【最新事例】D2C企業が活用したいインフルエンサーマーケティングの全貌について
インフルエンサーマーケティングを簡単におさらい
インフルエンサーマーケティングとは、SNSで人気のインフルエンサーを活用し、商品やサービスをPRするマーケティング方法です。
従来はインフルエンサーといえば芸能人中心でしたが、現在はSNS上で活動する一般人や、本名や顔出しをしない匿名の人もインフルエンサーと呼ばれるようになりました。Instagramのフォロワー数の多い読者モデルやYouTubeもインフルエンサーと呼ばれます。
元HKT48所属で、現在は株式会社KOSを立ち上げた「ゆうこす」こと菅本裕子さんは、2017年頃からインフルエンサーとして地位を確立してきました。「インフルエンサーと言えばゆうこす」というイメージを持っている方も多いかもしれません。
インフルエンサーを活用する大きなメリットは、ターゲットにしたいユーザーに直接情報を届けやすいことです。
例えばダイエットの過程を公開することで人気を集めるインフルエンサーは、ダイエットに興味のあるフォロワーをたくさん抱えているはずです。そのインフルエンサーにダイエット食品を宣伝してもらえば、ダイエット食品に興味を持ちやすいユーザーに、ダイレクトに情報を届けられるのです。
また、他の宣伝方法に比べると、インフルエンサーマーケティングは広告感が薄いことも特徴です。広告は「作った企業が押し売りをしている」ような印象を与えやすいです。しかしインフルエンサーが紹介すると、作った企業による押し売り感は減り、単なる口コミのような印象を与えます。
インフルエンサーマーケティングは、従来の広告のデメリットを解消しながら、ユーザーに対して自然に宣伝できる方法なのです。
この章のまとめ
インフルエンサーマーケティングとは、SNSで人気のインフルエンサーを活用し、商品やサービスをPRするマーケティング方法です。主なメリットは、ターゲットにしたい層にダイレクトに情報を届けられること。押し売り感が薄く、ユーザーに受け入れられやすいPRが可能です。
D2C企業がインフルエンサーを使って販促する方法
D2C企業とインフルエンサーの関わり方は、大きく分けて3つあります。
①インフルエンサーが自分自身で立ち上げるブランドを、D2C企業がサポートする
②既存のブランドや商品をインフルエンサーにPRしてもらう
③既存のブランド内にインフルエンサーとのコラボ商品を用意し、コラボ商品を中心にブランドを広めてもらう
この記事では、②③の実例や方法を中心にご説明いたします。
【成功例】インフルエンサーを活用したD2C企業
インフルエンサーを起用して成功したD2C企業を3社ご紹介いたします。
ロコンド
2010年に創業した靴通販ブランドロコンドは、インフルエンサーとのコラボ商品がヒットしました。
2020年4月に発売したYouTuberヒカルとのコラボ商品は、サーバーがダウンするほどの人気に。コラボ商品は、スニーカーとサンダル。どちらも1万円前後と安くはありませんが、登録者数400万人のヒカルとのコラボにより爆発的に売れました。
ヒカル公式Twitter:https://twitter.com/hikaru2nd1031
売上は発売からの1週間で約6億円。従来は30~40代女性が主な顧客層でしたが、ヒカルとのコラボレーションにより若い男性客が増えたのです。
単にコラボするのではなく、その過程も重要です。このコラボでは発売前からヒカル自身がYouTubeに商品開発の過程の動画をアップしており、ストーリーが丸見えになっているのです。
商品自体の価値だけでなく、背景や意味を重視するのがミレニアル世代。過程をオープンにすることで、「好きなインフルエンサーが情熱をかけて作ったものだ」という意識が生まれ、商品自体だけでない、プラスαの価値が生まれるのです。
BASE FOOD
完全食を提供するBASE FOODは、インフルエンサーの活用が上手な企業のうちの一つです。
BASE FOODのインフルエンサー活用の特徴は、起用人数の多さ。超有名人を1人起用するのではなく、インスタグラマーやマイクロインフルエンサー、アンバサダー、一般人のモニターなど、フォロワーが数百〜数千人規模の人を多数採用しています。
BASE FOODのように日常に馴染ませたいブランドの場合、超有名人を起用してアピールするよりも、身近な人が使っている様子をアピールした方が、ユーザにとって自分ゴトとしてとらえられる可能性があります。
超有名人を起用するだけでなく、マイクロインフルエンサーを多数起用し、SNSを駆使して、商品の身近さをアピールするのも戦略の一つです。
また、マイクロインフルエンサーはファンとの距離が近い分、ファンからの反応率が高かったり、インフルエンサー自身がコメントに返信したりと、小規模ならでは良さもあります。
WARBY PARKER
こちらは海外のD2C企業です。人気のグルメインスタグラマーMolly Baz(@mollybaz)に眼鏡をかけてもらい、自社Instagramに投稿しています。
眼鏡は年代や職業、性別問わず使ってもらえますので、起用するインフルエンサーのジャンルを問いません。実際に起用して話題となったMolly Baz(@mollybaz)さんは、グルメ系のインフルエンサーです。
Molly Baz公式Twitter:https://twitter.com/mollybaz
若い女性向けのアパレルブランドなどは、アパレル系の若い女性インフルエンサーを起用しないと売上に繋がりません。相性のいいジャンルの中で、ユーザーをやりとりするイメージです。
一方、眼鏡のように「誰でも使う商品」の場合は、あえて眼鏡の印象のないインフルエンサーを起用するのも戦略として有効です。ジャンルの遠いインフルエンサーとコラボすることで、今まで全く訴求できなかった層のユーザーにPRできるのです。
企業がインフルエンサーを起用する場合、必ずしも近いジャンルのインフルエンサーを探す必要はありません。今まで接点のなかったユーザーに届けるため、あえてジャンルの遠いインフルエンサーを活用することもあるでしょう。
この章のまとめ
すでに知名度のあるインフルエンサーを起用することで、今まで届かなかった層にブランドを認知してもらうことが可能です。コラボ商品を販売することで、インフルエンサーを支持する多くのファンに商品を買ってもらうこともできます。
BASEFOODのように、マイクロインフルエンサーやモニターを活用することで、「商品が身近なものに思える」という効果もあります。
インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーの選定が命。商品やブランドと相性の良さそうなインフルエンサーを、じっくり考えてから決めましょう。
媒体毎のインフルエンサーの違いと傾向
一言でインフルエンサーといっても、SNSの媒体ごとに違いと傾向があります。主なSNSを中心にご説明いたします。
https://about.instagram.com/ja-jp
Instagramのインフルエンサーは、写真映えするような写真を投稿する方が多いです。写真の綺麗さが命、と言っても過言ではありません。ジャンルで言うと、美容やファッション、食に関するインフルエンサーが多い傾向にあります。
Instagramのフィードは、雑誌やカタログのようなイメージ。従来は雑誌やカタログで宣伝していたようなジャンルが、Instagramとの相性の良いジャンルと言えるでしょう。
テキストも2000文字ほど投稿できますので、文字数の多い雑誌のように利用するインフルエンサーもいます。
https://about.twitter.com/ja.html
Twitterのインフルエンサーは、テキストでの情報発信がメインです。また、リツイート機能を利用した「拡散」が大きな特徴です。バズの起こりやすいSNS媒体と言えるでしょう。
考え方や体験に対して共感が集まると、エンゲージメント率が高まり、多くのフォロワーに届く仕組みです。インフルエンサーの考え方に対してファンがつくようなイメージです。
Instagramに比べるとジャンルは幅広い傾向にあります。本名や顔を公開せずに運用しやすいため、ニッチなジャンルで人気を集めるインフルエンサーも。
YouTube
YouTubeのインフルエンサーは、顔出しをしていることが多く、従来の芸能人に近い印象です。動画を使ってPRできるため、D2Cのマーケティングとして使いやすいでしょう。
実際に商品を使っている様子や商品の細かい特徴を伝えやすいため、リアルな情報を伝えられます。
ただし動画の撮影や編集など、コンテンツ作成にかかる手間は多いので、InstagramやTwitterに比べると費用が高い傾向にあります。
TikTok
TikTokの大きな特徴は、Z世代(10代〜20歳)のインフルエンサーが多いこと。まだまだマーケティングとして成功している例は多くないのが現実です。
TikTokはバズらせようと思ってもバズらなかったり、理由の分からない流行が起きたりと、コントロールしにくい傾向があります。
ハッシュタグを経由して有名になることも多く、J:COMやコカコーラなどの有名企業発信のハッシュタグがブームになることもありました。
Z世代をターゲットにしている場合は、TikTokのインフルエンサーを活用するのも一つの手です。
この章のまとめ
各SNSの特徴を一言でまとめると、下記の通りです。
- Instagram:インフルエンサーマーケティングの王道ツール。カタログのようなイメージで、美容やファッション系に強い。
- Twitter:拡散力が強み。ニッチなジャンルのインフルエンサーも多い。
- YouTube:芸能人に近いインフルエンサーが多い。クリエイティブの作成に手間がかかるので、費用が高め。
- TikTok:Z世代(10代〜20歳)の利用者が多い。狙ったバズを起こしにくい。
それぞれ特徴がありますが、王道はInstagram。インフルエンサーマーケティングの企業も、Instagramの運用ノウハウを強みとしているところが多いです。
インフルエンサーへの依頼方法
インフルエンサーと直接やりとりする方法と、マッチングサービスや紹介会社を仲介する方法の2つあります。それぞれご説明いたします。
インフルエンサーと直接やりとりする
「ぜひこの人にお願いしたい」という希望がまとまっている場合は、直接依頼します。
<メリット>
- 希望を伝えやすい
- スピード感を持って進められる
- 中間業者がいないためコストが抑えられる
<デメリット>
- 自社にインフルエンサー起用のノウハウが無いと成功させにくい
- インフルエンサーの仕事の質が担保されていない
- インフルエンサーが事務所に所属している場合、結局会社を通すことになる
- 宣伝色が強い場合、断られる可能性がある
- 社会人経験のない若いインフルエンサーの場合、社会人としての経験がなく、仕事としてのやりとりがスムーズにできない可能性がある
お願いしたいインフルエンサーが事務所に所属していない場合は、SNSなどから直接依頼することになるでしょう。
ただし、趣味でSNSを運営している方やステマ感・PR感の強い案件を毛嫌いする方もいますので、そういった方に仕事の依頼をするのは、難易度が高いかもしれません。
マッチングサービスや紹介会社を利用する
「どのインフルエンサーにお願いしたらいいのか分からない」という場合は、マッチングサービスや紹介会社を利用するのも一つの手です。
<メリット>
- そもそも「仕事が欲しい」と思っているインフルエンサーのみにアプローチできるので、断られる可能性が低い
- 相性の良いインフルエンサーを効率的に見つけられる
- 多くのインフルエンサーを知ることができる
- マッチングサービスや紹介会社がノウハウを共有してくれる
<デメリット>
- 手数料や仲介料が発生し、割高になる可能性がある
- インフルエンサー本人と連絡を取りにくい
マッチングサービスや会社を利用すると、ビジネスとしてスムーズに進められるメリットがあります。
一方で関わる人が多くなりますので、割高になる可能性があります。
インフルエンサーとのマッチングサービスをご紹介
実際にどのようなマッチングサービスがあるのか、ご紹介いたします。
<SPIRIT>:インフルエンサーのプラットフォームの老舗
プラットフォームができてから約5年の老舗です。登録しているインフルエンサーは約2万人。厳正な審査を通過したインフルエンサーのみが所属できるシステムです。比較的安価で質のいいインフルエンサーをたくさん抱えているのが特徴です。
ファッションや美容の案件が多めですが、ITなどに強いインフルエンサーも所属しています。男女比は、2:8。圧倒的に女性が多いです。
公募形式でインフルエンサーを募るため、通常よりも手頃な価格でインフルエンサーに仕事を依頼できます。
登録費なども無料ですので、「試しにプラットフォームを使ってみたい」という企業にもありがたいサービスです。
<SPRAY>:テレビで活躍するトップインフルエンサーも所属
2003年に創業したSPRAYは、トップインフルエンサーが多数所属しているのが特徴的です。所属するインフルエンサーは2000人以上。電通やGMO、RECRUIT、Diorなど各業界の有名企業と取引していることも特徴です。
サポートが手厚いので、単なるプラットフォーム以上の価値があります。
<dary>:エンゲージメントによって後払いが可能
daryの特徴は、エンゲージメント率によって、インフルエンサーに支払う金額が変動することです。後払いが可能な、成果報酬型のような形です。そのため、「高いお金を払ったのに、エンゲージメント率が低すぎる」といった心配がありません。
インフルエンサー紹介会社をご紹介
続いてインフルエンサー紹介会社や、総合的にサポートしてくれる会社をご紹介いたします。
<Find Model>:実績があり、Instagramに強いサービス
人工知能を使ってマッチするインフルエンサーを割り出し、8000万人以上に情報を届けることも可能です。5500件以上の実績があり、特にInstagramの運用ノウハウは信頼できます。また、インフルエンサーの写真を二次利用できる契約になっているため、インフルエンサーの写真を使った永続的なPRが可能です。
<3MINUTES>:ファッション系に強い
ファッション系に強く、主にInstagramの運用ノウハウのあるサービスです。もともと女性特化のYoutuberプロダクションとして発足したため、女性やアパレル関係を得意としています。
この章のまとめ
インフルエンサーを起用する方法は様々です。マッチング中心にサポートしてくれる「マッチングサービス」だけでなく、総合的に支援してくれる会社もあります。インフルエンサーマーケティングと言われるとここ数年の話のように感じられますが、10年以上前に創業した老舗企業もあるのです。
インフルエンサー起用の金額感
インフルエンサーの相場についてご説明いたします。
一般的なインフルエンサーの相場
一般的にSNS投稿1回につき、フォロワー数×2~5円と言われています。
例を挙げますね。フォロワー2万人のインフルエンサーにSNS投稿を1回してもらう場合、4~8万円程度の料金がかかるイメージです。
フォロワー10万人程度の場合は1投稿で2~3円、フォロワー100万人程度の場合は1投稿で4~5円になることが多いです。
記事を書いたり、撮影が必要だったり、移動や宿泊が発生したりする場合は、諸経費が上乗せされた金額になります。
・1フォロワー当たりの単価相場に関しては以下参照
「【2020年版】インフルエンサーマーケティングの料金相場と費用対効果」2020年7月6日:https://magazine.kaizuka.tokyo/entry/influencer-cost
「ゼロから学ぶインフルエンサーマーケティング-費用の現実と相場、依頼から分析の流れ」2020年4月1日:https://find-model.jp/insta-lab/influencer-marketing-basic-study/
・インフルエンサーの料金相場に関しては以下参照
「《最新版》インフルエンサーマーケティングの料金相場|あのPRの費用対効果は?」2020年8月27日:https://note.natee.jp/n/n1f7a485af7c5
フォロワー数千人規模のインフルエンサーの相場
一般のインフルエンサーの費用感は上記の通りですが、フォロワー数の少ない人を起用すると、低価格に抑えられることもあります。
フォロワーが数百〜数千人レベルの方を起用する場合は、低コストに抑えられることもあります。商品を無償で提供する代わりにSNS投稿をお願いしたり、1投稿数千円で依頼したり、かなり安価で引き受けてもらえることもあるのです。
この章のまとめ
一般的なインフルエンサーにお願いする場合は、1投稿でフォロワー数×2~4円。モニターやナノインフルエンサーレベルであれば1投稿で数千円になることが多いです。
こちらでご紹介した費用感はあくまでも目安の一つであり、インフルエンサーによって個人差があります。
まとめ
「インフルエンサー活用」とは言っても、規模やブランドのジャンルによって戦略は異なります。必ずしも有名なインフルエンサーを起用する必要はなく、フォロワー数千〜数万人のナノインフルエンサーやマイクロインフルエンサーを活用したり、モニターとして低価格または無償で依頼をしたり、方法は様々です。
有名な人を起用して、ただコラボするだけでは意味がありません。重要なのは、ストーリー性や世界観、身近さを含めてトータル的に「欲しい」と思わせること。これらが満たされるインフルエンサーと手を組んで販促を進めて行く必要があります。
消費者のリテラシーも向上しています。違和感のあるPR活動は逆にブランドイメージを損なう可能性も秘めておりますので慎重に行いましょう。
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インフルエンサーマーケティングに関するよくある質問
- インフルエンサーマーケティングの特徴は?
- 広告感が薄いことは代表的な特徴です。広告は「作った企業が押し売りをしている」ような印象を与えやすいです。
しかしインフルエンサーが紹介すると、作った企業による押し売り感は減り、単なる口コミのような印象を与えます。
- 一般的なインフルエンサーの相場は?
- 一般的にはSNS投稿1回につき、フォロワー数×2~5円と言われています。