ECサイトの売上を伸ばすペルソナ設計|顧客を深く理解する5つの秘訣

ECサイトの売上を伸ばすペルソナ設計|顧客を深く理解する5つの秘訣

「ECサイトの集客は順調なのに売上が思うように伸びない。」
「アクセス数は多いのに売上につながらない」
そんな悩みを抱えていないでしょうか。

サイトに訪れている人がいるにも関わらず、売上につながらないという状況は、多くの場合、顧客理解が足りていないことが原因の可能性が高いです。

ECサイトの売上を伸ばすためには、実在するかのような具体的な人物像(ペルソナ)を設計し、そのペルソナのニーズや価値観に沿った事業戦略を立てることが重要です。

本記事では、ECサイトにおけるペルソナ設計の概要から、顧客を深く理解する5つのコツ、実践事例、注意点までを具体的に解説します。

「ECサイトの売上を伸ばしたい」「ペルソナ設計を間違いなく行いたい」方は、ぜひ最後までご覧ください。

※閲覧時期により本記事でご紹介の情報は変更・更新されている場合がございます。

ECサイトの売上を伸ばすための「ペルソナ設計」とは?


ペルソナ設計とは、年齢や性別などの基本的な情報にとどまらず、ライフスタイルや価値観、購買動機、行動パターンまでを考え、具体的な顧客像を設定する方法です。

ECサイトで売上を伸ばすためには、自社の顧客像を明確にし、その顧客像に沿った戦略を組み立てることが欠かせません。

ペルソナ設計は、感覚や経験則のみで行わず、アクセスや購買履歴などの定量的な情報を分析したデータを組み合わせることで、より精度を高められます。

集客戦略や商品開発、販売ページの設計など、マーケティング全体の土台になるため、感覚的な顧客像ではなく、データをもとにした戦略的な顧客像を作成することが重要です。

ペルソナを明確に設定できれば、施策の精度が上がり、売上やリピート率の向上につながるでしょう。

関連記事:【完全版】ECサイト運営とは?業務内容から必要なスキルを初心者向けに徹底解説 | ECマーケター by 株式会社いつも

ペルソナとターゲットの違い

ペルソナとターゲットは、マーケティング業界でよく使われる言葉ですが、両者には違いがあります。

ターゲットとは、自社の商品やサービスを購入する可能性が高い顧客層の集合を指します。

たとえば、

  • 年齢:30〜40代
  • 性別:女性
  • 居住地:首都圏
  • 職業:会社員

などの形で、属性情報を軸に、大まかな顧客像を考えるのがターゲットです。

一方でペルソナは、ターゲット層の中から代表的な1人を選び、架空の人物としてより具体的に顧客像を設定する手法です。

年齢や性別といった基本情報に加えて、価値観や行動パターン・購買動機・ライフスタイルまで細かく設定します。

たとえば、同じ「30代女性・首都圏・会社員」というターゲットでも、

  • 35歳
  • 千葉県在住
  • IT企業勤務
  • ネットスーパーを頻繁に利用
  • 週末は家族と出かけることが多い
  • 健康志向で、オーガニックな食品を選ぶことが多い
  • InstagramやXなど、SNSをよく利用する

という具体的な顧客像を考えることで、訴求方法やアプローチ方法がより明確になります。

ペルソナとターゲットには違いがありますが、対立しているものではなく、ターゲットの中にペルソナが含まれるという関係です。

まずターゲットを設定し、その後にペルソナを設計することで、ECサイト運営におけるマーケティングの精度が高まるでしょう。

ECサイトでペルソナ設計が不可欠な理由

ECサイト運営では、実店舗のように顧客の反応を見ながら提案を変えることができないため、事前に顧客像を詳細に設定し、その顧客像に沿って設計することが重要です。
これを実現するのがペルソナ設計であり、下記のメリットからもペルソナ設計はECサイトに欠かせません。

1.広告・コンテンツの精度向上
ペルソナを明確にすることで、広告の文言や訴求内容を最適化できます。

2.UI・UX改善の方向性が定まる
顧客の行動パターンや利用デバイスを想定できれば、サイト設計や商品ページのレイアウト・導線も迷わず決定できます。

3.一貫したマーケティング施策の実現
関係者全員が同じペルソナ像を共有することで、ブレのないマーケティング施策が実現できます。

これらのメリットの結果として、広告費の無駄を減らしながら、効果を最大化できるのがペルソナ設計の最大の魅力です。

EC市場の競争は激化しており、価格競争や機能比較だけでは差別化が難しくなっているため、明確なペルソナ設計が不可欠なのです。

顧客を深く理解するためのペルソナ設計5つのコツ


ここからは、ペルソナ設計をする上でのコツを5つ紹介します。

1.実データに基づいた多角的な情報収集
2.表面的な属性を超えた「深層心理」の解明
3.具体的な人物像への落とし込みと「共感」
4.ペルソナを軸とした施策立案と「共通認識」の醸成
5.継続的な見直しと「アップデート」による精度向上

顧客を深く理解するためのコツを押さえ、売上向上を実現しましょう。

実データに基づいた多角的な情報収集

ペルソナ設計の精度は、どれだけ確かな情報を集められるかが重要です。

感覚や経験だけでは、実際の顧客像とずれやすく、思うように施策の効果が出ない可能性があります。

そのため、まずは既存顧客データ(購入履歴、行動履歴など)の分析から始めましょう。

アクセス解析や購買履歴を確認すれば、実際に購入頻度の高い層や離脱が多いページ・離脱ポイントなどが見えてきます。

また、数字では見えないデータとして、アンケートやインタビューによる定性情報の獲得も欠かせません。

購入を決めたきっかけや、他社ではなく自社を選んだ理由、購入前に抱えていた不安など、顧客のリアルな声にはさまざまな情報が詰まっています。

さらに、競合分析や市場調査による情報収集を行えば、自社がまだ拾いきれていないニーズや新しいトレンドを発見できます。

このように定量・定性・外部環境データの三方向から情報を集めることで、リアルなペルソナを設計できるでしょう。

表面的な属性を超えた「深層心理」の解明

ペルソナ設計は、年齢や性別、職業といった表面的な属性情報だけでは不十分です。

購買行動の背景には、数字やプロフィールからは見えないニーズやウォンツ・顧客自身も気づいていないインサイトがあるため、深層心理を解明することが重要です。

深層心理を解明するには、購買行動の背景にある動機や価値観を理解する必要があります。

どんな状況で商品を探し始めたのか、購入前の不安は何か、購入の決めては何かを明らかにできれば、訴求方法をより具体的に考えられます。

さらに、悩みや課題、解決したいことを洗い出すことで、顧客が求める解決策に対して、的確な商品を訴求可能です。

これらの深層心理を解明できれば、数字だけではつかめない感情面へのアプローチが可能になります。

具体的な人物像への落とし込みと「共感」

データと深層心理の分析結果を、基本属性(年齢、性別、職業など)から考え、より具体的な人物像に落とし込むことも重要です。

例えば「32歳・女性・東京都在住、アパレルメーカー勤務」という情報だけでは不十分なので、生活習慣や趣味嗜好・ライフスタイルなどを設定しましょう。

たとえば「平日は残業が多く、休日は友人とカフェ巡りや映画鑑賞。Instagramで話題の商品をチェックするのが日課」といったところまで具体化します。

さらに、感情や思考プロセスを想像し、リアルに描くことが重要です。

「忙しい日々の中でも、自分らしいおしゃれを楽しみたい」
「店舗に行く時間はないが、ネットで自分に合う商品を見つけたい」

などの心の声を人物像に落とし込むことで、より深く顧客に訴求でき、共感を呼ぶことができるでしょう。

ペルソナを軸とした施策立案と「共通認識」の醸成

ペルソナは、商品開発やサイト改善・プロモーション戦略などマーケティング全体へ活用しましょう。

商品開発ならペルソナのニーズを反映した機能やデザインを追加し、サイト改善なら行動パターンに沿ったUI・UXを設計します。

さらに、関係者間でのペルソナ像の共有と認識統一も欠かせません。

商品開発チームや広告運用担当、外部パートナーまで同じ顧客像を共有できれば、マーケティング全体のブレがなくなります。

顧客視点に立ったコンテンツ制作の指針が明確になることで、施策の一貫性が高まるでしょう。

継続的な見直しと「アップデート」による精度向上

ペルソナは、一度作成して終わりではなく、市場や顧客の変化に合わせた更新が必要です。

扱う商材や市場変化にもよりますが、半年から1年ごとに、アクセス解析や売上データ、アンケート結果などを分析しましょう。

分析結果を施策の効果検証とペルソナへのフィードバックとして活用し、より精度の高いペルソナ像に進化させます。

また、継続的に見直しを進めていくことで、これまで想定していなかった新規の顧客層が現れることもあります。

その場合には、ペルソナの追加を行い、新たな集客戦略を立案しましょう。

ペルソナは変化するものと考えて継続的なアップデートをしていくことで、機会損失を避けられ、競合優位性を保ち続けることができるでしょう。

ECサイトの売上アップに繋がるペルソナ設計の実践例


ECサイトの売上が伸び悩んでいるという状況に対して、実践的なペルソナ設計を行ってみましょう。

まずは、販売している商品の主要顧客層を明確にしていきます。

今回の例では、20〜40代女性向けのカジュアルファッションを扱うアパレル系ECサイトを想定します(※)。
※この章では、仮説上での数値を立ててペルソナを設計します。実際の数値ではございません。

過去1年間の売上データを分析したところ、売上の約65%が30〜39歳の女性によるものでした。

ここから、まずはこの層(30〜39歳の女性)を中心ターゲットとして設定します。

次に、ターゲット層についてより深く理解するための情報を集めましょう。
これまでにサイトに蓄積された情報を分析すると、以下のような定量データが収集できました。

  • 購入者の70%がスマホからアクセス
  • 平日20時〜23時に購入が集中
  • 平均購入単価は7,500円
  • 購入頻度は年3〜4回

また、アンケートやインタビューからは以下のような定性データが収集できました。

  • 仕事帰りや就寝前にスマホで服を探す
  • 平日は忙しいので、着回しできる服が欲しい
  • Instagramでコーデ例を見るのが習慣
  • レビューやサイズ感の情報が購入の決め手になる

このデータを活用して、大まかにユーザーを分類してみましょう。

今回の場合には、以下の3パターンが見えてきました。
1.週末にまとめ買いする主婦層(35〜39歳、既婚、子持ち)
2.トレンド重視の30代前半女性(未婚、SNS利用頻度高)
3.忙しい平日を過ごす30代前半〜後半の働く女性(未婚〜既婚問わず、機能性重視)

この中で、売上と購入頻度の高さから3つ目の層をメインに考え、より具体的なペルソナを決定しましょう。

【最終的に完成したペルソナ】
・年齢:34歳
・性別:女性
・居住地:東京都杉並区
・職業:広告代理店勤務(マーケティング職、正社員)
・年収:520万円
・家族構成:夫と二人暮らし、子どもなし
・ライフスタイル:平日は朝9時〜夜20時まで勤務、残業は多め。
・休日は友人とランチや買い物、夫と映画鑑賞。旅行は年に2回。
・趣味・関心:Instagramでコーディネートや美容情報をチェック、カフェ巡り。
・情報収集経路:Instagram・ファッション系アプリ
・購入動機:オフィスでも着られて、休日も着回せるシンプルで上質な服が欲しい
・購入前に見る情報:サイズ感や素材感・送料
・価値観:見た目の美しさだけでなく、機能性・時短・着回し力を重視
・購買行動の特徴:夜の帰宅後〜就寝前にスマホで商品を閲覧し、レビューを読んでから購入を決定

このように、データ分析から人物像の作成までを順を追って行うことで、施策に落とし込みやすく、チーム全体で共通認識を持てるペルソナ像が設計できます。
関連記事:自社ECサイトの売上アップにつながる方程式を徹底解説 | ECマーケター by 株式会社いつも

ペルソナ設計を成功させるための注意点


ここからは、ペルソナ設計を成功させるための注意点を解説します。

  • データに基づかない「思い込み」の排除
  • ペルソナを「固定化」しない柔軟な運用
  • ターゲットとペルソナの役割分担の理解

コツだけでなく注意点も押さえ、より精度の高いペルソナ設計ができるようになりましょう。

データに基づかない「思い込み」の排除

ペルソナ設計でよくある失敗が、担当者や経営者の感覚だけで顧客像を描いてしまうことです。

たとえば、「自分の周りの顧客は若い女性が多いから」という先入観で設計すると、実際の顧客層とのズレが生じてしまいます。

このズレは、施策の方向性や広告費の無駄遣いにつながりかねません。

必ず、アクセス情報や購買データ・アンケートなどの客観的なデータを根拠として活用し、感覚や憶測に頼らない設計を心がけましょう。

ペルソナを「固定化」しない柔軟な運用

市場環境や顧客のニーズは常に変化するため、ペルソナを一度作成したからといって、そのまま数年使い続けるのは危険です。

たとえば、SNSのトレンドや購買行動の変化によって、顧客が好むコンテンツや広告の受け取り方が変わるケースもあります。

定期的にデータを見直し、新しい行動傾向や価値観をペルソナに反映させることで、常に現状に適したマーケティングが実現できます。

ターゲットとペルソナの役割分担の理解

ターゲットは「狙うべき市場や層」を大まかに想定したもので、ペルソナはその中の代表的な1人の人物像を具体化したものです。

この違いを理解せず、ターゲット=ペルソナと混同してしまうと、マーケティング施策を広げすぎたり、狭めすぎたりしてしまいます。

「ターゲットは戦略上の方向性を決めるため」「ペルソナは施策を具体的に落とし込むため」に活用する、と役割を明確に分けて活用することが重要です。

まとめ|ペルソナ設計でECサイトの売上を最大化しよう

ペルソナ設計は、ECサイトの売上を大きく伸ばすために欠かせない手法です。

顧客の行動や価値観を深く理解し、具体的な人物像として描くことで、マーケティング施策全体に一貫性が生まれます。

重要なのは、感覚や経験ではなくデータを活用して、顧客の深層心理までを掘り下げることです。

そして、一度作ったペルソナを使い続けず、市場や顧客の変化に応じてアップデートし続けることも重要です。

自社が持っているデータを活用しながら、本記事を参考にペルソナ設計を磨き上げてみましょう。

また、ペルソナ設計に不安がある、ECサイトの売上を伸ばしたい方は、お気軽に弊社にお問い合わせください。

関連記事:【目指せ!月商300万円】ECサイトで売上を伸ばす考え方と施策を解説

いつも. マーケティングチーム
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ECが大好きなメンバーが集まっています。国内からグローバル、自社からAmazon&楽天市場まで、ECにまつわるあらゆることを発信していきます!

ECサイトのペルソナ設計に関するよくある質問

 

ペルソナは1つだけ作ればいいですか?
必ずしも1つに絞る必要はありません。主要な顧客層が複数ある場合は、それぞれに合わせたペルソナを設定しましょう。ただし、数が多すぎると施策が分散してしまうため、2〜3つに絞るのがおすすめです。
ペルソナ設計は無料ツールだけでできますか?
GoogleアナリティクスやSNSの分析ツールなど、無料で使えるツールで収集できるデータは多くあります。小規模なECサイトでは無料ツールだけでも十分可能ですが、大規模サイトの分析や深層心理の調査には有料ツールの利用も検討するとよいでしょう。
ペルソナとカスタマージャーニーはどう違いますか?
ペルソナは顧客の具体的な人物像、カスタマージャーニーはその人物が購買に至るまでの行動や接点を時系列で可視化したものです。併用することで施策の効果が高まります。