【2024年最新】楽天市場で活用したいTDA(ターゲティングディスプレイ)広告の運用方法と注意点を解説
楽天広告には楽天RPP広告やクーポンアドバンス(CA)広告、CPA広告など、様々な種類の広告フォーマットが存在しますが、楽天TDA広告については馴染みが薄い方も多いのではないでしょうか。
今回はバナーによってビジュアル訴求できる「TDA広告」の特徴や活用方法について解説していきます。
楽天RPP広告やCA広告と同様に、初心者でも取り組みやすい広告になりますので、ぜひこの機会に特徴をおさえて運用を始めてみましょう。
※当記事は2023年3月時点の情報を基に制作しています。記事閲覧のタイミングによっては情報が古くなっている可能性がありますのでご了承ください。
楽天市場で活用したいTDA(ターゲティングディスプレイ)広告とは
楽天市場のTDA広告とは、楽天市場内の広告露出枠にて、店舗が希望するユーザーセグメントに対象を絞って表示させる「運用型バナー広告」を指します。TDA広告のメリットを3点ご紹介します。
まず1点目が「楽天市場内のユーザーに効率良くアプローチできる」ことです。
例えばAmazonのDSP広告など、ECプラットフォーム(ECサイト)のディスプレイ広告には「サイト外部でのバナー配信」も機能として含まれていますが、楽天TDA広告は楽天市場内に配信を絞っているため、楽天市場に買い物に来ているユーザーへ効率よくアプローチできます。
2点目は、「接触したいユーザーへの効率的なアプローチ」です。
楽天TDA広告ではユーザーデータを活用し、楽天RPP広告やクーポンアドバンス(CA)広告以上に店舗が希望するセグメント条件でバナー配信が行えるため、接触したいユーザー層へ効率よくアプローチできます。
そして3点目が、「バナーデザインの自由度」です。
バナーデザイン作成時のレギュレーションはありますが、目的に応じてバナーデザインは自由に制作できるため、訴求したいデザインで、ターゲットユーザーへ配信が可能です。
楽天市場内で運用できる広告について
楽天市場における運用型広告としては「楽天RPP広告」や「クーポンアドバンス(CA)広告」などがよく知られています。
これらの運用型広告は、商品名や商品情報などに記載されているキーワードを基に検索結果上部に広告を露出する「検索連動型広告」です。
楽天RPP広告は設定方法の手軽さに定評があり、「キャンペーンの作成」と「予算の設定」だけで配信でき、CA広告は「クーポン付きの広告」となっているため、RPP広告と比べて購入に至りやすいメリットがあります。
また、CA広告のキャンペーン設定時には、楽天RPP広告と同様の設定に加え、「割引率設定」と「個別商品設定」を行う必要がありますが、入稿作業などは含まれないため、楽天RPP広告と並んで初心者でも取り組みやすい広告といえるでしょう。
課金体系は楽天RPP広告、CA広告どちらも「クリック課金型の広告」になるため、主にCPC(クリック単価)を調整して上位枠を獲得します。
一見すると、CPC単価の入札競争に巻き込まれそうな印象を持たれるかもしれませんが、楽天市場では販売実績がつけばCPCを抑えながら、自然検索枠の上位露出を狙える可能性があります。
したがって、楽天市場における短期的な広告戦略では、積極的にCPC単価の入札競争に参加しながら、中長期的な広告戦略では販売実績を背景にした自然検索枠の上位露出も視野に入れるとよいでしょう。
楽天市場におけるRPP広告活用については下記で解説していますので、合わせてご確認ください。
TDA広告の特徴
前章では楽天RPP広告とクーポンアドバンス(CA)広告の特徴をお伝えしましたが、ここからはTDA広告をご説明いたします。
TDA広告は、店舗が希望するユーザーセグメントに対象を絞って表示できる運用型バナー広告です。初めに、セグメント内容について紹介します。
TDA広告におけるセグメントとは、ユーザーの年齢や性別、居住地域、特定ジャンルの閲覧・購買履歴など、特定の区分で区切った集まりを指します。
ユーザーに表示された回数に配信単価を乗じて課金されるため、「ビューアブルインプレッション(Vimp)課金」と呼ばれます。
また、楽天RPP広告やCA広告と違い、TDA広告は「開始日予約」「期間」「予算」「入札単価」「対象セグメント」「バナー入稿」等を設定して、審査を通過する必要があります。
TDA広告は審査通過後、配信開始日より広告配信される仕様のため、配信開始日に合わせて準備期間を必要とする点に注意が必要です。
そして、もう1点課金の仕組みについて押さえておきたい特徴があります。
TDA広告は「バナー広告の50%以上が1秒以上ユーザーに表示された回数が課金対象」とされているため、「ユーザーに表示された回数=インプレッション回数」と考えてよいでしょう。
TDA広告を運用する際は、以上の特徴を踏まえた上で調整していく必要があります。
TDA広告の機能改修について
楽天TDA広告は2022年8月17日開始の申込分より、パッケージ形式の広告配信を廃止し、自由に配信単価を設定できる「入札機能」をリリースしました。
この機能改修にともなって、Vimp単価が元々パッケージに応じて「0.3円」もしくは「0.75円」のどちらかが適用されていたものが「一律0.75円」となり、0.05円刻みで入札強化が可能になりました。
機能改修以前までは、競合のキャンペーンとターゲティング対象が重複した場合、配信優先度が同等となっていたため、競合が多い状況下ではTDA広告配信が出づらい環境でした。
しかし、機能改修によってVimp単価が一律0.75円、0.05円刻みでの入札強化が可能になったため、理論上は入札強化で入札額を引き上げることによって競合キャンペーンに勝つことが可能な仕様になっています。
ちなみに機能改修前に存在したパッケージの内容は下記の2つでした。
1つ目はVimp単価が0.3円の「ノンターゲティングパッケージ」です。名前の通りセグメント不要のパッケージで、とにかく低単価でTDA広告が保有する全露出面に配信し、「ユーザー接触を目的としたもの」となっています。
2つ目はVimp単価が0.75円の「ターゲティングパッケージ」で、セグメント機能がついたパッケージになります。
元々Vimp単価が高いキャンペーンが優先表示されていましたが、これらのパッケージが撤廃され、入札単価を上げることで競合のキャンペーンよりも配信が優先されやすくなりました。
つまり、TDA広告が案件の露出可能性を向上させられる仕様に変化したことになります。
TDA広告の機能改修後の選択方法
TDA広告の機能改修後の選択方法として、おすすめは「Vimp単価を0.75円以上で設定する」ということです。
弊社のクライアント様のデータから見えてきた傾向ですが、入札単価を調整できるようになったことで、下限の「0.75円設定」はほとんど露出されなくなっています(TDA広告内で入札競争が起きている状況と推測されます)。
セグメント次第ではありますが、新規獲得を目的にTDA広告配信を行う場合は、
- 予算が10万~数十万円など限られている場合は「均等配信」
- 数百万ある場合は「最大配信」
など予算に応じて配信方法を変えるのがおすすめです。
※ちなみに上記内容は、キャンペーンが1つの場合を想定しています。キャンペーンが2つ以上ある場合は「最大配信」で行うと、かなり早い店舗で1~数営業日で数十万円が満額消化されてしまうケースがあるため、基本的には均等配信で行い、キャンペーンが1つの場合のみ「最大配信」を検討してください。
TDA広告におけるペルソナの考え方と設定方法
TDA広告の活用パターンの大枠として、下記の3つが挙げられます。
まず1つ目が「認知促進」です。こちらは「ターゲットになりそうなユーザーへ幅広く配信」していきます。
2つ目が「リターゲティング(刈り取り)」です。自店舗へ1度来訪したことがあるユーザーへ広告を配信し、もう一度その商品を思い出してもらって購入に結び付けていきます。
そして3つ目が「シェア奪還(ブランドスイッチ)」です。競合店の商品を使っているユーザーへ広告を配信し、自店の商品に乗り換えてもらうきっかけを作ります。
ターゲットに関しては、楽天RMS内にある「顧客分析レポート」を参考にし、どの年代や会員ランクの購入率が高いのか?などを確認しながら、「どこを伸ばしていくのか」または「どこを課題とするか」を明確にする必要があります。
「自店舗の売上を上げる」あるいは「課題を解決する」ためには、上述した【活用パターン(目的)】と【ターゲット】の組み合わせをどれだけイメージし、配信できるかが重要になります。
これはあくまで一例ではありますが、TDA広告をリターゲティングとして活用し、費用対効果(ROAS)もある程度担保したい場合は、顧客分析レポートから購入率の高そうな年代、会員ランクを選択し、「店舗訪問履歴は有」「店舗購入履歴はなし」のセグメントで行ってみるとよいでしょう。
ブランド認知を目的とする場合に関しては、関連性の高いジャンルを設定し、「店舗訪問歴あり」「購入歴あり」を除く、といった方法で、自店舗に来訪したことがないユーザーにのみ表示させることが可能です。
このようにTDA広告は、目的・ターゲットによってセグメントを大きく変えられます。
抑えておきたいバナークリエイティブのポイント
広告配信に用いるクリエイティブに関しては、ペルソナに応じて変化しますが、ブランド認知が目的の場合は、「ロゴ・キャッチーな文言」「エンブレム・ランキング入賞」などの受賞歴を強調すると効果的です。
商品にフォーカスした場合は、「キャッチーな文言」に加えて「商品を大きく見せる」かつ「ポイント・クーポンなどの施策情報」、もしくは「特典・プレゼントの内容」などを訴求する、といった形でバナーイメージも大きく変わっていきます。
実際に弊社が支援している店舗様で「配信期間・セグメント」は同じでクリエイティブだけを変更した結果、クリック率が上昇した事例もあるため、TDA広告の目的に応じて「何を一番訴求するか?」にはこだわってバナーを作成し、クリック率が伸びない場合は、都度バナーの改善を進めていくことをおすすめします。
TDA広告を運用する際の注意点
TDA広告を運用する際の注意点は主に6つあります。
「課金=見られている」とは限らない
「TDA広告の特徴」でも触れた通りですが、Vimp課金の仕様上、バナーの50%以上が1秒表示された場合に課金される仕組みのため、ユーザーに実際に見られているかどうかは分かりません。
スクロール中にバナーの50%以上が1秒間表示されるケースは容易に想定できるため、課金回数がそのままユーザー閲覧数ではないことに注意しましょう。
ROASが高く出る傾向にある
TDA広告経由で720時間(1ヶ月)以内に発生した売上まで成果として計上されるため、ROASが高く出る傾向にあります。
例えば、TDA広告を見たユーザーが、ブラウザバックして楽天RPP広告やCA広告などから入って購入した場合でも、TDA広告の購入件数としてカウントされます。
バナーが4枚必要
こちらは仕様上の注意点で、クリエイティブバナーは必ず4枚準備する必要があるため、広告配信日に合わせて計画的に準備を進める必要があります。
レギュレーション設定が細かい
バナー作成のレギュレーションには「背景は2色まで」と記載がありますが、グラデーションやモデル背景、自然背景はカウントされません。
また、「フォントは28~80pxまで」「バナー内のテキスト要素は1/3まで」ですが、「ロゴは含まれない」など、レギュレーションが細かく設定されているため、バナー作成の際は「店舗運営Navi」などのページからご確認ください。
キャンペーン新規登録・バナー入稿タイミングについて
2023年4月15日以降配信開始のキャンペーンより新規登録は、翌日から31日後までを希望開始日として選択することができるようになりました。
ただ、入稿後の審査に関して2023年4月14日以前は前日に審査が実施されていましたが、2023年4月15日以降のキャンペーンは入稿されたものから順次審査に変わります。
審査着手日が1~2営業日のため、翌日開始を見込んで急遽申し込んでも審査が間に合わない可能性が高くなります。
お申込みされる際は余裕をもった日付を選択することをおすすめいたします。
登録可能キャンペーン数について
1店舗の中でキャンペーン申し込みできる数に上限がございますのでご注意ください。
※1店舗あたり:20キャンペーン/月
まとめ
他のECプラットフォームに比べて、楽天市場には運用型広告が多く存在しています。
運用型広告の中で楽天RPP広告やCA広告だけを活用していても、
- 流入導線が検索結果のみに絞られてしまうため、リーチできるユーザーが限られる
- 商品や店舗認知に時間がかかる
- 効果の高いリターゲティングが実施できない
といった課題が出てくるケースがあります。
こうした状況を打破する際に、TDA広告を活用した「より効果的なリターゲティングの実施」や「ブランド認知促進の実施」は効果的です。
また弊社では、キャンペーンの申し込みや運用・クリエイティブ作成・入稿までなど網羅できるサービスもございますので「TDA広告を開始したいけど手が回らない」「運用してるけど、PDCAを回す時間がとれない」などのお悩みがございましたら、お気軽にお問合せください。
TDA広告に関するよくある質問
- TDA広告とはどんな広告ですか?
- 楽天市場のTDA広告とは、楽天市場内の広告露出枠にて、店舗が希望するユーザーセグメントに対象を絞って表示させる「運用型バナー広告」です。
- TDA広告の機能改修はどんな点が変更されたのですか?
- 2022年8月17日開始の申込分より、パッケージ形式の広告配信を廃止し、自由に配信単価を設定できる「入札機能」をリリースしました。詳細は本記事をご覧ください。