公開日:2021年12月10日

時代の潮流に乗ったデジタル商品棚「デジタルシェルフ」とは?

デジタル商品棚「デジタルシェルフ」とは?

Eコマースが存在しない時代は、消費者はショッピングモールなどの店舗に直接足を運び、商品を購入するために「棚(シェルフ)」から欲しいものを探していました。しかし、この常識は2000年前後から登場したAmazonや楽天市場などのECプラットフォームの影響により大きく揺れ動きます。

ECプラットフォームが登場したことで、デジタルの世界で商品を購入する機会が増え、実際の店舗の棚ではなく、PCやスマホの中に存在する「デジタル商品棚(デジタルシェルフ)」といった新しい概念が出来上がったのです。つまり、デジタルシェルフとは、ECプラットフォーム上の商品棚を意味します。

特に、アメリカと中国はEC・D2Cが急成長しており、全ての商取引金額(商取引市場規模)に対する、電子商取引市場規模の割合を示すEC化率では、2020年に世界全体は18%であるのに対し、アメリカは14.0%、中国は29.8%と推計されています(経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」、2021年7月)。
こうした時代の潮流により、企業やブランドメーカーは商品をより多くのECサイトの訪問者に見てもらうため、デジタルシェルフで目に付く場所に商品を表示させるよう注力し始めたのです。

デジタルシェルフの獲得戦争

アメリカでは、実店舗の棚を確保している指標と併せて、デジタルシェルフをどの程度確保しているか?という「デジタルシェルフシェア」の両方を確認することを企業活動の重要業績評価指標(KPI)に取り込む動きが進んでいます。
アメリカの小売業は、Amazonへの対抗も含めて「価値あるプライベートブランド」の開発と販売強化を急いでいます。当然その商品は自店舗の一番良い場所(棚)に並ぶことになります。
ここで発生するのが今まで圧倒的な知名度とブランド力で棚を確保していたナショナルブランド商品との棚の取り合い「デジタルシェルフ獲得競争」への対応です。

小売企業がプライベートブランドに注力するようになった最大の理由はAmazonの影響です。実際に、NRF(全米小売業協会)による2020年の全米小売業ランキングでは、Amazonは2位であり2017年7位から着実に市場シェアを拡大しています(NRF(全米小売業協会)「Top 100 Retailers 2021 List」2021年9月27日)。

この理由として、小売店は実店舗の棚を購入してもらう必要がありますが、Amazonが拡大したことでEC化率が進み客足が鈍化しています。そこで、プライベートブランドを強化し、価格は少し高くても良いものを提供することでAmazonとの差別化を図ろうとしているのです。
しかし、そうなると小売業界が手がけるプライベートブランドが実店舗の棚の多くを占めるようになり、ブランドメーカーの商品(ナショナルブランド)は棚から減っていきます。

このままでは、ブランドメーカーの実店舗の棚が無くなってしまうので、ブランドメーカーはDtoC(D2C)でデジタルシェルフを確保するようになります。
そうなると、小売がプライベートブランドを強化することでブランドメーカーとなり、一方のブランドメーカーはDtoCによって小売となります。つまり、小売とブランドメーカーの間で垣根がなくなっていくのです。

アメリカで起きているこのような現象は、今後EC化率が上昇することで世界中で加速すると予測できます。そうなると、長年続いた実店舗主導で有名商品が認知されて売れていくというモデルが崩壊することになります。日本ではこのようなデジタルシェルフの獲得を巡る競争は加速していませんが、今後3年以内に同じような流れが現実化してくると見ています。

 

ECやデジタル上で商品が認められることで、小売の棚も確保できるイメージ
ECやデジタル上で商品が認められることで、小売の棚も確保できるイメージ

ブランドメーカーが実店舗の棚から追い出される?

ブランドメーカーとして、小売業界に実店舗の棚でも販売してもらうためには、Amazonや楽天市場などのECプラットフォームを利用し、デジタル上で商品の認知をしっかり確保する、つまりデジタルシェルフを確保する必要があるでしょう。小売業界も、デジタルシェルフで認知されている商品を実店舗の棚に並べることができれば、自社の売上に繋がると考えるからです。

つまり、ブランドメーカーで認知されていない商品は実店舗の棚から追い出され、Amazonや楽天市場のようなデジタルシェルフで認知を得る商品が実店舗の棚に並ぶことが想定されます。

そうなると、「デジタルシェルフシェア競争」にどう生き残るかが重要になってきます。このように、実店舗の棚を確保するためにはAmazonや楽天市場などのECプラットフォームを戦略的に運用しながら、デジタルシェルフをしっかりと獲得する必要があるでしょう。

2019年以降にかけては、弊社が日本市場で初となる「デジタルシェルフシェア」という新概念と数値管理を持って、企業のデジタル化・ECチャネル販売拡大を推進していますので、皆様の企業でも「実店舗の棚の確保」+「デジタルシェルフの確保」の両方を確認しながら商品の販売拡大を狙っていきましょう。

▼Amazonのデジタル棚の一等地獲得・競合対策が必要な方▼
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なお、弊社副社長望月による書籍「2025年、人は「買い物」をしなくなる」では、小売・ブランドメーカー・ECで今まさに起きているイノベーションを伝える」ということをテーマに、本書ではこれから変わっていく新しい買い物論とデジタルシェルフについて解説しています。

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同著については以下の記事もご参照ください。

『買い物ゼロ秒時代の未来地図』著者が解説(前編)~直近1年の買い物の変化と新キーワード~

『買い物ゼロ秒時代の未来地図』著者が解説(後編)~海外最新トレンドと2030年近未来の買い物~

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