【Amazon】絶対に避けたい在庫切れリスクと要因、解決方法を解説
ECサイトを運営する上で、在庫切れは「商品の販売機会を失う」以上に大きな損失を生み出します。
例えば、Amazonでは「商品ページ・広告が非表示になる」「自然検索(SEO)ランキング下落など中長期的な悪影響が出る」など、せっかく工夫して作成した商品ページや長期にわたり対策してきた検索表示にも影響を及ぼすのです。
ECサイトご担当者は、在庫切れリスクを十分に理解した上で、在庫切れを起こさない体制作りを進めていきましょう。今回は、特にAmazonにおける在庫義入れリスクと解決方法をご紹介いたします。
Amazon内で自社商品が在庫切れを起こしてしまう要因
Amazonで自社商品が在庫切れを起こしてしまう要因として、主に以下の3つが考えられます。
1.過去の実績を分析できていなかった
2.在庫・納期の管理ができていなかった
3.予期せぬ注文が殺到した
1と2はAmazon運営初心者でも、日頃からバックヤード業務の管理、フロント業務との連携がスムーズに取れていれば回避できる要因です。
しかし、3は突発的に発生するため、運営マニュアルの中に「突発的な在庫切れ時の対応」と題した対応フローを作成し、従業員に周知を図っておきましょう。
過去の実績を分析できていなかった
例えば、去年の同じ時期の商品販売実績を把握・分析できていないことで、在庫切れを起こしてしまう状況です。
この問題の厄介な点は、「過去の販売実績を把握していても、分析を行っていなければ同じように在庫切れを起こしてしまう」ことです。
毎年同じ時期に需要が増加する商品でも、競合商品の影響を受けて注文が増減する可能性や、競合商品の数が変わらなくても、市場トレンドによって注文が殺到する可能性もあります。
つまり、ただ販売数を把握しているだけでは不十分であり、「どんな状況下で〇〇個売れたから、今年も〇〇個売れるだろう」と仮説を立てることが重要になってきます。
まずは過去の販売実績から需要予測を行い、予測を上回る注文が入った際にどういった対応を取るべきなのか、対応フローを作成して従業員に周知しておく必要があります。
在庫・納期の管理ができていなかった
商品の在庫管理や、納期管理ができていない場合にも、在庫切れを引き起こしてしまいます。
昨年の販売実績から需要予測が導き出せないことと、在庫管理・納期管理ができていない状態が重なった場合、在庫切れの問題はより深刻なものになります。
後述しますが、Amazonにおける在庫切れは、単に販売機会の損失だけでなく、Amazonの自然検索(SEO)への悪影響を引き起こしますので、早急に解決すべき課題です。
もし自社のECサイト運営で「需要予測」「在庫管理」「納期管理」がずさんな状況であれば、広告などの集客施策を行う前に対策しましょう。
ECサイトの基本的な運用は、商品の受注~発送・カスタマーサポートを行うバックヤード業務にあります。今1度自社の運用体制を見直してみてください。
予期せぬ注文が殺到した
過去の販売実績から需要予測を行い、在庫管理・納期管理を徹底していても、「予期せぬ注文の殺到」というのは往々にして発生します。
ECサイトの運営担当者は、需要予測には限界があり、突発的な在庫切れはいつか起こるものと認識した上で、在庫切れの状態から通常販売へと復帰するための対応フローを考える必要があります。
とはいえ在庫切れが何度も発生しているようでは、予期せぬ注文の殺到とはいえないため、自社のECサイト運営体制を見直す必要があるでしょう。
実際に在庫切れが発生してから対策するのではなく、販売実績から需要予測の仮説を立て、需要を上回る注文が入った際にスムーズに対応できる体制を構築することが何より重要です。
在庫切れが発生した際のリスク
では実際にAmazonで在庫切れが発生した際にどういったリスクがあるのか?を確認していきましょう。
- 販売機会の損失
- 広告が非表示になる
- ショッピングカートボックスが奪われてしまう
- 自然検索(SEO)への悪影響
Amazonに限らず、在庫切れによって販売機会の損失を招いてしまうことは明白です。
また、Amazonでは在庫切れを引き金として、様々な悪影響を引き起こす可能性があるため、簡単に在庫切れを起こさない仕組みを作る必要があります。
販売機会の損失
在庫切れを起こすと、ユーザーが検索窓でキーワードを入れて検索しても、自社商品が検索結果のページで表示されません。
つまり、ユーザーが直接自社商品のURLを入力して飛ばない限り、商品ページを見つけてもらえない」という状態に陥るのです。
非常にシンプルですが、ユーザーがキーワード検索を行っても検索結果画面に商品が表示されないのであれば、自社商品の販売機会は喪失してしまいます。
在庫切れによって、様々な自然検索(SEO)対策は全て水の泡となるのです。
広告が非表示になる
Amazonで在庫切れを起こすと商品ページが表示されなくなるため、商品ページを頼りに広告を出稿する「Amazonスポンサー広告」も必然的に非表示になります。
そして二次被害として、Amazonスポンサー広告が在庫切れを理由に非表示になった際に、広告出稿者は「目的の商品が広告出稿されないなら、Amazonスポンサー広告の出稿を停止してしまおう」と考える可能性があります。
ちなみにAmazonスポンサー広告を停止してしまうと、「インプレッション数」や「ACoS(広告売上高比率)」などの数値が悪化してしまう傾向にあり、運用期間によっては、元の広告パフォーマンスに戻すまでにかなりの時間がかかります。
Amazonスポンサー広告は在庫切れの商品を自動で非表示にするだけで、Amazonスポンサー広告全体の運用に大きく影響することはありませんので、キャンペーンを停止しないよう注意しましょう。
Amazon広告の費用対効果を分析する際に、ACoS(広告売上高比率)は端的にコストパフォーマンスを確認する便利な指標となりますので、知らなかった方はこの機会に理解を深めることをおすすめします。
関連記事:Amazon広告費売上高比率「ACoS」読み方の徹底解説【動画あり】
ショッピングカートボックスを奪われてしまう
Amazonの商品ページのファーストビュー画面で「カートに入れる」を選択すると、ファーストビュー画面に表示されている出品元の商品が自動的にカートに入ります。
この商品ページのファーストビュー画面に自店舗の商品が表示されることを「ショッピングカートボックスを獲得する」といい、Amazonで検索表示対策を行うEC事業者がこぞって対策を行う施策になります。
もし自社商品の中にショッピングカートボックスを獲得している商品があった場合は、在庫切れをきっかけに競合店舗にショッピングカートボックスを奪われてしまう可能性があるため注意が必要です。
Amazonショッピングカートボックスが奪われてしまうことによる販売の機会損失は計り知れないため、売れている商品ほど、在庫管理は徹底しなければなりません。
関連記事:Amazonで「ショッピングカートを獲得する」ための具体策とは?
自然検索(SEO)への悪影響
Amazonでは、商品のカテゴリーごとにランキングがあり、販売件数などの情報から順位付けされています。
しかし、在庫切れを起こしてしまうと、注文件数が0件となり、ランキングに上がる可能性がなくなってしまいます。
さらに、在庫切れの期間中、同カテゴリーの競合商品が売れやすくなり自社商品のランキングが競合に抜かれてしまうケースも少なくありません。
また、Amazonの商品カテゴリーランキング1位の商品の場合、商品ページや検索結果上で、「ベストセラー」のタグが表示されることがありますが、このタグも競合へ奪われてしまう可能性が高いです。
そうなれば、ただの在庫切れの期間の機会損失にとどまらず影響は長期に響いてくることになってしまいます。
在庫切れが起きた際の対策(復活)方法
在庫切れが起きた場合、どのようにして在庫切れを起こした商品を復活させれば良いのでしょうか?
再入荷を実現させ、商品入荷予定日の設定を行う
対処法としては、まずは何より在庫切れを起こさないことが一番大切です。
在庫不足や補充のタイミングを知らせる通知システムを活用したり、長期休暇や大型セール時には在庫を通常の2、3倍に設定するなどして事前に十分な対処をしましょう。
しかし、対策を行っていても、予期せぬ在庫切れが起きてしまうこともありえます。
そのような場合に、在庫が補充されるまでの期間にできる対策がまだあります。
それが「商品の入荷予定日の設定」です。
商品の入荷予定日を設定すると、商品ページの露出を維持できるため、在庫が無い状態でも、注文を受け付けることが可能になります。
また、同時に自然検索(SEO)ランキングが下がるリスクも低減でき、一石二鳥の施策になり得ます。
ただし、この入荷予定日の設定は、「自社出荷の対応が前提であること」「30日以内に再入荷する商品の場合に限る」といった条件があるため注意が必要です。
在庫切れを起こさないための対策方法
Amazonで在庫切れを起こさないためにできる対策方法は主に以下の4つです。
- 売上予測を徹底する
- 在庫・納期管理を徹底する
- FBAを理解しておく
- セール時は「自社配送」と「FBA」を組み合わせる
在庫切れの発生原因は、多くの場合「自社の運用体制」にあるため、1つずつ対策することで、在庫切れを起こさない体制作りが可能になります。
売上予測を徹底する
前年同月比や直近3か月の売上推移を分析すると、販売データに基づいた適切な売上予測が立てられるようになります。
商品1つずつの売上予測を手作業で行っているとかなりの時間がかかるため、Amazonセラーセントラルや受注管理システムを使って分析作業の効率化を図りましょう。
在庫・納期管理を徹底する
商品の在庫管理・納期管理を徹底することで、在庫切れが発生しにくい運営体制を構築できます。
在庫を常に切らさないように、受注状況をトリガーにした発注処理を設定しておくと便利です。
例えば「在庫数が〇個以下になったら発注処理を行う」や「〇時間に〇個以上の注文が入ったら商品発注を行う」といった設定を行うと、「発注し忘れていた」といった人的ミスを防げます。
FBAを理解しておく
Amazonは、フルフィルメントセンターとよばれる物流倉庫を全国各地に保有しており、Amazonサービスを円滑に供給するために各センターから配送を行っています。
Amazonで自社商品を出品している法人・個人事業主は、このフルフィルメントセンター(FBA)に商品の受注管理・梱包・発送を代行してもらうことも可能で、円滑な商品発送をサポートしてくれる力強い味方となります。
在庫切れを慢性的に引き起こしてしまうEC事業者には、体制構築の一環としてFBAサービスの利用をおすすめします。
セール時は「自社配送」と「FBA」を組み合わせる
Amazonのセール時は、通常時よりも注文が多く入る傾向にあるため、自社配送とFBAを組み合わせて在庫切れを防ぎましょう。
よく「FBAに任せておけば在庫切れは防げるのでは?」と質問を受けますが、もしセール期間中にFBAに事前納品した商品在庫が切れてしまった場合、その時点から在庫を納品する必要があります。
また、在庫切れを予測して、在庫切れが発生する前から商品を納品することも案として浮かびますが、当然他の業者も同じことを考えていますので、納品ラッシュに巻き込まれることになります。
そうすると「通常3日で在庫反映される商品が1週間以上かかってしまう」といった事態も起こってきますので、臨機応変に「FBA在庫が切れたら自社配送に切り替える」といった対応が求められます。
FBAの基本や、セール時のFBA・自社配送の組み合わせについて理解を深めたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。
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まとめ
Amazonでは1度在庫切れを起こすと、在庫切れを起こした商品のページが非表示になったり、広告が非表示になったりします。
一時的な機会損失だけでなく、自然検索(SEO)ランキング下落など、中長期的な悪影響が出る可能性も大いにありますので、普段から在庫切れを起こさないような体制作りを進めるように心がけましょう。
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amazonの在庫切れに関するよくある質問
- amazonで在庫が切れるとどうなるの?
- 検索結果に出なくなります。よって自然検索のランクにも影響し、当然ですが広告も出せなくなります。
- amazonで予期せぬ在庫切れの対策はあるの?
- 「商品の入荷予定日」の設定です。商品の入荷予定日を設定することにより、商品ページを表示させ続けることができるため、在庫が無い状態でも、注文を受け付けることが可能となります。