新されている場合がございます。

ライブコマースとD2C・ECについて


ライブコマースとは、SNS等で商品レビューのライブ配信を行い、リアルタイムで商品レビューや、ユーザーの質問に答えることで、商品の販売促進を図るマーケティング手法(オンライン販売手法)を指します。

昨今のSNS利用者の増加を背景に、SNSのライブ配信画面からそのまま商品購買ページへと遷移できる機能が実装され、若者(ミレニアル世代・Z世代)を中心に認知が広まっています。

ライブコマースで商品を購入する世代の多くは若者で、環境に配慮したSDGs対応の商品や、社会的意義をプロダクトに反映させたD2C・EC商品を好んで購入する傾向があります。

そのため多少高くても「使い心地」や「地球環境の維持」で良いとされる商品をライブコマースで紹介することで、大きな反響を得られる可能性があるのが特徴です。

ライブコマースで売れる商品ジャンルは「化粧品」や「アパレル」で、それぞれD2C・EC事業の盛んな分野でもあります。

このようにライブコマースで「購買に積極的な年齢層」と「売れやすい商品」が掛け合わさると大きく売上を作れる可能性があるため、組み合わせて運用することをおすすめしています。

そもそもライブコマースとは?

ライブコマースは、ライブ動画を配信しながら販促をする仕組みです。「テレビショッピングとSNSを掛け合わせたもの」「視聴者とコミュニケーションを取りながら進めるテレビショッピング」と説明するとイメージしやすいでしょうか。

日本ではまだメジャーな販促方法ではありませんが、中国では数時間で億単位が動くほどの爆発的な売上を叩き出すこともあります。

売れているジャンルは、アパレルや化粧品、家電など「試してみないと安心して購入できないもの」が多いです。

大きな特徴として以下の3つが挙げられます。

  • 視聴者とコミュニケーションが取れる
  • 配信者や配信企業のファンに直接届けられる
  • 商品のリアルな質感や使用感を伝えやすい

そもそもD2C・ECとは?

D2C(DtoC/Direct To Consumer)は、商品の企画〜製造〜販売までを自社で行う仕組みです。

従来は「製造は別の会社に任せる」「PRは代理店に依頼」など、業務フローの一部を他社に外注する形が一般的でしたが、この工程全てをワンストップで扱うのがD2C・ECのビジネスモデルです。

従来のビジネスモデルとD2Cの違い
従来のビジネスモデルとD2Cの違い

D2C・ECモデルは主にアパレルや化粧品、食品ジャンルで大きな成果を上げています。

大きな特徴として以下のようなものが挙げられます。

  • SNSを上手く活用したPR活動がポイントになる
  • ファン作りが大切
  • ミレニアル世代・Z世代に人気

ライブコマースをD2C・ECで活用する5つのメリット


ライブコマースとD2C・ECの相性は大変良く、2つを組み合わせることで様々な相乗効果を期待できます。ここではライブコマースをD2C・ECで活用する5つのメリットを紹介していきます。

  • 視聴者と相互にコミュニケーションを取りやすく、疑問を解消できる
  • すでに商品やブランドに興味がある顕在層へアプローチできる
  • 動画配信によって使用イメージを訴求できる
  • ターゲット層が共通しているため相乗効果が期待できる
  • SNSとの相性が良く連携がしやすい

ライブコマースは現在急速に需要が伸びているマーケティング手法で、ライブの配信者が視聴するユーザーに商品を紹介し、画面上からそのまま購買へと繋げることができます。

消費者の購買決定プロセスの基本的な流れに、AISCEAS(アイセアス)の法則がありますが、ライブコマースはこの購買決定プロセスにおける「感情段階」と「行動段階」にまたがる施策として位置づけることが可能です。

【認知段階】
・Attention(注意)
・Interest(関心)

【感情段階】
・Search(検索)
・Comparison(比較)
・Examination(検討)

【行動段階】
・Action(購買)
・Share(情報共有)

ライブコマースでは主に既存のフォロワーに対してライブ配信を行い、商品のレビュー等を通じて購買を実現します。そのためライブコマースそれ自体で認知を生むというよりは、既に認知している商品・サービスのレビューを行い、視聴者が比較検討を行う材料として情報を提供することになります。

ライブコマースのそうした役割をあらかじめ認識しておくと、ライブコマースのコメント欄でコミュニケーションを取ることの重要性や、視聴するユーザーが購買行動に踏み切りやすい情報・レビューの話し方など、様々に工夫できる部分が出てきます。

また、売れやすいジャンルや世代を押さえておくことで、より効果的なライブコマースを実施できるでしょう。

視聴者と双方向のやり取りがしやすく、疑問を解消できる

D2Cブランドにとって、視聴者と相互にコミュニケーションを取れることは大きなメリットです。

元々「D2CはSNSとの相性が良い」「SNSは欠かせない」と言われてきました。

その理由の一つに、フォロワーと直接コミュニケーションを取れることがあります。

ライブコマースは、配信者に対して視聴者がコメントを送ることができます。例えば洋服の素材の質感が気になる時には、「素材はどれくらい厚いですか?固めですか?」などと質問できるのです。

質問を見た配信者は、動画+口頭にて商品のレビューを行うことができます。通販でありながら、その場で疑問が解決できてしまうのです。

すでに商品やブランドに興味がある顕在層へアプローチできる

ライブコマースでは、すでにブランドまたは配信者のSNSをフォローしている人が視聴することが多いため、購買意欲の高い顕在層に訴求でき、自然と購買率も高まります。

「●月●日の●時から配信しますので、観に来てくださいね」というメッセージなどは効果的です。

一方でライブコマースは、通りすがりの新規ユーザーはあまり視聴しない傾向があることから、幅広いユーザーへのアプローチが難しいことも意識しておきましょう。新規ユーザーも獲得を目指す場合は、視聴されやすい導線設計を行うことをお勧めします。

動画配信によって使用イメージを訴求できる

D2C・ECは、アパレルや化粧品関連のブランドが強い分野です。海外のライブコマース事情を見ても、やはりアパレルや化粧品関連のブランドが大きく売上を作っています。また、テレビショッピングでも人気の家電も、ライブコマースとの相性が良いと言われています。

理由は、アパレルや化粧品、家電は「使ってみないと分からないことが多い」からです。洋服は着てみないとイメージが湧きませんし、化粧品も使ってみないと発色が分かりません。家電も使ってみないと音や使い勝手が分からないため、商品を購入する前に「実際に目の前で実演してもらう」ことで、比較検討の段階をスルーして購買へと繋げることができます。

使ってみないとイメージが湧かないものは、どうしても静止画やテキストでは情報を届けにくいです。一方、動画であれば短い時間により多くの情報を届けることができます。動画との相性の良いアパレルや化粧品、家電ジャンルは、ライブコマースとの相性も良いです。

ターゲット層が共通しているため相乗効果が期待できる

D2C・ECは、主にミレニアル世代やZ世代から注目を集めています。ライブコマースは10代〜20代からの認知度は約4割と高い一方、40代の認知度は半分の2割程度です。

D2Cを利用する世代とライブコマースを認知している世代は重なっているため、導線をしっかり作ることで、1回の配信でも大きく売り上げることができます。

SNSとも相性がよく連携がしやすい

ライブコマースは、専用プラットフォームもあり、もともとSNSに備わっている配信機能を利用することもできます。例えば、Instagramの生配信サービスを使って、アパレルブランドの新商品を紹介することが可能です。

運用しているSNSを利用することで、すでに商品に興味を持っているフォロワーに対してアピールできるため、SNSを使ったライブコマースは親和性が高い施策といえます。

ライブコマースを始める方法


ライブコマースを始める流れは次の通りです。

1.配信する媒体を決める(プラットフォームを利用するのか/SNSを利用するのか)
2.配信する人を決める(インフルエンサーを起用するのか/自社スタッフが担当するのか)
3.商品購入までの導線を作る
4.配信の台本やメモを作成する
5.生配信の日時をユーザーに知らせる
6.配信開始

配信する媒体は「ライブコマース用のプラットフォーム・アプリ(Youtube等)を利用する」もしくは「(Instagramなどのフォロワーが多い場合は)Instagramの配信機能を利用する」から選定します。

現在のところ、ライブコマースの配信者はインフルエンサー・タレントが目立ちますが、必ずしもインフルエンサーを出演させる必要はありません。自社に興味を持っているユーザーを集められているならば、自社の販売スタッフが生配信をしても十分商品の魅力を伝えられます。

すでにInstagram・LINEなどのフォロワーが多く、ファンがいる場合は、商品の詳細を丁寧に伝えるだけで売上が立つ可能性があります。インフルエンサーの起用は必ず必要なものではないため覚えておきましょう。

仮にSNSアカウント等にファンが全くいない場合は、ライブコマースを実施しても見てくれる人が少ない可能性が高いため、フォロワーの多いインフルエンサーを起用し、より多くの人に商品を届ける工夫が必要になってきます。

ライブコマース開始時の5つの注意点


ライブコマース開始時の注意点には以下の5つがあります。

  • 視聴者(ファン)は確保できているか
  • 配信者はコミュニケーションを円滑にできる人か
  • ネガティブなコメントへの対処法を準備できているか
  • 購入までの導線はわかりやすいか
  • アーカイブ保存を意識した用意ができているか

ライブコマースを始めるにあたり、配信者は「配信内容」や「視聴者数」を気にしてしまいがちですが、配信内容や視聴者数と同じくらい、「どんなコミュニケーションを取るか」が重要になります。

普段のアカウント運用でしっかりと意図するユーザーにコンテンツを届けていれば、ユーザーはあなたが紹介する商品を「良い商品」として見ることでしょう。

ライブ配信前はこうした「信頼関係の構築」が重要になりますが、そのうえでユーザーはその商品の「使用感」や「実際使ってみたレビュー」を聞きたいと考えています。

そのようなニーズを持つユーザーが視聴することを踏まえたうえで、コミュニケーションを円滑にするための話術を研究したり、事前に必要な予備知識をリサーチしておいたりすることが重要です。

また、コアなファンや、関係値の浅いユーザーの中には、配信者が紹介する商品を鵜呑みにせず、「なぜ良いのか」あるいは「どうして商品のウィークポイントを指摘しないのか」といった厳しい意見を持っていることがあります。

こうした視聴者は時にコメント欄でネガティブなメッセージを送信することがありますが、配信者は実際にメッセージが通知された際の対処法を考えておくことが大切です。

ネガティブな意見には様々なタイプのものがありますが、「回答可能なコメント」と「回答不可のコメント」をパターンとして保有しておけば、実際にライブでコメントが寄せられた際に冷静に対処することができます。

ライブコマースの配信中は、あくまでライブコマースを計画通り進行することに注力する必要があるため、ライブ配信中に対処できない事態が起こった際は無理に解決しようとせず、ライブ配信後に反省点を確認しましょう。

ライブコマースにはリアルタイムがゆえのデメリットといえる側面もありますが、配信前の準備を見直すことで回避できるトラブルが多くあります。

視聴者(ファン)は確保できているか

ライブ配信をした時に視聴してくれそうなファンはいるでしょうか。ブランドやブランド関係者のSNSのフォロワーが多ければ、フォロワーが生配信を視聴してくれる可能性があります。

もしSNSのフォロワーが数十人〜数百人しかいなかったり、薄いファンだったりした場合は、配信しても「視聴者0人」の可能性があります。

ライブコマースでの配信はフォロワー数が重要
ライブコマースでの配信はフォロワー数が重要

ライブコマースで宣伝する形態は、店舗の中にいるお客さんに接客する形に似ています。そもそも店舗にお客さんが1人もいない場合、接客することはできません。

いきなりライブ配信をしても、誰も視聴してくれないため、まずはSNSのフォロワーを増やし、「視聴してくれる可能性のある人」を確保することが優先です。

配信者はコミュニケーションを円滑にできる人か

ライブコマースを成功させる1番のポイントは、視聴者とコミュニケーションを取ることです。配信者には、商品を説明する力だけでなく、臨機応変なコミュニケーション能力も求められます。

また、複数人で配信すると、配信者同士の話が中心になることがあり、視聴者との交流が疎かになる恐れもあります。

ライブコマースでは臨機応変なコミュニケーション能力が重要
ライブコマースでは臨機応変なコミュニケーション能力が重要

きちんと商品レビューや魅力の説明ができて、かつ視聴者のコメントに臨機応変に対応できる配信者を探す必要があります。

ネガティブなコメントへの対処法を準備できているか

ライブ配信は誰でも気軽にコメントができる分、クレームや嫌がらせのようなメッセージが届くこともあります。

ネガティブなコメントに対してどのように対応するのか、あらかじめ決めておきましょう。

対応を間違えると他の視聴者からの印象が悪くなったり、炎上したりする可能性もあります。

もし事前に想定していないネガティブなコメントが来た場合は「無理に応答しないこと」がポイントです。

誰しも悪口やクレームを言われると反発したり、言い訳をしたくなりますが、ライブコマースはフォロワーと「さらに信頼関係を構築する場」といえるため、印象が悪くなってしまわないように配慮しなければなりません。

予定通りの進行に加え、進行に支障がないコメントに積極的に返答していきましょう。

購入までの導線はわかりやすいか

ライブ配信を閲覧している視聴者が、すぐに商品を購入できるように導線を作っておくことが大事です。ライブ配信画面から購入までの導線が複雑だったり、分かりにくかったりすると、視聴者の購買意欲は落ちてしまいます。

そのため配信途中で口頭で「商品の詳細ページは〇〇からご確認お願いします」といった声かけを行うと、売上へと繋がっていきます。

アーカイブ保存を意識した用意ができているか

ライブコマースは生配信ならではの臨場感が売りですが、その時間に視聴できない人もいます。そのため可能であればアーカイブを残し、ライブ配信後からでも見逃したユーザーが動画を視聴できるようにしておくと販売の機会損失を減らすことができます。

仮に配信したライブコマースを長く公開したくない場合などは、「〇〇日まで限定公開」といった形で限定のアーカイブ保存を行っている旨を告知し、見逃したユーザーを積極的に取り入れるような工夫が必要です。

「ライブコマース活用のコツ」について、さらに深く調査・分析した記事もありますので、こちらも合わせてご覧ください。

関連記事:ライブコマースを賢く活用するための20のコツ

まとめ

新型コロナウイルス蔓延にともなう世界的なパンデミックを体験したことにより、人々の購買意識は強制的に変化しました。若い世代はネットを中心に買い物をする意識がより強くなり、また、それまで買い物のほとんどを実店舗で行っていた世代もネットで商品を購入するようになってきました。

また今後、5Gの到来により、動画・ライブコマースなどの新しい販売手法の需要はさらに高まり、人々もより強い刺激を求めるようになります。テキストや静止画での訴求から、動画での訴求にシフトしていくと予想できるでしょう。

さらに、ネット社会を生きる私たちはこれまで、非常に多くの企業プロモーションを目にしてきました。そのような中で私たちは、企業側が仕掛けるプロモーションに慣れてしまった以上、ちょっとしたセールステクニックでは購買意欲が刺激されなくなってきています。

もはやマスに向けたマーケティング施策では誰も動かず、ターゲット一人一人に対して行ったマーケティング施策こそ意味を持つようになっているのです。

これらの現象は日本国内だけでなく、世界規模で同時に起こっています。このような流れを踏まえると、ライブコマースを使った販売は中国にとどまらず、いずれ日本でも浸透していくことでしょう。

これから企業が更なる拡大を目指すためには、D2C・ECおよびライブコマースの今後の動向を注意深く見ていくことが大切です。D2C・ECの市場規模については下記記事で詳しく解説しておりますので、合わせてご参照ください。

関連記事:【2023年度版】拡大が期待されるライブコマースの市場規模

いつも. マーケティングチーム
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いつも.のマーケティングチームです。
ECが大好きなメンバーが集まっています。国内からグローバル、自社からAmazon&楽天市場まで、ECにまつわるあらゆることを発信していきます!

ライブコマースに関するよくある質問

 

ライブコマースとは何ですか?
ライブコマースとは、SNS等で商品レビューのライブ配信を行い、リアルタイムで商品のレビューや、ユーザーの質問に答えることで、紹介商品の販売促進を図るマーケティング手法(オンライン販売手法)です。
ライブコマースがEC・D2Cと相性が良い理由を教えてください。
ライブコマースでは、動画+口頭にて商品のレビューを行うことが可能です。通販(ECサイト)だけでは難しかった、商品への疑問をその場で解決できるため相性が良いとされています。他にも4つのメリットがありますので、詳しくは本記事をご覧ください。
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