公開日:2021年2月24日

『買い物ゼロ秒時代の未来地図』著者が解説(後編)~海外最新トレンドと2030年近未来の買い物~

買い物ゼロ秒時代の未来地図』の著者でいつも.取締役 副社長 望月 智之が二冊目となる同著書の内容に関して解説する本記事では、本の中では書ききれなかった「買い物の近未来」について語っていきます。

直近1年の買い物の変化や新たな買い物の仕方についてご紹介した前編に続いて、後編では、新たな消費の形や海外での最新事情、2030年の近未来の買い物などについてお送りします。

新たな消費の形とは

「繋がり消費」というキーワードとは何か

望月 繋がり消費の「繋がり」というキーワードは、例えばソーシャルとかSNS、インスタグラム・Facebookとか、マーケティングの世界にいる方は当然理解されていることですけれど、買い物自体を誘発するときに、メーカーさんなどが広告を打つわけですよね。

例えばテレビCMの中で「こんな新しい商品があるよ」と提示してくるわけですけれど、今の消費者の買い方とか商品の購買の仕方を見ていると、「人から聞いた」とか、もしくはネット上にある口コミを見て「これいいね」「これを知った」という形で買う方が多くなっています。

簡単にいうとメーカー主導の広告で知ってもらってから売るみたいな流れが難しくなってきていて、消費者同士の繋がりの中に、いかにメーカーさんとかブランドさんが入り込んで商品を訴求していくかというのがポイントになってくるのだろうなと思っています。

これについて実はワークマンの土屋哲雄専務も同じ話をされていました。いまワークマンさんの実店舗の業績が良いのですけれども、1つの戦略として「弱い繋がり」を挙げられています。繋がりとは親戚とか身内などの「強い繋がり」と、もう1つは会ったこともないのだけれど、SNSとかで繋がっているだけの「弱い繋がり」の2つがあると思います。

この「弱い繋がり」を活かしてマーケティングすることが最も大事だという風に仰られていて、私もまさにそれは仰る通りだなと思っていて、それをうまくやっている会社さんは業績もすごく伸びていて、ブランド力も高いということがあります。この繋がり消費というのは、今後重要なキーワードになるかなと思っています。

トレンドとなっているDtoCと新ワードPtoCとは何か?

望月 DtoC という言葉は「Direct to Consumer」という意味になります。
簡単に言うと今までメーカーさんや作り手が小売店や仲介者を通して、自分の意図とは違う形で販売されてしまっていたという状況から、インターネットが普及したことによって直接ダイレクトに消費者に売ることができるというのがDtoCを簡単に説明した意味になります。

これがもう一段階進化して行くと、企業がというよりも、誰が作っていて誰がこのコンセプト・商品を考えたのかというところに行きついていきます。特にアメリカとか中国を見ていると、その企業がというより、作り手が全面に出てきて、「この商品は私が作りました」とか、「私がこんな風に困ったからこの商品を開発したんですよ」という流れにどんどんなってきています。

日本でもYoutuberの方がブランドのお店とコラボしたり、一緒に共同開発して出すという流れがすでに起こり始めていて、これがPerson to Consumer「PtoC」と呼んでいるものになります。企業というよりも、より個人が作って顔の見える形で物を販売していく。

消費者の方は誰が作ったとか、もっと言うと自分が好きな人が作ったものは、もうウェルカムで買いますという流れが世界的には起こっていて、それが昔だったら売上的にはそんなに大きくいかなかったニッチなブランドだったものが、特にアメリカでは何百億という売上になるようなブランドもたくさん出てきています。

そういった流れがありますのでDtoC と PtoCというのは、ますます広がっていくんだろうなと思っています。

海外最新トレンド

EC先進国であるアメリカや中国の買い物はどうなっているのか?

望月 大きな流れとしては、「早い買い物」というのがキーワードだと思っていて、日本は今日注文したら当日中とか翌日に届くので、そんなに違和感がないような気もします。例えばウーバーイーツは皆さん使うことが多くなったと思うんですけれど、あれは自分が欲しいと思ったらすぐ届く、自分でお店に行ってもいいのですけれど、届けてくれることに慣れてきていて、これは世界的にはもっと前から普及しています。

つまり自分が欲しいと思ったらすぐ届くというこの時間の感覚が、ものすごく短くなってきていて、アメリカなんかは注文してから20分、30分で届くという競争に入り始めています。それはもちろんウーバーイーツを運ぶような方々がインフラとして整っているからなんですけど、この物が届くまでの時間の感覚は恐ろしく速くなっているなと思います。

これを私の中で「早い買い物」と呼んでいるのですけれど、こういった感覚になってくるというのが一つのトレンドかなと思っています。

あともう一つは「体験」ですね。面白いのは、今までデジタル化が進んでいくと「実店舗の価値ってないよね、だから店舗をどんどん減らしていって、全部オンラインコマースだけで完結する」というイメージがあるかと思うんですけど、実は米中共に実店舗は増えてきています。特にデジタルコマースとかデジタルブランドに強い会社さんが実店舗を大量に出店し始めています。

大きな流れとして、体験とか実店舗での会話とか店員さんとのやりとり、商品を触るという価値などが、よりデジタル化が進むことによって逆張りで価値が上がってきているという流れもありますので、この体験を重視した売り方・買い方というのが今の米中のトレンドなのかなと思っています。

買い物の近未来と展望とは

2030年までの買い物の近未来をどう見るか?

望月 一番私が顕著に感じるのは、今まで日本だと大手ブランドや有名ブランドがたくさんあって、それを買うというのがだいたい普通というか、テレビCMで見る商品を買う、それが家の中に満たされているというのが感じだったと思います。それが恐らく今後もっとニッチなブランド、もうちょっと小規模なブランドが溢れる時代になってくるのではないかと考えています。

それはさきほどのDtoCとかPtoCとか、自分にピッタリなものを買いたいというニーズがあります。パーソナライズという概念もありますから、そういったところでどんどんニッチなブランドが普通に普及してきて、それが家の中や生活の中に入ってくるのではないかなと思います。

ただ、2030年にその1ブランド・1企業という単位で、ものすごい売上があるという時代があるのかというのは、大きな疑問があります。

アメリカなどでは本当に小さいと思っていたブランドがどんどん大きくなっていますが、それでも規模感としては限度があります。

日本でも去年、上場されましたシャンプーのボタニストというブランドのI-neさんもまさにそういった感覚で、テレビCMを打っているかというと打っていないブランドですけれど、恐らく女性の方の認知がとても高いブランドになっています。こういったことが普通にもっと増えてくるんだろうなという感覚がありますね。

マーケティングに関わる読者へメッセージを

望月 マーケティングに関わる方、ビジネスに関わる方に恐らく見ていただいていると思うのですけれども、いまデジタルトランスフォーメーションとかDXという言葉が非常に普及しています。

これは働き方改革とかいろんなことがあってデジタル化が進んでいるわけですが、デジタルでの物の買い方・売り方というのは、先に買い方のほうがどんどん進化していて、売り方についてはどちらかというと遅れているという事情になっています。

今これを見ていただいている方には、若い方も多いかと思いますが、恐らくSNSとかは皆さんのような若い方のほうが感覚的にはすごく優れていて、そういう売り方・買い方が分かる人がマーケティングを主導したりとか、ブランドを主導するという時代が来ると思っています。

Youtubeとかインスタグラム・Tik Tokとかいろいろな新しいチャネルがありますので、そういったところを買い物という文脈の中で、さまざま見ていただくといろんなヒントもあります。

あとはアメリカなどを見ているとAmazonがEコマースの巨人と言われており、私も非常に注目はしていますけれども、このAmazonの動きを注視ていただくと未来の買い物とか販売ということがよくわかります。その辺りを注目していただけるとすごくこの先、役に立つのではないかなと思います。

私はこれからも、マーケティングの最前線からその変化を確かめ、さまざまな情報発信をしていこうと思っています。まずは本書にて私が感じた「買い物ゼロ秒時代」とその温度感を感じて頂ければ幸いです。

 
以上、『買い物ゼロ秒時代の未来地図』の著者 望月 智之へのインタビュー記事をお送りしました。
 
本記事の前編はこちら

『買い物ゼロ秒時代の未来地図――2025年、人は「買い物」をしなくなる〈生活者編〉』
著者:望月智之
編:クロスメディア・パブリッシング
定価:本体1,628円(税込)
発売:2021年1月29日

【目次】
・第1章:2020年、私たちの買い物はこう変わった
・第2章:生活者をつなぐ口コミはどう進化したか
・第3章:EC先進国の米中で今、起こっていること
・第4章:リーディングカンパニーが最前線で仕掛けていること
・第5章:2030年、買い物の未来

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